南沙織さま初期の傑作アルバム。
ジャケット写真では黄色の服を着せられてサイケな感じがするし、ヤングのテーマ(サウンドドラマ編)という言葉も時代を感じさせますが、内容はすこぶる極上です。
A面は全曲有馬三恵子/作詩、筒美京平/作編曲、B面は4曲を外国カバー曲で占めています。
サウンドドラマとあって、曲の前に波の音や電話の音、ジェット機の噴射音などが入りますが、アルバムトータルとしての作りよりも各歌がそれぞれにドラマ仕立てになっているようです。
デビュー当時は何かと歌唱力の無さを指摘されていましたけれど、ここではそんなことは払拭されています。
どの歌も聴き応えのある歌の力を感じさせます。 まず都会の雑踏(工事現場の音?)から始まる「傷つく世代」、バックのベースギターが少々暴れ気味でワイルドなブラスロック風です。
「忘れんぼさん」ではシンシア得意の英語による電話の会話から始まりますが、ここにオーボエの音が絡むのも見事な編曲です。 夜汽車の音が蒸気機関車だったりするのも年代を感じさせますが、そんな「昨日の街から」では伸びやかな歌とミュートを効かせたトランペットとの絡みが絶妙です。
「純情」は「傷つく世代」と同じ演奏でしょうか、ワイルドさがほどよく出ていていい感じです。
波の音から始まるのが「遠い海」で、どこか「17才」風の歌なんですが「あのころの僕、恋さえ知らなかったのに」と珍しく男言葉で歌うシンシアがとても魅力的です。 ドキっとしてしまいます。
そして同じ海の歌「ふるさと持たないあの人に... 」のヒット曲「早春の港」までA面6曲を一気に聴かせてくれます。
B面の外国カバー曲も巧いのですが、これはまた別に書くとしてジェット機の音が前後に入る「愛の花咲く頃」は橋本淳/作編曲。 ホルンの響きが効果的に入って伸びのあるシンシアの歌が素晴らしい作品。
ラストの「あこがれの旅」では曲中にサーキットのエンジン音が入り、コーラスのリバティベルスもシンシアのアルバムではお馴染みですね。 このアルバム、見かけで騙されてはいけない、じつにしっかりした傑作です。
CD化済み。 (2001.5.6)
http://www.fronte360.shop/hirotaka/pops/cynthia.htm#kizutsuku%20sedai

