2025年06月07日

傷つく世代 (南沙織) 1973年

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南沙織さま初期の傑作アルバム。

ジャケット写真では黄色の服を着せられてサイケな感じがするし、ヤングのテーマ(サウンドドラマ編)という言葉も時代を感じさせますが、内容はすこぶる極上です。

A面は全曲有馬三恵子/作詩、筒美京平/作編曲、B面は4曲を外国カバー曲で占めています。
サウンドドラマとあって、曲の前に波の音や電話の音、ジェット機の噴射音などが入りますが、アルバムトータルとしての作りよりも各歌がそれぞれにドラマ仕立てになっているようです。

デビュー当時は何かと歌唱力の無さを指摘されていましたけれど、ここではそんなことは払拭されています。
どの歌も聴き応えのある歌の力を感じさせます。 まず都会の雑踏(工事現場の音?)から始まる「傷つく世代」、バックのベースギターが少々暴れ気味でワイルドなブラスロック風です。

「忘れんぼさん」ではシンシア得意の英語による電話の会話から始まりますが、ここにオーボエの音が絡むのも見事な編曲です。 夜汽車の音が蒸気機関車だったりするのも年代を感じさせますが、そんな「昨日の街から」では伸びやかな歌とミュートを効かせたトランペットとの絡みが絶妙です。

「純情」は「傷つく世代」と同じ演奏でしょうか、ワイルドさがほどよく出ていていい感じです。
波の音から始まるのが「遠い海」で、どこか「17才」風の歌なんですが「あのころの僕、恋さえ知らなかったのに」と珍しく男言葉で歌うシンシアがとても魅力的です。 ドキっとしてしまいます。

そして同じ海の歌「ふるさと持たないあの人に... 」のヒット曲「早春の港」までA面6曲を一気に聴かせてくれます。

B面の外国カバー曲も巧いのですが、これはまた別に書くとしてジェット機の音が前後に入る「愛の花咲く頃」は橋本淳/作編曲。 ホルンの響きが効果的に入って伸びのあるシンシアの歌が素晴らしい作品。

ラストの「あこがれの旅」では曲中にサーキットのエンジン音が入り、コーラスのリバティベルスもシンシアのアルバムではお馴染みですね。 このアルバム、見かけで騙されてはいけない、じつにしっかりした傑作です。
CD化済み。 (2001.5.6)

http://www.fronte360.shop/hirotaka/pops/cynthia.htm#kizutsuku%20sedai


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2025年06月04日

素顔のままで (南 沙織) 1976年

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このジャケット写真(もちろん篠山さん撮影)を見ると当時TVで流れていた秋吉久美子のインスタントコーヒーの宣伝を思い出してしまいます。 ちなみに裏面の写真は、りりぃに似た影のある女性に写ってますね。 そんなことはさておき、このアルバムもよく聴きました。 アイドル路線から離れ、自分の身の丈にあった女性の姿を、ちょっとウェットな声で伸びやかに唄っています。 上質なアルバムです。

シングル・リリースされた「気がむけば電話して」は、作詩/中里綴、作曲/田山雅充、編曲/萩田光雄。 ビリー・ジョエルのストレンジャーみたいなギターソロで始まります。 とにかくこのアルバムは中里綴さんの詩がとても素晴らしい。 とくにB面トップのタイトル曲の「素顔のままで」(作曲/田山雅充、編曲/水谷公生)から「ふりむいた朝」(作曲/田山雅充、編曲/萩田光雄)、「編みかけの手袋」(作曲/田山雅充、編曲/松井忠重)、「灰になった手紙」(作曲/田山雅充、編曲/萩田光雄)と一気に聴かせてくれます。

またA面には「泣きだしそうな空模様」(作曲/田山雅充、編曲/水谷公生)「近頃二人は」(作曲/田山雅充、編曲/松井忠重)がラインナップされてます。 「大人への階段をはやく知りすぎたから/友と呼べる人までなくした/ああ優しさで/あなた包んでね」(素顔のままで)は恋の歌ですけど、あとはすべて別れ歌。 いずれも心の襞をそっとすくうような中里さんの詩に、シンシアの力まずにすっと抜く歌がマッチしてて、派手さは少ないけれど、巧いなぁ〜って思うんですよね。

なお最初と最後の曲「プロローグ幸せの予感」「エピローグ未知への想い」は英語の詩の朗読から始まって、この訳詩が唄われますが、これはシンシア作詩。 しっかりとした決意が感じられます。 (2004.2.13)

http://www.fronte360.shop/hirotaka/pops/cynthia.htm#sugao%20no%20mamade
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2024年07月15日

マイ走馬灯・クラシック音楽20240715

マイ走馬灯。 みうらじゅんの影響ですね。
人生最後の見る景色である走馬灯、それは・・・ 人生暇つぶし・・・

今回も介護している母親がデイサービスに行っている間を利用し、
奈良の自宅から持ち帰ったCDを、大阪の実家に移設したミニコンポで聴いてます。

今回は、SONY CLASSICAL が、消費税3%を含んだ売価 1,000円(税抜 971円)で
出していた廉価盤シリーズから、3枚をチョイスしました。

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まずは、アンドリュー・デイヴィス指揮フィルファーモニア管弦楽団による
ドヴォルザークの交響曲第7・8番。 爽快でとても見晴らしの良い演奏ですね。

スラブの土着らしさや、ドヴォルザークが憧れたといわれるドイツらしい構成感重視、
これらとも一線を画し、またインターナショナル的で均質、感動の薄い音楽ではなく、
躍動的な音楽に仕上がっています。 

これは今から30年ちょっと前、インターネットが出てくる前のパソコン通信時代。
Nifty-Serve のパソコン通信の、クラシック音楽フォーラム(FCLA)で知り合った
ゆらむぼさん(ドヴォルジャーク好き)より教えてもらったのでした。
ついこの前と思っていても、もう四半世紀前のことですね。


つぎは、同じような夕焼けのジャケットですが、
A.デイヴィスさんは4月に白血病で亡くなられましたが(享年80歳),
同じく本年 2024年2月に亡くばれらた小沢征爾さん指揮による「幻想交響曲」。
これがまたまた、爽快な演奏なのですね。

2003年に書いた文章が以下にありました。
http://fronte360.html.xdomain.jp/bqcla/cd/srcr1505.htm

小沢さんは、1973年以降、ボストン交響楽団を長く率いられていましたけれど、
当方がクラシック音楽を聴き始めた1970年はサンフランシスコ交響楽団にいて、
その前はカナダのトロント交響楽団を率いていました。
日本人がアメリカのオケのオーケストラの音楽監督になるなんて・・・
本当に当時誇らしく思っていたものでした。


一番手前の緑色のジャケットのは、
オーマンディ指揮フィラデルフィア管、ベードーヴェンの「運命」「田園」
2大交響曲ですが、このCDは元会社同僚のNさんからの頂きもの。
でも、中古LPでは、頂く前ちょっと前に捕獲済でしたね。

オーマンディ/フィラデルフィアの「フィラデルフィア・サウンド」
今から50年ほど前、レコード会社のフレーズがよく使われて、流麗なサウンドを
ウリにしていましたね。 ムード音楽かよ、って誤解していました。

「運命」終楽章の切れ込みに、個人的に物足りなさを感じますが、
「田園」いいですよね、ともに聴かせ上手な演奏と思いますし、
何よりオケが巧いしコントールが行き渡っていますね。

2020年に書いた本ブログの文章がありました。
http://fronte360.seesaa.net/article/477225708.html

とにかく「クラシック音楽の本流は独墺系」、義務教育音楽に染まった世代、
このような呪縛が解けていったのも、上述のパソコン通信での交流の恩恵、
そのように思えます。 自分で感じて、良いものが、好き。

ただし、自分に良いと感じるのと、他の人が良いと感じるのは、別問題です。
だから、この音楽は良い、ではなく、この音楽は好き、
嫌い、というと角が立つので、好きになれない、よくわからない、なのですね。

とにかく狭い世界、自分と同調する意見だけを聴いていてはいけなく、
自分の意見を言うときがあっても、論破するのではなく、他の意見を聴く、
そんなことも教えられた、かなと思うパソコン通信時代が、今回のマイ走馬灯・・・


posted by fronte360 at 21:23| Comment(0) | TrackBack(0) | マイ走馬灯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年06月26日

マイ走馬灯・クラシック音楽20240626

マイ走馬灯って、みうらじゅんの影響ですけれど・・

ほぼ2日に1回、介護している母親がデイサービスに行っている間を利用して、
実家の大阪より、奈良の自宅に戻っていますが、実家のミニコンポで聴くCD物色中、
こんなのもあったね・・・

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持ち帰ったトーマス・ザンデルリンクさんによるブラームス交響曲全集。
フィルハーモニア管を振ったイタリアの Darpro というレーベルから出ていたもので、
1998年頃でしょうか、堂島ワルツ堂で投げ売られていたもの(1,180円のシール付き)。

1992〜2000年まで大阪シンフォニカー(現・大阪交響楽団)の音楽監督・常任指揮者で、
この頃、このオケの特別会員となって、年間10回ほどの主催公演をすべて聴いており、
中でもトーマス・ザンデルリンクさんによるブラームスの交響曲はすべて聴きましたが、
いずれも素晴らしかったなぁ。

特に第4番を聴いたシンフォニーホールからの帰路など、
いつもでも頭の中で音楽が鳴り響いていたことも思い出します。
会員になる前、高校同級のE君が大阪シンフォニカーのゼネラル・マネージャで、
その時、当方は大阪シンフォニカーってオケも知らなかったけれど、
彼が「ザンデルンクが今度振るんやで」と言ったのに驚きました。
すぐさま彼が「息子やけどな、ええねんで」って・・・
心斎橋だったかの裏通りの会話、このあとタコ焼き食べてビール飲んだことも思い出します。

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ブラームス/交響曲第4番
 トーマス・ザンデルリンク指揮フィルハーモニア管弦楽団

たっぷりとした音楽ながら、デジタル録音らしく細部にまで配慮を尽くした音楽が聴き取れます。 現代の巨匠といっても良いような感じ。
この演奏については、以下のサイトに詳しく書かれているので、そちらを参考にしてください。
https://suisse.exblog.jp/1428952/

ブラームス/交響曲第4番
 クルト・ザンデルリンク指揮シュターツカペレ・ドレスデン

前回も書いたとおりパソコン通信時代、Nifty-Serve の FCLA で、ゆらむぼさんから教えてもらった名演奏。
何も足さない・引かないような演奏ですけれど、第1楽章の終結部、内面から滲み出る感情がしだいに迸るようです。 聴き手の高揚感を巧く刺激するテクニックに終始聞き惚れます。

ブラームス/交響曲第4番
 ヨーゼフ・カイルベルト指揮ハンブルク国立管弦楽団

中学生の時、キングレコードの名曲1000シリーズで初めて聴いた演奏。 録音も古く質実剛健とした演奏ですが、サクサクと進めてゆく粗削りながらも燃焼度の高い演奏で、刷り込みもあるせいかお気に入りです。 アマオケの友人が、一発録りみたい、と言っていたのも思い出します。

最後に、参考までに各楽章の録音時間を記しておきます。

Tザンデルリンク 14:58/11:45/6:06/10:10
Kザンデルリンク 13:02/11:42/6:18/10:47
カイルベルト   12:23/10/11/6:12/ 8:51


posted by fronte360 at 20:24| Comment(2) | TrackBack(0) | マイ走馬灯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年05月18日

マイ走馬灯・クラシック音楽20240518

マイ走馬灯って、みうらじゅんの影響ですけれど・・

昨日の誕生日にふっと聴いた、ザンデルリンク/シュターツカペレ・ドレスデンによるブラームス/交響曲第2番から、走馬灯状態です。

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写真下から

ブラームス/交響曲第2番
 クルト・ザンデルリンク指揮シュターツカペレ・ドレスデン

インターネットが普及する前、パソコン通信時代、Nifty-Serve の FCLA で、ゆらむぼさんから教えてもらった名演奏だったと思います。
何も足さない・引かない、そのような質実な演奏ながら、内面から滲み出る曲への共感が感じられる演奏です。 とくに終楽章の盛り上がりは十二分ながら、決して感情からはみ出すことのない見事に統制された演奏が素晴らしい。
日本コロムビアから、廉価な国内盤セットが出ていて、それを買って聴いていましたが、輸入盤が出たので買い直しましたけどね・・・音的に良いのかどうか・・・自己満足でしょうね、きっと(そんなことのわかる装置で聴いてもいないし)。 なお持っていた国内盤は、パソ通で知り合ったホッホさんに進呈(布教)したように思いますが・・・ 記憶が飛ぶ・・・

ブラームス/交響曲第2番
 サー・ジョン・バルビローリ指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

サー・ジョンのブラームスは、実は第3番が最初でした。
東芝EMIの黒い円盤レコードの時代、緑色ジャケットのセラフィム廉価盤では交響曲4曲が4枚に分かれて販売されていましたが、貧乏な高校・大学生時代は、1曲1枚主義。 第2番は、カイルベルト指揮のを持っていたので、買わず。 社会人になってから、たぶん堂島ワルツ堂などの中古レコード売場で黒い円盤レコードを買い、CDのこのDiskey盤も捕獲したのではないかな。
とにかく Nifty-Serve の FCLA時代は、自分が若かったこともあって、大いに刺激を受けました。 当時、雑誌「レコード芸術」などで推薦盤になっていなくても、自分が、良い、面白い、そう思うものがイチバンであることを教えられた、豊かな時間でした。 
このバルビローリによる第2番も、当時は誰も推していなかったけれど・・・ね。

ドヴォルザーク/交響曲第8番
 サー・ジョン・バルビローリ指揮ハルレ管弦楽団

このCDも先と同じく捕獲したものですけれど、黒い円盤はたぶん大学に入る前、日本橋ワルツ堂で手に入れていたように思います。 浪人時代、堂島や日本橋までよく歩いていたのでした。 当時、実家で使っていた家具調ステレオ SANYO OTTO(父親が中古で買ってくれたもの)でも聴いていた記憶があります。 ステレオ初期録音で、音質は良くなくとも左右の分離が良く、しかもノリノリな演奏で、部屋の模様替えでステレオを移動したあとには、きまってかけてました。
これも当時の音楽雑誌では無視されたような演奏でしたが、音楽は今もドシロウトながら、当時から、粋を感じる面白い演奏だなぁ・・・と好んでいました。  
ちなみにこの演奏の録音は1957年6月らしく、当方が生をうけて1ヶ月後の録音。
こんなことにも因縁を感じるジジィになってしまいました。

posted by fronte360 at 20:44| Comment(4) | TrackBack(0) | マイ走馬灯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする