2020年05月10日

ニコレ&リヒター、J.S.バッハ/フルート・ソナタ集

新型コロナで緊急事態宣言が出ていますので、せめてお家で良い音楽を♪

圧倒的な演奏を追いかけて「春の祭典」や「ペトルーシュカ」を何度も聴いていたら、次はバルトークかなぁ、と聴き始めましたけれど頭がくちゃぐちゃになりそうに。

方向性を180度変えて、これなどいかがでしょうか。 オーレル・ニコレとカール・リヒターによるJ.S.バッハのフルート・ソナタ集。 ニコレは後年ジャコッテとDENONにPCMデジタル録音でも作品を残していて円熟の味を聴かせてくれますが、この演奏のほうが尖っていて好きですね。

同時代のランパルは絢爛たる音色がウリでしたが、ニコレは禁欲的とも言える作品そのものに語りかけるような姿勢の演奏ですね。 そのニコレが、バッハ演奏の権威リヒターとタッグを組んだフルート・ソナタ集は、謹厳実直? いえいえそんな堅苦しさなどなく、自然とバッハの世界に没入させてくれます。

BWV1032 での両者の丁々発止のやりとりなど高い精神性を感じながらも、エモーショナルな演奏に興奮してしまいそうです。 そして偽作(このCDでは、? C.Ph.E.Bach)とされる BWV1020 が圧巻。 攻守逆転したかのように、煽るリヒターにニコレが対抗してるかのよう。 ジャズ・セッションでも聴いているかのよう。 ジャコッテとの演奏ではこのような精神性の高さはちょっと味わえないでしょう。
また無伴奏の精神性の深さは次元を超えているようです。

この演奏は NAXOS MUSIC LIBRALY でも聴けます。

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 J.S.バッハ/フルートとオブリガート・チェンバロのためのソナタ第1番 ロ短調 BWV1030
 J.S.バッハ/フルートとオブリガート・チェンバロのためのソナタ第2番 変ホ長調 BWV1031
 J.S.バッハ/フルートとオブリガート・チェンバロのためのソナタ第3番 イ長調 BWV1032
 J.S.バッハ(? C.Ph.E.Bach)/フルートとオブリガート・チェンバロのためのソナタ ト短調 BWV1020
 J.S.バッハ/無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013
  オーレル・ニコレ(fl)
  カール・リヒター(hpsi)
   録音:1975年4月(BWV1020,1030-32) ミュンヘン,1969年11月 ベルリン

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2020年05月09日

シュナイダーハン&ゼーマン、ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」

新型コロナで緊急事態宣言が出ていますので、せめてお家で良い音楽を♪

圧倒的な演奏を追いかけて「春の祭典」や「ペトルーシュカ」を何度も聴いていたら、次はバルトークかなぁ、と聴き始めましたけれど頭がくちゃぐちゃになりそうに。

方向性を180度変えて、これなどいかがでしょうか。 ヴォルフガング・シュナイダーハンとカール・ゼーマンによるベートーヴェンの「春」。 二十四節気では5日の子供の日が「立夏」だったので、季節は夏になってしまいましたけれど。

ヴォルフガング・シュナイダーハン(1915-2002)はウィーン生まれ、元ウィーン・フィルのコンサートマスターも務めたヴァイオリニスト。 ウィーンというと、ポルタメントやヴィブラートを効かせた甘い演奏のように思われるかもしれませんが、シュナイダーハンは響きは艶やかではあるけれど、ヴィブラートを抑えた落ち着いた音色で、気品の高さが特徴です。

伴奏のカール・ゼーマン、シュナイダーハンの伴奏以外ではモノラル録音でモーツァルトのピアノ協奏曲のレコードも持っていますが、この方もとても落ち着いた実直な演奏をされる方ですね。

この両者がともに寄り添うように演奏されたヴァイオリン・ソナタ第5番「春」。 華美な装飾を廃し、作品そのものに語らせるような誠実な演奏ですが、繊細かつ質実とした健康的なロマンティックさを醸し出し、とてもチャーミングです。

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 ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第5番 へ長調 op.24「春」
 ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第6番 イ長調 op.30-1
 ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調 op.30-2
  ヴォルフガング・シュナイダーハン(vn)
  カール・ゼーマン(p)
   録音:1959年5月13-15日 ウィーン、ブラームス・ザール


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2020年05月06日

ドラティ、ストラヴィンスキー/春の祭典

新型コロナで緊急事態宣言が出ていますので、せめてお家で良い音楽を♪

圧倒的な演奏で、バーンスタイン/NYPによる1958年録音の「春の祭典」を聴いたので、他の演奏も聴きたくなりました。 色々と手元にCDはありますが、アンタル・ドラティのが好きですね。

ドラティは、戦前モンテカルロのバレエ・リュッスの指揮者を12年間つとめ、戦後にコンサート指揮者中心となった経歴の持ち主でした。 よって彼の指揮するストラヴィンスキーのバレエ音楽の演奏は、色彩感を放出するような演出過剰なものではなく、きっちりとバレエが踊れるような的確な描写が特徴的です。

デトロイト交響楽団を振った 1981年録音盤。 オーケストラ・トレーナーとも言われたドラティが鍛え上げたデトロイト交響楽団を緻密にかつ豪快に鳴らした銘盤(上記のような理由より平凡でつまらないという批判もあるようですが)。 デジタル録音初期ながら優秀な録音でもあって、熱い響きを細部まできっちり磨きあげているので勉強にもなります。

しかし個人的にはオーケストラの技量は落ちるけれども 1959年録音のミネアポリス交響楽団との演奏を聴く方が好きです。 ちょっと鳴りの悪いミネソタのオケをドラティが叱咤激励、豪快に突進させているような演奏。 Mercury LIVING PRESENCE によるワンポイント録音(メインマイクと2本のサブマイクの3トラック録音)は、金管の咆哮、低弦の唸りや強打する打楽器など吃驚するほど鮮明で迫力満点。 この演奏のあとにデトロイトとの演奏を聴くと、小さくまとまっている感すらします。

なおともにカプリングされている「ペトルーシュカ」、こちらは更にオケの技量差が出てしまいますけれど、アマオケをやっている友人に言わせると、「ハルサイ」は譜面通りに演奏するとなんとか格好がつくけど「ペトルーシュカ」は難しいからアマオケではほとんどかからない、とのこと。 とにかく、綺麗にまとまった演奏を巧いなぁと思って聴くことも大切ですが、自分たちの技量のありったけど使ってわき目もふらずに頑張る演奏がやっぱり面白いですね。

なおミネアポリス交響楽団との演奏は NAXOS MUSIC LIBRALY でも聴けます。 デトロイト交響楽団のもありました。

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  ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」(1947年版)
  ストラヴィンスキー/バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
  ストラヴィンスキー/バレエ音楽「火の鳥」(全曲)
   アンタル・ドラティ指揮 デトロイト交響楽団
    録音:1981年5月(春の祭典),1980年6月(ペトルーシュカ),1982年10月(火の鳥)

  ストラヴィンスキー/バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
  ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」(1947年版)
  ストラヴィンスキー/管弦楽のための4つの練習曲 -*
   アンタル・ドラティ指揮 ミネアポリス交響楽団、 ロンドン交響楽団 -*
    録音:1959年4月4日(ペトルーシュカ),1959年11月15日(春の祭典),1964年7月7日(練習曲)

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2020年05月05日

バーンスタイン/NYP、ショスタコーヴィッチ/交響曲第5番

新型コロナで緊急事態宣言が出ていますので、せめてお家で良い音楽を♪

圧倒的な演奏へと回帰、カラヤンの対抗馬ならば、バーンスタインでしょう。
圧倒的な「春の祭典」に続くのは、ショスタコーヴィッチの交響曲第5番。 終楽章の冒頭で「部長刑事」を思い出す世代ですが、ここを何の衒いもなく圧倒的な速さで駆け抜けるのが、1959年録音の演奏です。

手元には 1979年7月に東京文化会館で録音されたCDもありますが、単純にCDの収録時間を比較すると、以下のようになっています。

 1959年録音 第1楽章 16:16、第2楽章 4:56、第3楽章 15:35、第4楽章 8:56
 1979年録音 第1楽章 17:41、第2楽章 5:20、第3楽章 16:09、第4楽章 10:11

「ヴォルコフの証言」以降、この曲の終楽章への解釈が云々されますが、バーンスタインはこれと関係なく1979年録音も速い演奏なのですが、1959年録音の速さちょっと異常とも思えますね。

どちらが好きな演奏かというと、個人的には曲に対する深みを感じさせる 1979年録音の方が好きかな。 1959年録音も先に「春の祭典」で述べた、高機能なニューヨーク・フィルを得て、若いエネルギーを発散し、一直線に自分の演りたいことを具現化しているような演奏で、捨てがたいところですが。

なおオーケストラはともにニューヨーク・フィルですが、時代も違うので別のオケですね。
バーンスタインはニューヨーク・フィル在任中に一人のクビも切らなかったので、ミトロプーロスが鍛え上げたオケを消費する一方で、後年になるとオケの機能が落ちているのが録音でも分かりますよね。 後任のブーレーズが年寄団員の大幅なリストラをやって鍛え直し、東京文化会館で録音された1979年当時はズビン・メータの時代、彼も管楽器奏者の世代交代を積極的に進めていました。

1959年録音のショスタコーヴィッチの交響曲第5番にカプリングされているプロコフィエフの古典交響曲が 1968年録音。 バーンスタインの志向から考えるとウィットに富んだ古典交響曲って相性が良さそうな作品だと思うのですが、オケの機能が精緻ではなくなっているからでしょうか、太い筆の一筆書きのような演奏じゃないでしょうか。 これはこれで愉しさを全面に出した味わいを感じますけれど。

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ショスタコーヴィッチ/交響曲第5番 ニ短調 op.47
プロコフィエフ/交響曲第1番 ニ長調 op.25 「古典交響曲」
 レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
  録音:1959年10月(ショスタコーヴィッチ)
     1968年 3月(プロコフィエフ)

ショスタコーヴィッチ/交響曲第5番 ニ短調 op.47
ショスタコーヴィッチ/チェロ協奏曲第1番 変ホ長調 op.107 -*
 レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
  録音:1979年7月3,4日 東京文化会館・大ホール(LIVE)
 ヨーヨー・マ(vc) -*
 ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 -*
  録音:1982年5月3日 The Scottish Rite Hall, Philadelphia -*

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2020年05月04日

バーンスタイン/NYP、ストラヴィンスキー/春の祭典

新型コロナで緊急事態宣言が出ていますので、せめてお家で良い音楽を♪

圧倒的な演奏へと回帰、カラヤンの対抗馬ならば、バーンスタインでしょう。
そして真っ先に採り上げたいのが、バーンスタインがニューヨーク・フィルを振った 1958年録音の「春の祭典」ですね。 ロンドン交響楽団、イスラエル・フィルとの「春の祭典」のCDも持っていますが、この初回録音が孕んでいる熱気・迫力には及びません。 血沸き肉躍る銘盤。

1958年というと、バーンスタインがニューヨーク・フィルの音楽監督に就任した年。 ステレオ録音初期で、スピーカーの左側に金管楽器、右側に打楽器を配し、当時のコロムビア360サウンドを意識したものでしょうが、とにかく金管と打楽器の迫力が半端じゃありません。 後年、ゴミを満載した貨物列車とまで言われたニューヨーク・フィルですが、この時期はとっても巧く、また集中力の高さ、エネルギー感の表出も素晴らしい。

バーンスタインも当時40歳でしょうか(1918年生)、高機能なニューヨーク・フィルを得て、若いエネルギーを発散して、一直線に自分の演りたいことを具現化しているように思います。 まさに若さの特権のような感じ。 後年のロンドン交響楽団ではよく纏まっていると思うけど、ここまで尖っていませんし、イスラエル・フィルは個人的に論外ですね、おどろおどろしく怨念の人になったように感じられてしまいます。

なおカプリングされている「ペトルーシュカ」は、ニューヨーク・フィルを退任する 1969年録音。 覇気は感じますが迫力は落ちて、よく聴くとアレっと思えるオケのふらつきなど、オケの精度は明らかに下がっているようです。

「火の鳥」はまた素晴らしいですね。 1957年録音なので「春の祭典」と同様なスタンスでの熱演。 「カスチェイ王の凶暴な踊り」の唸る低弦と低音ブラスなどオケの迫力も満点です。 現在はこのカプリングでCD化されているようですね。

ちなみにこのCD、1995年9月21日に2枚組 2,800円で発売された「The Goden Age Leonard Bernstein」シリーズ。 東京出張時、東京駅構内いわゆる駅ナカショップで買求めました。
なおここで採り上げた「春の祭典」は、1972年にLPレコード2枚組 2,000円で発売された「Joy of Classics これがストラヴィンスキーだ」で所蔵。 中学生時代からの愛聴盤だったのですが、終曲のみB面に泣き別れとなっている悲しいレコードでした(だからCD時代になって探していましたが、ようやっと出張時に捕獲できた時はとても嬉しかった)。

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 CD−1
  ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」(1913年版)
  ストラヴィンスキー/バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
 CD−2
  ストラヴィンスキー/バレエ音楽「火の鳥」(1919年版)
  ストラヴィンスキー/バレエ音楽「プルチネルラ」(1947年版)
  ストラヴィンスキー/詩篇交響曲(1948年版)-*

 レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
 レナード・バーンスタイン指揮 ロンドン交響楽団、イギリス・バッハ祝祭合唱団 -*

  録音:1958年1月20日(春の祭典) ニューヨーク、セント・ジョージ・ホテル
     1969年5月(ペトルーシュカ)
     1957年1月28日(火の鳥) ニューヨーク、セント・ジョージ・ホテル
     1960年3月(プルチネルラ)
     1972年4月(詩篇交響曲)


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2020年05月03日

カラヤン/BPO、メンデルスゾーン/交響曲全集(CD-3)

新型コロナで緊急事態宣言が出ていますので、せめてお家で良い音楽を♪

このところちょっと渋めなオトマール・スィトナーを聴いてきましたが、圧倒的な演奏へと回帰、カラヤン指揮によるベルリン・フィルの演奏よりメンデルスゾーンの交響曲全集。 CD−3です。

メンデルスゾーンの交響曲というと、第4番「イタリア」が有名で、続いて第3番「スコットランド」というイメージでしょうけれど、カラヤンのこのCDでは、この2曲は個人的にはあまりお薦めしません。 と書きましたが、決して悪い演奏ではなく、これまで書いてきたような重量感を持ったベルリン・フィルの響きによる豊穣な「スコットランド」、豊麗な「イタリア」です。 これが個人的な嗜好とちょっとズレているだけで、カラヤンの特質を出している巧い演奏には違いありません。

第3番「スコットランド」、第1・3楽章を遅いテンポで豊穣な響きで連綿と歌い込んでゆきます。 特に第3楽章はオケが止まりそうなほど遅いのが印象的です。 これと比した第2・4楽章の力感を持った響きが怒涛のように迫ってきます。 重厚な響きにスピード感があって、さすがベルリン・フィルとうなってしまいます。 この曲については、もうちょっとしみじみとした感じが欲しいんですけどね。

第4番「イタリア」、この曲についてはもっと颯爽として駆け抜けて欲しいのですけれど、カラヤンは冒頭より艶やかでゴージャスな響きを駆使して歌い繋いでゆきます。 第2・3楽章はやや遅めのテンポでじっくりと歌い、終楽章では緻密に響き合せた力感のある演奏として、巧いオーケストラの演奏を堪能できます。

ということで全曲を何度も聴きましたけれど、好みはあろうとも、いずれの曲もメンデルスゾーンがベートーヴェンの後継者としての位置付け、後期ロマン派への橋渡しを担っている、そんな魅力が分かる交響曲全集であると思いました。

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 CD−1
  メンデルスゾーン/交響曲第1番 ハ短調 Op.11
  メンデルスゾーン/交響曲第5番 ニ短調「宗教改革」 Op.107
 CD−2
  メンデルスゾーン/交響曲第2番 変ロ長調「讃歌」 Op.52 -*
 CD−3
  メンデルスゾーン/交響曲第3番 イ短調「スコットランド」 Op.56
  メンデルスゾーン/交響曲第4番 イ長調「イタリア」 Op.90

  ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
   エディト・マティス(S) -*、リゼロッテ・レープマン(S) -*、
   ヴェルナー・ホルヴェーク(T) -*
   ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団 -*

    録音:1971/1(3,4番),1971/2(5番),1972/9(2番),1972/11(1番)
       ベルリン・イエス・キリスト教会
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2020年05月02日

カラヤン/BPO、メンデルスゾーン/交響曲全集(CD-2)

新型コロナで緊急事態宣言が出ていますので、せめてお家で良い音楽を♪

このところちょっと渋めなオトマール・スィトナーを聴いてきましたが、圧倒的な演奏へと回帰、カラヤン指揮によるベルリン・フィルの演奏よりメンデルスゾーンの交響曲全集。 CD−2です。

第2番「讃歌」、演奏会にかかることも少なく(当方は1回のみ実演有り、トーマス・ザンデルリング指揮大阪シンフォニカー)あまり馴染みのない方も多いと思いますが、ベートーヴェンの第九ように、第1部が3楽章のシンフォニア、第2部が独唱と合唱によるカンタータ楽章。
1840年6月、ライプツィヒで開催されたヨハネス・グーテンベルクの印刷技術完成400周年記念祝典のためライプツィヒ市より委嘱されて作曲した交響曲です。 1時間ちょっとの大曲です。

まずは第1楽章冒頭、3本のトロンボーンによって厳かに奏される主題。
ちょっと間違うと陳腐にも感じるものですが、実に堂々たる開始。 ここより一気に惹き込まれてゆきます。 ここのコーダでまた力強いトロンボーンによる主題のあと、素敵なのがクラリネットのソロ(カデンツァ)ですね。
そしてそのままアタッカで入る第2楽章もまた柔らかな弦楽アンサンブルとオーボエの絡みもまた美しい。 巧いオケですね。

第2部も堂々たるもの。 ともすると長さから聴き手の緊張が切れることもあったりしますが、ここでもカラヤンは聴かせ上手です。 飽きさせません。
そして何より終曲の迫力もまた圧倒的。 この重量感を持った響きは1970年前後のBPOの重厚な響き(先のシューマン交響曲全集も同じ)。 圧巻です。

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 CD−1
  メンデルスゾーン/交響曲第1番 ハ短調 Op.11
  メンデルスゾーン/交響曲第5番 ニ短調「宗教改革」 Op.107
 CD−2
  メンデルスゾーン/交響曲第2番 変ロ長調「讃歌」 Op.52 -*
 CD−3
  メンデルスゾーン/交響曲第3番 イ短調「スコットランド」 Op.56
  メンデルスゾーン/交響曲第4番 イ長調「イタリア」 Op.90

  ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
   エディト・マティス(S) -*、リゼロッテ・レープマン(S) -*、
   ヴェルナー・ホルヴェーク(T) -*
   ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団 -*

    録音:1971/1(3,4番),1971/2(5番),1972/9(2番),1972/11(1番)
       ベルリン・イエス・キリスト教会

 
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2020年05月01日

カラヤン/BPO、メンデルスゾーン/交響曲全集(CD-1)

新型コロナで緊急事態宣言が出ていますので、せめてお家で良い音楽を♪

このところちょっと渋めなオトマール・スィトナーを聴いてきましたが、圧倒的な演奏へと回帰、カラヤン指揮によるベルリンフィルの演奏よりメンデルスゾーンの交響曲全集です。

メンデルスゾーンの交響曲というと、第4番「イタリア」が有名で、続いて第3番「スコットランド」というイメージでしょうけれど、カラヤンのこのCDでは、この2曲は個人的にはあまりお薦めしません。
第1番、第2番「讃歌」、第5番「宗教改革」がお薦め。 この3曲、あまり目立った曲ではありませんが、いずれも堂々たる演奏です。

第1番、メンデルスゾーンが15歳の1824年に書かれた曲ですが、カラヤンは、BPOの重厚な弦楽アンサンブルを駆使、巨匠の音楽を聴いているようです。

メンデルスゾーンはご存知のとおり神童、1821〜23年にかけて、既に弦楽のための交響曲を12曲も作曲し、この曲は当初第13番とされたとおり、弦アンサンブルの妙が随所に聴かれます。 しかも1970年前後の分厚いベルリン・フィルの弦を駆使したカラヤンの絶妙な棒が冴え渡っています。
終楽章、フーガのように畳み掛ける場面など圧巻、興奮します。

第5番「宗教改革」、熱心なルター派の信者であったメンデルスゾーンがルーテル教会300周年を記念して書いた曲(でも300年祭には間に合わず)、何度か演奏し手を入れたそうですが、本人は曲の出来には納得できなかったそうですね。
カラヤンは覇気を持ってベルリン・フィルを駆使してこの曲を立体的に鳴らし、立派で堂々たる演奏としています。

第1楽章冒頭、祈りに似た厳かな曲の流れ、陰影をつけながらもたっぷりと、難しい部分ですがさすが聴かせ上手やなと感心。 そして力強い主題提示、展開部をスピード感で興奮させたあとじっくりと「ドレスデン・アーメン」
そしてまた次第に熱く燃える音楽としての着地。 力入ります。

第2楽章以降もチャーミングな木管、腰の据わったベルリン・フィルの弦楽アンサンブルによって起伏を持たせた音楽とし、駆け抜けます。 うん、聴きごたえ充分です。

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 CD−1
  メンデルスゾーン/交響曲第1番 ハ短調 Op.11
  メンデルスゾーン/交響曲第5番 ニ短調「宗教改革」 Op.107
 CD−2
  メンデルスゾーン/交響曲第2番 変ロ長調「讃歌」 Op.52 -*
 CD−3
  メンデルスゾーン/交響曲第3番 イ短調「スコットランド」 Op.56
  メンデルスゾーン/交響曲第4番 イ長調「イタリア」 Op.90

  ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
   エディト・マティス(S) -*、リゼロッテ・レープマン(S) -*、
   ヴェルナー・ホルヴェーク(T) -*
   ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団 -*

    録音:1971/1(3,4番),1971/2(5番),1972/9(2番),1972/11(1番)
       ベルリン・イエス・キリスト教会

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2020年04月30日

スィトナー/SKD、モーツァルト/フルートとハープのための協奏曲

新型コロナで緊急事態宣言が出ていますので、せめてお家で良い音楽を♪

このところ圧倒的な演奏を中心に聴いてましたが、今回ちょっと渋めですが、
オトマール・スィトナーを集中的に聴いています。

当初この演奏を採り上げる予定はなかったのですけれど、先日の早朝散歩時、
愛用のメモリプレーヤで何気なく選択したら、ハマってしまいました。
春も終わりとなった長弓寺の裏参道の里山風景から長弓寺境内、そして
富雄川沿いの風景の中を夢中で聴いていました。

第1楽章冒頭、序奏より弦楽アンサンブルと絡む木管楽器がチャーミング♪
小宇宙のような立体的でな響きによる導入のあとに入ってくるフルートと
ハープのなんと清楚で美しく格調高い演奏なんでしょう。

第2楽章ではフルートがゆったりと格調高く歌いつないでゆき、ハープも
また軽やで媚びない端正な音楽にうっとり。
そして第3楽章では両者の軽快な節回しもさることながら、伴奏の木管楽器や
ホルン、弦楽アンサンブルが一体となり、活き活きとしながらも、腰の落ち
着いた柔軟な音楽づくりに魅了されました。

フルート&ハープという曲、1000円盤時代よりランパル&ラスキーヌという
キャラント風で砂糖菓子のような華美な響きが刷り込まれているためか、
しかめっ面のスィトナーの顔が脳裏によぎると、お堅い演奏やろな、なんて
イメージされて、敬遠していたのですが・・・(反省しきり)。

シュターツカペレ・ドレスデン、いつも聴いていたベルリンとは違って、
しなやかな響きが特徴。 このCDのソロ奏者は皆さんSKDの奏者ですね。
管楽器のための協奏曲は、そんな一体感もよく出ていました。
第3楽章などルロイ・アンダーソンを聴いているような楽しさも感じました。
気持ちの和む演奏でした。

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P4292751 posted by (C)fronte360

 モーツァルト/管楽器のための協奏交響曲 変ホ長調 K.297b
 モーツァルト/フルートとハープのための協奏曲 ハホ長調 K.299(297c)
  オトマール・スィトナー指揮 シュターツカペレ・ドレスデン
  録音:1975年3月18,19,23日、1965年4月17,18日 ドレスデン・ルカ教会

  このCDは 1992年3月25日ドイツ・シャルプラッテン20周年記念として
  徳間ジャパン・コミュニケーションズより税込1,000円で発売されたもの

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2020年04月29日

スィトナー/SKB、シューマン/交響曲第1番「春の交響曲」

新型コロナで緊急事態宣言が出ていますので、せめてお家で良い音楽を♪

このところ圧倒的な演奏を中心に聴いてましたが、今回ちょっと渋めですが、
オトマール・スィトナーを集中的に聴いています。

シューマンの交響曲が好きな人にとっては、この1841年の初演時の演奏、
これを外すわけにはいかない(と思うのは自分だけ?)かは置いといても、
SKBの渋い音色でのシューマンのロマンたっぷりな音楽がいいですね。

シューマンの交響曲第1番は1841年2月20日に完成、3月31日初演されたのち、
この年の末に改訂されて初版パート譜(総譜は1853年)が出版されいて、
これをもとにクララとブラームスの助力を得て「全集版」となって、
現在演奏されている版になるそうです。

しかしこの「春の交響曲」の楽譜は、ワシントン国会図書館に保管されていた
184年3月31日の初演時の自筆総譜、いわゆる初稿によるものです。

冒頭のホルンとトランペットのファンファーレはマーラー版と同じく三度下、
また第1楽章の主題の持ちまわり方やフレーズの終わらせ方、終結部の音型
などに明らかな違いがありますね。 ボォーと生きてても違いが分かります。

あと第3楽章スケルツォのトリオが一つであっさりと終わったあとの終楽章、
冒頭の上昇音型のあと、フルートによる鳥の囀りのようなソロが舞います。
これってけっこう衝撃的ですね。 ここでもまた細かな違いもありますが、
主題再現部でもほんの少しフルートが顔を覗かせたり、かなり新鮮です。

録音は残響が深めですけれど、元来この教会とオケの持つ響きの特徴に加え、
1841年版という鳴りの悪いオーケストレーションにもよると思います。
スィトナー、珍しい楽譜を使いながらもオーソドックスな曲の運びですし。

カプリングのライン、たっぷりとさせた雄大な演奏で、ラインというよりも
大海原といった感さえします。 ともにシューマンのロマンをたっぷりと
味わうことのできる演奏です。

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 シューマン/交響曲第1番 変ロ長調 op.38「春の交響曲」(1841年の自筆譜)
 シューマン/交響曲第3番 変ホ長調 op.97「ライン」
  オトマール・スィトナー指揮 シュターツカペレ・ベルリン
  録音:1986年6月26,27,30,7月1,2日 東ベルリン、イエス・キリスト教会
     日本コロムビア=ドイツ・シャルプラッテン共同制作

posted by fronte360 at 07:31| Comment(0) | 20-LP/CD音楽(Classical) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする