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2018年09月08日

紫苑交響楽団 第32回定期演奏会

日時:2018年9月2日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:京都府長岡京記念文化会館

曲目:ドヴォルザーク/序曲「謝肉祭」
   ストラヴィンスキー/「火の鳥」組曲(1919年版)
   メンデルスゾーン/交響曲第3番「スコットランド」
(アンコール)メンデルスゾーン/「真夏の夜の夢」より第1曲「スケルツォ」

指揮:森口真司

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主席客演指揮者の森口さん(かつては音楽監督だったように記憶しています)が指揮すると、このオケの響きがワンランク上がるようです。 今回、ちょっと遅くホールに着いたこともあって最前列での鑑賞となりました。 森口さんの表情や動作を見ながら、間近でオケを聴いたこともあるでしょうが、縦横の線をきちんと揃えるだけでなく、細かなニュアンスにもオケが見事に反応していました。 また目の前のコントラバス奏者の方など、嬉しそうな表情でスィングするように演奏していたりもして、ノッているなぁ、とも感じました。 大活躍されていた管楽器や打楽器奏者の方が見えなかったのがちょっと残念でしたが、瑞々しくも強靭な響きに彩られた「火の鳥」、ダイナミックレンジを大きくとって濃密かつ躍動的な「スコットランド」。 とても満足した演奏会でした。

開演10分程に会場に到着、ほぼほぼめぼしい席は埋められていたので最前列に陣取ることにしました(1列-31)。 目の前はチェロの最後列プルト、コントラバスの後列がよく見える位置。 コンマスの表情や、指揮者もよく見えます。 管打楽器奏者の方は全く見えませんが、たまにはこんな席も面白いですね。 なおオケの弦楽器編成もよく見えてませんが、12-12-10-9-7 での通常配置でした。

ドヴォルザークの序曲「謝肉祭」。 森口さんに見事に統率されたオケが、曖昧さを持たず一気呵成に演じきった、そんな印象でした。 郷愁を感じさせるヴァイオリンや木管楽器のソロ、低弦のゆったりとした感じにもさせますが、基本は機動力を持ったキレの良い響きともうまく対峙させて、とても聴き応え十分な演奏でした。 この曲をこんなに面白く聴いたのは初めてじゃないかな、とも思いました。

ストラヴィンスキーの「火の鳥」、1919年版の組曲はよく耳にするのですが、森口さんの動き、とくに顔の表情とともに聴いていると、オケの反応の良さがよく分かりますね。 また聴いている位置関係からか高音弦こそやや薄く感じはしましたが、弦楽アンサンブルの音圧を感じ、また同時に潤いをも肌で十二分に感じとることができました。 巧いなぁ。 そして何よりスピード感を持った演奏で、大活躍されていた管楽器や打楽器奏者の方が全く見えなかったのがとても残念でしたが、キレだけでなく思いもちゃんと込められていて躍動的。 エンディングはもう沸き立つような熱演として幕となりました。

20分間の休憩をはさんでメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」。 2管編成の曲なのでスピード感持ったキレの良い演奏で締めくくるか、と思いきや・・・ 濃密かつ躍動的な演奏に驚きました。 冒頭こそ若々しく力強い演奏やな、抒情的だけど熱気を秘めているな、などと思って聴いていましたが、大きく呼吸させて、ダイナミックレンジも大きくとり、畳みかけるような演奏となった第1楽章。 ロマン派でもまるで後期ロマン派みたいやな、と感じました。 第2楽章の全奏もまたキレ良く、リズム感持って推進。 活気あるチェロ、ノリノリな演奏でした。 第3楽章冒頭は大きく呼吸するようにゆったり歌った高音弦が見事。 そしてじっくりと力を溜め込んでピークを形成したあと、ケレン味のない演奏でした。 集中力を高めて入った終楽章(スコアの指示どおり4楽章切れめなく演奏されています)、弦楽アンサンブル厚い響き、姿は見えないけど突き抜けてくるトランペット。 わくわくさせる躍動感を持った演奏です。 そして終結部は重厚な響きをじっくりと構え、慌てず騒がずたっぷりとある種豪華絢爛な着地としていました。

いずれの演奏でも森口さんは小気味よく棒を振り、顔の表情でニュアンスを伝える。 冷静に曲を進めてゆきます(興に乗って煽るようなことなど皆無)。 そしてオケが見事にそれを受け、咀嚼し、ダイナミズムを持った音楽とされている。 今回、これを間近に見ることができ、またいつもとはちょっと違って感じる部分があり面白かったですね。 とにかくいずれも熱演。 皆さんお疲れさまでした。




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2018年08月14日

オーケストラ・ソノリテ 第35回定期演奏会

日時:2018年8月12日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:あましんアルカイックホール

曲目:スメタナ/歌劇「売られた花嫁」序曲
   ベートーヴェン/交響曲第1番
   ドヴォルザーク/交響曲第8番
(アンコール)ブラームス/歌のしらべのように

指揮:ギオルギ・バブアゼ

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躍動感をもってオーケストラをよく鳴らしていました。 バブアゼさん、こんなによく動いて指揮してたかなと思うほど、にこやかな笑顔を時おり交えて、ぐィぐィッとオーケストラをリード。 オケもまたそれに良く応えて、色々な楽器の音が等価に鳴っているようなとても密度の高い演奏を楽しみました。

冒頭の「売られた花嫁」序曲よりほぼ全開でしたね。 集中力の高さもさることながら深くコクのある弦楽アンサンブルの響きが有機的に絡み、わくわくとした開始より惹き込まれました。 音量上げた管楽器もパワフルなんだけれども響きの角をしっかりと落とし、刺激的になることなく、オケが一丸となって密度が高い。 いきなりの濃い演奏に驚きましたが、大満足。

ベートーヴェンの交響曲第1番、最近流行の軽量級の演奏ではなく、重厚な響きを交えてのしっかりとした演奏。 オケの弦楽器の編成は通常配置で 11-9-8-8-5 と中低弦に比重がかかっていたからでしょうか、密度の濃い響きが躍動感をもって進み、こちらも素晴らしかった。

第1楽章、やわらかく膨らみをもった和音で始まり、ゆったりと大きく呼吸しがら進みます。 主部、凛とした木管の響きで彩られながらも重厚感を持った響きでぐぃっと押して来る。 バブアゼさん、指揮台の上を前に後ろに動いています。 オケの響きをバランスして、全体を鳴らしているようですね。 そしてこの楽章、じつに太い響きで堂々たる着地。 第2楽章、響きを深めにとった2ndヴァイオリンより響きを重ね、時にやわらかくもあり、堂々たる弦楽アンサンブル。 じっくりと腰の据わった音楽でした。 第3楽章は厚い響きでした。 各楽器の音圧が高く、グィグィと進んでゆきます。 弾き飛ばしているのではなく、しっかりと1つひとつ丁寧に演奏しているのですね。 終楽章は更に密度を濃くして走ります。 艶やかな響きが押しの強さを持って走ります。 トランペットの響きが全体の響きを壊すことなく抜けてきて躍動感を増し、ティムパニの深い打音で締めています。 そして終結、バブアゼさんの両腕が真下に突き下ろされる力強い着地。 堂々たる立派な演奏に会場は沸きました。

15分間の休憩を挟んでドヴォルザークの交響曲第8番。 振り幅を大きくとって、聴かせ上手な演奏でした。 たっぷりとした情感をつけ、また躍動的でもあり、スポットライトを当てたような木管、まろやかな輝きで彩られた金管などなど、ちょっと間違うとクサクなるところを、巧く聴かせて見事でしたね。 素晴らしい演奏でした。

第1楽章、暖かな響きで情感を持った開始、凛としたフルート、ピッコロより躍動的な音楽の開始。 バブアゼさん、ここでも盛んに動いて振り幅の大きな音楽を演出しますが、響きの角を落として刺激的な響きではありません。 ホルンが速射砲のようにバリバリ吹いてもきちんと全体の中に納まっている。 パワフルなんだけれどとても聴かせ上手。 第2楽章、丁寧に表情をつけるバブアゼさんに応えて木管のソロ、そしてアンサンブルがとても素晴らしかったのが印象的でした。 第3楽章、ここでも有機的なアンサンブル、弦と管がよく絡み、抑揚もうまくつけて判りやすい演出。 アタッカで終楽章に入ると素敵な艶を持ったファンファーレで開始。 そしてじっくりと溜めて、中低弦をゆったりと進めて、十分な間合いをとって・・・、メリハリをつけて盛り上げてゆきます。 聴かせ上手ですね。 間違うとクサクなってしまうところを、全員一丸、真摯な演奏ながらワクワク感を持たせて、見事なフィナーレでした。 お腹いっぱい。

アンコールの前、スピーチでバブアゼさんが「楽しいプログラム」と言われていたので、今回は笑顔を交えながらオーケストラをリードされていたのでしょうね。 オケもそれによく応えていました。 すべての楽器の音が等価に鳴っているような、そんなとても密度の高い演奏を楽しませていただきました。 楽しみました。 ありがとうございました。

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2018年08月12日

天理シティーオーケストラ特別演奏会 吉田南のベートーヴェン

日時:2018年8月5日(日) 15:00開演(14:30開場)
場所:天理市民会館・やまのべホール

曲目:ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
(アンコール)イザイ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番より第3楽章「アマービレ」

独奏:吉田 南(vn)

指揮:安野英之(常任)

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未就学児童も気楽に聴ける「真夏のオーケストラ!夏休み名曲コンサート」では第3楽章のみ演奏されたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。 いったん会場を閉じ、未就学児童にはご遠慮願った大人の時間とし、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、1曲のみの特別演奏会。

吉田南さんと天理シティとは、一昨年の定期演奏会においてダイナミックなチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴かせてもらいましたが、ベートーヴェンでは抜群のテクニックより繰り出される芯のある響き、しっかりとした奥行きを持って、終楽章では全身全霊を込めたカデンツァに感動しました。 若さが醸し出す決してブレない生真面目さのようなものを感じることもありましたが、アンコールで聴かせていただいたイザイの無伴奏、空気感がまったく異なりました。 深く沈み込むような演奏に酔いました。 将来が楽しみです。

第1楽章、オケの上々の滑り出し気迫のこもった前奏で曲が進んだのち、透明感のある吉田南さんのソロに繋ぎます。 芯のある響きでしっかりと決めて、線の細さなど微塵も感じさせない堂々たる響き。 オケも更に気合いを込めて繋ぎます。 吉田さんのソロは奥行きも感じさせてダイナミック。 ですが、正直ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は苦手なのですね、丁々発止で進みましたが少々生真面目に進んでいったようにも感じられて集中力低下(すみません)。 カデンツァも抜群のテクニックに艶が乗った響きでしたがもうちょっと間合いというか自然なスケール感が欲しかったな(と偉そうにすみません)。 でもテクニックは抜群で終盤のメロディラインなど圧巻でしたね。 将来が楽しみです。

第2楽章、暖かなオケの響きに導かれて、繊細で透明感の高い吉田さんのソロ。 純度が高いけれど冷たくないのですね、柔らかさ温かみも感じさせます。 オケではファゴットがいい響きでサポートしてました。

第3楽章、深い響きをかろやかに奏でて入ります。 巧いなぁ。 ここでは端正に進めていったようです。 安野さんは終始にこやかな笑顔でサポート。 吉田さんと一緒になってヴァイオリン協奏曲を紡ぎ出している感じ、オケとの一体感が素晴らしかった。 そしてカデンツァ、全身全霊で奏でる真摯な響きに感動。 オケが入って更に気迫も込めて全曲を閉じました。 抜群なテクニックで微動だにしないベートーヴェンとった感じ。 巧かった。 欲を言えば、若さが醸し出す決してブレない生真面目さが時に感じることでしょうか。 年輪を重ねて肩肘張るところの無い自然なスケール感が出ることを期待します。 まだ20歳ですものね、将来が大いに楽しみです。


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天理シティーオーケストラ 真夏のオーケストラ!夏休み名曲コンサート

日時:2018年8月5日(日) 13:00開演(12:00開場)
場所:天理市民会館・やまのべホール

曲目:シュランメル/ウィーンはいつもウィーン
   ヨハン・シュトラウスU/トリッチ・トラッチポルカ
   グリーグ/朝「ペールギュント」組曲より
   ケテルビー/ペルシアの市場にて
   プライアー/口笛吹きと子犬
   アンダーソン/ワルツィングキャット
   ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲より第3楽章
   指揮者体験コーナー(「運命」冒頭)
   ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」より第1楽章
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲

独奏:吉田 南(vn)

指揮:安野英之(常任)

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気軽にクラシック音楽、身近にオーケストラ演奏を楽しむ企画「夏休み名曲コンサート」も今回で11回目とのこと。 この第1回演奏会、小学4年生で出演された吉田 南さん(2016年現役高校3年生のときにモントリオール国際コンクール最年少3位入賞)を迎えての華やかなステージでもありました。 天理をウィーンのような音楽の街にしたいとの想いは着実に実りつつあるようです。 今年も楽しませていただきました。

オケの弦楽器は対向配置での 8-8-5-5-3 のコンパクトな編成。 ヴァイオリンの両端には高校生でしょうね、天理教音楽研究会弦楽教室に通う女学生も参加されていました。

冒頭、天理をウィーンのような音楽の街にしたいとの思いをこめた「ウィーンはいつもウィーン」で明るくうきうきした気分として開演します。 そしてウィーンの街で楽しくお喋りをしている様子を描いた「トリッチ・トラッチポルカ」、スネアドラムが小気味よいフレッシュな演奏でしたね。 「ペールギュント」の「朝」でオーケストラが今度は静かな朝の雰囲気を醸し出します。 フルートやオーボエの魅力的な響きによる開始、弦楽アンサンブルではそっと切り込む低弦の響きがよかったな。

個人的には「ペルシャの市場」を楽しみました。 当方がクラシック音楽に興味を持った中学生のとき、少ないお小遣いで買った17cmの小さなLPレコード(オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団)で何度も聴いていた曲です。 有名曲ながら実演に接したのはこれで2回目。 明るく大きくメリハリをつけた演奏で、パーカッションでの盛り上げも効いて楽しめました。 隊商の声、オケのメンバーのちょっと恥ずかしそうなくぐもった合唱となってました。 重厚な隊商のイメージでしょうか(個人的には明るく楽しい隊商のイメージですけどね)。

最後に「ワォ〜ン」を元気よく吠えた(吠えさせられた?)「口笛吹きと子犬」、ワンワンと吠えていたオケの皆さんもちょっと恥ずかしかった? しかしそれもこれもご愛敬。 生身の人間が楽器を奏でているのですものね。 「ワルツィングキャット」も抑揚つけた判りやすい演奏でしたが、ここまでくるとちょっと客席もちょっと騒がしくなってきたみたい。

そんな客席を引き締めたのが吉田南さんのベートーヴェン。 ビシッと決めた旋律に若干二十歳ながら深いコクを絡ませてました。 オケのファゴットの絡みも素晴らしかった。 あとで知りましたがゲネではこの曲を演奏しなかったそうですね、ぶっつけ本番でこの仕上がりとは。 演奏後、安野さんに話かけられたときの返答がまだ初々しくて(幼くて?)ギャップが大きいなぁ。

指揮者コーナーで単純に縦に振ってゆけば曲になるよ、と示した「運命」の第1楽章でしたが、客席の騒がしさなどものともせず、キレ良くストイックに引き締めた真っ向勝負。 小型オケ特有の細マッチョな筋肉質な演奏を楽しませていただきました。

ウィーンに始まってウィーンに終わる、アンコールはいつもの「ラデツキーマーチ」。 客席の手拍子も大きく・小さく・ときにはお休みも入れて会場が一体となってのお開き。 今年も楽しませていただきました。 ありがとうございました。 皆さんお疲れさまでした。
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2018年07月08日

天理シティーオーケストラ 第18回定期演奏会

日時:2018年7月1日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:天理市民会館・やまのべホール

曲目:ベートーヴェン/献堂式序曲
   ベートーヴェン/交響曲第4番
   シューマン/交響曲第1番「春」
(アンコール)ブラームス/ハンガリー舞曲第1番
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲

指揮:安野英之(常任指揮者)

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小さな弦楽編成(8-8-5-5-3での対向配置)ながら充実した響きに彩られた演奏会に満足しました。

個人的にはベートーヴェンの第4番の交響曲が出色。 冒頭の厳かな開始より重心を低めにとって進み、ファゴットが良い音色で絡んでいました。 そして渋い響きのピチカートのあと勢いをつけた主部、キビキビキとした動きで要所でのチカラの入れ加減もよかったですね。 そしてファゴット、ここでも素敵に絡んできてわくわく感倍増。
第2楽章はしっとりと緻密に絡む弦楽器と木管楽器が素敵。 じっくりと曲に対峙している安定感があるんですが、中音域を担うヴィオラが雄弁だったのが印象に残りました。 第3楽章、弦と管楽器が呼応していていい感じ。 ここでもヴィオラとファゴットがいい仕事してました。 あとストローク小さく地味に打っていたティムパニも巧かったなぁ。
そして終楽章、冷静な安野さんの指揮できちんと計算された熱さなんですが、十分にエキサイティング。 コトンラバスが3本なのに迫力もありました。 大好きなのですこの曲。 カルロス・クライバーの演奏で随分とこの曲への世間の見方も変わったと思うのですけど、のだめによる第7番みたにメジャーにならないのが不思議ですね。 緊張感が持続されたパワフルな演奏として締めくくられました。 好きな曲だけにちょっとハードル高めに聴いてしまうのですけれど、構成感と躍動感が見事にマッチして堪能しました。

メインのシューマンの交響曲「春」。 明るい響きを基調とした演奏でした。 ここでもヴィオラが雄弁で、冒頭よりこんなキザミを入れているんや、などの発見もあってわくわくしながら聴いていました。 なおこの曲はコンマスが栄嶋さんに交代ていました。
第1楽章冒頭のトランペットのファンファーレ、やや硬めの響きながら明るい開始、このあとヴィオラがグイグイと弾いていたのに驚きました。 フルートによる小鳥の綺麗な囀りを聴かせたあとも、ヴィオラと第2ヴァイオリンが雄弁で、さらにオケが走り始めると3本のコントラバスがスクエアに響いて躍動的。 終盤さらに輝きを増して力強い幕切れ。 カッコ良い音楽造りでした。
第2楽章、大きな呼吸でもって進めて、ゆったりと歌うチェロがよかったですね。 ここでも弦楽器がそれぞれの持ち場をしっかりと守って端正な曲造り。 第3楽章は弦と管楽器が呼応しあってのリタルダンド。 そしてアタッカで終楽章へとなだれこんで明るく楽しい音楽。 のびやかなホルン、堂々としたトロンボーンも素敵でした。 安野さん、ここでもにこやかな表情ながら沈着冷静に曲を進め、しっかりとした着地を決めて全曲を締めました。 この曲を初めて聴いたのはクラシック音楽に興味を持って間のない中学生の頃、TVのN響アワーでしたが、そのとき「こんな曲があるんや」とわくわくして聴いていました。 以来、この曲が好きで色々な演奏で聴いて自分なりのイメージがついてしまいましたが、何だか今回は初心に戻ったような感じ、わくわくしながら聴かせてもらいました。 楽しかったです。

冒頭に演奏されたベートーヴェンの献堂式序曲、威厳をもった演奏ながら明るい響きが印象に残りました。 弾力を持った響きをスパっと切って上々の滑り出し。 安野さん、細部までバランスに配慮しておられた様子。 軽やかなトランペット、ストローク短く打つティムパニ。 明るい響きながらも威厳をもって進めてゆき、ベートーヴェンらしくちょっと背筋を伸ばして聴くような感じ。 スピードアップしてからも安野さんがしっかりと手綱を引いた緻密なアンアンブル。 第2ヴァイオリンの栄嶋さんとヴィオラの上田さんが大きく動いて曲を躍動させていたみたい。 堂々とした終結でした。

アンコールでは安野さんがこれまでしっかりと握っていた手綱を緩め、大振りでオケの自由度に任せて演奏させるいつものスタイル。ちょっと違うオーケストラ演奏を味あわせていただき、いつもの会場と一体となったラデツキーマーチで締め。 楽しませていただきました。



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2018年06月30日

京都フィロムジカ管弦楽団 第43回定期演奏会

日時:2018年6月24日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:京都府長岡京記念文化会館

曲目:メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」
   別宮貞雄/第3交響曲「春」
   ラフ/交響曲第3番「森にて」

指揮:中村晃之

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フィロムジカらしい知られざる名曲にターゲットを絞ったとても尖った演奏会でした。 そして指揮者の中村晃之さんも、かぶとやま交響楽団を指揮されていた時からだから10年ぶり、久しぶりにサウスポーでキレキレッの指揮姿に接することができました。 最近は東京で活動されているみたいですね。 どの曲も両者ががっぷりと組んで、響きを深めに取りながらもキレとスピード感に満ちた演奏には気迫がありました。

冒頭のメンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」、チラシにわざわざ「ヘブリディーズ諸島(フィンガルの洞窟)」と書くこだわりが演奏にも垣間見えたようです。 響きを深く、テンポをちょっと遅めにとった開始より、くぐもった印象を覚えたのですけれど、キレがあってもたれません。 速度を上げたクライマックスでは、まるで機械仕掛けの人形のようにカクカクと動く中村さんに率いられて、深い響きだけど重量感なくスパスパと進んでゆくのですね。 これはちょっとない経験でした。 さすが中村&京都フィロムジカ、と妙に納得した演奏でした。

いったん全員が退場したのち、ステージ上にはチェレスタとハープ奏者も加わって別宮貞雄の第3交響曲「春」。 第1・2番の交響曲は単身赴任時代に図書館で借りたNAXOS盤で聴いてましたが、第3番は初めて聴く曲です。 かつて聴いていた事実はあっても印象は残ってないので、ほぼまっさらな気持ちでしたが、聴きやすい曲だな、というのだけは共通かもしれません。 プログラムにも書かれているように、別宮が「書きたいものを素直に書こうとした作品」だったそうで、第1楽章「春の訪れ(あっという間に春はやってくる)」、第2楽章「花は咲き、蝶は舞い…(そして鳥がさえずる。深い山の中の自然の美しさ)」、第3楽章「人は踊る(人々は浮かれ出す)」との標題をそのまま聴きやすい音楽に乗せたような作品。

これを中村&京都フィロムジカのコンビが基本インテンポ(だと思う)でキビキビと進めてゆきます。 のびやかな木管とストリングスが際立った第1楽章、チェレスタとハープの響きを絡ませて森の中を美しく描写した第2楽章、終楽章は音の饗宴ですが中村さんの本領発揮。 整然とキビキビとした音楽が流れ出ては繋がって響き合って聴き応え十分。 響きに厚みはありますが音量ではなくスピードとキレで勝負といった感じ。 最後は中村さんの左アッパーパンチで終了。 尖った響きでしたが親しみやすい音楽でした。

休憩後はスイスの作曲家ラフの交響曲第3番「森にて」、2017年8月オーケストラ・ソノリテ(指揮:ゲオルギ・バブアゼ)で第5番「レノーレ」を聴いて以来のラフの交響曲体験。 もちろん「森にて」は初めてです。 パンフレットによると大きく3部に分かれるとのこと。 そしてそれぞれ昼間(第1部)、夕暮れ時(第2部)、夜(第3部)であるのだとか。 しかし第2部は緩徐楽章と舞曲になっていて、今回の演奏ではここを分けていたので4楽章構成としての演奏となっていました。

明るく快活な第1楽章、各パート集中力を高く保っていて聴きやすい感じ。 編成が大きくないオケながら(たぶん 10-8-6-7-6 の通常配置)金管のバランスも良く、さすが巧いオケだな、と。 第2楽章、ゆったりと夕暮れの雰囲気、クラリネットの哀愁の響きに魅了、中低弦の響きも深くとって軽薄に流れません。 第3楽章へ弦と管が呼応する舞曲でチャイコフスキーみたいでしたね。 そして終楽章、低弦より中音弦、高音弦へと響きが回ったのちホルンの旋律が魅力的。 この後、スピードあげてゆきますが、中村さんらしく緻密なキレの良い動きでリード。 気迫のある音楽でした。 ただどこか淡々とした感じに思えて聴きやすいのだけれど、色々とあって疲れていたこともありましたが、少々睡魔にも襲われてしまいました(すみません)。

知られざる名曲、かつては興味深々で聴いていたのですけどね、寄る年波なんでしょうか。 オケの皆さんはレベルの高い演奏を展開されていたのですが、聴き手としての集中力に限界を感じてちょっと残念でした(ごめんなさい)。 でもこのような知られざる名曲というチャレンジャブルな企画は大賛成です。 ありがとうございました。 またチャレンジさせてください。



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2018年05月30日

枚方フィルハーモニー管弦楽団 第87回定期演奏会

日時:2018年5月27日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:枚方市市民会館・大ホール

曲目:ベルディ/序曲「ナブッコ」
   シベリウス/ヴァイオリン協奏曲
(アンコール)シベリウス/春の夕べ
   ベートヴェン/交響曲第3番「英雄」(*)
(アンコール)J.S.バッハ/主よ、人の望みの喜びを」

独奏:馬渕清香(vn)

指揮:生島 靖、寺坂隆夫(*)

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今回の演奏会の白眉は、シベリウスのヴァイオリン協奏曲。
この曲、けっこう体力勝負的な面もあって、力技でゴリゴリと弾き飛ばす演奏もあるなか、馬渕さんは刺激的な響きを抑え、しなやかに弾ききっていたのがとても印象的でした。 女性的というと語弊があるかもしれませんが、慈しむように弾き進める馬渕清香さん、艶やかでしっとりした響きで全曲が彩られていました。 2年前、京都フィロムジカとの演奏会において初稿版を弾いておられましたが、この時はカデンツァが2つもある第1楽章で当方があれあれっと迷子になってしまい、結局はとても珍しいものを聴かせてもらった、そんな感想でしかありませんでしたけれど、今回は生島さん率いる枚方フィルの粘り強い好サポートもあって、堪能するほどたっぷりとこの曲そのものの良さを味わせてもらいました。

第1楽章、艶やかでしっとりとした馬渕さんのソロ、じっくりと腰を据えて歌い込むように進めてゆきます。 オケもしっかりとサポート。 深い響きを湛えたカデンツァより終結部にかけて、パワフルな演奏を期待した人にはちょっと物足りないかな、とも感じましたが、決して線が細いわけではなく、一音一音をとても慈しんで弾いておられたように感じました。 深い演奏でしたね。 生島さん、そんな馬渕を引き立てるべく粘り強い伴奏をしていました。 終盤では中低弦がゴリゴリっと鳴る熱さも醸し出し、キレの良いティムパニがまたカッコ良かったですね。
第2楽章、より深い呼吸でじっくりと曲と対峙する馬渕さん。 スケール感よりも美観や奥行を意識されていたのかな。 この曲の美しさに魅了されました。
第3楽章、速いパッセージをしっとりと、かつ深みを感じさせる響きで弾き進めました。 これに対峙するオケは雄弁、馬渕さんとともに曲を次第に盛り上げてゆきます。 ソロとオケの会話もうまく決めつつ、ティムパニの硬い打音とトランペットの煌めく響きがハイライトとなって圧巻。 聴き応え十分な熱い演奏として全曲を閉じました。

15分間の休憩のあとのメイン・プログラムは、寺坂さんの指揮によるベートーヴェンの英雄交響曲。 オケの中を見ると、先ほどまで独奏をされていた馬渕さんが黒いドレスに着替えて1stヴァイオリンのトップサイドで参加されてました。 だから、ということではありませんが、10-10-10-8-5 の小さな弦楽編成の特質を生かして、軽快でまとまりの良い音楽となりました。

失礼ながら、冒頭より野太い和音を叩き付ける(古臭い)感じで来るのかなぁ、などと予想していたのは良い意味で完全に裏切られました。 やや早めのテンポ設定、キレ良く弾力ある響きでもって推進力を持って進めてゆく(現代的な)好みの演奏となってました。 良かったぁ。 寺坂さんらしくきちっとした曲造りながら、時おり膝を軽く屈伸させてオケの響きに粘りを注入、また要所では左手で拳を作って気合も注入。 若々しい音楽がとても魅力的な第1楽章をわくわくして聴かせてもらいました。 第2楽章は葬送行進曲、逆にここはちょっとテンポ遅めだったかな、しっとりと歌う木管と粘りつくような弦アンサンブルによるちょっと濃厚な味付け。 途中リズムが硬直したのでしょうか、冗長な感じにも思えたのが惜しかったかな(偉そうですみません)。 第3楽章はホルンが大健闘。 明るくしなやかなトリオでしたね。 終楽章はコントラバスの方を向いて振り出した寺坂さん、中低弦を軸にして曲を進めますが、見晴らしの良い演奏です。 冒頭の楽章と同じく要所で力を込めつつも、しっとりと良く歌う木管もまたチャーミング。 ある種室内楽的な演奏としていたのは最近の流行かな。 現代的なベートーヴェンを面白く聴かせていただきました。

なお演奏会冒頭はベルディの「ナブッコ」序曲、にぎにぎしく演奏会の幕開けを告げるかのような演奏でした。 こちらは生島さんの指揮、枚方フィルらしい実直で生真面目な感じが出ていた開始。 しかし演奏が進むにつれて、どこかしらほっこりとさせる温度感を孕んできました。 そして終盤の盛り上がりでは、演奏温度が上昇してホールの空気を十分に暖めた感じでした。

いつもながら枚方フィルの演奏会には笑顔があふれているというか、小難しく音楽を論じるのではなく、音楽を純粋に楽しもうとする方が多くいらっしゃるようです。 楽章間の拍手も客席より頻繁に沸きますけれど、それも「よかったよ」という率直な暖かな気持ちの表れと感じます。 そして、たぶん演奏される方もそうなのでしょうね、独奏されていた馬渕さんのアンコール曲も「一人では寂しいので」とおっしゃって弦楽合奏との曲となりましたし、また英雄交響曲ではトップサイドでも弾いてもおられました。 皆と演奏することが楽しいオーケストラなのでしょうね。 巧い演奏を聴く、珍しい演奏を聴く、そんな目的も勿論ありますが、音楽を楽しむ、基本は外したくないなぁ、などと考えながら帰路としました。 いつもありがとうございます。

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2018年04月22日

関西大学OB交響楽団 第2回演奏会

日時:2018年4月15日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:豊中市立文化芸術センター・大ホール

曲目:モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲
   ボロディン/歌劇「イーゴリ公」より「ダッタン人の踊り」
   ドヴォルザーク/交響曲第8番 ト長調 作品88
(アンコール)エルガー/エニグマ変奏曲より「ニムロッド」

指揮:深谷武生

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P4170926 posted by (C)fronte360

10年ちょっと前、いつも聴かせてもらっていた関西大学交響楽団。 単身赴任してから、また帰任してからも日程など合わず、とんとご無沙汰してしまっていましたが、今回OB交響楽団を聴かせてもらって、毎年人が入れ替わる学生オケなのに脈々と引き継がれるDNAを感じてオケ関係者ではありませんが懐かしくまた嬉しく感じました。

関西大学交響楽団のDNAは、個人的には前向きでやる気に満ちた演奏、でしょうか。 プロ指揮者によるメイン曲の演奏の前、学生指揮者2名で演奏される2曲。 せっかくのプロ指揮者を呼んでいるのに勿体ない、という意見を耳にしたこともありますが、学生指揮者による演奏もまた前述した前向きでやる気に満ち、個人的には大いに魅力を感じて聴かせてもらっていたことを思い出します。 巧い下手では簡単には割り切れない演奏の魅力、それを教えてもらったオケの一つでありました。

さて前置きが長くなりましたが、OB交響楽団、指揮者に文学部卒業ながらプロのホルン奏者・指揮者として活躍されている深谷武生さんを迎えての演奏。 いずれも明るめの響きを基調にした音楽が推進力を持って演奏されていました。

冒頭の「魔笛」序曲、明るい音色でたっぷりと響かせた上々の滑り出し。 指揮棒を持たない深谷さんが両手で大きくゆっくり掬い取るようにリード、ここに弦楽アンサンブルが入ってきて覇気が入ります。 コントラバスの響きが芯となって届き、煌びやかな金管、フルート、オーボエも綺麗に響かせた推進力のある音楽で嬉しくなります。 いったん止めて、今度は渋い響きのファンファーレ、厳かに響かせたあとは、更に推進力を増します。 迫力も伴った小気味よくノリの良い音楽。 力強い幕切れは「やったぜ」とった感じだったでしょうか。

「ダッタン人の踊り」、こちらも明るい音色でストレート&タイトに盛り上がりました。 エキゾティックな開始、オーボエとコールアングレのしっとりとした響きが印象的でした。 弦のアンサンブルも艶やかに入ってきたあと力を込めてストレートに走って、パーカッションの迫力ある押し出しのある響き。 覇気を感じました。 いったん静まってから、また畳みかけるように盛り上がります。 前に前にと進みながらも、深谷さんしっかりと手綱を握って暴走はさせません。 最後は更に音の密度を上げて、アクセルを踏みこみます。 演奏している者も聴いている者も楽しくなるような音楽づくりとなっていた幕切れでした。 盛り上がりましたね。

休憩をはさんでメインのドヴォルザークの交響曲第8番、こちらも曲に真正面から向き合ったストレートな音楽造りながら、特に後半2楽章は端正にまとまった演奏となっていました。 指揮者の深谷さん、「魔笛」では指揮棒を持たず、「ダッタン人の踊り」では指揮棒を持っての登場でしたが、この曲はまた指揮棒を持たず暖かな響きを導き出しての開始となりました。 明るく軽快な木管に、カラフルな金管を絡め、前に前にと進んでゆきます。 弦楽アンサンブルもたっぷりと響かせて起伏を作り、しっかりと届けよう、そんな印象を持ちました。

第2楽章、じっくりと腰の据わったサウンドながら、キレ味は良く、メリハリも効かせていました。 ソロヴァイオリンの濡れた響きもよかったですね。 第3楽章、しっとりした弦のアンサンブル、淡々と吹く木管と、ここにきて端正な音楽造りになったかな。 余計な情感を挟まないで終楽章へと繋ぎます。 煌めく金管ファンファーレで入った終楽章は上々の滑り出し。 チェロ、ヴィオラがじっくりと曲を作り、コントラバスがスクエアに弾いて曲の芯がビシッと決まっていました。 メリハリをつけ金管と、たっぷりとした弦のアンサンブルも熱気を孕んできましたが、曲にきちんと向かっていて、スピードアップしても腰の据わったサウンドのまま全曲を閉じました。 アッチェランドかけて暴走気味に駆け抜けるか、との予想に反し、端正に纏めた感じ。 OBとしての見識でしょうか。

アンコールの「ニムロッド」は濃密な響きがとても魅力的でしたね。 濃やかな音楽が会場を満たし、演奏会の有終の美にふさわしかった。 満足を胸に会場を後にすることができました。 皆さんありがとういございました。



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2018年03月18日

大阪市民管弦楽団 第87回定期演奏会

日時:2018年3月11日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:ザ・シンフォニーホール

曲目:保科 洋/風紋(原典版)《管弦楽版》
   保科 洋/復興《管弦楽版》
   ラフマニノフ/交響曲第2番
(アンコール)ラフマニノフ/ヴォカリーズ
(アンコール)菅野よう子/花は咲く

指揮:井村誠貴

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P3120257 posted by (C)fronte360

3.11 東日本大震災の発生した日。 毎年GW、ここシンフォニーホールで復興チャリティコンサート・未来へつなぐ『集』コンサートを開催されている指揮者の井村誠貴さんの指揮による演奏会。 井村さんと大阪市民管弦楽団らしい真摯でダイナミック、かつドラマティックな演奏会でした。

まずは保科洋さんの「風紋」、六甲フィルの演奏会でも聴きましたが映画音楽のように聴きやすい曲ですね。 たっぷりとして深みのある弦の響きからの開始。 ゆったりと流れる音楽に大きな体躯をしなやかに動かして想いを込める井村さん。 弦と管の響きが折り重なり、打楽器が割って入ってリズミカルな盛り上がりは井村さんの真骨頂、ストコフスキーみたく見えました。 オーケストラは十分に制御されていて、金管楽器の練られた響きが素適でした。

続いて保科洋さんの「復興」、こちらは初めて聴く曲。 大太鼓の静かなトレモロによる開始、遠くからの地鳴りのような緊張感を伴って、不安気な響きによる開始。 真摯に曲に立ち向かうオケの集中力はすさまじく、徐々に響きを大きくしたかと思うとキレ良く力強い盛り上がり。 大太鼓の重い響きもあいまって轟音ともいえる激しい盛り上がりでした。 一転、中低弦による深い響きにコールアングレの醸し出す不安な表情、フルートなど他の木管も色調を同じにして、全体的に暗いトーンが続きましたが、オケの響きを巧く練り込んでいるので飽きさせません。 そしてまた激しく盛り上がったあと、響きの中に明るさが見えてきました。 たっぷりとしたヴァイオリンなど弦楽器の響きの豊かさと、トロンボーンとチューバの艶の乗った響きが素敵だった激しいコーダで全曲を締めました。

休憩後は、大曲のラフマニノフの交響曲第2番。 ウェットな響きが魅力的でロマンティックでありながらも都会的で洗練された演奏だったと思います。 予想では、井村さんの指揮なのでもっとダイナミックかつロマンティックな演奏になるかな、などと想像していたのですけれど。

第1楽章、冒頭より粘り気のあるウェットな弦の響きとたっぷりとした管楽器でややロマンティックな上々の滑り出し。 想いを乗せているけれどややセーブして淡々と進めていたでしょうか。 この楽章、長丁場ですものね。 引き締まったクライマックスもやや小ぶりで節度を感じ、終結もまた気張らずにコントラバスを鳴らしての着地。 真摯で緊張感を伴った演奏だったからでしょうね、拍手が湧きました。

第2楽章、疾走するヴァイリンに咆哮するホルン、切れよくスマートな開始。 ブラスの華やかな響きが色を添えてました。 たっぷりとしたヴァイオリンの響きで一息ついて、また疾走。 そして集中力を高めての転換、重く強く弦と管が一体となって進みます。 スネアが切り込んで、浮揚感のあるブラスが見事でした。

第3楽章の前にチューニングをしての仕切り直し。 ロマンティクな弦のアンサブルによる開始。 続く木管などよく整ってやや硬めの響きだったかな、淡々とした感じで曲を進めたようにも思いましたが、終始ヴィオラが味わいの深い響きが魅力的でした。

アタッカで終楽章に突入。 覇気ある響きによる開始、井村さんぐっとしゃがみ込んで伸び上がってリズミックに盛り上がってゆきます。 コントラバスの芯のある響きが心地よかった。 しなやかなヴァイオリンの響きを織り交ぜ、浮揚感のあるブラスで落ち着いてたっぷりとした音楽が続き、終結部の盛り上がりもダイナミックながら落ち着いたしっかりとした着地でした。

開演前、井村さんによるスピーチがあり、まずは 3.11 犠牲者の方への黙祷で始まって、曲目解説となりました。 前半プログラムは 3.11 であることより邦人作品を選ばれたとのこと。 復興と題された曲は、もともとは震災とは関係はなく委嘱元の(ヤマハ吹奏楽団の)苦難の50年を振り返っての標題だったそうですが、震災後は復興の言葉よりよく取り上げらるようになったとのこと。

終演後、井村さんご自身がロビーに立っての募金活動。 阪神淡路大震災を経験している(経験したが何も出来なかった無力感をバネに東日本大震災では精力的な活動をされている)井村さんらしい誠実な音楽で、心新たにしてこの日の音楽に向き合うことが出来ました。 皆さんありがとうございました。


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2018年03月06日

セント・マーティン・オーケストラ 第13回定期演奏会

日時:2018年3月4日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:川西市みつなかホール

曲目:ベートーヴェン/コリオラン序曲
   プロコフィエフ/古典交響曲
   ベートーヴェン/交響曲第7番
(アンコール)エルガー/愛の挨拶

指揮:河崎 聡

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P3050175 posted by (C)fronte360

セント・マーティンらしい覇気に満ちた演奏会でした。 弦楽器の編成が 9-7-6-4-3 での対抗配置ですが、終始力強い響きで押し寄せてくるような感じ。 弦楽器が少ない分、管楽器の音の透りも良くなっているのかしら、木管楽器の好演が手に取るように分かるのも魅力でした。

コリオラン序曲、冒頭より引き締まった響きの中でコントラバスの響きがくっきりと浮かび上がり、またヴィオラも中音をしっかりと締め上げているのが聴こえてきた筋肉質な音楽。 コンパクトにタイトに打つティムパニも相俟って曲をしっかりと支えていました。 ヴァイオリンはピリオド奏法だったでしょうかね、やや絶叫調にも聴こえたりもしましたが、覇気ある演奏を楽しみました。

とても面白く聴けたのは古典交響曲。 こちらは軽快かつカラフルな色彩感を持たせた演奏。 終始にこやかな河崎さんのリードのもと、多少のミスはあっても音楽を整えることよりも音楽を楽しく聴かせることを主眼に置いていたようです。 活き活きとした音楽が前に前にと推進してゆくのが心地よく感じられました。 河崎さんの指揮棒の振り幅も他の曲よりも大きかったように感じました。

メインのベートーヴェンの交響曲第7番では、繰り返しリズムが押し寄せてきたのと、キレの良い響き、弓を強く弦に押し付けるようにして出すストレートで大きな響き(弦楽器の人数がもっと多いと響きの厚みにもなるのでしょうけど)、このところお疲れ気味なロートル人間だったもので、少々聴き疲れしてしまいました。 自信に満ちた演奏であったのですが、ついてゆけなくてごめんなさい。

最後になりましたが、このオーケストラ。 開演時、左右より整列入場をしますが舞台上にメンバー全員が揃うまで起立したままで待ちます。 一番最後にコンミスが登場し、全員が揃ってからコンミスと伴に一礼して着席。 全員揃ったメンバーへの客席からの暖かい拍手が湧いて、気持ちいいですね。 礼に始まり礼に終わる・・・ 演奏される音楽ともどもちょっと独特な世界感を持って演奏活動されているようです。
とにかく、皆さんお疲れさまでした。 

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