2016年08月27日

吹田市交響楽団 サマーコンサート2016

日時:2016年8月21日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:吹田市文化会館「メイシアター」大ホール

曲目:<第1部>
   ワーグナー/「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲(-*)
   J.シュトラウス2世/「皇帝円舞曲」(-*)
   ブラームス/「大学祝典序曲」(-*)
   <第2部>
   素人指揮者コーナー
   <第3部>
   ドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調「新世界より」第2・4楽章
(アンコール)グリーグ/ノルウェー舞曲より第2番

指揮:米山 信、新谷 武(-*)

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素人指揮者コーナー、最後に振られた年配の方の見事な指揮に会場は興奮のるつぼ。 こんな素晴らしいオーケストラを指揮できて良い冥途の土産になりました、のコメントにまた大喝采、聴いているこちらも元気頂きました。

今年の素人指揮者コーナー、指揮者のカテゴリーを少年、女性、青年、老年の4つ=4人として募集。 指名して貰うために帽子を手にとってグルグル回していらっしゃったのを上から見ていたのですが、おつむの頂上は失礼ながら薄くなっていて、見るからに老年枠としてこの方が採用決定。 しかしステージに上がるのに歩いている姿を見ていたら、首を前に突き出しながら短い歩幅でヨタヨタと・・・大丈夫かいな・・・そんな不安を持ちましたが、いざ帽子を指揮台の隅に置き、登壇するやいなや背筋がビシっと伸びてました。 集中を高めて新世界交響曲第4楽章の冒頭を颯爽と振り始め、要所では左手も添えた指揮姿がじつに見事。 この曲を何度も聴き込んでいて精通していらっしゃる方なのでしょうね。 フィニッシュも両手を高々と上げた見事な着地。 この日一番の拍手がホール内に響き渡って湧きかりましたね。 いやぁ面白かった。

ところで吹田市交響楽団のサマーコンサート、うちの子供が小中学生だった頃、8月の最終日曜日に開催されていたこのサマコンは毎年楽しみにしていましたが、今年は調べてみたら3年ぶりの訪問となっていました。 ちなみに今年は一人での参戦となっていました。

1月にストラヴィンスキーのペトルーシュカ、6月にはシベリウスの交響曲第6番を演奏された吹田市交響楽団、こられの大曲・難曲のあとだからか、今回のサマーコンサートのプログラムはお馴染みの曲がズラっと並んでます・・・けど、かえって皆知っている曲ほどハードル高くなりがちでオケとしては返ってシンドイのですけどね。

いずれの曲も要所をきちっと抑えた演奏でしたが、新谷さんの指揮は緩急を巧くつけて聴きやすいように配慮されていたようです。 特に皇帝円舞曲、まったく臭くならず上品に抑揚つけていて、惜しむらくはもうちょっとヴァイオリンの数が多かったら響きも良かったかな、と思いましたけど、とても聴きやすかったですね。
ブラームスの大学祝典序曲、たっぷりとした金管ファンファーレや低弦ピチカートもうまく合わせて深みのある響き、時にスクエアに振ってしっかりと纏めてこちらも聴き応えありました。 なおこの曲では曲間に解説されていた指揮者の米山さんがトライアングル席に移動して演奏にも参加されていました。

第2部は、冒頭に書いたとおりの指揮者コーナー、トリのおじ(い)さんに会場騒然。 大いに楽しませてもらって、元気も頂きました。

5分ほどインターヴァルをとって仕切り直した第3部でのドヴォルザークの新世界交響曲。 米山さんの指揮のもと淡々と進めながらも、要所ではいつも以上に力のこもった覇気ある演奏を楽しませてもらいました。
第2楽章のコールアングレの心に沁みる音色も素敵なら、裏で吹くクラリネットもまた良い音色で曲を彩っていたのが印象に残りました。 また弦楽各パートの纏まり感が第1部より増してアンサンブルの精度も高かったように感じました。 第2楽章が終わったところでの拍手もまた納得です。
第4楽章は、落ち着きながらも覇気が増した演奏。 弦楽アンサンブルの分奏もしっかりとしていて、第1部では時に弦と管楽器に隙間を感じたりもしましたが、オケが重層的に鳴っていて、素晴らしい演奏になっていました。
惜しむらくは最後のラッパのフェルマータが終わる前に待ち切れないブラボーの声がかかったこと。 まっ、サマコンですからご愛嬌かもしれませんが、贔屓にするのは良いけれど、もうちょっと真剣に聴いてあげて欲しい気もしますね。

アンコールのグルーグのノルウェー舞曲第2番はとてもチャーミングな曲でメリハリもつけて楽しくお開きとなりました。 次回・来年はホール改装のため別のところになるとか、次回3月5日のこのホールでのフェアウェル・コンサートも楽しみにしましょう。 とにかく皆さんお疲れさまでした。


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2016年08月03日

近畿フィルハーモニー管弦楽団 第31回定期演奏会

日時:2016年7月31日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:いずみホール

曲目:サン=サーンス/歌劇「サムソンとデリラ」より「バッカナール」
   ボロディン/交響曲第2番 ロ短調
   サン=サーンス/交響曲第3番 ハ短調 作品78「オルガン付」
(アンコール)エルガー/行進曲「威風堂々」

指揮:岡田良機

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弦アンサンブルのゴージャスな響きに、あでやかな木管、華やかな金管を添えた迫力ある演奏会でした。

今回は2階バルコニー席で、なんと最前列RA-1。 目の前にパイプ・オルガン、床下にはコントラバスが8本も居並ぶ席だったので、まるでオケの中で聴いているようでもあって、またオルガンのストップ操作なども確認できて面白く演奏を聴かせてもらいましたが、やや直接音が多く、少々聴き疲れしてしまったことも事実。 ちょっと元気良すぎた感じもありました。

LA-30で聴かれていた方の評をそのまま引用させていただくと「この比較的小さなホールでフルオーケストラを鳴らすと、ホールの音響のキャパを越えて、耳がキンキンしたりするのです」と音が飽和していたようでもあります。

ところで、RA-1からだと指揮者の岡田さんの動きや表情など手に取るように分かります。 岡田さんは立ち位置を変えず、淡々と拍をとられていて、左手は表情をなぞる程度のとても簡素な指揮。 オケを煽ったりすることはないけれど、音量を抑えるような仕草も皆無で、演出はオケの自由度に任せていたみたい。 このオケの各パートはよく纏まっていますし、またこのオケの団内指揮者も優秀な方ですから、オケの練習中に基本的な各曲の青写真は出来上がっていた感じでしょうか(想像ですが)。

オケの編成は 10-10-10-8-8 の通常配置、中低弦重視の構成になっていて、金管の咆哮などもビシッと決まって(ホルンも巧かったですね)、爆演好きの方にはたまらない演奏会だったと思います。 ただこのホールの響きを生かすには、先の方も言われていたようにちょっと音量が大きすぎたきらいはありますけれど。

簡単に演奏を振り返ってみたいと思います。

まずはサン=サーンスの「バッカナール」、きらびやかな木管、弦楽器なかでもヴァイオリンの艶やかな響きにはしっかりと芯もありました。 軽やかに打つティムパニもまた心地よかった明るい音楽で、このホールにはよく合っていたように感じました。

続くボロディンの交響曲第2番、重厚感のある響きによる開始より濃いぃ音楽でした。 金管楽器もまた重く迫力ある響きで堂々たる第1楽章。 明るい響きの第2楽章では直接音が多くて少々疲れましたが、第3楽章に入ってクラリネットの暖かい響き、ホルンの遥かな響きが素敵でしたね、各楽器にスポットライトが当たっているような巧いソロをまるでオケの中で聴いているみたいで面白かった。 アタッカで終楽章に突入、低音金管楽器が重厚、座席位置の関係もあって厚みのある中低弦が下から盛り上げていた感じ。 指揮者の岡田さん、淡々と振っているのだけれども響きは常にグラマラスでしたが、最後はコンパクトに纏めてのお開き。 これはちょっと意外でした。

15分の休憩を挟んでサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付」、気付いたら目の前ちょっと下にオルガン奏者の方が座っていらっしゃいました。 先ほどのグラマラスな響きにオルガンも入ってゴージャスな演奏と予想しましたが、オルガンは近くだったせいか意外と大人しく感じました。 オケの方はより推進力を増してやる気満々の演奏となっていたようでした。

第1楽章、透明感の高いヴァイオリンの響きに凛とした木管、厳かな金管で上々の滑り出し。 オケ全体が引き締まって集中力の高い見事な演奏。 ティムパニは若い女性奏者よりおじさんに交代して軽やかにストローク短く打つも鋭い響きになったみたい。 前半中盤の盛り上がりは各パートの纏まった響きがぐいぃ〜っと湧きあがってきたクレッシェンドに感動。

後半となってオルガンのしっとりとした響きが流れ、弦楽器の瑞々しい響きも明るく美しい。 シンフォニーホールの2階正面最前列で聴いていると、床がドロドロドロッと響いてくるのだけれど、ここではオルガンの大きさの違いもあるせいか確かに床も響いているけれどそれほどでもない感じだったのが意外でした(こんなに至近距離なのに)。 オケでは第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンによるアンサンブルが素敵でした。 さらにオルガン、ヴィオラ、チェロがアンサンブルに加わって、うっとり。 素敵でした。

ところでオルガン奏者をよく見ていたら、演奏の合間に鍵盤下にあるスイッチを左から右に一つずつ押し進めていて(押したスイッチのランプが点灯して、ランプが順番に右に進んでゆきます)、オルガンの音色を変えるストップが順次切り替わってゆくのですね。 ストップ操作も事前に登録しておいてスイッチで切り替える電気制御になったとは聞いていましたが、実際に見たのは初めてかも。 面白いですね。

第2楽章、エネルギッシュな弦の響きに堅いティムパニの打音、ホルンの勇壮な響きも絡んでソリッドな音楽。 ピアノは、座席位置の関係か少々くぐもった音に聴こえてました。 木管もソリッドな響き、勇壮な低音金管楽器も各パートよく纏まった音楽を構成し、推進力を持って進んでゆき、そして徐々に静かになります。

オルガンの荘重な響き、ホルンの斉奏が迫力ある開始。 ここではキラキラッと輝くような4手のピアノを期待しましたが、やはりくぐもったような響きだったのは座席位置のせいでしょう。 トランペットが4本で華麗な響きで彷徨。 しかしシンバル、大太鼓などはやや控え目な演奏で好感が持てました。 めくるめくような感じで進みますが、オケの演奏の時にはオルガンは足で低音を補強していたりしたのですね、なるほど〜と、思いながら聴き進むうちにフィナーレ。 パワフルな金管に彩られてぐっと盛り上がったあと、岡田さんが大きく右腕を回して止めました。

パンフレットには余韻を楽しんで欲しい旨が書かれてありましたけれど、ほんの少しの間はあったものの耐えきれずブラボーと拍手。 もうちょっと余韻を楽しみたかったな・・・というのが本音でちょっと残念でしたが、まっそれだけ勢いのあった演奏だったということでしょう。 遅ればせながら大きな拍手を贈りました。

アンコールはオルガンも加わったエルガーの威風堂々でしっかりと締めてお開き。 最初は、ヴィオリンが10本づつなのにコントラバスが8本もあってどうかな、と思いましたけれど、このオケのヴァイオリンは雄弁で芯がありますね。 ゴージャスなサウンドで楽しませて頂きました。 とにかく皆さんお疲れさまでした。



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2016年07月12日

天理シティーオーケストラ 第16回定期演奏会

日時:2016年7月10日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:天理市民会館やまのべホール

曲目:ムソルグスキー/交響詩「はげ山の一夜」
   チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
   チャイコフスキー/交響曲第4番
(アンコール)ハチャトリアン/「仮面舞踏会」よりワルツ
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲

独奏:吉田 南(vn)

指揮:安野英之(常任)

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天理のオケでは珍しいロシア音楽プログラム。 注目はなんといっても天理出身の弱冠18歳、現役高校3年生ながらモントリオール国際コンクールで最年少で3位入賞という溢れんばかりの若い才能を感じさせた吉田南さんに圧倒されたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。 そして交響曲第4番終楽章で爽快なエネルギーが放出された煌びやかな演奏のあと、アンコールの仮面舞踏会のワルツによる濃厚な締めくくり。 とても濃いぃ内容の演奏会でしたが、聴き応え十分、ほぼ満席となった会場やまのべホールのお客さんも大満足の演奏会でした。

オケの弦楽器は対向配置による 8-8-6-5-4 といったコンパクトな編成。 管楽器は横列2に並び中央に木管楽器、両端に金管楽器(向かって右前列にトランペット、右後列にはトロンボーンとチューバ。 向かって左側にホルン)。 打楽器は第2ヴァイオリンとヴィオラの後ろで、向かって左奥のコントラバスと対向する感じ。

この配置の効果をよく出していたムソルグスキーの交響詩「はげ山の一夜」から演奏会はスタート。 弦楽器の少なさもあってタイトでコンパクト、まとまりの良いサウンドが印象的。 指揮者の安野さんも、各パートの響きの対比・かけあいなど、教科書的というとあまり良いイメージではないと思うけど、曲の面白さをしっかりと聴かせるような運びとしていたようです。 メリハリつけてしっかりと盛り上がった宴のあと、端正な木管の響きで纏めた着地。 聴き手としてもオケとしても良いウォーミングアップとなっていたのではなかったでしょうか。

真っ赤なドレスで吉田南さん登場。 プレトークでは南ちゃんと呼んだ方が良い感じだった幼さはどこへやら・・・踏込みの強さとテクニックの際立った演奏は全くの別人のようでした。 第1楽章の冒頭、艶やかで柔らかな響きでしっとりと歌ったのですが、次第に熱くなって、艶やかな響きはそのままにバリバリと弾き込んでゆきます。 オーケストラは安野さんが終始暖かく見守りながら音量も控えめで付き添っていた感じでしたが、オケだけの部分となって音量上げて畳み掛けたあとのカデンツァ、華麗なテクニックの冴えでこちらもまた畳み掛けて、大熱演となってこの楽章を終了。 第2楽章の繊細さを前面にじっくりと曲と対峙して綿々と歌い込んで、アタッカで終楽章へ。 ここではオケとソロとの会話も弾んで、オケの音量もあがって奥行きが出てきました。 踏込みの強さに際立つテクニック、吉田さんのスケールの大きさも見えてきて、スピードあげて華々しく終了。 溢れんばかりの若い才能に圧倒された幕切れでした。 会場からも大きな拍手が湧きあがりました。

15分間の休憩のあとメインのチャイコフスキーの交響曲第4番。 作品番号ではヴァイオリン協奏曲が35番、交響曲第4番が36番と続いているのですね。 また冒頭の「はげ山の一夜」はニ短調で始まってニ長調で終わり、そしてヴァイオリン協奏曲はニ長調なので繋がっていたのですね。 よく考えられたプログラムです。

交響曲第4番、爽快なエネルギーを放出した煌びやかな終楽章、終演後コンマス席の栄島さんのやりきった感のある笑顔が強く印象に残りました。 8型のコンパクトな編成なオケより纏まりの良いサウンド、第1楽章の序奏ファンファーレより見事な開始、このあと弦楽器の粘り気を持ったうねるような旋律、纏まりの良さ、管楽器の受渡しも良かったですね。 ややテンポは遅めだったかしら、見晴しのよい演奏でした。 第2楽章も冒頭のオーボエの響きが端正であったように全体的に安野さんが淡々と進めていたようです。
 第3楽章は弾力あるピチカート、低弦の響きが心地よく、また清涼な響きのオーボエも良かったですね。 そして終楽章が秀逸でした。 ここではメリハリを効かせ、各楽器にスポットライトを当てたような演奏、これが歌い継がれて躍動的でありました。 トランペットのファンファーレの輝きにも艶が感じられましたし、ホルンの斉奏もよく纏まっていて聴き応えありました。 そして徐々に力をましてフィナーレへ。 オケの全体が同じ音色で統一されていて爽快。 そして大熱演で終演。 素晴らしかったです。

アンコールは、ハチャトリアンの「仮面舞踏会」よりワルツ。 安野さんが終始にこやかな笑顔でオケより濃い音楽を放出して楽しそう。 聴き応え十分な音楽のあと、お馴染みのラデツキー行進曲。 拍手の強弱などお客さんも慣れたもの。
みんなで演奏会を楽しんだお開きとなりました。 今回の演奏会、内容の濃い内容でちょっと疲れたけど、ほぼ満席となった会場やまのべホールのお客さんは大満足でした。 皆さんお疲れさまでした。




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2016年07月02日

京都フィロムジカ管弦楽団 第39回定期演奏会

日時:2016年6月26日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:八幡市文化センター・大ホール

曲目:諸井三郎/こどものための小交響曲(シンフォニエッタ)
   シベリウス/ヴァイオリン協奏曲(初稿版)
(アンコール)ヴュッチェイ/前奏曲とフーガより前奏曲
   ブゾーニ/交響的組曲
(アンコール)ブラームス/ハンガリー舞曲第15番

独奏:馬渕 香(vn)

指揮:山本貴嗣

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アンコールに至るまで普段耳にすることのない京都フィロムジカらしい拘りと気鋭の演奏会を楽しみました。

中でもシベリウスのヴァイオリン協奏曲の初稿版、第1楽章ではカデンツァが2つもあって驚きました。 しかもその後者はバッハへのオマージュのようでいて、馬淵香さんの入魂の演奏に会場内が静まりかえっていました。 この初稿版、CDも持っておらず初めて耳にしたのですけれど、第1楽章ではやや冗長な感じも受け、オーケストレーションもまた混沌とした感じでもあったのですが、シベリウスファンにとってはこれこそシベリウスの世界といった感じなのでしょうね。 当方は耳慣れたフレーズが出てきても、アレェこんな感じやったかな〜などと少々路頭に迷った気分であったことを白状します。 馬淵さんは譜面台を置いての演奏、冒頭こそやや音量が小さいかなと感じましたけれど、次第に熱くなってきた感じで先にも書いたような感じでキレの良い演奏をしていました。
アンコールはヴァイオリン協奏曲の初演者?(うまく聞き取れませんでした)による前奏曲、こちらは実に堂々たる恰幅の良い演奏でした。

さて京都フィロムジカでは2年に1度は採り上げられるという邦人作曲家の作品、諸井三郎のこどものための小交響曲もまた初めて耳にする曲。 しっかりとした構成感を持ち、オーソドックスな感じで聴きやすく纏められていました。 新古典主義の作品でしょうね、第3楽章では管楽器が和楽器のような音色だったのが印象に残りました。 オケは2管のすっきりした編成ながら、弦楽器構成が 10-10-9-10-6 で低弦が厚いのが特徴的。 これは単に低弦をゴリゴリと響かせるのではなく、すっきりと纏まったサウンドで奥行きを深く取った感じでした。 ベルリンで研鑚を積まれてベートーヴェンに心酔されていた氏らしさを感じさせるサウンドだったと思います。

メイン・プログラムはブゾーニが16歳の作品である交響的組曲。 この曲も初めて耳にした曲ながら、きっちりと最後まで飽きさせることなく紹介していただきました。 冒頭は厳かなバッハ風の前奏曲、管と弦の響きの重なり方、このオケの各パートの纏まりの良さによって面白く聴かせてもらいました。 この曲もまた新古典主義の作品でしょうね、よく訓練されたオケの響きを指揮者の山本さんがしっかりと推進させてゆく見通しの良い音楽。 プロコフィエフの古典交響曲のように簡単に聴かせながらも、色々な仕掛けが潜んでいる感じ。 うまく表現できませんが・・・ そして終曲、ここでは底力を感じさせる重厚なサウンドでのフーガ。 タイトな金管も相俟って弱冠16歳の音楽とは思えない恰幅の良さで、なんとなくエルガーのエニグマ変奏曲も想起させられて、聴き手の気分も高揚させ、聴き応え十分のフィレーレへと結びつけて会場より大きな拍手が湧きあがりました。

そしてアンコールは指揮者の山本さんが京都フィロムジカらしくと言われたハンガリー舞曲第15番。 CDは持っていても滅多に聴く機会のない作品で、こんな曲やったんか、と気付かされて、完全に京都フィロムジカの思う壺でしたね。 見事な演奏で最後まで楽しませて頂きました。 皆さんお疲れさまでした。


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2016年06月10日

吹田市交響楽団 第81回定期演奏会

日時:2016年6月5日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:吹田市文化会館メイシアター・大ホール

曲目:メンデルスゾーン/序曲「ルイ・ブラス」(-*)
   ベートーヴェン/交響曲第4番 変ロ長調(-*)
   シベリウス/交響曲第6番 ニ短調
(アンコール)パレストリーナ/第一旋法によるリチュルカーレ

指揮:新谷 武、米山 信(-*)

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シベリウスの交響曲第6番、パンフレットには「初夏の蒸し暑さをしばし忘れ、北欧の清澄な空気の中に心を飛ばしていただけるような演奏をお届けできればと思います。」と書かれていましたが、じつに明快な演奏には、指揮者新谷さんの「判りやすく聴かせよう」との熱い想いが滲み出ていたようです。 とても面白く聴かせていただきました。

正直なところ今回の演奏会に先だってシベリウスの交響曲第6番をオッコ・カムのCDでさんざん予習していましたが、いつの間にかに第2楽章に入ったり、気が付くと終楽章・・・なんていうテイタラクの連続。 清澄で美しいメロディが出てくるのは判ったけれど、すぐに迷子になってしまって、全体としてのイメージが固まらないまま演奏会場に足を運んだのでした。

しかし新谷さん、タメをつくって強調したり粘ってみたり、美しいフレーズを浮き上がらせて聴かせどころを強調して下さる精力的な指揮。 爽やかさの中に常に熱い想いが感じられ、知らず知らずに演奏に惹き込まれていました。 オケの皆さんも持ち場をしっかりと固めつつ、弦と管の受渡しも素晴らしくて、新谷さんの指揮によく応えていました。

個人的には控え目で小さなストロークながら的確に堅めの打音で曲を彩ったティムパニとしっかりと曲を支えていた中低弦を推しておきたいと思います。 爽やかな音色の木管や高音弦も見事でしたし、金管も良く揃っていてパワフルでもありましたが、芯のしっかりとした演奏になっていたのこの両者の下支えによるものではないかな。 第1楽章終結部ではティムパニで雰囲気が一変。 第2楽章の昂揚感、終楽章でも静かな熱気を孕んでじっくりと結んだエンディングなどなど低弦やティムパニの支えが効果的だったと思います。 とにかくこの曲をこんなに面白く聴けたのは初めてでした。 大きな拍手を送りました。

これに先立って、音楽監督である米山さんの指揮によるメンデルスゾーンの序曲「ルイ・ブラス」。 金管コラールの響きがよくブレンドされた充実の響き。 米山さんはいつもどおり手堅く上質に纏めながらも、重量感もしっかりと感じさせた演奏に、これもまた耳馴染みは少なかったですが、良い演奏に巡り会えました。

ベートーヴェンの交響曲第4番は、個人的にベートーヴェンの交響曲中で一番好きといっても良い曲なので、ハードルが高くなってしまいましたが、両端楽章がよかったですね。 特に第一楽章、これはもうワクワク感もあっていい演奏でした。 ティムパニはコンパクトかつ深い打音、金管楽器もきちっと曲に収まっていたのも好み。 メリハリの効かせた終結部も躍動感ありました。 このまま行くのかと思いきや・・・

第2楽章はちょっと遅めのテンポ設定だったでしょうか、なんか止まりそうな感じにも思えたり、第3楽章の冒頭ちょっと滑舌悪く感じたりと、いずれも徐々にこなれてゆくのですけど、第1楽章があまりに良かったので落差を感じた次第。 終楽章はまた弦パートの分離が良く伸びやかになりましたね。 ティムパニが先の細いマレットで小気味よい打音を繰り出して熱くなってきて、さっと引いてからスピードアップ、そしてしっかりとした着地でした。 ココもうちょっとキレが欲しかったかな。 な〜んて好きな曲だったので最後までちょっと気になりました。 すみません偉そうで・・・

でもとにかくこの日の収穫は冒頭に書いたとおりシベリウスの交響曲第6番。 お陰さまで全貌が見えてきました。 実演に勝るものはない、と改めて感じました。 ありがとうございました。 そして皆さんおつかれさまでした。


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2016年06月03日

枚方フィルハーモニー管弦楽団 第83回定期演奏会

日時:2016年5月29日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:枚方市市民会館・大ホール

曲目:ブラームス/「悲劇的序曲」(-*)
   ムソルグルスキー/「禿げ山の一夜」(-*)
   ブラームス/交響曲第4番
(アンコール)ドヴォルザーク/スラブ舞曲第8番
(アンコール)J.S.バッハ/管弦楽組曲第3番より「アリア」

指揮:寺坂隆夫(-*)、生島 靖

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深い響きのティムパニ、渋い音色の金管楽器、ややくすんだ音色の木管楽器そして小細工無く真摯で自然に盛り上がってゆく弦楽器などなど、血気盛んな学生オケでは到底出来ないであろうブラームスの最後の交響曲を楽しみました。

指揮者の生島さん、しっかりとテンポを保っていて、時に長身の背を折り曲げて前かがみとなって表情を付けたり、しゃきっと背を伸ばして淡々と振って音量を上げます。 決して煽ることなどなく、多少のミスがあっても、常に自然体で素直な音楽を紡いて進めてゆきました。 そんな第1楽章の終結部、真摯で熱い音楽となったので、会場からも思わず拍手が湧きましたね。 お客さんも素直に音楽を楽しんでいます。

第2楽章は、そんな熱い想いを少々残したまま始まったようです。 温かみのある音楽。 淡々としながらもよく考えられた音楽に聴こえるのは団内指揮者であるからでしょうね。 いつも練習を共にしているメンバーのもつ最高のパフォーマンスをうまく引き出しているようでした。

第3楽章のトライアングルも落ち着いた音色で、パワフルになっても音量ほどの迫力が感じられないのは、前回も書きましたが、じっくりと腰を据えた演奏となっているからでしょう。 そして終楽章、パワフルながら奇を衒わず実直な音楽造り。 ある種古色蒼然とした音色・響きなのですが、これがブラームには似合っていますね。 自分たちの音楽をひたすら紡いでゆく枚フィルらしさ満開の演奏でした。

これに先立って演奏された寺坂さんの指揮によるブラームスの悲劇的序曲。 丁寧な寺坂さんの指揮によって折り目正しく進みます。 基本的には先に書いたのと同じくどこか古色蒼然とした音色・響き。 ですが、練習量の差があったのでしょうね、音の出だしは見事にきちんと決まっていても、フレーズの終わりになると自由度を感じる部分があったり、エンジンがかかるまでは弦と管の響きがうまくブレンドしていないと思えたり・・・それでも寺坂さん、粘り強くかつ慎重にオケを統率して、着実な音楽造りできちんと聴かせたのは見事でした。 とても好感が持てた演奏でした。

続く「禿げ山の一夜」は、前曲での堅さも取れて伸びやかな響きになりました。 テンポ設定がやや遅めだったのは、おどろおどろしさを演出するよりもオケの力量を考えてのことでしょうか。 流暢ではなかったかもしれないけれど、かっぷくの良い音楽造り。 曲の正面より堂々と対峙していった演奏にこちらも好感が持てました。 チューブラベルが鳴り、夜明けになると・・・後半の指揮者である生島さんがファゴットを置いて立ち上がり、どこに行くのかなと思ったら、なんと電子オルガンでハープを奏で始めたのに吃驚。 そしてハープと遜色のない演奏にまた吃驚。 これもまた枚フィルらしさ満開の演奏でしたね。

このオケの演奏会に来るといつも暖かな気持ちになって音楽を楽しめるのは、知らず知らずのうちに頭でっかちになった自分を初心に戻してくれているからかもしれません。 ありがとうございます。 そしてお疲れさまでした。



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2016年05月28日

アンサンブル・フリー 第23回演奏会

日時:2016年5月22日(日) 13:30開演(13:00開場)
場所:尼崎市総合文化センター・あましんアルカイックホール

曲目:三好真亜沙/天泣 (2012)
   マーラー/交響曲第10番より アダージョ
   助川 舞/溟渤を織る星の糸 (2015年改訂版)
                [Ensemble Free 委嘱作品・関西初演]
   シベリウス/交響曲第7番
(アンコール)失念

指揮:浅野亮介

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久しぶりのアンサンブル・フリーの演奏会、邦人若手作曲家の作品も採り上げられるようになって初めて伺いましたが、とても感じ入ることの多かった演奏会を楽しみました。

個人的には、助川舞さんの「溟渤を織る星の糸」という曲が大変面白かった。 厳かな開始、何かを予感させる音楽が、時に激しくもあり、厳粛な音空間の拡がり。 12星座の明度、大きさ、距離、位置などを数値化されて作曲されたことも影響しているのでしょうね。 短い曲ながら無限の拡がりも感じた作品でしたね。

冒頭に演奏された三好真亜沙さんの「天泣」は現代音楽らしく打楽器奏者4人が色々な楽器を奏でて緊張感を高めたりもしましたが爽やかで綺麗な響きが特徴的だったかな。 纏まりの良さなど、さすが賞を得た作品といった感じも受けました。 その分、当方のインスピレーションもあまり拡がらなかったかな、といった感じ。 言われているように再演を繰り返すことで成長する作品ではあるように感じましたので、また聴く機会があれば印象も変わっているかもしれませんね。

さて2012年の第14回演奏会でのマーラーの交響曲第3番以来、浅野さんの指揮を拝見しましたけれど、変わっていないなぁ、という印象。 細かく拍を刻んだり指示を出したりせず、大づかみのイメージを両腕で表現するスタイルながら、きちんとよく考えられた音楽が湧き出てきます。 練習ではオケに相当に意図を伝えているのでしょうね。 十分に練り上げたものを本番に提供してくださっている感じ。

マーラーの交響曲第10番のアダージョ、落着いた音色でオケの響きが綿々と流れてゆく。 自然な減衰とピークの形成ながら、しっかりと心を捉えて離なさない見事な演奏でしたね。 この曲、正直なところあまり真剣に聴いたことがなかった、というかイマイチ捉えどころが分からなかったのだけれど、素直にいい曲やな、と思えた次第。 第9番の終楽章がアダージョで終わり、第10番となった新しい交響曲の世界の始まりもアダージョ。 その関連性にもちょっと心が動いたりもしました。

そしてシベリウスの最後の交響曲第7番、うまく表現できませんがシベリウスらしい響きで色々なものが混然一体となっていった感じ。 中低弦のアンサンブルが落ち着いた響きであったのと、ティムパニも深く柔らかな打音が素敵でした。 大自然の響きを耳にしているような交響曲の演奏でした。 どことなく助川さんの作品に通じるものがあるような気もしました。

単身赴任より戻って早や3年が経過、長らくご無沙汰してしまいましたが、また機会が合えば浅野さんとアンサンブル・フリーの演奏会を聴いて刺激を受けたいな、と思った次第です。
とても面白い演奏会を有難うございました。 そして皆さんお疲れさまでした。

 
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2016年05月21日

オーケストラ・アンサンブル・フォルツァ 第20回定期演奏会

日時:2016年5月15日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:ザ・シンフォニーホール

曲目:ブラームス/交響曲第3番
   ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」

指揮:永峰大輔

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P5163785 posted by (C)fronte360

アマオケを15年以上聴き続けてきたけれど、今年1月には吹田市交響楽団でストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」、2月はホール・バルティカ+セント・マーティン・オーケストラでオルフの「カルミナ・ブラーナ」、生演奏で初めて聴く曲に感動しっぱなしでしたが、今回の「春の祭典」は茫然とするほど見事、というしかない凄い演奏でした。

オーケストラの弦楽器は、ヴァイオリンを両翼に配置する16-15-10-8-7の編成ながら、チェロとコントラバスはステージに向かって右側に配置。 通常配置でのヴィオラと第2ヴァオリンが入れ替わった感じでしょうか。

CDなどで聴くお馴染みの音楽、めまぐるしく変わる拍子、キリリッと引き締まって時には度胆をぬくような豪快な打楽器の響き、管楽器の旋律を聴くたびにどの楽器なのか、目の前で演奏されているのを追いかけて納得したり、この楽器でやっていたのかと驚いたり・・・今回もまた2階中央BB列にて聴いていましたが、正直なところ正常心では聴けていなかったですね。

でも、統制のとれたしっかりとしたオケの響きは、本当に素晴らしかった。 どの楽器が突出したり、薄くなったりすることなどなく、堂々と自信を持たれて演奏されていて納得度の高い演奏となっていました。 こんな難しい曲よく出来るなぁ、というのが率直な感想でした。

とくに上から見ているので気づいたのですが、チェロやヴィオラでは半分のプルトがボウイングとピチカートに分かれて演奏しているのですね。 普段は縁の下の力持ち的な存在で地味なパートであるヴィオラですが、今回の演奏ではこのヴィオラが雄弁であったことを特筆しておきたいですね。

ヴィオラ・パート、前プロのブラームスの時よりも全員が前の方に詰めて座っていたのが如実に演奏に現われていたと思います。 パートとしての一体感、本当によく伝わってきて目を離すことが出来ないほどでした。

管打楽器が目立って美味しい所を持ってゆきますが、オケの中央に座っていたヴィオラがオケの要になっていたようにも感じました。 とにかく全員一丸、素晴らしい演奏を堪能させていただきました。

なおこれに先立って演奏されたブラームスの交響曲第3番、こちらもヴァイリンを両翼に配置しつつもチェロ、コントラバスを通常配置と同じく向かって右側に配した 16-16-11-8-7 の編成だったでしょうか。 若いメンバーが多いこともあって明るい響きでサクサク流れる音楽でしたね。 しっかりと演奏しつつも練り込み不足からかなんとなく散漫な感じも受けました。 練習量など致し方ないことでしょうが、もっと軽めの曲で腕慣らしをされた方が良かったかな。 いっそのこと「春の祭典」1曲プログラムでも満足できた・・・とは老婆心でしょうね。

とにかく、素晴らしい演奏でした。 有難うございました。


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2016年04月24日

川西市民オーケストラ ファミリーコンサート2016

日時:2016年4月17日(日) 15:00開演(14:30開場)
場所:川西市文化会館・大ホール

曲目:<第1部>
    保科洋/ファンタジア・四季 〜管弦楽と合唱と筝のための〜
    ヘンデル/「メサイヤ」より「ハレルヤ」
    杉本竜一/Believe
    ロペス/アナと雪の女王より「Let it Go」
    オッフェンバック/喜歌劇「天国と地獄」より「カンカン」
   <第2部>
    ワーグナー/楽劇「ローエングリン」より第3幕への序章
    チャイコフスキー/バレエ「白鳥の湖」より「ワルツ」
    ボロディン/歌劇「イーゴリ公」より「韃靼人の踊り」
    菅野よう子/復興イメージソング「花は咲く」

ゲストコンサートマスター:西村恵一(vn)

筝:福田久恵、柳原達子、谷垣千鶴

合唱:フローラ・アンサンブル、マンマミーア、スィートアンサンブル、
   第九を歌う会、牧の台ジュニアコーラス、ミュージカル「川西の金太郎」

合唱指揮:尾市雅子

独唱(Let it Go):倉ヶ市愛、藤林七海
独唱(花は咲く):大石明日香、道咲とも子

指揮:田村ゆう子

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P4183408 posted by (C)fronte360

筝と合唱とオケーストラに歌まで加わった盛り沢山な内容を楽しみました。 川西市内や近隣で活躍する団体などとのコラボ、総勢140名でのファミリーコンサート。 結成5年目の川西市民オーケストラによる初の試みだったそうです。
初めてのオケで初めてのホール、能勢電の電車賃をケチって散歩がてら川西池田駅より歩きましたが、右に行かないといけないY字路を左に進んでずいぶんと坂道を登ってから道を間違えたことに気付き、慌てて引き返してホールには開演20分前になんとか到着。 ファミリーコンサートとあって会場内には小さなお子さん連れが多くいらして賑やかでした。
開演、ステージ前の土間いわゆるオケピットが入る位置が空けられてここに合唱団が3列で並びます。 舞台向かって左袖には筝が3本。 オケはステージ上に10-10-8-8-4 の通常配置で座りました。 メンバーは白ブラウスに黒いズボン・スカートの夏仕様ですね。 コンマスの西村恵一さんが立ってチューニングを実施して準備完了。 さあ始まるかと思いきや司会のお姉さんが登場。 市長さんの祝電披露を経てから指揮の田村ゆう子さんが合唱団の前に出てきて始まりました。
保科洋作曲の「ファンタジア・四季」、日本の四季を歌う童謡・唱歌を題材にした筝と合唱とオーケストラによるファンタジー。 華やかで伸びやかな合唱団が頑張ってましたね。 筝の演奏もよかったのですがPAを通して響く響きが、ややデッドに響くホールのオケの響きとうまく溶け合わなかった感じ・・・PAがなければとちょっと残念でした。 このあとの「Let it Go」や「花は咲く」の歌手の方もマイクを持って歌われていて、ケーブルテレビの収録用かもしれませんが、せっかくの歌がカラオケ大会のような違和感を持ってしまってこれもちょっと残念。 生の声を聞きたかったなぁ。
合唱団の方は相当練習されていたみたいですね。 女声合唱でしたが(何故か2名ほど男性がいましたが)各パートはよく纏まっていて迫力もありました。 オケも西村さん率いる弦楽器がよく纏まっていて、低弦もしっかりと響く安定感。 「白鳥の湖」の「ワルツ」では凜と響くオーボエなど木管アンサンブルがよかったですね。 最後の「花は咲く」ではラッパがうしろでメロディを吹いてましたが良い響きで曲をうまく支えてました。 オケも頑張ってましたが、先に書いたとおりホールの響きでデッドなこともあって、全奏になると打楽器が強調された平板な盛上がりに聴こえてしまったのもちょっと残念。 指揮者の田村さんも纏めるのに集中されていたのか小細工しない方のようで、ストレートに盛上げてお仕舞いみたいな感じだったかな。 初めての試みで盛り沢山な内容でしたし出演者も多かったですしね。 地域貢献による文化祭的ファミリーコンサートとして楽しませてもらいました。 出演者の皆さんお疲れさまでした。

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2016年04月11日

大阪市民管弦楽団 第83回定期演奏会

日時:2016年4月10日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:ザ・シンフォニーホール

曲目:ドヴォルザーク/交響曲第7番
   ブラームス/交響曲第2番
(アンコール)ヨハン・シュトラウス2世/アンネン・ポルカ
(アンコール)ブラームス/ハンガリー舞曲第6番

指揮:藏野雅彦

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P4113335 posted by (C)fronte360

ドヴォルザークのニ短調からブラームスのニ長調へ、これをおもしろいと快諾された藏野さんの指揮による交響曲2曲の演奏会。 いずれの演奏も藏野らしくじっくりと構えた手堅い指揮で進められていましたが、オーケストラの作品への共感でしょうか、ブラームスの方が粘り気や逆に浮遊感もある素晴しい演奏と感じました。

ドヴォルザークの交響曲は、弦楽器は対向配置で 15-12-10-10-8 の編成。 第1曲目ということもあったのでしょうか、オケの響きは厚くよく纏まっていて躍動感もあったのですけれど、もうちょっと歌心のある演奏を当方が望んでいたこともあって、巧いなぁと思うことはあっても何故かちょっと感動には結びつきませんでした。 個人的には第3楽章のスケルツォなどもっと歌って欲しかったし、終楽章の開始などもとてもよく纏まった響きで、藏野さんのキレの良い指揮もあってパワフルなオケの響きでぐいぐいと盛り上げていった充実した演奏と聴きましたが、どこかしら生真面目さが前面に出てきたみたいで・・・なんとなく平板的にも感じてしまいました。 逆に技量の落ちるオケで聴いたならばもっと必死さがにじみ出てきて面白味も増したのかな、などど偉そうに思ったしだい。 ドヴォルザークの第6・7・8番の交響曲は好きでよく聴いているのでちょっと敷居が高くなっているのかもしれませんね。

これに比してブラームスの交響曲は、弦楽器は対向配置で 14-13-10-10-8 とし、藏野さんの指揮は先と同じようなアプローチであったようですが、オケから醸し出されてくる響きが異なって感じられ、作品への共感が高かったのかな、と思ったしだい。 第1楽章など柔らかく響く低弦とホルンや木管の絡んで始まり、高音弦や他の楽器も浮遊感のある素晴しい開始。 そして徐々に音量を上げて粘り気のある低弦をベースに充実した響きとなって魅了されました。 そしてゆったりと緻密に練り上げた第2楽章、ここでもホルンと木管楽器が素適に絡んた見事な開始で、管と密接に絡みあう弦楽アンサンブルもしっかりしっとりとしていましたね。 軽やかで素適な音色のオーボエが印象的に始まった第3楽章、ファゴットもいい味出していましたしね。 明るく伸びやかでした。 そして終楽章は軽量級の響きによる開始より集中力を高めてメリハリを持たせ、しかし声高に叫ばない演奏、そして最後に畳み掛けたフィニッシュで解放。 素晴しい演奏にホールも沸きました。 きちんと計算されているのが藏野さん流ですが、これによく応えていたオケに大きな拍手を贈りました。

アンコールは2曲、いずれもきちんとしたなかにも本プログラムより自由度を持たせた伸びやかな演奏、そして最後のハンガリー舞曲を強烈に締めてまた会場を沸かせてのお開き。 充実した演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。

 
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