2015年07月04日

天理シティーオーケストラ 第15回定期演奏会

日時:2015年6月28日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:天理市民会館やまのべホール

曲目:フンパーディンク/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲
   ヴァンハル/コントラバス協奏曲
   ブラームス/交響曲第4番
(アンコール)J.シュトラウス2世&ヨーゼフ・シュトラウス/ピチカート・ポルカ
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲

独奏:村田和幸(cb)

指揮:安野英之(常任)

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いつもながら気持ちの良い演奏会でした。 いきなりアンコール曲の話になりますが、このオケお馴染みのアンコール曲・ラデツキー行進曲。 客席からの手拍子は、安野さんの指示が無くとも、弱く打つ、強く打つというのを客席の皆さんが安野さんの指揮する後ろ姿に合せて演奏(?)、ご常連さんが多いとはいえ、お客さんの質が高いのがとても印象的です。 そして客席には今回も楽器を持った制服姿の高校生も多くいらして、会場係をされていた先輩で大学生になったお兄さんを見つけて「久しぶり」などとの会話もあって、皆さんアットホーム。 この演奏会を楽しみにし、このオーケストラや音楽を愛しているのが今回もよく伝わってきました。

そんな暖かな雰囲気によく似合った「ヘンゼルとグレーテル」序曲。 ホルンの響きもまろやかに、木管楽器の歌も柔らかで、まさしく木の響き。 弦楽器は 8-8-6-6-4 の対向配置とし、中音弦がよく届きますね。 活気を持って軽やかに進みますが、トランペットも控え目ながら艶を感じさせる響き。 アンサンブルにややほころびを感じさせた場面もあったかもしれませんが、よく歌って楽しい演奏。 これが何より良かったですね。 縦の線を揃えることに終始したミスの無い演奏では、この楽しさは出なかったと思いました。 ほっこりとした気分で楽しませてもらいました。

日本センチュリー交響楽団の首席コントラバス奏者の村田和幸を迎えたヴァンハルのコントラバス協奏曲。 以前、クーセヴィツキーのコントラバス協奏曲を聴いたことがありますが、その時も感じたのですが、ちょっと不思議な雰囲気ですね。 α波が出ているのでしょうか、気持ち良くなって眠くなってしまうみたい。 周りでも目を閉じていらっしゃる方が多かったのですが、かなりな熱演であっただけに、本当に不思議。

第1楽章、バロック音楽のような序奏から始まって、とても親しみやすい感じ。 ソロも親しみやすい旋律を技巧を駆使しながら進めます。 圧巻はカデンツァ、伸びやかさに跳躍もあって客席を惹きこんでいました。
第2楽章、ゆったりとした序奏よりしっとりとしたソロが歌います。 オケもぴったりと付けて思索的なソロが続きました。 止まりそうになるほどゆったり、しみじみとした感じ。 カデンツァもまた深い響きが特徴的。 このあたりα波がけっこう出ていたようですね。
第3楽章、軽快な序奏に続いて軽やかなソロ、装飾音を混ぜながら軽やかに駆けてゆきました。 低い音の深みに軽やかさが同居。 クレバーな音楽ですね。 最後はオケともども華やかになってフィニッシュ。 とても親しみやすい曲・演奏でした。

惜しむらくは、座席が後ろから4〜5列目だったこと。 天井に近いせいか空調音も聴こえていて、ニュアンスをもっと聴きとるためには前の方の席へと移動すべきだった(クーセヴィツキーの時には前から3列目に走って移動したことを失念していました)。 するともっと華やかさが聴き取れたかもしれません。 失策、残念でした。

15分の休憩のあと、メインのブラームスの交響曲第4番。 虚飾を排し、音楽そのものに語らせるような演奏でした。 冒頭こそ、ヴァイオリンの少なさより(8-8-6-6-4の対向配置)清新な感じで、もうちょっとオケに厚みが欲しいように感じましたけれど、聴き進めていると、淡々としながらもきちっと要所が抑えられたオーソドックスな演奏に納得。 どの楽器、どこかのフレーズを際立たせたり煽ったりすることなく、バランスよく等価に鳴らせていた集中力の高い演奏に感じ入りました。

第1楽章、ふわっと振って透明感ある響きでの始まり。 ヴァイオリンの響きがやや薄く感じられましたが、中低弦がしっかりと鳴って曲を支えています。 フレーズは短めに切って進めて、ため息をつくような郷愁もなくて、清新な感じ。 安野さん、コンパクトに振って進め、淡々と曲を見せているような感じです。 見ていると2ndに回った栄島さんはいつもながら大きな動作ですが、ヴィオラ奏者の方も気合い十分で演奏されているのが印象に残りました。 あとティムパニ奏者の女性も最後まで潔くかつ丁寧に叩いておられたのが良かったですね。

第2楽章、ホルンそしてフルートの張りのある響き、木管楽器は艶のある響きで静かながらも熱い音楽です。 弦楽アンサンブルも小さく纏まっていながらもよく歌っていましたし、その裏で鳴るファゴットも絡んで素敵な響きでした。 ここでも淡々と振って進める安野さん。 バランス良く落ち着いて進めていて、ここでのティムパニもまた控え目だったのも納得です。

第3楽章、安野さんの軽いハナ息より力感のある開始。 ティムパニがここでは重く強い打音。 安野さんも軽くジャンプするなどタイトで熱っぽい演奏ながら、オケのサイズを超えて吠えることなく、コンパクトに凝縮させた音楽に好感を持ちました。 時に背伸びをし、オケのサイズ以上の音楽でハッタリをかましてウケる・・・そのようなことありません。 身の丈を知って最善、できればその上を尽くす、これがアマオケの身上でしょう。

第4楽章、ほんの少しのインターヴァルをとって深味のある響きで始まりました。 ヴァイオリンは第1楽章とは違い、弓を強く押し付けて弾いていたみたい。 中音弦、とくにここでもヴィオラがよく響いていたように感じました。 トロンボーンのコラールはちょっと控え目で素朴な味わい。 安野さん、ここでも丁寧に、じっくりと曲と向き合って進めていました。 手中にあるオケをバランスよく等価に鳴らし、曲そのものに語らせているような印象です。 ブラームスのシンフォニーはこうあるべき、そんなことを感じた集中力の高い演奏に大きな拍手を贈りました。 いい演奏でした。

そしてアンコール1曲目、これまでのちょっと硬い雰囲気より、楽しさを前面に出したピチカート・ポルカの演奏。 単にピチカートとといっても、楽器はもちろん、弾き方によっても音色を変えた演奏を楽しませてもらいました。

そして終演後、今回もまた指揮者の安野さんがアンケート箱を持って回られて「ありがとうございます」、そしてお客さんとも会話をされていて、いつものことながら天理のオケは客席の雰囲気が良く、気持ちの良い演奏会でした。 ありがとうございました。


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2015年06月13日

オーケストラ・アンサンブル・フォルツァ 第19回定期演奏会

日時:2015年5月24日(日) 14:00開演(13:15開場)
場所:八尾市文化会館プリズムホール・大ホール

曲目:モーツァルト/交響曲第31番ニ長調「パリ」(*)
   メシアン/忘れられた捧げもの
   デュカス/交響曲ハ長調

指揮:大塚洋平、松永健司郎 (*)

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パリをテーマにしたフォルツァらしいちょっと変わったプログラム、団内指揮者とともに一致団結したオーケストラによる溌剌とした演奏会でした。

プログラムによると、モーツァルトの曲はフォルツァでは初登場らしいですが、パリで客死した母親を悼み、聖歌「エレミアの哀歌」から引用をして、8月15日の聖母昇天祝日に再演された「異稿」と呼ばれる楽譜と使った演奏から開始。

フォルツァらしく一筋縄ではいかない凝ったプログラムですが、もとより版や稿の違いに無頓着(というより無知)な当方は、メリハリのよく効いて清新なモーツァルトの演奏を楽しみました。 オケは10-10-9-6-4の通常配置、平土間で暗譜で流麗に振る松永さん。

第1楽章は松永さんのハナ息とともにキレ良く開始するも、金管楽器を程よくブレンド響きが魅力的。 コンパクトに打つティムパニも素敵でした。
第2楽章は柔らかな響きでスタート、慈しむように丁寧かつ伸びやかな音楽で暖かな空気が漂いました。
終楽章はチャーミングなアンサンブルが力を次第に増します。 場面転換も見事に決めた清新なモーツァルト。 音量を増しても抑制を良く効かせて、初夏らしい少々熱っぽい感じとした演奏が素晴らしかったですね。 いいものを聴かせてもらった、そんな感じ。

いったん全員が退場したあと 13-9-9-8-4の編成となりました。 前曲と違ってチェロが客席側に出てきた配置。 指揮者の大塚さんの意図するところは判りませんが、メシアンが22歳、1931年の作品「忘れられた捧げもの」が格調高く演奏されました。

3つのパートが続けて演奏されて、正直出てくる音を聴き続けていたら、終わった・・・という感じ。
第1部、柔らかく密やかな弦楽合奏に不安げなホルンの響きが集中力高く挟みこまれたのが進んでゆき、いきなり大太鼓の一撃。 ここから第2部だったようです。 タイトなトランペット、機動力のあるオケの演奏されて進むのをただただ聞いていました。 すっとこれが退いたのが第3部、透明感のある静かなアンサンブルが今度は延々と続きます。 ヴァイオリンとヴィオラのアンサンブル、ヴィオラ9名のうち3名はお休みで6名による演奏だったのに気づき、徐々に弱音となって止まって終了。 振り返ると格調高い演奏だったなぁ、というのが印象でした。

15分間の休憩のあとメイン・プロのデュカスの交響曲ハ長調。 自己に厳しく作品の大半を破棄したデュカスが31歳、1896年に書いた交響曲。 曲についてはよく判っていませんが、最後までとてもよく纏まった見事な演奏だったと思います。 何より指揮者とオケとの一体感がありました。 プロの客演指揮者にぐいぐいと引っ張ってもらう単に巧い演奏ではなく、すべて身内の団内指揮者のもとでの団結、オケの各パートは主張しながらもよく聴きあって突出することなどなく、全体として響きが調和していたのが印象に残りました。

第1楽章、弾けるような軽やかな開始、各パートが良く纏まってオケ全体もよく纏まった響きで進みます。 うねるように、巻き込むような熱い音楽。 堅めに打音のティムパニ、マレットを持ち替えて打つ響きにも意味があるのでしょうね。 指揮者の大塚さんは淡々と振っているのですが、各パートもよく考えて演奏しているみたい。 透明感の高い重厚な響きをすっと切ってお終い。

第2楽章、明るい木管の響きにホルンの長閑な響きが相俟っての開始。 ここでもオケ全体がよく纏まっているのが印象的で、各パートが全体の一部であることを良く判って演奏されているような感じ。 伸びやかで明るく落ち着いた音楽になるとオルガン・トーンのような響きに包まれました。

第3楽章、明るく賑やかな合奏、左にホルン、右にトランペット・トロンボーン・チューバそしてコントラバス、中央にはティムパニが屹立して賑々しく進みます。 寄せては返す響きがフランクみたいにも思えましたが、明るい響きですね。 トランペットの響きが華やかさを添えた熱い響きとして力強く締めました。 最後までよく纏まって聴き応えありましたね。

耳馴染みの少ない(無い)曲の演奏会でしたが、団内指揮者とともに一致団結したオーケストラの演奏は充実していて満足。 アンコールが無かったのは、オーケストラもこれらの曲にのみ集中したからでしょう。 納得度の高い演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。



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2015年05月24日

大阪市民管弦楽団 第81回定期演奏会

日時:2015年4月19日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:ザ・シンフォニーホール

曲目:フンパーディンク/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲
   ヒンデミット/交響曲「画家マティス」
   シューベルト/交響曲第8番「ザ・グレート」

指揮:松岡 究

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前回、井村誠貴さんの指揮での「惑星」、機動力ある演奏に度肝を抜かれましたが、今回は松岡究さんの指揮による統率力で緻密に仕上げられた「グレート」に唸りました。

松岡さんの指揮は判りやすいのが特徴、明快なテンポ設定で背を屈めて音量を下げ、背筋をピンと伸ばしてタイトな響きとします。 いずれの曲も要所に力を込めたメリハリのある演奏としてぐいぐいと進めてゆきました。

前プロ2曲は耳馴染みの少ない曲なこともありましたが、グレートは好きな曲。 ちょっとハードル高くして聴いてしまいましたけれど、集中力の高い良くよく纏まった巧い演奏でしたが、わくわく感が感じられなくて・・・ちょっと楽しめなかったのが正直なところ。

機動力のある弦楽アンサンブル、凜とした木管の響き、勇壮な金管と要所を決める打楽器、これらが一糸乱れず呼応して進んでゆきます。 また松岡さんの指揮も実に明快、主題が繰り返されるたびにきちっと同じ動作、オケをきちっと統率して進める実に硬派な音楽・・・でもね、個人的にはシューベルトなのだから、もっと自由度を持たせて歌って欲しいのよね、などと思ってしまいました。

いったんそう思ってしまうと、縦横きちっと揃った巧い演奏もよく知っている曲だけに予定調和のように感じられ、ドコドコと打つティムパニもデリカシー無くうるさく聴こえてくる(もうちょっと音量下げて欲しかったな)、と個人的な悪循環に陥ってしまいました(すみません)。

なおこれに先立っての2曲、いずれも耳なじみ少なくてより雑な感想となりますが・・・

「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲、前半はまとまり感がなくて行進曲調となって聴きやすくなりましたけれど、なんだかなぞっているような感じ。 子ども向けの歌劇なのだからもうちょっと楽しそうに演奏されても良かったのでは、と思った次第。

「画家マティス」、難解な曲ながら前曲の演奏とは別物。 全奏となっても余裕を持たせた響きで聴き応えがあって、よく演ったなぁ、見事でした。 第1楽章のあとで会場より拍手があったのも頷けます。 終楽章も深みとコクのあるアンサンブルがパワフルになり、また粘り気を持っていて唸ります。 厚みのある中音弦が存在感あって素晴しかった。
ということで、難解でよく判っていないながらも、この演奏が一番聴き応えがあって楽しめました。

今回ちょっといろいろとあって感想文が大幅に遅れてしまい、かつあまり良い内容ではないですが、それだけ期待度も高かったということでお許しください。 とにかく皆さんお疲れさまでした。


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2015年03月14日

セント・マーティン・オーケストラ 第11回定期演奏会

日時:2015年3月8日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:川西市みつなかホール

曲目:モーツァルト/「フィガロの結婚」序曲
   ミヨー/「プロヴァンス組曲」
   ドヴォルザーク/交響曲第8番
(アンコール)エルガー/朝の歌

指揮:河ア 聡

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ドヴォルザークの交響曲第8番、躍動感ともに深さと奥行きの感じられる素晴らしい演奏に感動しました。 弦楽アンサンブルの精度は前2曲よりも上って透明感がありましたし、金管楽器はパワフルながら全体の響きに見事にマッチ。 そして木管楽器のまろやかでコクのあるソロがいずれも絶品でした。 タイトで小気味よいティムパニ、これらアンサンブルが混然一体、時に嬉しそうな表情を見せつつリードする河崎さんのもと、終始ワクワクしながら聴いていました。

冒頭の「フィガロの結婚」序曲、先日同志社女子大オペラクラス公演で聴いたのはとまったく別物のようなパワフルな演奏でした。 コントラバス4本、チェロ7本が快速で走っていたのがとても印象的。 パンフレットにも書いてありましたが、ちょっと違うよな、と個人的には思った異色の演奏でした。 速いのは好きなんですけれど。

続くミヨーの「プロヴァンス組曲」、こちらもやや無防備とも思えるほどに開放的にブラスが鳴っていた感じ。 小粋で洒脱な・・・とは違って堂々たる演奏。 ちょっと表現が違うかもしれませんが、不協和音も押しの一手では、横断歩道も皆で渡れば怖くない、なんて思って聴いていました。 後半ずいぶんと軽くなってきたと思ったので、ちょっと気合が入り過ぎていたのかもしれませんね。

そんなちょっと強引とも思えるほどに元気のよかった前2曲のあと、メインのドヴォルザークの交響曲第8番は別の次元の演奏でしたね。 一皮も二皮も剥けた素晴らしい演奏となっていました。 第1楽章の冒頭より、オケの響き、とくに弦楽器の透明感がぐんと上っていて惹き込まれました。 また対抗配置に据えられた各パートも有機的に絡んでいて、7本もあるチェロのまろやかな響き、柔らかなコントラバスとヴィオラのピチカートが印象的。 そしてフルートの美音に魅了されました。

第2楽章は大きく呼吸するような開始、音量もやや抑え気味だったでしょうか。 休止できちっと制御されたオケ、その間合いも絶妙でした。 曲の陰影をも映し出していて、ここでもオーボエがまた美音でしたね。 うっとり。

第3楽章、艶やかなヴァイオリンの旋律もここでもやや音量は抑え目だったでしょうか。 まろやかなながらしっかりと音圧あるホルンも見事。 そして終楽章での華やかなトランペット、艶を感じさせる洗練された響きで最高でした。 押し出しの強いホルンやトロンボーンとも相まって聴き応えが十分。 見事に制御された演奏、河崎さん、人差し指を口に当てて「しっ」とオケの音量を落としてから、ゆったりと進めたフィナーレは小気味よく畳み掛けました。

とてもよく考えられた河崎さんのリードと、曲に対する共感を持ったオケとが一体となった素晴らしい演奏でした。 前2曲とは練習量だけでなく曲・演奏への共感が大きかったのかな、と感じたしだいです。 意欲的な演奏をしているセントマーティンらしい演奏会であったと思いました。 次回演奏会は来年2月14日、合唱団ホール・バルティカとの演奏会、オルフのカルミナ・ブラーナと伊福部昭の「交響譚詩」「ラウダ・コンチェルタータ」ですね。 意欲的な演奏で期待できるプログラムです。 とにかく今回お疲れさまでした、そして、ありがとうございました。

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2015年03月07日

六甲フィルハーモニー管弦楽団 第39回定期演奏会

日時:2015年3月1日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:神戸文化ホール・大ホール

曲目:ボロディン/歌劇「イーゴリ公」序曲
   ビゼー/交響曲 (-*)
   チャイコフスキー/交響曲第5番
(アンコール)チャイコフスキー/歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ

指揮:松井真之介、森 康一 (-*)

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朝から冷たい雨が降るなか、それでも神戸文化ホールの1階席は8割以上入っていたのではなかったでしょうか。 オーケストラも熱い演奏ながら常にクールでカッコ良い演奏。 いずれも聴き応えがありましたが、アンコールにかかったエフゲニー・オネーギンのポロネーズ。 この演奏はエンターテイメント性をぐんと前に出し、会場を大いに盛り上げてのお開き。 雨の中、奈良より神戸まで出てきた甲斐もありました。 存分に楽しませて頂きました。

冒頭のボロディンによる「イーゴリ公」序曲、この曲をこんなに面白く聴けたのは指揮者の松井さんによるところ大でしょう。 伸びあがったり、時に踊ったりしながらも、きちんとオケを制御していました。 見て、聴いて、とても解りやすい感じがして、こちらもなんだかワクワクしながら聴いていました。 オケは各パートがよく纏まっていて、とくに弦楽器群(11-10-8-6-7 の通常編成)がしっかりしているのはこのオケの強みですね。

続くビゼーの交響曲、まさに春らしい曲ですが、ちょっと遅めのテンポ設定で、明るく派手になりがちなフレーズもきちんと抑えた上質な演奏に仕上がっていました。 こちらは森さんの手腕によるところ大でしょう。 とくに感じ入ったのは第2楽章、柔らかでしっとりとしたオーボエ、この楽章の白眉でありましたが、各パートとともに素晴しくて、この楽章全体をこんなにもうっとりと楽しめたのは初めてのように思います。 ここでも弦楽アンサンブルが安定していて、いい響きで絡み合っていたことが土台になっていましたね。 明るく元気に春らしく・・・この曲によくある演奏ですけれど、このように端正に纏めた丁寧な音楽造りに唸りました。

休憩を挟んでメインのチャイコフスキーの交響曲第5番。 この演奏は何といってもティムパニの活躍に尽きる、そんな感じで聴いていました。 オーケストラの中央奥・最上段に君臨するティムパニ、といった感じ。 終始キレの良く打ち込み、曲の芯をしっかりと形成し、そしてクライマックスではスピード感あるロール。 強打のティムパニの響きがホールに響き渡って曲をグイッと盛り上げていました。 そんなに出しゃばっていいのか、と時に思えるほどに存在感たっぷりでしたね。 それに引き換え、抑制かかった金管楽器群が大人しく感じるほど。 終楽章ではホルン6本(全員女性)がベルアップして頑張っていましたけれど、ホルンは終始大人しかったですね。

指揮者の松井さん、この演奏でも大きな分かりやすい動きで感情を乗せてゆきますが、基本的に曲の骨格はとても端正でオーソドックス、と受け取りました。 メリハリつけながらも丁寧に曲を進めている感じ。 しかしティムパニが気を吐いているのでパワフルになっている・・・これは狙ったものなのかは判りませんが、盛り上がったことは確か。 終楽章でのピークの形成、そして行進曲となって熱演、というより力演として見事な幕切れでした。

そして冒頭に書いたとおりアンコールはわざとちょっとタガを緩めてぐいぐいと盛り上げてのお開き。 楽しかった。 どの演奏も満足いたしました。 ありがとうございました。
そして次回の第40回定期は客演指揮に井ア正浩さんを迎えてマーラーの交響曲第7番ですね。 こちらも楽しみです。



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2015年02月22日

同志社女子大学オペラクラス 第28回公演「フィガロの結婚」

日時:2014年2月21日(土) 14:00開演(13:30開場)
場所:同志社女子大学京田辺キャンパス・新島記念講堂

モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」全4幕(イタリア語上演)

演出・音楽指導:井上敏典
音楽指導:井原秀人
衣装:岸井克己

アルマヴィーア伯爵:青木耕平
フィガロ:井原秀人
ドン・バルトロ:雁木 悟
ドン・バジリオ:谷浩一郎
ドン・クルツィオ:平松実留
アントニオ:佐藤彰宏

<4回生オペラクラス配役>
伯爵夫人:津島凪子(2幕前半)
      井関日和(2幕後半)
      上野説子(3幕)
      中元瑠璃(4幕)
スザンナ:松田淑佳(1幕前半・3幕前半)
      灰谷今日子(1幕後半)
      中田圭依(2幕前半)
      隠地奈保(2幕後半)
      横山綾香(3幕後半)
      鈴木 萌(4幕)
ケルビーノ:辻 朋華(1幕)
       松永麻美(2幕)
       吉永有希(3・4幕)
マルチェリーナ:橋本仁子(1・2幕)
         梶原 遥(3・4幕)
バルバリーナ:金治久美子

花娘・村娘:3年次オペラクラス
      浦山慶子、横井優夏
村の若者:大阪音楽大学在学生卒業生有志

管弦楽:同志社女子大学音楽学科管弦楽団

指揮・チェンバロ:瀬山智博

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昨年に続いての原語上演、オーケストラの演奏も瀬山さんがチェンバロを前に弾き振りとしてパンチの効いた伴奏で、序曲や幕切れなど捲くし立てるように進めていました。 時流に沿えば、日本語上演の時代ではないのでしょうけれど、昨年に続いてまだ違和感を拭えないのが正直なところでした。

かつての日本語上演、伴奏も歌に合わせて伸び縮みさせていたころの上演に懐かしさを感じました。 演出も坂口さんの時代の方が、舞台をもっと立体的に使っていたのではなかったかな。 アリアを歌うとき、重唱でもメインで歌うときには必ず舞台前方に立ち、中央付近ににじり寄ってくるのは、学芸会のお披露目みたいにも思えてしまって・・・、せっかくのオペラクラスの方々の熱演・熱唱も小さく纏まってしまったのではないか。

アンケートにこのような感想を第3幕のあとに書いたものの、第4幕での熱演を見て出すのを辞め、持ち帰ってきました。 オペラクラスの方々の熱演・熱唱は毎年変わらず、カーテンコールまで一所懸命で目頭の熱くなるものを感じます。 今回は第4幕がとても充実していましたね。 冒頭のバルバリーナ、小さい方なのに声の響きに奥行きもあって声量も充分、一気に惹かれました。 バルバリーナ、第3幕よりケラケラと笑っては走り回る役どころですけれど、伸びやかな演技も良かったように感じました。

そして第4幕のスザンナの朗々として柔らかくもよく透る声が素晴しかったですね。 うっとりと聴き惚れました。 重唱となっても、しっかりと声が聴こえて男声陣とも渡り合って存在感も充分でしたね。 伯爵夫人もまた柔らかな声、童顔でスザンナにも見えてしまうのはストーリーに合わせた人選だったのかな、と思ってしまったり。とにかく男声陣、オーケストラも含めて第4幕がとても見応え聴き応えがありました。 そして感動のカーテンコール。 関係者ではありませんが、毎回ここで目頭が熱くなるものを感じます(なのでアンケートは出せなかった)。

第1幕前半と第3幕後半のスザンナは可憐な声で透明感ありましたし、第1幕後半のスザンナもよく透る声質で器用な感じを持ちました。 ケルビーノは艶のある声に奥行きがあってとても良かったですね。 マルチェリーナは若い女性には難しい役どころながら声量もあって堂々と渡り合っていて見事でした。

第2幕前半の伯爵夫人は凜として声に奥行きも感じられて伯爵とも堂々と渡り合っていましたね。 ケルビーノは柔らかな声質が特徴、やや感情込めたビブラートが印象に残りました。 2幕前半のスザンナは快活な雰囲気出してよく透る声でした。 後半の伯爵夫人も凜としていて落ち着いた演技で男声陣と渡り合って見事。 後半のスザンナの声はよく透ってましたね、マルチェリーナとともに熱く盛り上がったフィナーレでも存在感ありました。

第3幕、まろやかで良く伸びる伯爵夫人の歌はドラマティック、対するスザンナは堅めの声質で対応させていたのかもしれませんね。 ケルビーノも柔らかな声質であったようです。 マルチェリーナは深い声でとても落ち着いていましたね。 花娘は清々しい声が響きあってとても素敵。 そして第1幕ではちょっと雑然とした感じにも思えた合唱でしたけれど、この幕のフィナーレは柔らかでかつ押し出しもあって良かった。

そんなことを思い出しながらカーテンコールを眺めていました。 今回もちょっと斜めに見てしまった感も多いにありますけれど(すみません)、一列に並ばれた皆さんのお顔を見ると、各場面で歌われていた場面を思い起こします。 いつも感じますが、一所懸命やりきった爽快感を感じた幕切れでした。 一流の男声陣と渡り合った貴重な経験をされたと思います。 出演された皆さんの今後のご活躍を期待します。




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2015年02月19日

紫苑交響楽団 第25回定期演奏会

日時:2015年2月15日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:高槻現代劇場・大ホール

曲目:ベートーヴェン/祝祭劇「献堂式」序曲
   ハンス・ロット/交響曲第1番 第1楽章(1878年初稿版)【日本初演】
   ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」
(アンコール)ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

指揮:寺岡清高

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明るい響きながら奥行きのしっかりとある弦楽アンサンブルが素晴らしかった。 7本(田園では6本)のコントラバスの響きの上にヴィオラや第2ヴァイオリンもしっかりと鳴っているからでしょうね。 シャープでコンパクトに振る寺岡さんに導かれて、いずれの曲も聴き応えのあった演奏を楽しみました。

冒頭のベートーヴェンの祝祭劇「献堂式」序曲、あまり聴かない曲ですが、作品番号124は、第九(作品番号125)の一つ前の曲とのこと。 祝祭気分満載の明るい音色ながらしっかりと鳴る演奏に、今日は良い演奏会になるな、との予感を持ちました。

そして今回のお目当てハンス・ロットの交響曲第1番第1楽章(1878年初稿版)。 版の違いについてはパンフレットに書かれた以外の知識は持ち合せませんが、この曲はCDで繰り返し聴いているお気に入りの曲。 瑞々しさと誇大妄想的に拡がってゆくような音楽に身を委ね、そしてラスト、このフィナーレの熱い響きには思わず涙しそうになるほど感動しました。 素晴らしかった。 冒頭より各ソロ奏者の方は大変だったと思いますが、いずれも共感漂う演奏となっていたので満足しました。 全曲を紫苑と寺岡さんで聴いてみたいものです。

メインのベートーヴェンの田園交響曲。 寺岡さんはオーソドックスな曲の運び、特に思い入れを持たず、淡々とかつ的確に曲を進めていたようです。 と、こんな風に書くと、ちょっと退屈な印象を与えるかもしれませんが、この曲の良さを自ら語らせせているように感じました。 そしてオーケストラもまた寺岡さんに良く応えて見事。 伸びやかに鳴る第2ヴァイオリンやしっかりと鳴るヴィオラ。 そしてこれらがドライブ感あるコントラバスの響きの上に乗っているので、艶やかに鳴る第1ヴァイオリンもまた冴えるのですね。 そんな素晴らしい弦楽アンサンブルにチャーミングな木管アンサンブルの彩りが添えられた田園交響曲。 明るい響きでありながらもしっかりと腰の据わったサウンドで名曲を堪能しました。

超のつく有名曲・田園交響曲と、最近流行りハンス・ロット、演奏される方々にとってはとても大変だったと思いましたが、いずれの演奏も堪能させていただき有難うございました。 皆さんお疲れさまでした。



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2015年01月19日

吹田市交響楽団 第78回定期演奏会

日時:2015年1月18日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:吹田市文化会館「メイシアター」大ホール

曲目:ロッシーニ/歌劇「どろぼうかささぎ」序曲
   ブリテン/4つの海の間奏曲
   シベリウス/交響曲第2番 -*
(アンコール)シベリウス/フィンランディア -*

指揮:米山 信、新谷 武(-*)

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P1199609 posted by (C)fronte360

丸1年、用事が重なって伺えなかった吹響の演奏会。 今回はちょっと凝ったプログラムながら、いつもどおり各指揮者の特徴にもよく反応し、きちっと纏まった演奏との印象を持った演奏会でした。

手堅く省エネな米山さんの指揮により、明るくきびきびしたロッシーニらしい響きで始まった序曲、ロッシーニ・クレシェンドも両手を同じように上下に振ってきっちりと決めていました。 ブリテンの「4つの海の間奏曲」、現代音楽らしい難しい響きも随所にありますが、これもきちんとよく出ていましたね。 当方はあまり耳馴染みのない曲なので、特に思い入れもなく、卒なく聴かせた、そんな感じだったでしょうか(すみません)。

そして粘着質ながら、要所をバシっと決める新谷さんの指揮でのシベリウスの交響曲第2番。 中低弦や金管をパワフルに鳴らせていたのが印象に残りました。 しかし纏まりといった点では、高音弦だけになると薄い響きになったりして・・・ちょっと没入するには距離を感じた演奏でした。

一番良かったのはアンコール(と言っては失礼なのでしょうけれども)、フィンランディアがこの演奏会で出色の出来。 自信に満ちていて、輝かしくもあって深みも感じた素晴らしい演奏でした。 会場を後にしたあとも、しばらくメロディが頭の中で渦巻いていたほどです。

このフィンランディアに全てかき消されてしまった感じだったでしょうか。 いずれの演奏もしっかりとした演奏で、聴かせどころをきちんと抑えていましたし、多少の事故もあったように思いますが、致命傷はなくて、全体としてはよく纏まってもいた演奏にも思ったのですけれど、なんとなく違和感がぬぐえなく・・・そんな感じ。 うまく言えませんけれど・・・ でも、フィンランディアを聴いて、曲に対する自信かも、そんな風に思った次第です。

ところで話は脱線しますが、今回は演奏会に伺うまでの時間に余裕があったので、なんと難波の湊町よりメイシアターまで3時間ほどかけて歩いて来ました。 途中、南方で阪急電車に乗るつもりでしたけれど、まだ時間もあったので淡路あたりで電車に乗るつもりでしたが・・・道に迷って阪急電車の駅が見つからず・・・やっと阪急電車の線路を見つけたら、なんと阪急吹田駅のすぐ手前。 演奏会に遅れるのではないかと、もう汗だくで、疲労困憊した状態での演奏会参戦となってました。 かなり無謀だったと反省しています。

次回は6月6日、メンデルスゾーンの交響曲第3番がメインだそうですね。 次回は体調万全にて臨みたいと思います。 今回の感想はこれでお許しください。 皆さんお疲れさまでした。

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2015年01月12日

西播磨交響楽団 第19回定期演奏会

日時:2015年1月10日(土) 14:00開演(13:30開場)
場所:たつの市総合文化会館・アクアホール

曲目:第1部 映画&TVの中のクラシック音楽
      L.アンダーソン/舞踏会の美女
      L.アンダーソン/タイプライター
      L.アンダーソン/ブルータンゴ
      シベリウス/交響詩「フィンランディア」
      カバレフスキー/組曲「道化師」より「ギャロップ」
      デュカス/交響詩「魔法使いの弟子」
   第2部 ニューイヤーコンサート
      J.シュトラウス2世/喜歌劇「こうもり」序曲
      J.シュトラウス2世/常動曲
      J.シュトラウス2世/ポルカ「雷鳴と電光」
      J.シュトラウス2世/ピチカートポルカ
      J.シュトラウス2世/トリッチ・トラッチポルカ
      J.シュトラウス2世/アンネンポルカ
      J.シュトラウス2世/ワルツ「南国のバラ」
(アンコール)J.シュトラウス2世/美しく青きドナウ
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲

指揮:原田芳彰


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青春18きっぷを使って遠出をした甲斐がありました。 よく訓練されたオーケストラを、よく考えられた指揮がドライブして、良い雰囲気を醸し出していました。 お客さんもとても暖かい雰囲気で、アンコール演奏を終えて舞台が暗転しても拍手が鳴り止まず、指揮者の方が出てきて一段と大きな拍手でやっとお開き。 素適な演奏会で2015年を始めることが出来ました。

JR竜野駅より歩いて揖保川沿い、たつの市総合文化会館アクアホールに行きました。 ここは町村合併される前の旧揖保川町の庁舎の脇にあるようですね。 ホールに入ると500席ほどのとても綺麗なホール。 2階席も80席ほどあるので最前列を確保しました。 最前列でなくても席間が広くとってあって楽ちん、最前列は広々としていいホールですね。

ステージを見るとコントラバス4本が正面奥・向かって右側半分に並んでいました。 ウィーンフィルのニューイヤーが開催されるムジークフェライン流ですね。 オーケストラも弦楽器が 10-7-6-8-4 の対向配置となっていました。 なかなかに本格的です。 お客さんが続々と入って、1階席はほぼ満席。 2階席も最終的には7割ほど入ったようです。

第1部は「映画&TVの中のクラシック音楽」、耳馴染みのあるライト・クラシックスの演奏をお気軽に・・・でしょうか、。 白いジャケット姿で出て来られた指揮者の原田さんの出で立ちもその趣向なのでしょうけれど、とてもしっかりとした演奏内容に失礼ながら驚きました。 小ホールということもあって、やや直接音が多くあることより全般的に煌びやかな音色になっていますが、艶やかでたっぷりとしたヴァイオリンの響きなどたいしたもの。 横一列に並んだコントラバスと前列のトロンボーンが協調しあっていい感じでした。

タイプライターの演奏前には、指揮者の原田さんが無言でタイプライター奏者を立たせ、無言でにこやかに楽器紹介。 最近、演奏会でよく喋く指揮者もいらしてそれも良いのですけれど、ジャスチャーや表情などで客席に伝えるのもちょっと気取った感じで良いものですね。 もちろん肝心の演奏も、抑制を巧く効かせつつも小気味良く進め、きちんとした奥行き、時に推し出しの強さも持たせた演奏に感心しました。

オーケストラも原田さんの指揮によく合わせていて見事。 よく訓練されているように感じましたが、ブルータンゴでは 1st.ヴァイオリン末席の年配で白髪の男性奏者の方が、投げ出した左足でリズムをとりながらの演奏は雰囲気あって、見ていても楽しくなりました。 サックスの音を効果的に使われていたように、判りやすさを前面に出しつつも、各楽器にスポットライトを当てながら進める音楽。 耳に馴染んだ曲ながら発見があって大いに楽しめました。

そして強靭な響きでタイトにぐいぐいと盛り上げたフィンランディア、各パートの纏まりが良くリズム感を持って見事に進めた魔法使いの弟子、ここでもタイトな響きのホルン、コントラファゴットの響き、終わりにはヴィオラのソロなど色々な楽器の活躍があって第1部を存分に楽しませていただきました。

20分間の休憩、指揮者の原田さんは今度は黒の燕尾服に着替えての登場です。 第2部は「ニューイヤーコンサート」と題してウィンナ・ワルツ、舞踏会の指揮者然としての登場ですね。

第2部、ここでも御馴染みの曲をきっちりと演奏されてゆくわけですが、第1部で感じたのと同じく、判りやすさを前面に出しつつも各楽器やパートにスポットライトを当てながら音楽を進めてゆきました。 しかもこれが見事に手中に入っている感じ。 もちろんウィットにも富んでいて、常動曲の最後、指揮をしながら道路標識の「とまれ」の逆三角形のマークを描いた紙を客席にゆっくりと持ち上げて示し、客席ににやりと笑いかけてのストップ。 見事でした。 くすっと笑わせてもらいました。 これらも含め、原田さんのスコアの読みの深さあってのことと類推した次第です。

オーケストラの皆さん、曲が終るたびに狭いステージの中でシフトを素早く替えて、次々と演奏を展開されてゆきます。 そしてどの曲もしっかりとした演奏で応えていたのが印象的。 原田さんの意図が見事に音になって出てきて、とても安心して聴いていられましたし、このフレーズはこの楽器が演奏しているんやな、などなど色々な発見を楽しみながら聴かせてもらいました。 時に早いフレーズになって弦楽器が揃っていない点もあったように思いましたけれど、それとて一所懸命。 おざなりな演奏だと感じたところは一箇所もありませんでした。 それでいて堅苦しさなど感じさせない上質な演奏です。

最後のアンコール曲、ラデツキーマーチは客席と一緒になって手拍子で盛り上がるのが常ですけれども、これとて原田さんはにこやかな笑みを浮かべながらも客席にしっかりとした指揮を繰り返して進めます。 最後なので過度に盛り上げるように客席やブラスを煽って盛大に・・・そんなこと無くしっかりとした音楽をしっかりと楽しむ、そんな感じ。 指揮者ともどもケレン味のない演奏会を客席もしっかりと楽しませて頂きました。 清々しい気分。 良い演奏会で2015年を始めることが出来ました。 皆さん有難うございました。


posted by fronte360 at 06:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 15-演奏会にて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする