日時:2015年12月27日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:京都府長岡京記念文化会館
曲目:リスト(ミューラー=ベルクハウス編曲)/「ハンガリー狂詩曲」第2番
ウォルトン(J.S.バッハ原曲)/バレエ組曲「賢い乙女たち」
ブラームス/交響曲第4番
(アンコール)ブラームス(ドヴォルザーク編曲)/ハンガリ舞曲第17番
指揮:木下麻由加
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先日の奈良女オケで好演を聴かせてくださった木下麻由加さんが指揮されるとあって、本年最後の演奏会として京都フィロムジカの演奏会に伺いました。 単身赴任前、2007年12月の第22回定演以来、しばらくご無沙汰していましたが、やはり巧いオケでした。
また選曲も凝ってますしね。 当方とあまり相性の良くないウォルトンでしたが、J.S.バッハの曲をモチーフにしたバレエ組曲「賢い乙女たち」が素晴しかったですね。 ウォルトンも根性決めて聴きなおしてみようか、と思った次第。 第5曲はソロも素晴しかったけれど、弦と管が一体となった豊かな音楽に心奪われました。
そして冒頭のリストのハンガリー狂詩曲第2番、プログラムには凝った解説もありましたが、分厚い響きに潤いも感じるほどによくオケが鳴ってましたね。 チャールダッシュも軽やかながら芳醇な響きに舌を巻きました。 キレよくスタイリッシュに決めていました。
メインのブラームスもきっちと纏めてよく鳴っていましたけれど、こちらはちょっと疑問符。 ゆったりと糸を引くような出だしに心躍らせましたが、やたらとホルンの響きが前に出ていたのに驚きました。 また皆さん巧くて各楽器がよく鳴って、良く言うと等価に鳴って聴かせているのですが、それぞれで鳴っているようであまり溶け合っていないのね。 これは指揮者の制御の問題と思うので、若さを前に出したブラームスだったのでしょうか。 ブラームスの交響曲は構成感がしっかりとしているので決して下手には聴こえませんけれど、何だか聴き疲れしてしまいました。 もっとも当方のような爺ぃには、枯淡の境地みたいな演奏がお目当てだったので、方向性の違いということで許してください。
それにしてもウォルトンの「賢い乙女たち」は見事でしたね。 第1曲より軽やかながら豊かな響きに魅了されました。 前のリストで聴かせた鋭角的な響きとは違って粘り気もありながら、金管コラールもカラフルでした。 第2曲は落ち着いた音楽ながら中低弦が腰の据わった響きで進めホルン、クラリネットもしっとりとしてオルガンのような響きが見事。 第3曲、ここれは中音弦、ヴィオラとチェロの粘り気を含んだ響きに、濡れたようなオブリガートのオーボエが絡んで素適でした。 ヴィオラが頑張ってましたね。 第4曲では活気のある音楽となってトロンボーンのハリのある響き、軽やかに打つティムパニそして瑞々しい弦楽器に金管コラールがバッハでした。
そして白眉の第5曲目、ハープの深い響きにヴァイオリンソロの艶やかな響き。 馬渕清香さんの独壇場となっても良いところをオケの各メンバーも綺麗な音楽で応えて見事。 フルート、チェロなどなど、弦と管が一体となって素晴しい時間を過ごすことができました。 そして終曲はそれまでのロータリー式よりピストン式のラッパに持ち替えて祝祭気分あふれる音楽として幕。 大きな拍手を贈りました。
京都フィロムジカ、久しぶりでしたが変わらず精力的なオケでした。 この演奏会が今年の聴き納め。 ブラームスはちょっと当方と合いませんでしたが、とにかく若くて尖っているのって素晴しいな、と思ったしだい。 皆さん良いお年を。
2015年12月28日
2015年12月23日
第22回「天理の第九」演奏会
日時:2015年12月20日(日) 14:00開演(13:15開場)
場所:天理市民会館やまのべホール
曲目:<第1部>
シベリウス/カレリア組曲(シベリウス生誕150年記念)
安野英之 指揮 天理シティーオーケストラ
<第2部>
ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱付き」
(アンコール)
(アンコール)エルガー/威風堂々(合唱付き、作詞:喜多園子)
(アンコール)蛍の光
独唱:内藤里美(S)、大賀真理子(A)、馬場清孝(T)、鳥山浩詩(Br)
合唱:天理第九合唱団
天理ピエーナ少年少女合唱団
奈良県立二階堂高等学校コーラス部
管弦楽:天理第九管弦楽団
指揮:河崎 聡
PC202245 posted by (C)fronte360
単身赴任期間中の中断はあれど毎年第九は「天理の第九」で締めくくっていますが、昨年「天理の第九」のきっかけとなった天理ライオンズクラブ設立50周年、そして天理市制60周年を経て、今年は新しい第九、河崎聡さんの指揮のもとストイックな演奏を堪能しました。 今年より合唱に加わった奈良県立二階堂高校コーラス部、昨年より参加されている天理ピエーナ少年少女合唱団を含めオール天理の実力を示した合唱が立体的に響き渡り、パワー一辺倒ではない素晴しい合唱に感動しました。 合唱団も指導されている河崎聡さんの指揮によってオケもよく鳴って、余計なドラマを廃したストイックな第九演奏で、合唱とのバランスも見事。 恒例となった天理を歌った合唱付きの威風堂々のあと、緑色のルミカライトを振りながら歌った蛍の光。 今年も大いに満足、大いに楽しませていただき、会場を後にすることができました。
開演30分前までにお越しください、とチケットに書かれていましたが、駅前でちょっと買物などしてから35分前に到着したのですが、なんと長蛇の列。 例年うかがっていますが、こんな長い列は始めてかも・・・引き換えてもらったのはX列、後ろから2列目。 もとより後ろの席が希望なのでこの方が良かったかも。 最後尾にはパイプ椅子の補助席まで出る満員御礼状態でした。 熱気に包まれた演奏会は、合唱にも参加される若い天理市長のお話で始まりました。
第1部は、安野英之指揮天理シティーオーケストラによる演奏で生誕150周年を迎えたシベリウスのカレリア組曲。 明るく柔らかな響きによる上質な演奏でした。 幻想的な前奏曲では柔らかく吹いたホルンと抑制をよく効かせたパーカションで丁寧な盛上がり。 バラードは落ち着いた音色の弦楽アンサンブル、しっとりと濡れたような木管。 とくにコールアングレがコントラバスのピチカートに乗せて素敵な音色で素晴しかったですね。 最後の行進曲風には明るく爽やか、トランペットが軽やかで上品。 カラフルでありながらも立体感もよく出た美しい演奏でした。 大きな拍手を贈りました。
第2部は、オーケストラに先ほど指揮されていた安野さんが本職のチェロで加わるなど、トレーナーの先生なども加わります。 コンサートマスターには栄嶋道広さんが座わって、弦楽器は 9-7-6-6-4 の編成による対向配置(第一部も対向配置でした)。 合唱団が先に席に着き、オーケストラも自由入場で三々五々集まってきて練習を始めて期待が高まります。 定刻、チューニングを終えて河崎さんがにこやかに登場。 オーケストラを立たせ、栄島さんと握手をして一礼。 登壇していよいよ始まります。
第1楽章、河崎さん、指揮棒を持たずに厳かな響きで始まりました(全曲指揮棒なしでした)。 中腰になって音量を絞って進めてから、激しくゲンコツを振り、気合を込めて盛り上げます。 コンパクトなオケよりタイトな響き、キレ良く進めて行きます。 栄島さんも普段よりも気合入ってるみたいで大きな動き。 木管アンサンブル、河崎さんは今度は両手を前に出して何かを掴むように指揮して渋い響きを醸し出してました。 トランペットは4人、先の曲とは違ってロータリー式の楽器に持ち替えてますね。 ゲンコツを繰り出してフレーズを短く切ってストイックでキレの良い音楽。 タイトな盛り上がりはドラマティックでもあって素晴しかった。 力強いフィニッシュとして会場より拍手も起きました。
第2楽章、キレよくタイトな開始ながら熱い音楽。 時計じかけのオレンジのような冷徹な響きとは間逆ですね。 中間部、のどかな感じですがオーボエは響きも色をつけずに淡々とした装いとして、またドラマティクな音楽にもどします。 ここでのフィニッシュはちょっと抜くような感じでの着地。
第3楽章、ソリストが入場しました。 河崎さん、慈しむようにこの楽章を始めます。 ファゴット、クラリネットそして弦楽アンサンブルが丁寧にゆったりと進め、河崎さんは更にオケを引きつけるようにじっくりと。 第2ヴァイオリンの響きが素適でした。 淡々と響きを重ねてゆきました。 そして腰をかがめた河崎さん、重ねた響きをゆっくりと止めます。
第4楽章、力強く拳を振って突入。 コントラバス4本ながら粘り強い重厚な響き。 重心を低くとってストイックでも冷徹じゃないのは第2楽章と同じ。 充分な間合いをとってから、歓喜の旋律をコントラバスがゆっくりと歌います。 感動的。 ヴィオラのしっとりとした響きにファゴットがからんで素適ですね。 明るさが徐々に増し、トランペットの響きも明るさを持ちながら落ち着いた進行。 そして切れ込み鋭い音楽として、バリトンの独唱が美声でした。 タイトな合唱による応答、少々堅い感じかな。 4人のソリストは粒が揃ってよく聴こえていました。
行進曲調となり、しなやかなトロンボーン、愛らしいピッコロはチャーミングです。 テノールのソロは若干擦れた声質かな、重唱となるとよく聴こえるのですけれど。 弦楽器が入って立体的な響きになりました。 重量感は少しなくなりましたが、明るい響きでタイトに響く合唱と絡みます。 男声合唱のミリオーネンはタイトな響き、トロンボーンも素適な響きで応えます。 女声合唱の拡がり、男声ともうまく絡んで、堅さもとれたみたい。 立体的な声の響きとなって魅了されました。 オケとも見事なバランスですね。
女声が左右に広がって、中央を男声が貫いてくる。 トランペットは輝かしく抜けるならば、トロンボーンの音色が麗しく響き渡る。 ソリストのソプラノも美声だしアルトも良い声で絡み、テノール、バスとも頑張って4人のソリストが揃っていて良かったですね。
ドライブをかけてフィナーレに突入。 河崎さんのにこやかな笑顔も垣間見えますが、余計な盛り上げ方はせずとも最後までストイックに締めて感動的な力強い幕切れ。 素晴しい演奏に会場より大きな拍手が沸き起こりました。
1994年、天理市制40周年、天理ライオンズクラブ創立30年を記念して始まった市民による手作り第九演奏会。 また新しい一歩を踏み出したように感じました。
アンコールの1曲目は・・・??・・・マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲と合唱だったのでしょうか。 そして一昨年より歌われている古里天理を歌い上げる合唱付きのエルガーの「威風堂々」。 恒例となった会場の全員が緑色のルミカライトを振って「蛍の光」を歌って今年もお開きとなりました。 天理の冬の風物詩「天理の第九」。 今年も素晴らしい演奏会にお招きいただき、有難うございました。
場所:天理市民会館やまのべホール
曲目:<第1部>
シベリウス/カレリア組曲(シベリウス生誕150年記念)
安野英之 指揮 天理シティーオーケストラ
<第2部>
ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱付き」
(アンコール)
(アンコール)エルガー/威風堂々(合唱付き、作詞:喜多園子)
(アンコール)蛍の光
独唱:内藤里美(S)、大賀真理子(A)、馬場清孝(T)、鳥山浩詩(Br)
合唱:天理第九合唱団
天理ピエーナ少年少女合唱団
奈良県立二階堂高等学校コーラス部
管弦楽:天理第九管弦楽団
指揮:河崎 聡
PC202245 posted by (C)fronte360
単身赴任期間中の中断はあれど毎年第九は「天理の第九」で締めくくっていますが、昨年「天理の第九」のきっかけとなった天理ライオンズクラブ設立50周年、そして天理市制60周年を経て、今年は新しい第九、河崎聡さんの指揮のもとストイックな演奏を堪能しました。 今年より合唱に加わった奈良県立二階堂高校コーラス部、昨年より参加されている天理ピエーナ少年少女合唱団を含めオール天理の実力を示した合唱が立体的に響き渡り、パワー一辺倒ではない素晴しい合唱に感動しました。 合唱団も指導されている河崎聡さんの指揮によってオケもよく鳴って、余計なドラマを廃したストイックな第九演奏で、合唱とのバランスも見事。 恒例となった天理を歌った合唱付きの威風堂々のあと、緑色のルミカライトを振りながら歌った蛍の光。 今年も大いに満足、大いに楽しませていただき、会場を後にすることができました。
開演30分前までにお越しください、とチケットに書かれていましたが、駅前でちょっと買物などしてから35分前に到着したのですが、なんと長蛇の列。 例年うかがっていますが、こんな長い列は始めてかも・・・引き換えてもらったのはX列、後ろから2列目。 もとより後ろの席が希望なのでこの方が良かったかも。 最後尾にはパイプ椅子の補助席まで出る満員御礼状態でした。 熱気に包まれた演奏会は、合唱にも参加される若い天理市長のお話で始まりました。
第1部は、安野英之指揮天理シティーオーケストラによる演奏で生誕150周年を迎えたシベリウスのカレリア組曲。 明るく柔らかな響きによる上質な演奏でした。 幻想的な前奏曲では柔らかく吹いたホルンと抑制をよく効かせたパーカションで丁寧な盛上がり。 バラードは落ち着いた音色の弦楽アンサンブル、しっとりと濡れたような木管。 とくにコールアングレがコントラバスのピチカートに乗せて素敵な音色で素晴しかったですね。 最後の行進曲風には明るく爽やか、トランペットが軽やかで上品。 カラフルでありながらも立体感もよく出た美しい演奏でした。 大きな拍手を贈りました。
第2部は、オーケストラに先ほど指揮されていた安野さんが本職のチェロで加わるなど、トレーナーの先生なども加わります。 コンサートマスターには栄嶋道広さんが座わって、弦楽器は 9-7-6-6-4 の編成による対向配置(第一部も対向配置でした)。 合唱団が先に席に着き、オーケストラも自由入場で三々五々集まってきて練習を始めて期待が高まります。 定刻、チューニングを終えて河崎さんがにこやかに登場。 オーケストラを立たせ、栄島さんと握手をして一礼。 登壇していよいよ始まります。
第1楽章、河崎さん、指揮棒を持たずに厳かな響きで始まりました(全曲指揮棒なしでした)。 中腰になって音量を絞って進めてから、激しくゲンコツを振り、気合を込めて盛り上げます。 コンパクトなオケよりタイトな響き、キレ良く進めて行きます。 栄島さんも普段よりも気合入ってるみたいで大きな動き。 木管アンサンブル、河崎さんは今度は両手を前に出して何かを掴むように指揮して渋い響きを醸し出してました。 トランペットは4人、先の曲とは違ってロータリー式の楽器に持ち替えてますね。 ゲンコツを繰り出してフレーズを短く切ってストイックでキレの良い音楽。 タイトな盛り上がりはドラマティックでもあって素晴しかった。 力強いフィニッシュとして会場より拍手も起きました。
第2楽章、キレよくタイトな開始ながら熱い音楽。 時計じかけのオレンジのような冷徹な響きとは間逆ですね。 中間部、のどかな感じですがオーボエは響きも色をつけずに淡々とした装いとして、またドラマティクな音楽にもどします。 ここでのフィニッシュはちょっと抜くような感じでの着地。
第3楽章、ソリストが入場しました。 河崎さん、慈しむようにこの楽章を始めます。 ファゴット、クラリネットそして弦楽アンサンブルが丁寧にゆったりと進め、河崎さんは更にオケを引きつけるようにじっくりと。 第2ヴァイオリンの響きが素適でした。 淡々と響きを重ねてゆきました。 そして腰をかがめた河崎さん、重ねた響きをゆっくりと止めます。
第4楽章、力強く拳を振って突入。 コントラバス4本ながら粘り強い重厚な響き。 重心を低くとってストイックでも冷徹じゃないのは第2楽章と同じ。 充分な間合いをとってから、歓喜の旋律をコントラバスがゆっくりと歌います。 感動的。 ヴィオラのしっとりとした響きにファゴットがからんで素適ですね。 明るさが徐々に増し、トランペットの響きも明るさを持ちながら落ち着いた進行。 そして切れ込み鋭い音楽として、バリトンの独唱が美声でした。 タイトな合唱による応答、少々堅い感じかな。 4人のソリストは粒が揃ってよく聴こえていました。
行進曲調となり、しなやかなトロンボーン、愛らしいピッコロはチャーミングです。 テノールのソロは若干擦れた声質かな、重唱となるとよく聴こえるのですけれど。 弦楽器が入って立体的な響きになりました。 重量感は少しなくなりましたが、明るい響きでタイトに響く合唱と絡みます。 男声合唱のミリオーネンはタイトな響き、トロンボーンも素適な響きで応えます。 女声合唱の拡がり、男声ともうまく絡んで、堅さもとれたみたい。 立体的な声の響きとなって魅了されました。 オケとも見事なバランスですね。
女声が左右に広がって、中央を男声が貫いてくる。 トランペットは輝かしく抜けるならば、トロンボーンの音色が麗しく響き渡る。 ソリストのソプラノも美声だしアルトも良い声で絡み、テノール、バスとも頑張って4人のソリストが揃っていて良かったですね。
ドライブをかけてフィナーレに突入。 河崎さんのにこやかな笑顔も垣間見えますが、余計な盛り上げ方はせずとも最後までストイックに締めて感動的な力強い幕切れ。 素晴しい演奏に会場より大きな拍手が沸き起こりました。
1994年、天理市制40周年、天理ライオンズクラブ創立30年を記念して始まった市民による手作り第九演奏会。 また新しい一歩を踏み出したように感じました。
アンコールの1曲目は・・・??・・・マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲と合唱だったのでしょうか。 そして一昨年より歌われている古里天理を歌い上げる合唱付きのエルガーの「威風堂々」。 恒例となった会場の全員が緑色のルミカライトを振って「蛍の光」を歌って今年もお開きとなりました。 天理の冬の風物詩「天理の第九」。 今年も素晴らしい演奏会にお招きいただき、有難うございました。
2015年12月14日
奈良女子大学管弦楽団 第45回定期演奏会
日時:2015年12月13日(日) 13:30開演(12:30開場)
場所:奈良県文化会館・国際ホール
曲目:ビゼー/カルメン第1・2組曲
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」
(アンコール)ドヴォルザーク(木下麻由加:編曲)/月の寄せる歌〜歌劇「ルサルカ」より
(アンコール)ドヴォルザーク/スラヴ舞曲集第1集・第1番
指揮:木下麻由加(客演)
PC132244 posted by (C)fronte360
木下麻由加さんの指揮のもと、カラフルな色彩感を持ってしっかりと鳴らしたカルメンが実に見事でした。 耳に馴染んだ曲ながら、よく考えられた指揮と演奏に唸りました。
また新世界交響曲は自信に満ちた演奏も聴き応え十分。 正直、今日は名曲コンサートみたいやから気楽に楽しもう・・・と思って伺いましたけれど、冒頭の前奏曲より真剣勝負にいきなり立ち会わされて、慌てて襟を正して聴かせてもらった次第です。
カルメン組曲第1番、「前奏曲」張りのある深い音色に並々ならぬものを感じ、野太いティムパニで覇気を感じて一気に惹きこまれました。 「アラゴネーゼ」可憐な管楽器、艶のあるヴァイオリンと色彩感が素晴らしかった。 「間奏曲」明るくしっとりとした美しい調べにやや堅さも感じましたが若者らしい清潔な響きに思えました。 「セギディリャ」柔らかく吹くホルンとトランペットがチャーミング。 「アルカラの竜騎兵」ファゴットとクラリネットの深くも張りのある音色が素敵でした。「トレアドール」木下さんの軽いハナ息とともにグラマラスな響きが飛び出しました。 音量上がっても刺激的な響きではなく、オケの皆さんも楽しんで演奏されているみたい。 チェロ奏者の方など笑顔も見えて楽しさが伝わってきましたね。
組曲第2番、「密輸入者の行進」抑揚を巧くつけた木下さんの聴かせ上手な演奏にオケもしっかりと応えて立体的な響きになっていました。 「ハバネラ」しっとりした軽さと美しさ、しかし要所はしっかりと決めてよく考えられた演奏でしたね。 「ノクチュルヌ」しみじみと歌わせたソロヴァイオリンが見え隠れ、各パートはよく纏まっていました。 ホルンの好演が光っていました。 「闘牛士の歌」は華やかでカラフルなオケの響きにトランペットが柔らかくもしっかりと芯のある歌を奏でて頑張ってました。 「衛兵の交替」バンダのトランペットと舞台のトランペットの呼応もバッチリ決め、可憐なピッコロそして華やかなアンサンブル、明快な響きが素敵。 「ジプシーの踊り」落ち着いて柔らかなフルートそしてハープが次第に音量増してスピードアップ、柔らかくも弾力ある響きが最後まで失われずに駆け抜けて見事な演奏でした。
以上カルメン組曲第1・2番の全12曲を休憩なしに演奏。 後半は若干スタミナ切れかと思う場面もあったように思いましたが、色彩感は衰えることなく魅力的な演奏はそのまま。 指揮者の木下麻由加さん、都合で聴けなかったスプリングコンサートも指揮されていたとのこと。 ボーイッシュなヘアスタイルは宝塚歌劇の男役のようでもあって、判りやすい指揮はスマートでカッコ良く、緩急・強弱をしっかりとつけてオーケストラをリード。 オケもまた幅の信頼を寄せての演奏でした。
15分の休憩を挟んで新世界交響曲。 こちらはスタイリッシュな演奏ながらもオケがよく鳴っていて、筋肉質とは違ってグラマラスな演奏。 さすがに奈良女オケの本領が発揮されていたように感じました。
第1楽章に入る前、木下麻由加さんが指揮台の上でしばし沈思黙考、ようやく頭を上げられ、チェロを向きおもむろに振り始めるとコクと艶のある響き。 ゆったりと奏でられました。 そのままゆったりと進めていってタイトなホルンが切り込みます。 間合いをとって慎重に進める木下さん、ハナ息とともに一気呵成にオケを走らせると、今度は機動力ある響きでオケも応えます。 「カルメン」の時よりも自信持って鳴らしている感じなのは、チェコのプラハ公演でも演奏された曲だからでしょうね。 凛とした木管も良かったですよ。 オケ全体がノッているのがよく判りました。
第2楽章、厳かかつ伸びのある金管の響き、ティムパニも太く柔らかな打音、これまたゆったりと進めたあとのコールアングレ、落ち着いた音色でした。 しっとりしみじみと大きな呼吸を持って進めていったあとの自然な盛り上がり。 纏まりのよいオケの響きが素敵ですね。 木下さん、ここでは指揮棒を持たずに手でなぞるような指揮。 抑揚を巧くつけて進めてゆきました。 オケは集中力を高く維持してドラマティックに応えていたのも印象的でした。
第3楽章、引き締まった響きでの開始、ティムパニは今度は先の細いマレットで鋭く打ち込んで惹き付けます。 オケは明るい華やかさを漂わせた響き、また時にタイトな響きと、各パートよく纏まって、また歌ってもいました。 最後はスパッと切り落として、アタッカ。
終楽章は、オケのヴォリュームがぐんと上りましたけれど、刺激的な響きになることなく自信に満ちた音楽が素晴しい。 低弦がしっかりと鳴っていますが伸びやかでいいですね。 緩急と強弱をしっかりと付けた音楽、ローカル色を排してインターナショナルな感じ。 ヴィオラがよく纏まって中音をしっかりと支えて見事でした。 ダイナミックさもありますが、小技もしっかりと効かせた音楽は聴きどころ満載。 そして最後の一音・・・ フェルマータをしっかりと長めにとっていたのも個人的に好きな演奏、もう感激!!
客席からのブラボーの声は当然でしょうが、出来ることなら指揮者が手を下してからにしてほしかったな・・・(と、余計なことですが)。 とにかく今回はこのオケの良さが最大限に引き出されていた演奏のように感じました。 大きな拍手を送りました。
木下さん、花束贈呈で受け取った花束を力強く分解し、女性奏者に渡して回りましたが、管楽器のところまでオケの外側をぐるっと走って渡してからまた走って戻って・・と大忙し。 こんなに走り回る指揮者も初めて見ましたけれど、まさに男役スターといった感じ。 颯爽としてカッコ良かったのもそのままに、今回はとてもカッコ良い演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。
場所:奈良県文化会館・国際ホール
曲目:ビゼー/カルメン第1・2組曲
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」
(アンコール)ドヴォルザーク(木下麻由加:編曲)/月の寄せる歌〜歌劇「ルサルカ」より
(アンコール)ドヴォルザーク/スラヴ舞曲集第1集・第1番
指揮:木下麻由加(客演)
PC132244 posted by (C)fronte360
木下麻由加さんの指揮のもと、カラフルな色彩感を持ってしっかりと鳴らしたカルメンが実に見事でした。 耳に馴染んだ曲ながら、よく考えられた指揮と演奏に唸りました。
また新世界交響曲は自信に満ちた演奏も聴き応え十分。 正直、今日は名曲コンサートみたいやから気楽に楽しもう・・・と思って伺いましたけれど、冒頭の前奏曲より真剣勝負にいきなり立ち会わされて、慌てて襟を正して聴かせてもらった次第です。
カルメン組曲第1番、「前奏曲」張りのある深い音色に並々ならぬものを感じ、野太いティムパニで覇気を感じて一気に惹きこまれました。 「アラゴネーゼ」可憐な管楽器、艶のあるヴァイオリンと色彩感が素晴らしかった。 「間奏曲」明るくしっとりとした美しい調べにやや堅さも感じましたが若者らしい清潔な響きに思えました。 「セギディリャ」柔らかく吹くホルンとトランペットがチャーミング。 「アルカラの竜騎兵」ファゴットとクラリネットの深くも張りのある音色が素敵でした。「トレアドール」木下さんの軽いハナ息とともにグラマラスな響きが飛び出しました。 音量上がっても刺激的な響きではなく、オケの皆さんも楽しんで演奏されているみたい。 チェロ奏者の方など笑顔も見えて楽しさが伝わってきましたね。
組曲第2番、「密輸入者の行進」抑揚を巧くつけた木下さんの聴かせ上手な演奏にオケもしっかりと応えて立体的な響きになっていました。 「ハバネラ」しっとりした軽さと美しさ、しかし要所はしっかりと決めてよく考えられた演奏でしたね。 「ノクチュルヌ」しみじみと歌わせたソロヴァイオリンが見え隠れ、各パートはよく纏まっていました。 ホルンの好演が光っていました。 「闘牛士の歌」は華やかでカラフルなオケの響きにトランペットが柔らかくもしっかりと芯のある歌を奏でて頑張ってました。 「衛兵の交替」バンダのトランペットと舞台のトランペットの呼応もバッチリ決め、可憐なピッコロそして華やかなアンサンブル、明快な響きが素敵。 「ジプシーの踊り」落ち着いて柔らかなフルートそしてハープが次第に音量増してスピードアップ、柔らかくも弾力ある響きが最後まで失われずに駆け抜けて見事な演奏でした。
以上カルメン組曲第1・2番の全12曲を休憩なしに演奏。 後半は若干スタミナ切れかと思う場面もあったように思いましたが、色彩感は衰えることなく魅力的な演奏はそのまま。 指揮者の木下麻由加さん、都合で聴けなかったスプリングコンサートも指揮されていたとのこと。 ボーイッシュなヘアスタイルは宝塚歌劇の男役のようでもあって、判りやすい指揮はスマートでカッコ良く、緩急・強弱をしっかりとつけてオーケストラをリード。 オケもまた幅の信頼を寄せての演奏でした。
15分の休憩を挟んで新世界交響曲。 こちらはスタイリッシュな演奏ながらもオケがよく鳴っていて、筋肉質とは違ってグラマラスな演奏。 さすがに奈良女オケの本領が発揮されていたように感じました。
第1楽章に入る前、木下麻由加さんが指揮台の上でしばし沈思黙考、ようやく頭を上げられ、チェロを向きおもむろに振り始めるとコクと艶のある響き。 ゆったりと奏でられました。 そのままゆったりと進めていってタイトなホルンが切り込みます。 間合いをとって慎重に進める木下さん、ハナ息とともに一気呵成にオケを走らせると、今度は機動力ある響きでオケも応えます。 「カルメン」の時よりも自信持って鳴らしている感じなのは、チェコのプラハ公演でも演奏された曲だからでしょうね。 凛とした木管も良かったですよ。 オケ全体がノッているのがよく判りました。
第2楽章、厳かかつ伸びのある金管の響き、ティムパニも太く柔らかな打音、これまたゆったりと進めたあとのコールアングレ、落ち着いた音色でした。 しっとりしみじみと大きな呼吸を持って進めていったあとの自然な盛り上がり。 纏まりのよいオケの響きが素敵ですね。 木下さん、ここでは指揮棒を持たずに手でなぞるような指揮。 抑揚を巧くつけて進めてゆきました。 オケは集中力を高く維持してドラマティックに応えていたのも印象的でした。
第3楽章、引き締まった響きでの開始、ティムパニは今度は先の細いマレットで鋭く打ち込んで惹き付けます。 オケは明るい華やかさを漂わせた響き、また時にタイトな響きと、各パートよく纏まって、また歌ってもいました。 最後はスパッと切り落として、アタッカ。
終楽章は、オケのヴォリュームがぐんと上りましたけれど、刺激的な響きになることなく自信に満ちた音楽が素晴しい。 低弦がしっかりと鳴っていますが伸びやかでいいですね。 緩急と強弱をしっかりと付けた音楽、ローカル色を排してインターナショナルな感じ。 ヴィオラがよく纏まって中音をしっかりと支えて見事でした。 ダイナミックさもありますが、小技もしっかりと効かせた音楽は聴きどころ満載。 そして最後の一音・・・ フェルマータをしっかりと長めにとっていたのも個人的に好きな演奏、もう感激!!
客席からのブラボーの声は当然でしょうが、出来ることなら指揮者が手を下してからにしてほしかったな・・・(と、余計なことですが)。 とにかく今回はこのオケの良さが最大限に引き出されていた演奏のように感じました。 大きな拍手を送りました。
木下さん、花束贈呈で受け取った花束を力強く分解し、女性奏者に渡して回りましたが、管楽器のところまでオケの外側をぐるっと走って渡してからまた走って戻って・・と大忙し。 こんなに走り回る指揮者も初めて見ましたけれど、まさに男役スターといった感じ。 颯爽としてカッコ良かったのもそのままに、今回はとてもカッコ良い演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。
2015年12月04日
京都教育大学管弦楽団 第46回定期演奏会
日時:2015年11月28日(土) 14:00開演(13:30開場)
場所:文化パルク城陽・プラムホール
曲目:ブラームス/大学祝典序曲(-*)
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
シベリウス/交響曲第2番
(アンコール)ハチャトゥリアン/「仮面舞踏会」より「ワルツ」
独奏:西尾恵子(vn)
指揮:藏野雅彦(客演) 木村友大(学生指揮-*)
PB292232 posted by (C)fronte360
真正面から演奏に取り組まれた爽やかな演奏会を楽しみました。
冒頭の学生指揮者木村さんによる大学祝典序曲、落着いて全体を見渡した指揮でオケもよく纏まっていましたね。 作品そのものに語らせる、といった感じだったでしょうか。 木管楽器もチャーミングでした。 コクやタメなど欲しい気がしたのは欲張りで、明るい響きによる若者らしい大学祝典序曲。 終演後、コンマスと熱い握手をしていたのも納得できました。 大きな拍手を送りました。
2曲目のヴァイオリン協奏曲はソリスト西尾さんが素晴らしかった。 艶ののった深みのある響き、安定したテクニックに加えて楽器をいっぱいに鳴らす雄弁さも特筆しておきたいですね。 特に第1楽章のカデンツァと終楽章。 先鋭的でもあって聞き惚れていました。 西尾さんの独壇場みたい。 藏野さんに率いられたオーケストラは正に纏められていてソロとの息も良く、ソロを見事に惹き立てていました。 とても聴き応えのある演奏に大満足。
10分間の休憩を挟んでメインのシベリウスの交響曲第2番。 この難曲に真正面がぶつかって乗り越えていましたね。 これは藏野の明快な指揮によってじっくりと進めたところ大でしょうが、それに集中力を切らさず一所懸命ついていったオケの健闘もまた見事。 終始太い響きで曲を支える低弦をベースとし、各パート一丸となって曲を進めていた弦楽アンサンブルが良かったですね。 そしてタイトに打つティムパニ、マレットを換えながら時に鋭くコンパクトに打って引き締めていましたし、終楽章、輝かしく吹いた金管ファンファーレもしっかりと抑制をかけて曲からはみ出さず見事に曲を彩っていました。
今回初めて聴いた京都教育大学管弦楽団ですが、客演とはなっていますが藏野さんも同校の非常勤講師をされているそうですし、素晴らしい演奏を聴かせてくれた西尾さんも弦トレーナーをされているそうです。 真摯な演奏は爽やかで、今後の更なる発展を期待したいと思います。 とにかくお疲れさまでした。
場所:文化パルク城陽・プラムホール
曲目:ブラームス/大学祝典序曲(-*)
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
シベリウス/交響曲第2番
(アンコール)ハチャトゥリアン/「仮面舞踏会」より「ワルツ」
独奏:西尾恵子(vn)
指揮:藏野雅彦(客演) 木村友大(学生指揮-*)
PB292232 posted by (C)fronte360
真正面から演奏に取り組まれた爽やかな演奏会を楽しみました。
冒頭の学生指揮者木村さんによる大学祝典序曲、落着いて全体を見渡した指揮でオケもよく纏まっていましたね。 作品そのものに語らせる、といった感じだったでしょうか。 木管楽器もチャーミングでした。 コクやタメなど欲しい気がしたのは欲張りで、明るい響きによる若者らしい大学祝典序曲。 終演後、コンマスと熱い握手をしていたのも納得できました。 大きな拍手を送りました。
2曲目のヴァイオリン協奏曲はソリスト西尾さんが素晴らしかった。 艶ののった深みのある響き、安定したテクニックに加えて楽器をいっぱいに鳴らす雄弁さも特筆しておきたいですね。 特に第1楽章のカデンツァと終楽章。 先鋭的でもあって聞き惚れていました。 西尾さんの独壇場みたい。 藏野さんに率いられたオーケストラは正に纏められていてソロとの息も良く、ソロを見事に惹き立てていました。 とても聴き応えのある演奏に大満足。
10分間の休憩を挟んでメインのシベリウスの交響曲第2番。 この難曲に真正面がぶつかって乗り越えていましたね。 これは藏野の明快な指揮によってじっくりと進めたところ大でしょうが、それに集中力を切らさず一所懸命ついていったオケの健闘もまた見事。 終始太い響きで曲を支える低弦をベースとし、各パート一丸となって曲を進めていた弦楽アンサンブルが良かったですね。 そしてタイトに打つティムパニ、マレットを換えながら時に鋭くコンパクトに打って引き締めていましたし、終楽章、輝かしく吹いた金管ファンファーレもしっかりと抑制をかけて曲からはみ出さず見事に曲を彩っていました。
今回初めて聴いた京都教育大学管弦楽団ですが、客演とはなっていますが藏野さんも同校の非常勤講師をされているそうですし、素晴らしい演奏を聴かせてくれた西尾さんも弦トレーナーをされているそうです。 真摯な演奏は爽やかで、今後の更なる発展を期待したいと思います。 とにかくお疲れさまでした。
2015年11月20日
近畿フィルハーモニー管弦楽団 第11回ファミリーコンサート
日時:2015年11月15日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:八尾市文化会館プリズムホール・大ホール
曲目:ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18
ムソルグスキー/交響詩「禿山の一夜」
ビゼー/「カルメン組曲」第1組曲、第2組曲から抜粋
(アンコール)ビゼー/「アルルの女」より「ファランドール」
(アンコール)日本の唱歌メドレー
独奏:村上祥子(p)
指揮:今西正和
PB201983 posted by (C)fronte360
ファミリーコンサート、小さなお子さん連れが多く賑やかなホールの中で、荘重な響きで始まったラフマニノフのピアノ協奏曲が素敵でした。
重厚なヴァイオリンの響きがたっぷりと鳴って素晴らしい開始。 村上さんのピアノも負けじと更に強い打鍵で応えて会場内の騒音をものともせず進めます。 指揮者の今西さんは、半身になってオケとともにピアノも見ながらしっかりと曲をまとめて、さすがにロシアで勉強された響きだと感じ入りました。 深いピアノの響きで始まった第2楽章も粒立ちの良い明快なタッチで安定感もありました。 終楽章こそやや棒読みっぽくぶっきらぼうな場面もあったようですが、ロマンティックに進めた今村さん、集中力を高めた重厚な幕切れもまた見事でした。 演奏中の入場は致し方ないとしても途中で座席を替わる子供や、騒音などありましたが、見事な集中力で乗切りましたね。 ロシアの香りのした本格的な演奏が気に入りました。
休憩のあとは、今西さんの解説をともなった名曲コンサート。
トンガリ帽子などの被り物をした団員が出てきて、指揮者の今西さんも白シャツに黒マント姿。 お化けの宴会のシーンや、リムスキー=コリサコフが改変した終結部など、要所を抜き出して演奏するオマケ付き。 事前にポイント聴かせておくことで、全体を通して聴くときの興味の持続が図れるという配慮でしょうか。
それはともかく、ハリのある響きでの開始より客席を惹きつけていました。 変な力みなどなくよく纏まった演奏に好感が持てる演奏でした。 筋肉質な響きでしたが派手でマッチョすぎないのが良かった。 今西さん、変に煽ったりシナを作ったりせず真正面に曲に向かっていて、オーケストラもまた各パートがよく纏まって一所懸命に演奏されているので相性が良さそうに感じた次第です。
続く「カルメン」は、今西さんがストーリーを解説し、ストーリーに沿った場面の曲を2〜3曲づつ演奏するというスタイル。 「カルメン」の名前はよく知っていても、ストーリーは案外最後の場面しか知らないものだったりします。 そして2〜3曲ずつ演奏するのも興味の持続を図れるためでしょうね。
1幕はまず「前奏曲」艶のある弦楽器の響きでで掴みはバッチリ。 「ハバネラ」で要所に力を込めてじっくりと進めました。
2幕より「アルカラの竜騎兵」は弾力ある低弦ピチカートにファゴットの艶のある響き、木管がチャーミング。 「闘牛士の歌」トランペットの響きに輝きとコクがありました。 タイトに締めても、派手にならずしっかりとした演奏なのは今西&近フィル流でしょう。
3幕からは「間奏曲」柔らかなフルートの響きにうっとり。たっぷりと楽しませてもらいました。 「ノクターン」こちらはホルン4本、柔らかな響きでした。 ミカエラの歌部分をヴァイオリンのソロ、しっとりと歌いました。
4幕は「アラゴネーズ」オーボエソロの凛とした響きと弾力とキレのあるオケの響きが魅力的。「トレアドール」リズム感良くも腰の据わった音楽には力がみなぎっていてカッコ良い音楽での幕切れでした。
ファミリーコンサートなので未就学の子どもの声もしていましたが、身近にオーケストラの音楽を楽しめる機会があるのは良いことだと思います。 オーケストラにとっても悪条件でしょうが、各曲目ともに手を抜くことなど皆無で真摯に音楽に向き合った演奏は清々しくもありました。 素適な演奏会を有難うございました。
場所:八尾市文化会館プリズムホール・大ホール
曲目:ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18
ムソルグスキー/交響詩「禿山の一夜」
ビゼー/「カルメン組曲」第1組曲、第2組曲から抜粋
(アンコール)ビゼー/「アルルの女」より「ファランドール」
(アンコール)日本の唱歌メドレー
独奏:村上祥子(p)
指揮:今西正和
PB201983 posted by (C)fronte360
ファミリーコンサート、小さなお子さん連れが多く賑やかなホールの中で、荘重な響きで始まったラフマニノフのピアノ協奏曲が素敵でした。
重厚なヴァイオリンの響きがたっぷりと鳴って素晴らしい開始。 村上さんのピアノも負けじと更に強い打鍵で応えて会場内の騒音をものともせず進めます。 指揮者の今西さんは、半身になってオケとともにピアノも見ながらしっかりと曲をまとめて、さすがにロシアで勉強された響きだと感じ入りました。 深いピアノの響きで始まった第2楽章も粒立ちの良い明快なタッチで安定感もありました。 終楽章こそやや棒読みっぽくぶっきらぼうな場面もあったようですが、ロマンティックに進めた今村さん、集中力を高めた重厚な幕切れもまた見事でした。 演奏中の入場は致し方ないとしても途中で座席を替わる子供や、騒音などありましたが、見事な集中力で乗切りましたね。 ロシアの香りのした本格的な演奏が気に入りました。
休憩のあとは、今西さんの解説をともなった名曲コンサート。
トンガリ帽子などの被り物をした団員が出てきて、指揮者の今西さんも白シャツに黒マント姿。 お化けの宴会のシーンや、リムスキー=コリサコフが改変した終結部など、要所を抜き出して演奏するオマケ付き。 事前にポイント聴かせておくことで、全体を通して聴くときの興味の持続が図れるという配慮でしょうか。
それはともかく、ハリのある響きでの開始より客席を惹きつけていました。 変な力みなどなくよく纏まった演奏に好感が持てる演奏でした。 筋肉質な響きでしたが派手でマッチョすぎないのが良かった。 今西さん、変に煽ったりシナを作ったりせず真正面に曲に向かっていて、オーケストラもまた各パートがよく纏まって一所懸命に演奏されているので相性が良さそうに感じた次第です。
続く「カルメン」は、今西さんがストーリーを解説し、ストーリーに沿った場面の曲を2〜3曲づつ演奏するというスタイル。 「カルメン」の名前はよく知っていても、ストーリーは案外最後の場面しか知らないものだったりします。 そして2〜3曲ずつ演奏するのも興味の持続を図れるためでしょうね。
1幕はまず「前奏曲」艶のある弦楽器の響きでで掴みはバッチリ。 「ハバネラ」で要所に力を込めてじっくりと進めました。
2幕より「アルカラの竜騎兵」は弾力ある低弦ピチカートにファゴットの艶のある響き、木管がチャーミング。 「闘牛士の歌」トランペットの響きに輝きとコクがありました。 タイトに締めても、派手にならずしっかりとした演奏なのは今西&近フィル流でしょう。
3幕からは「間奏曲」柔らかなフルートの響きにうっとり。たっぷりと楽しませてもらいました。 「ノクターン」こちらはホルン4本、柔らかな響きでした。 ミカエラの歌部分をヴァイオリンのソロ、しっとりと歌いました。
4幕は「アラゴネーズ」オーボエソロの凛とした響きと弾力とキレのあるオケの響きが魅力的。「トレアドール」リズム感良くも腰の据わった音楽には力がみなぎっていてカッコ良い音楽での幕切れでした。
ファミリーコンサートなので未就学の子どもの声もしていましたが、身近にオーケストラの音楽を楽しめる機会があるのは良いことだと思います。 オーケストラにとっても悪条件でしょうが、各曲目ともに手を抜くことなど皆無で真摯に音楽に向き合った演奏は清々しくもありました。 素適な演奏会を有難うございました。
2015年11月07日
枚方フィルハーモニー管弦楽団 第82回定期演奏会
日時:2015年11月1日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:枚方市市民会館・大ホール
曲目:メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」(-*)
ヴェルディ/「シチリア島の夕べの祈り」序曲
チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
(アンコール)メンデルスゾーン/「真夏の夜の夢」より「ノクターン」
指揮:寺坂隆夫(-*)、谷村 浩
PB071980 posted by (C)fronte360
冒頭の1音、その瑞々しく弾ける響きにいきなり魅了されたイタリア交響曲。 明るく伸びやかな弦楽器と木管楽器の織り成す響きに彩られた躍動感ある第1楽章。 クラリネット奏者が全身全霊をのせて音を絞り出ているのも素晴らしかったけれど、特筆しておきたいのは第2楽章。 低弦の響きが常にベースとなって曲を支え、その上でしっとりと歌った弦楽器と木管楽器による巡礼の歌。 オーボエかなと思っていたらファゴットも絡んだ響きだったのか、などの発見も沢山ありました。 指揮者の寺坂さんが慈しむように細心の注意を払ってバランス良く進めてゆくのを見て聴いて・・・ 正直こんなに素晴らしい演奏に出会えるとは(ごめんなさい)思っていなかっただけにとても感激しました。
そして落着いた響きの第3楽章ではホルン、やや控え目ながら安定感抜群で聴き応えがありました(その安定感はアンコール曲でも見事に発揮されていましたね)。 強靭な響きで始まった終楽章。 ここでも中央に立った寺坂さん、ここでもバランスよくリードして進めていましたけれど、きちっと纏まっているだけでは決して出せない躍動感を感じたのは、各パートの纏まりが良くて演奏への自主性が出ていたからでしょうね。 自分たちの音楽を一所懸命演っている、そんな感じでしょうか。 そこを寺坂さんのリードによって単に勢いに任せて進めたのではない上質な音楽。 こんな演奏に出会えて幸せでした。
これに先立って演奏されたヴェルディの「シチリア島の夕べの祈り」序曲。
素朴・朴訥とした序奏より、戦いを表す場面での一撃。 ここで勢いあまってティムパニ奏者の左手のマレットがこぼれて・・・はっとしましたが、別のマレットに持ち替えて大事無し。 行進曲調となって響きに艶が乗ってきたみたい。 谷村さんが要所をしっかりと決めながら進めた真摯な演奏でした。
チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」もまた要所をしっかりと決めながら刺激的な響きを抑えた演奏。 場面転換など学生オケならビシッバシッと肩ひじ張ったように進めるところもなだらかな感じで進めていました。 だから音量の割に迫力に欠ける感じもしましたけれど、じっくりと腰を据えた演奏となっていて、この曲が持つドラマへの暖かな想い、と理解しました。 指揮者の谷村さん、演奏終了後はかなり体力を消耗されていたみたいでしたが、メインのイタリアではヴィオラ席に座っておられましたね。
いつもながら手造りの暖かさを感じさせた前半プログラム。 そして今回、後半のイタリアは熟成された音楽を楽しませて頂きました。 皆さんお疲れさまでした。 そして素晴しい演奏をありがとうございました。
場所:枚方市市民会館・大ホール
曲目:メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」(-*)
ヴェルディ/「シチリア島の夕べの祈り」序曲
チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
(アンコール)メンデルスゾーン/「真夏の夜の夢」より「ノクターン」
指揮:寺坂隆夫(-*)、谷村 浩
PB071980 posted by (C)fronte360
冒頭の1音、その瑞々しく弾ける響きにいきなり魅了されたイタリア交響曲。 明るく伸びやかな弦楽器と木管楽器の織り成す響きに彩られた躍動感ある第1楽章。 クラリネット奏者が全身全霊をのせて音を絞り出ているのも素晴らしかったけれど、特筆しておきたいのは第2楽章。 低弦の響きが常にベースとなって曲を支え、その上でしっとりと歌った弦楽器と木管楽器による巡礼の歌。 オーボエかなと思っていたらファゴットも絡んだ響きだったのか、などの発見も沢山ありました。 指揮者の寺坂さんが慈しむように細心の注意を払ってバランス良く進めてゆくのを見て聴いて・・・ 正直こんなに素晴らしい演奏に出会えるとは(ごめんなさい)思っていなかっただけにとても感激しました。
そして落着いた響きの第3楽章ではホルン、やや控え目ながら安定感抜群で聴き応えがありました(その安定感はアンコール曲でも見事に発揮されていましたね)。 強靭な響きで始まった終楽章。 ここでも中央に立った寺坂さん、ここでもバランスよくリードして進めていましたけれど、きちっと纏まっているだけでは決して出せない躍動感を感じたのは、各パートの纏まりが良くて演奏への自主性が出ていたからでしょうね。 自分たちの音楽を一所懸命演っている、そんな感じでしょうか。 そこを寺坂さんのリードによって単に勢いに任せて進めたのではない上質な音楽。 こんな演奏に出会えて幸せでした。
これに先立って演奏されたヴェルディの「シチリア島の夕べの祈り」序曲。
素朴・朴訥とした序奏より、戦いを表す場面での一撃。 ここで勢いあまってティムパニ奏者の左手のマレットがこぼれて・・・はっとしましたが、別のマレットに持ち替えて大事無し。 行進曲調となって響きに艶が乗ってきたみたい。 谷村さんが要所をしっかりと決めながら進めた真摯な演奏でした。
チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」もまた要所をしっかりと決めながら刺激的な響きを抑えた演奏。 場面転換など学生オケならビシッバシッと肩ひじ張ったように進めるところもなだらかな感じで進めていました。 だから音量の割に迫力に欠ける感じもしましたけれど、じっくりと腰を据えた演奏となっていて、この曲が持つドラマへの暖かな想い、と理解しました。 指揮者の谷村さん、演奏終了後はかなり体力を消耗されていたみたいでしたが、メインのイタリアではヴィオラ席に座っておられましたね。
いつもながら手造りの暖かさを感じさせた前半プログラム。 そして今回、後半のイタリアは熟成された音楽を楽しませて頂きました。 皆さんお疲れさまでした。 そして素晴しい演奏をありがとうございました。
2015年10月24日
オーケストラ・アンサンブル・フォルツァ オータムコンサート2015
日時:2015年10月18日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:門真市民文化会館・ルミエールホール
曲目:J.S.バッハ(エルガー編)/幻想曲とフーガ ハ短調 BWV537
エルガー/チェロ協奏曲 ホ短調op.85
(アンコール)グノー/アヴェ・マリア
ヴォーン・ウィリアムズ/交響曲第5番
(アンコール)エルガー/エニグマ変奏曲より第9変奏「ニムロッド」
独奏:吉田円香(vc)
指揮:松永健司郎
PA221975 posted by (C)fronte360
「気高くも美しきイギリス音楽の魅力」と題され、フォルツァらしく知られざる名曲に果敢に挑んだ爽やかな演奏会でした。 惜しむらくは当方の最悪の体調、時折り咳き込みまた微熱もあったのか生彩なし。 ああ、体調万全で楽しみたかった。
ルミエールホール2階は立入禁止、1階のみで約8割のお客さんが入っていたでしょうか、けっこう入っていましたがステージ上も満員御礼状態でした。 冒頭の「幻想曲とフーガ」が一番大きな編成となるらしく弦楽器は 14-14-12-9-8 でヴァイオリン両翼配置。 低弦は右側で、通常第2ヴァイオリンの位置にヴィオラが配置されていました。 これが功を奏したようで、分厚い低弦の響きに、ヴィオラのウェットな響きもよく聴こえてエルガーらしい重厚感が良く出ていましたね。 松永さんの軽いハナ息でフーガに入って力強い響きに熱気も加わってスピードアップ。 タイトな打楽器の響き、切れ味良く進めたあと、ぐっと引きつけて一撃かましてお終い。 力の入った演奏でした。
オケの編成を 12-12-10-8-5 に絞り込み、グリーンのシックなドレスに身を包んだ吉田円香さんが登場。 エルガーのチェロ協奏曲もそんなドレスにも似た憂いを含んだようなシックな響きで始まりました。 力強さにはやや欠けるようだけれども、響きに艶と深みがあって聴かせるチェロですね。 オケの響きともよくマッチし、息もよく合っていました。
それがよく出ていたのが第3楽章、柔らかなチェロのソロが伸びやかに歌い、オケの弦楽アンサンブルも優しい音色でしっとりと響き合っていました。 終楽章のテクニカルな面もさっそうと駆け抜け、終盤のエルガーらしい深く重厚な響きも若いソリストとオケなのでドロドロな感じならずタイトで響きで幕としました。 深い響きの薫りを楽しむかのような演奏だったかな。
15分間の休憩あとオケの編成を元に戻してRVWの交響曲第5番。 生涯にわたってシベリウスを尊敬しこの曲もシベリウスに献呈されているごとく抒情的な響きとし、先プログラムのエルガーとはまた違ったオケの響きを楽しみました。 しかしいかんせんここまで来ると体力も限界に近く、流れ出てくる響きに身を委ねていた感じ。 時折襲ってくる睡魔にも身を委ねてしまいました(すみません)。
第1楽章、松永さんはじっくりと丁寧に曲を進めていたようで、コントラバスの響きがしっかりと土台となっていましたね。 第2楽章では力強くリズミカルに進めて、各楽器間の連携も良かったと感じました。 そして落ちついた響きとした第3楽章ではヴィオラの響きが良かったのは配置の妙でしょうか。 そして終楽章はスクエアに振る松永さん、木管のしっとりと落着いた響き、トロボーンなど金管では粘り気を持たせた雄大な響き、これらを集めて練り上げて最後はそっと締めくくりました。
この曲はCDも持っていて、何度か聴いているはずですが、さっぱり思い出せないどころか、時に意識も遠のきながら、なとか最後まで立ち会えた・・・という感じ。
アンコールは先日のオケ千と同じくニムロッド。 エルガーらしいウェットで重厚な響きとして力強い演奏、こちらはじっくりと楽しませてもらいました。
場所:門真市民文化会館・ルミエールホール
曲目:J.S.バッハ(エルガー編)/幻想曲とフーガ ハ短調 BWV537
エルガー/チェロ協奏曲 ホ短調op.85
(アンコール)グノー/アヴェ・マリア
ヴォーン・ウィリアムズ/交響曲第5番
(アンコール)エルガー/エニグマ変奏曲より第9変奏「ニムロッド」
独奏:吉田円香(vc)
指揮:松永健司郎
PA221975 posted by (C)fronte360
「気高くも美しきイギリス音楽の魅力」と題され、フォルツァらしく知られざる名曲に果敢に挑んだ爽やかな演奏会でした。 惜しむらくは当方の最悪の体調、時折り咳き込みまた微熱もあったのか生彩なし。 ああ、体調万全で楽しみたかった。
ルミエールホール2階は立入禁止、1階のみで約8割のお客さんが入っていたでしょうか、けっこう入っていましたがステージ上も満員御礼状態でした。 冒頭の「幻想曲とフーガ」が一番大きな編成となるらしく弦楽器は 14-14-12-9-8 でヴァイオリン両翼配置。 低弦は右側で、通常第2ヴァイオリンの位置にヴィオラが配置されていました。 これが功を奏したようで、分厚い低弦の響きに、ヴィオラのウェットな響きもよく聴こえてエルガーらしい重厚感が良く出ていましたね。 松永さんの軽いハナ息でフーガに入って力強い響きに熱気も加わってスピードアップ。 タイトな打楽器の響き、切れ味良く進めたあと、ぐっと引きつけて一撃かましてお終い。 力の入った演奏でした。
オケの編成を 12-12-10-8-5 に絞り込み、グリーンのシックなドレスに身を包んだ吉田円香さんが登場。 エルガーのチェロ協奏曲もそんなドレスにも似た憂いを含んだようなシックな響きで始まりました。 力強さにはやや欠けるようだけれども、響きに艶と深みがあって聴かせるチェロですね。 オケの響きともよくマッチし、息もよく合っていました。
それがよく出ていたのが第3楽章、柔らかなチェロのソロが伸びやかに歌い、オケの弦楽アンサンブルも優しい音色でしっとりと響き合っていました。 終楽章のテクニカルな面もさっそうと駆け抜け、終盤のエルガーらしい深く重厚な響きも若いソリストとオケなのでドロドロな感じならずタイトで響きで幕としました。 深い響きの薫りを楽しむかのような演奏だったかな。
15分間の休憩あとオケの編成を元に戻してRVWの交響曲第5番。 生涯にわたってシベリウスを尊敬しこの曲もシベリウスに献呈されているごとく抒情的な響きとし、先プログラムのエルガーとはまた違ったオケの響きを楽しみました。 しかしいかんせんここまで来ると体力も限界に近く、流れ出てくる響きに身を委ねていた感じ。 時折襲ってくる睡魔にも身を委ねてしまいました(すみません)。
第1楽章、松永さんはじっくりと丁寧に曲を進めていたようで、コントラバスの響きがしっかりと土台となっていましたね。 第2楽章では力強くリズミカルに進めて、各楽器間の連携も良かったと感じました。 そして落ちついた響きとした第3楽章ではヴィオラの響きが良かったのは配置の妙でしょうか。 そして終楽章はスクエアに振る松永さん、木管のしっとりと落着いた響き、トロボーンなど金管では粘り気を持たせた雄大な響き、これらを集めて練り上げて最後はそっと締めくくりました。
この曲はCDも持っていて、何度か聴いているはずですが、さっぱり思い出せないどころか、時に意識も遠のきながら、なとか最後まで立ち会えた・・・という感じ。
アンコールは先日のオケ千と同じくニムロッド。 エルガーらしいウェットで重厚な響きとして力強い演奏、こちらはじっくりと楽しませてもらいました。
2015年09月28日
オーケストラ千里山 第23回演奏会
日時:2015年9月27日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:伊丹市立文化会館いたみホール・大ホール
曲目:エルガー/行進曲「威風堂々」第4番 (-*)
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番
(アンコール)ショパン/マズルカ 第3番
ラフマニノフ/交響曲第2番
(アンコール)エルガー/エニグマ変奏曲より第9変奏「ニムロッド」
独奏:喜多宏丞(p)
指揮:井村誠貴(客演)、藻川繁彦(団員-*)
ラフマニノフの交響曲第2番、井村さんらしいロマンを漂わせた演奏にどっぷりと浸かりました。 冗長であるとして作者も承認したカット版が存在する長大な曲ですが全曲版での演奏、しかも主題呈示部の反復もしっかりとこなした第1楽章はたっぷりと30分。 個人的にはこの長大な第1楽章、カッコ良いフレーズをきちっと聴かせた第2楽章が秀逸でしたね。 ちっとも長さを感じず、たっぷりと楽しませてもらいました。
これに先立つチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は、東京芸大大学院の博士課程を終えて音楽学の博士号を取得し現在もカールスルーエ音楽大学及びパリ・エコール・ノルマル音楽院にて研鑽を積んでおられる喜多宏丞(きたこうすけ)さんをソリストに迎え、少々弾き飛ばし気味にも感じましたけれどエネルギッシュな演奏でほぼ満員となった会場を大きく沸かせていました。
冒頭の「威風堂々」第4番は団内指揮者の藻川さんの指揮。 滅多にかからない曲ながら自信に満ちた堂々とした演奏はまさに威風堂々にぴったりでした。 ほぼ満員となったホール、夏の名残を感じた暑い1日の熱い演奏会でした。
P9281798 posted by (C)fronte360
簡単に演奏会を振返ってみたいと思います。
会場には30分前に到着。 ロビーコンサートを演っていましたが、さっそく2階席へと急ぎました。 案の定、良さそうな席はほぼ抑えられていたので、最上段31-16に陣取りましたけれど、続々と詰めかけてくるお客さんが上へ上へと押し寄せてくる感じ。 ほぼ満席となっておりました。
自由入場にて団員さんがステージに登場。 オケの編成は、通常配置にて 14-13-11-10-7 であったようです。 客席の照明が落ち、ステージが明るくなると、腰かけていたコンマスが起立してチューニングを開始。 コンマスもステージ袖より拍手をもって登場するのが多いので、ちょっと新鮮な感じもしました。 とにかく準備完了。 藻川さんが登場して始まります。
エルガーの行進曲「威風堂々」第4番、自信に満ちた堂々とした演奏はまさに威風堂々という言葉がぴったりな感じの演奏でした。
明るい響きで軽く弾けるような開始、芯のあるオケの響きが心地良い感じです。 要所で大太鼓がドンドコと鳴るのがとても印象的。 主題を戻し、伸びやかなオケの響きとなって、トランペットの響きが綺麗にオケ全体の響きに溶け合っていい感じ(相変わらず大太鼓はドンドコと目立ってましたけれど)。 悠揚と進め、力を内包させた響きでのフィニッシュも良かったですね。 腕慣らしとしては十二分に楽しませて貰いました。
暗転、ステージ隅に置いていたピアノを中央に持ってきました。 指揮台はやや斜めを向かせて置き、オケとソリストの両方が見やすくなるような感じかな。 準備完了、コントラバスが1本減って6本となっていたようです。 ピアノを使ってチューニングをして準備完了。 喜多さんが登場、拍手を浴びてお辞儀をしているときに井村さんが舞台袖に登場しました。 喜多さんがピアノの前に座るのに併せて井村さんも指揮台に登壇。 今回の主役は喜多さん、そんな感じですね。 チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番、さぁ始まります。
第1楽章、お馴染みのホルンの斉奏は張りのある響きで掴みはバッチリ。 引き締まったオケの響き、それを裂くような強いタッチによる喜多さんのピアノが鳴り響きました。 ピアノという楽器全体を存分に鳴らし、高音へと駆け上る鍵盤を払いのけるような勢いのある演奏で会場を魅了。 ちょっと弾き飛ばし気味かな、と思いましたけれど、曲への想いの籠ったエネルギー感というのかな、それを強く感じました(単に荒っぽい演奏とは違いますね)。 井村さんに率いられたオケは丁寧に付けている感じ。 ティムパニの一撃で盛り上がった場面のみ、井村さんらしい昂揚感ある盛り上げ方をしましたけれど、基本丁寧な伴奏でしたね。 それでもスケール感が小さくならない所がところがいい感じでした。 フィナーレはちょっと粘って力強く幕。
第2楽章、淡々としたピチカート、しみじみとしたフルート・ソロがなんとか最後まで持ち込んで、明るい響きのピアノに繋ぎました。 この後の木管アンサンブルやホルン、低弦などが見え隠れしつつ、情感をもって曲が進みます。 奮闘するも何となくぎこちないオケの響きに、逆にこんなフレーズが隠れていたのね、なんて気付いたりもしました。 しみじみとさせながらも根っこのところは明るさが滲み出ている音楽を楽しみました。
第3楽章、引き締まったオケの響きに、煌びやかでリズミカルなピアノの饗宴という感じだったでしょうか。 先ほどまでと違ってオケは自信を持ってタイトに走り、ゆったりと粘った響きとして、力強いタッチのピアノソロと渡り会っていました。 井村さん、左手を手刀にしてスパっと切っては、きちんと繋いでゆくような感じかな。 フィナーレ、喜多さんのヴォルテージはうなぎ上り。 締めの前にバンザイもしたのには驚きましたが、雄大に響かせたオケとともに豪快に締めを決めて、会場より大きな拍手が湧きあがありました。 途中色々とありましたけれど、エネルギッシュで感動的な幕切れに色々な事が吹き飛んだ、そんな感じでもありました。 当方も大きな拍手を送りました。
アンコールはショパンのマズルカ 第3番、繊細かつ思索的な演奏として会場を惹きつけていました。
15分間の休憩。 2階席の脇で立見されていた方もいましたが、なんとか席を確保されたみたい。 ほぼほぼ満席の大盛況であります。
後半はコンサートミストレスに交代。 コントラバスも7本に戻って 14-13-11-10-7 の編成です。 チューニングを終えて準備完了。 井村さんが拍手に包まれて登場。 コンミスと握手したあと登壇、客席に一礼してラフマニノフの交響曲第2番が始まります。
第1楽章、低弦の方を向いて一振り、奥行きのある響きを導き出したあと、高音弦を向いて甘美なメロディを奏でて郷愁を誘う見事な開始。 常に低弦の響きが絡む練り込まれた素晴らしい弦楽アンサンブルに酔いしれました。 コールアングレの音色も素晴らしかったですね。 井村さんらしいロマンを漂わせた演奏にどっぷりと浸かりました。 冗長であるとして作者が承認したカット版も存在する長大な曲ですが全曲版でしかも主題呈示部までも反復。 これでもかっていう感じですが、この曲が好きな当方にとっては素適な時間が延々と続いて大満足。 クラリネットのソロやヴァイオリンのソロも素敵でしたよ。 エンディグも情感を込めていたものの意外とコンパクトに巧く纏めていました。
第2楽章、ヴァイオリンが刻むなかホルンの勇壮な響きながらスマートでカッコ良い幕開け。 軽快に走ってゆきますが、すっと退いてクラリネットの柔らかな響き。 そして哀愁を含んだ弦楽アンサンブルが大きく包み込むよう。 そしてまた勇壮なホルンが戻ってきてカッコ良かったですね。
そして井村さんの踏み込みの強さそのまま場面転換を見事に決めました。 タイトな音楽、緻密ながら力感あるアンサンブル。 常に低弦が曲を支えているし、チューバやバス・トロンボーンなど低音金管楽器もいい感じで絡んでいて素晴らしい。 要所をバッチリと決めつつ走ってスピード・アップ。 カッコ良い音楽です。 最後はそっと纏めてまた見事でした。
第3楽章の前にチューニングを実施しましたが、冒頭やや乱れてちょっと残念な開始となりましたが、懸命に繋いでロマンティックなメロディを紡ぎます。 クラリネットのソロに弦楽アンサンブルの音量がやや大きい?(ソロが音量小さい?)。 ここもちょっとチグハグな感じを持ちましたけれど、大きく歌い上げる場面にて軌道修正完了。 しだいに熱気も帯びてきました。 ぐっとタメを効かせて盛り上げたピーク、これをすっと退かせて各ソロがしっとりと歌って情感たっぷり。 美しい音楽が次第に雄大になり、最後は濃厚なロマンを感じさせて締め括りました。
終楽章、井村さんが軽く伸びあがって軽快な音楽を導き出しました。 芯のある響き、低弦や低音金管楽器が彩られています。 井村さん、こんどはしゃがみ込むようにして音量絞るなど、本領発揮? 主題戻して躍動感のある音楽ですが、さすがに長丁場だからでしょうか、けっこう抑制も効かせて歌い上げる感じでもありました。 集中力を高めて入った全奏でも整った響きとしてやや淡々と進めていましたし、大きく伸びあがるようにして盛り上げた音楽も雄大な響きとしていましたが、その後は上下運動を基本として纏めている感じかな。 エンディグも力を込めたオケの響き、これを指揮棒で右下から左上に斜めに切り上げるようにしての幕切れとしました。
随所に井村さんらしいロマンを漂わせた演奏でしたが、それにどっぷりと浸かれた第1・2楽章が素晴らしかったですね。 終楽章の盛り上がりも良かったけれど、聴き手としての体力も前半2楽章で消耗していたのかもしれません。 主題呈示部の反復もしっかりとこなした第1楽章はたっぷりと30分。 カッコ良いフレーズをきちっと聴かせてもらった第2楽章は秀逸でちっとも長さを感じず、たっぷりと楽しませてもらう事が出来て幸せでした。
アンコールはエルガーのエニグマ変奏曲より「ニムロッド」、指揮棒を持たない井村さんの濃密な演奏でしたね。 終演は16時半、たっぷり2時間半の演奏会となっていました。 ほぼ満員となったホール、夏の名残を感じた暑い1日の熱い演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。
場所:伊丹市立文化会館いたみホール・大ホール
曲目:エルガー/行進曲「威風堂々」第4番 (-*)
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番
(アンコール)ショパン/マズルカ 第3番
ラフマニノフ/交響曲第2番
(アンコール)エルガー/エニグマ変奏曲より第9変奏「ニムロッド」
独奏:喜多宏丞(p)
指揮:井村誠貴(客演)、藻川繁彦(団員-*)
ラフマニノフの交響曲第2番、井村さんらしいロマンを漂わせた演奏にどっぷりと浸かりました。 冗長であるとして作者も承認したカット版が存在する長大な曲ですが全曲版での演奏、しかも主題呈示部の反復もしっかりとこなした第1楽章はたっぷりと30分。 個人的にはこの長大な第1楽章、カッコ良いフレーズをきちっと聴かせた第2楽章が秀逸でしたね。 ちっとも長さを感じず、たっぷりと楽しませてもらいました。
これに先立つチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は、東京芸大大学院の博士課程を終えて音楽学の博士号を取得し現在もカールスルーエ音楽大学及びパリ・エコール・ノルマル音楽院にて研鑽を積んでおられる喜多宏丞(きたこうすけ)さんをソリストに迎え、少々弾き飛ばし気味にも感じましたけれどエネルギッシュな演奏でほぼ満員となった会場を大きく沸かせていました。
冒頭の「威風堂々」第4番は団内指揮者の藻川さんの指揮。 滅多にかからない曲ながら自信に満ちた堂々とした演奏はまさに威風堂々にぴったりでした。 ほぼ満員となったホール、夏の名残を感じた暑い1日の熱い演奏会でした。
P9281798 posted by (C)fronte360
簡単に演奏会を振返ってみたいと思います。
会場には30分前に到着。 ロビーコンサートを演っていましたが、さっそく2階席へと急ぎました。 案の定、良さそうな席はほぼ抑えられていたので、最上段31-16に陣取りましたけれど、続々と詰めかけてくるお客さんが上へ上へと押し寄せてくる感じ。 ほぼ満席となっておりました。
自由入場にて団員さんがステージに登場。 オケの編成は、通常配置にて 14-13-11-10-7 であったようです。 客席の照明が落ち、ステージが明るくなると、腰かけていたコンマスが起立してチューニングを開始。 コンマスもステージ袖より拍手をもって登場するのが多いので、ちょっと新鮮な感じもしました。 とにかく準備完了。 藻川さんが登場して始まります。
エルガーの行進曲「威風堂々」第4番、自信に満ちた堂々とした演奏はまさに威風堂々という言葉がぴったりな感じの演奏でした。
明るい響きで軽く弾けるような開始、芯のあるオケの響きが心地良い感じです。 要所で大太鼓がドンドコと鳴るのがとても印象的。 主題を戻し、伸びやかなオケの響きとなって、トランペットの響きが綺麗にオケ全体の響きに溶け合っていい感じ(相変わらず大太鼓はドンドコと目立ってましたけれど)。 悠揚と進め、力を内包させた響きでのフィニッシュも良かったですね。 腕慣らしとしては十二分に楽しませて貰いました。
暗転、ステージ隅に置いていたピアノを中央に持ってきました。 指揮台はやや斜めを向かせて置き、オケとソリストの両方が見やすくなるような感じかな。 準備完了、コントラバスが1本減って6本となっていたようです。 ピアノを使ってチューニングをして準備完了。 喜多さんが登場、拍手を浴びてお辞儀をしているときに井村さんが舞台袖に登場しました。 喜多さんがピアノの前に座るのに併せて井村さんも指揮台に登壇。 今回の主役は喜多さん、そんな感じですね。 チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番、さぁ始まります。
第1楽章、お馴染みのホルンの斉奏は張りのある響きで掴みはバッチリ。 引き締まったオケの響き、それを裂くような強いタッチによる喜多さんのピアノが鳴り響きました。 ピアノという楽器全体を存分に鳴らし、高音へと駆け上る鍵盤を払いのけるような勢いのある演奏で会場を魅了。 ちょっと弾き飛ばし気味かな、と思いましたけれど、曲への想いの籠ったエネルギー感というのかな、それを強く感じました(単に荒っぽい演奏とは違いますね)。 井村さんに率いられたオケは丁寧に付けている感じ。 ティムパニの一撃で盛り上がった場面のみ、井村さんらしい昂揚感ある盛り上げ方をしましたけれど、基本丁寧な伴奏でしたね。 それでもスケール感が小さくならない所がところがいい感じでした。 フィナーレはちょっと粘って力強く幕。
第2楽章、淡々としたピチカート、しみじみとしたフルート・ソロがなんとか最後まで持ち込んで、明るい響きのピアノに繋ぎました。 この後の木管アンサンブルやホルン、低弦などが見え隠れしつつ、情感をもって曲が進みます。 奮闘するも何となくぎこちないオケの響きに、逆にこんなフレーズが隠れていたのね、なんて気付いたりもしました。 しみじみとさせながらも根っこのところは明るさが滲み出ている音楽を楽しみました。
第3楽章、引き締まったオケの響きに、煌びやかでリズミカルなピアノの饗宴という感じだったでしょうか。 先ほどまでと違ってオケは自信を持ってタイトに走り、ゆったりと粘った響きとして、力強いタッチのピアノソロと渡り会っていました。 井村さん、左手を手刀にしてスパっと切っては、きちんと繋いでゆくような感じかな。 フィナーレ、喜多さんのヴォルテージはうなぎ上り。 締めの前にバンザイもしたのには驚きましたが、雄大に響かせたオケとともに豪快に締めを決めて、会場より大きな拍手が湧きあがありました。 途中色々とありましたけれど、エネルギッシュで感動的な幕切れに色々な事が吹き飛んだ、そんな感じでもありました。 当方も大きな拍手を送りました。
アンコールはショパンのマズルカ 第3番、繊細かつ思索的な演奏として会場を惹きつけていました。
15分間の休憩。 2階席の脇で立見されていた方もいましたが、なんとか席を確保されたみたい。 ほぼほぼ満席の大盛況であります。
後半はコンサートミストレスに交代。 コントラバスも7本に戻って 14-13-11-10-7 の編成です。 チューニングを終えて準備完了。 井村さんが拍手に包まれて登場。 コンミスと握手したあと登壇、客席に一礼してラフマニノフの交響曲第2番が始まります。
第1楽章、低弦の方を向いて一振り、奥行きのある響きを導き出したあと、高音弦を向いて甘美なメロディを奏でて郷愁を誘う見事な開始。 常に低弦の響きが絡む練り込まれた素晴らしい弦楽アンサンブルに酔いしれました。 コールアングレの音色も素晴らしかったですね。 井村さんらしいロマンを漂わせた演奏にどっぷりと浸かりました。 冗長であるとして作者が承認したカット版も存在する長大な曲ですが全曲版でしかも主題呈示部までも反復。 これでもかっていう感じですが、この曲が好きな当方にとっては素適な時間が延々と続いて大満足。 クラリネットのソロやヴァイオリンのソロも素敵でしたよ。 エンディグも情感を込めていたものの意外とコンパクトに巧く纏めていました。
第2楽章、ヴァイオリンが刻むなかホルンの勇壮な響きながらスマートでカッコ良い幕開け。 軽快に走ってゆきますが、すっと退いてクラリネットの柔らかな響き。 そして哀愁を含んだ弦楽アンサンブルが大きく包み込むよう。 そしてまた勇壮なホルンが戻ってきてカッコ良かったですね。
そして井村さんの踏み込みの強さそのまま場面転換を見事に決めました。 タイトな音楽、緻密ながら力感あるアンサンブル。 常に低弦が曲を支えているし、チューバやバス・トロンボーンなど低音金管楽器もいい感じで絡んでいて素晴らしい。 要所をバッチリと決めつつ走ってスピード・アップ。 カッコ良い音楽です。 最後はそっと纏めてまた見事でした。
第3楽章の前にチューニングを実施しましたが、冒頭やや乱れてちょっと残念な開始となりましたが、懸命に繋いでロマンティックなメロディを紡ぎます。 クラリネットのソロに弦楽アンサンブルの音量がやや大きい?(ソロが音量小さい?)。 ここもちょっとチグハグな感じを持ちましたけれど、大きく歌い上げる場面にて軌道修正完了。 しだいに熱気も帯びてきました。 ぐっとタメを効かせて盛り上げたピーク、これをすっと退かせて各ソロがしっとりと歌って情感たっぷり。 美しい音楽が次第に雄大になり、最後は濃厚なロマンを感じさせて締め括りました。
終楽章、井村さんが軽く伸びあがって軽快な音楽を導き出しました。 芯のある響き、低弦や低音金管楽器が彩られています。 井村さん、こんどはしゃがみ込むようにして音量絞るなど、本領発揮? 主題戻して躍動感のある音楽ですが、さすがに長丁場だからでしょうか、けっこう抑制も効かせて歌い上げる感じでもありました。 集中力を高めて入った全奏でも整った響きとしてやや淡々と進めていましたし、大きく伸びあがるようにして盛り上げた音楽も雄大な響きとしていましたが、その後は上下運動を基本として纏めている感じかな。 エンディグも力を込めたオケの響き、これを指揮棒で右下から左上に斜めに切り上げるようにしての幕切れとしました。
随所に井村さんらしいロマンを漂わせた演奏でしたが、それにどっぷりと浸かれた第1・2楽章が素晴らしかったですね。 終楽章の盛り上がりも良かったけれど、聴き手としての体力も前半2楽章で消耗していたのかもしれません。 主題呈示部の反復もしっかりとこなした第1楽章はたっぷりと30分。 カッコ良いフレーズをきちっと聴かせてもらった第2楽章は秀逸でちっとも長さを感じず、たっぷりと楽しませてもらう事が出来て幸せでした。
アンコールはエルガーのエニグマ変奏曲より「ニムロッド」、指揮棒を持たない井村さんの濃密な演奏でしたね。 終演は16時半、たっぷり2時間半の演奏会となっていました。 ほぼ満員となったホール、夏の名残を感じた暑い1日の熱い演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。
2015年09月10日
紫苑交響楽団 第26回定期演奏会
日時:2015年9月6日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:長岡京記念文化会館
曲目:ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
ビゼー/カルメン組曲より
ベルリオーズ/幻想交響曲
(アンコール)ドビュッシー/小組曲より第2曲「行列」
指揮:森口真司(音楽監督)
P9101491 posted by (C)fronte360
いつもながらよく訓練されたオケを聴くと気持ちがいい。 これまでこのオケでは弦楽アンサンブルの巧さが光っていましたけれど、今回のプログラムは管楽器、とくに木管楽器の良さが前面に出ていたように感じました。 冒頭のドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、柔らかで落ち着いたフルートの響きが最後まで残っていたからかもしれませんね。
生憎の雨ではあったけれど、ほぼ満員となったホール。 指揮者の森口さんが拍手に包まれて登場、指揮台に登壇したもののうつむいたままピクリとも動かない。 会場の静けさが徐々に増し、固唾を飲んで待つ客席にもオーケストラと同じであろう緊張した空気が包まれたとき、ようやく腕が動いてフルートの柔らかな響きがホールに流れました。 ホルンも柔らかく、ゆっくりと進めた素晴らしい開始にうっとり。 凛としたオーボエや、深味のある落ち着いた音色のクラリネットも素敵でしたね。 森口さん、ゆったりたっぷりと進め、柔らかな響きに躍動感を持たせた自然な昂揚感を持ってピークを築いていました。 瑞々しい弦楽アンサンブルともども素晴らしい演奏から始まりました。
続く「カルメン組曲」は全10曲。 このオケにしては珍しく覇気に満ちた大音量で彩られ、推進力を感じさせる豪快な演奏。 一気呵成に寄り切った、そんな感想を持ちました。
「闘牛士」、今度は登壇するといきなり開始。 派手で切れの良い音楽が飛び出しました。 ぐぃぐぃと力を込め、サクサクと進めますが、艶のある弦楽合奏は健在。 見事でした。
「第1幕への前奏曲」、ここではぐっと力を込めヴァイオリン、そしてチェロ。 粘り気を持たせた弦楽合奏としていましたが、即物的でキレの良い演奏でした。
「ハバネラ」、トランペットの色気のある響きが魅力的でした。 要所でグィと力を込めたメリハリを持たせた派手目の演出。 ここまで一気に聴かせて、一息ついてまた開始。
「セギディーリャ」、エキゾティックな木管の響き、とくにオーボエが素敵。 柔らかな響きのトランペットにチャーミングな弦楽アンサンブルも印象に残りました。 ここでも小休止してから再開。
「アルカラの竜騎兵(第2幕への間奏曲)」、森口さんの軽いハナ息とともにキレの良い音楽でスタート。 深みと朴訥とした感のあるファゴット、時にぐっと力を入れる低弦とチャーミングな高音弦で、硬軟取り混ぜて進めていました。
「闘牛士の歌」、機動力のあるアンサンブルで一気呵成。 艶のあるトランペットとパワフルな弦楽アンサンブルが呼応し、勇ましい幕切れとしました。 ここで息を落ち着かせてから次へと進みます。
「第3幕への間奏曲」、これまでと一変し、ハープとフルートの柔らかな音色による素適な開始。 弦楽器もそっと絡んでゆったりと進みます。 ティムパニが入って音量を徐々に上げますが、またそっとしめやかに締めくくりました。
「密輸入者の行進」、アタッカで粘り気を持たせたアンサンブルによる行進曲。 ほの暗さを醸し出しつつも纏まりの良いアンサンブルは変わらず。 ここで小休止。
「アラゴネーズ(第4幕への間奏曲)」、ぐぃぐぃと力を込め、キレキレッの演奏。 エキゾティックなオーボエの響き、瑞々しいオケの響きの中に底力も感じさせるアンサンブルで進めていました。
「ジプシーの踊り」、ハープとフルートそしてヴィオラとチェロのピチカートがよく歌う開始。 リズミカルに曲を進めて、少々派手めの響きがオケを彩り、タイトなティムパニで気合いも入ります。 加速度をつけたフィナーレは筋肉質な響き。 それで着地もピタリと決めたカッコ良い結末に、会場は大ウケ。 割れんばかりの拍手に包まれていました。
いずれも耳慣れた曲なのでハードルは高かったけれど、楽々クリア、って感じだったでしょうか。
15分間の休憩。 当方はずっと自席に座って開演を待ちましたけど、遅れて来たお客さんもいてロビーやトイレは混雑していたのではないかな。 演奏が始まる旨のアナウンスがあった後もしばらくステージは暗転のまま。 なんとなく客席が落ち着いてきたころオケメンバーがステージに現れ、後半プログラムの開始です。
幻想交響曲、先ほどのカルメンで聴かせたような派手な演出とは一線を画し、スッキリと丁寧に纏めていて、ある種クールでスマートな演奏でした。 が、最後の最後に至って残っていた力をグィっと全部吐き出した感のある怒涛のフィナーレ。 ここもまた感動的な幕切れとしていました。
第1楽章、ふわったとした滑り出しより、十分に間合いをとって、丁寧にゆっくりと進めました。 キレ良く、要所に力を込めるのは森口流でしょう。 音量はやや控えめだったようで、パワフルながらコンパクトに纏めた感がありました。
第2楽章、弦楽パートの纏まりの良さから重層的な響きとしたワルツが素敵。 しなやかでよく歌っう演奏には美観もよく出ていました。 個人的にはバルビローリみたくもっともっとタメを効かせるのが好きなのですが(かなり臭くなりますが)、それでも普通ならすっと流れるところもちゃんとシナ作っていて嬉しかったな。
第3楽章、この楽章も大きく呼吸しながらも丁寧でよく纏まっていました。 コントラバス7本、チェロ9本の低弦もよく纏まっていて、ぐっと力を込めても轟音にはならない(先のカルメンでは轟音にしていたようですが)。 場面転換のキレも良かったのが印象的。 ティムパニ2台に奏者4人でのロールもまた同様でした。 あと冒頭、2階右側バルコニー(ステージ側最前列)にバンダ席を設けてステージと掛け合っていましたが、バンダの響きがステージ方向を向いているとはいえハッキリと聴こえてしまい・・・指揮者や奏者には判りやすかったかもしれませんけれど、立体的な感じとしてはちょいと乏しかったかな、という印象も持ちました。
第4楽章、この楽章もコンパクトでスクエア、スマートな演奏としていました。 繰り返しを行ってましたが、サクサクっと進んでいって、タイトに締めた感じかな。 さすがにこの楽章はちょっと抑制かけていたのか、なんとなく進んでいった感もあったみたい。 終結部こそタイトに締めたので、後ろの方からパラパラと拍手も出ていました。
アタッカで終楽章に入って欲しいところでしたが、小休止してから終楽章へと入りました。
第5楽章、緻密な高音弦、芯のある低音弦によるアンサンブルでキレ良く進みました。 鐘はステージ右側に教会の鐘みたいなのを2個置いて、よく透る響きでインパクト十分。 チューバ2本(トラで大阪交響楽団の潮見さんも参戦)にトロンボーンの低音金管楽器も充実した響きでした。 各パートしっかりと纏まっていて、それで全体を纏め上げて推進させる森口さんの動作もキレキレっ。 クールでスマートな演奏で、ドラマがあまり感じられないようにも思っていましたけれど。。。クライマックスに近づくにつれて気合も入ってきました。 そして最後の最後、なりふり構わないような急激な盛り上がりとして幕。 残っていた力を全て出し切ったかのような怒涛のフィナーレでした。 会場からは熱狂的な拍手が湧きあがっていました。 大ウケでしたね。 冷静に考えると、ちょっとバランス悪いかな、と生意気にも思ったりもしましたが、終わり良ければすべて良し、ですものね。
とにかくよく訓練されたオーケストラを聴くと気持ち良かったですわ。 佳演、熱演お疲れさまでした。
場所:長岡京記念文化会館
曲目:ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
ビゼー/カルメン組曲より
ベルリオーズ/幻想交響曲
(アンコール)ドビュッシー/小組曲より第2曲「行列」
指揮:森口真司(音楽監督)
P9101491 posted by (C)fronte360
いつもながらよく訓練されたオケを聴くと気持ちがいい。 これまでこのオケでは弦楽アンサンブルの巧さが光っていましたけれど、今回のプログラムは管楽器、とくに木管楽器の良さが前面に出ていたように感じました。 冒頭のドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、柔らかで落ち着いたフルートの響きが最後まで残っていたからかもしれませんね。
生憎の雨ではあったけれど、ほぼ満員となったホール。 指揮者の森口さんが拍手に包まれて登場、指揮台に登壇したもののうつむいたままピクリとも動かない。 会場の静けさが徐々に増し、固唾を飲んで待つ客席にもオーケストラと同じであろう緊張した空気が包まれたとき、ようやく腕が動いてフルートの柔らかな響きがホールに流れました。 ホルンも柔らかく、ゆっくりと進めた素晴らしい開始にうっとり。 凛としたオーボエや、深味のある落ち着いた音色のクラリネットも素敵でしたね。 森口さん、ゆったりたっぷりと進め、柔らかな響きに躍動感を持たせた自然な昂揚感を持ってピークを築いていました。 瑞々しい弦楽アンサンブルともども素晴らしい演奏から始まりました。
続く「カルメン組曲」は全10曲。 このオケにしては珍しく覇気に満ちた大音量で彩られ、推進力を感じさせる豪快な演奏。 一気呵成に寄り切った、そんな感想を持ちました。
「闘牛士」、今度は登壇するといきなり開始。 派手で切れの良い音楽が飛び出しました。 ぐぃぐぃと力を込め、サクサクと進めますが、艶のある弦楽合奏は健在。 見事でした。
「第1幕への前奏曲」、ここではぐっと力を込めヴァイオリン、そしてチェロ。 粘り気を持たせた弦楽合奏としていましたが、即物的でキレの良い演奏でした。
「ハバネラ」、トランペットの色気のある響きが魅力的でした。 要所でグィと力を込めたメリハリを持たせた派手目の演出。 ここまで一気に聴かせて、一息ついてまた開始。
「セギディーリャ」、エキゾティックな木管の響き、とくにオーボエが素敵。 柔らかな響きのトランペットにチャーミングな弦楽アンサンブルも印象に残りました。 ここでも小休止してから再開。
「アルカラの竜騎兵(第2幕への間奏曲)」、森口さんの軽いハナ息とともにキレの良い音楽でスタート。 深みと朴訥とした感のあるファゴット、時にぐっと力を入れる低弦とチャーミングな高音弦で、硬軟取り混ぜて進めていました。
「闘牛士の歌」、機動力のあるアンサンブルで一気呵成。 艶のあるトランペットとパワフルな弦楽アンサンブルが呼応し、勇ましい幕切れとしました。 ここで息を落ち着かせてから次へと進みます。
「第3幕への間奏曲」、これまでと一変し、ハープとフルートの柔らかな音色による素適な開始。 弦楽器もそっと絡んでゆったりと進みます。 ティムパニが入って音量を徐々に上げますが、またそっとしめやかに締めくくりました。
「密輸入者の行進」、アタッカで粘り気を持たせたアンサンブルによる行進曲。 ほの暗さを醸し出しつつも纏まりの良いアンサンブルは変わらず。 ここで小休止。
「アラゴネーズ(第4幕への間奏曲)」、ぐぃぐぃと力を込め、キレキレッの演奏。 エキゾティックなオーボエの響き、瑞々しいオケの響きの中に底力も感じさせるアンサンブルで進めていました。
「ジプシーの踊り」、ハープとフルートそしてヴィオラとチェロのピチカートがよく歌う開始。 リズミカルに曲を進めて、少々派手めの響きがオケを彩り、タイトなティムパニで気合いも入ります。 加速度をつけたフィナーレは筋肉質な響き。 それで着地もピタリと決めたカッコ良い結末に、会場は大ウケ。 割れんばかりの拍手に包まれていました。
いずれも耳慣れた曲なのでハードルは高かったけれど、楽々クリア、って感じだったでしょうか。
15分間の休憩。 当方はずっと自席に座って開演を待ちましたけど、遅れて来たお客さんもいてロビーやトイレは混雑していたのではないかな。 演奏が始まる旨のアナウンスがあった後もしばらくステージは暗転のまま。 なんとなく客席が落ち着いてきたころオケメンバーがステージに現れ、後半プログラムの開始です。
幻想交響曲、先ほどのカルメンで聴かせたような派手な演出とは一線を画し、スッキリと丁寧に纏めていて、ある種クールでスマートな演奏でした。 が、最後の最後に至って残っていた力をグィっと全部吐き出した感のある怒涛のフィナーレ。 ここもまた感動的な幕切れとしていました。
第1楽章、ふわったとした滑り出しより、十分に間合いをとって、丁寧にゆっくりと進めました。 キレ良く、要所に力を込めるのは森口流でしょう。 音量はやや控えめだったようで、パワフルながらコンパクトに纏めた感がありました。
第2楽章、弦楽パートの纏まりの良さから重層的な響きとしたワルツが素敵。 しなやかでよく歌っう演奏には美観もよく出ていました。 個人的にはバルビローリみたくもっともっとタメを効かせるのが好きなのですが(かなり臭くなりますが)、それでも普通ならすっと流れるところもちゃんとシナ作っていて嬉しかったな。
第3楽章、この楽章も大きく呼吸しながらも丁寧でよく纏まっていました。 コントラバス7本、チェロ9本の低弦もよく纏まっていて、ぐっと力を込めても轟音にはならない(先のカルメンでは轟音にしていたようですが)。 場面転換のキレも良かったのが印象的。 ティムパニ2台に奏者4人でのロールもまた同様でした。 あと冒頭、2階右側バルコニー(ステージ側最前列)にバンダ席を設けてステージと掛け合っていましたが、バンダの響きがステージ方向を向いているとはいえハッキリと聴こえてしまい・・・指揮者や奏者には判りやすかったかもしれませんけれど、立体的な感じとしてはちょいと乏しかったかな、という印象も持ちました。
第4楽章、この楽章もコンパクトでスクエア、スマートな演奏としていました。 繰り返しを行ってましたが、サクサクっと進んでいって、タイトに締めた感じかな。 さすがにこの楽章はちょっと抑制かけていたのか、なんとなく進んでいった感もあったみたい。 終結部こそタイトに締めたので、後ろの方からパラパラと拍手も出ていました。
アタッカで終楽章に入って欲しいところでしたが、小休止してから終楽章へと入りました。
第5楽章、緻密な高音弦、芯のある低音弦によるアンサンブルでキレ良く進みました。 鐘はステージ右側に教会の鐘みたいなのを2個置いて、よく透る響きでインパクト十分。 チューバ2本(トラで大阪交響楽団の潮見さんも参戦)にトロンボーンの低音金管楽器も充実した響きでした。 各パートしっかりと纏まっていて、それで全体を纏め上げて推進させる森口さんの動作もキレキレっ。 クールでスマートな演奏で、ドラマがあまり感じられないようにも思っていましたけれど。。。クライマックスに近づくにつれて気合も入ってきました。 そして最後の最後、なりふり構わないような急激な盛り上がりとして幕。 残っていた力を全て出し切ったかのような怒涛のフィナーレでした。 会場からは熱狂的な拍手が湧きあがっていました。 大ウケでしたね。 冷静に考えると、ちょっとバランス悪いかな、と生意気にも思ったりもしましたが、終わり良ければすべて良し、ですものね。
とにかくよく訓練されたオーケストラを聴くと気持ち良かったですわ。 佳演、熱演お疲れさまでした。
2015年08月04日
近畿フィルハーモニー管弦楽団 第30回記念定期演奏会
日時:2015年8月2日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:ザ・シンフォニーホール
曲目:芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽
ビゼー/「アルルの女」第2組曲
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調作品47「革命」
(アンコール)ドリーブ/「コッペリア」より「チャルダッシュ」
指揮:岡田良機(常任指揮・音楽監督)
P8031254 posted by (C)fronte360
30周年の記念演奏会、シンフォニーホールがほぼ満杯になったなか、エキストラさんを入れていつもより大きな編成となっていたようですが、声高になることなどなく、自らの音楽を演じきった爽やかな演奏会でした。 更に10年、20年と活動が続くことを望みます。
多数のお客さんが詰めかけたこともあってか5分ほど遅れての開演となりました。 オケの編成は 14-14-12-9-7 の通常配置。 いつもの演奏会場であるいずみホールのステージには乗り切らないサイズなので、ホールにあわせてエキストラさんを入れた編成でしょうが、常任指揮者・芸術監督である岡田さんの指示・配慮がよく行き届いた演奏でした。
特に冒頭の芥川也寸志の交響管弦楽のための音楽が良かった。 軽快ながら弾力のあるリズムに乗り、抑制のよく効いた金管と暖かな響きの弦楽アンサンブル。 緻密に仕組まれた音楽としていた第1楽章。 第2楽章ではパワフルな音楽としながらも、余裕を持って進めて見事。 弦の分奏も良く、金管は突出せず、打楽器も落ち着いた打音なのも好ましく、オケが一丸となってリズミカルに進めて、この曲の良さ・面白さがよく伝わってきました。 フィナーレも、ぐっと引きつけてからの爆発。 カッコ良い幕切れでした。
いずれも演奏もそうでしたが、各パートの纏まりが良いのに、声高に主張するパートはなく、全奏になって音量が上っても刺激的な音はありません。 響きの角を綺麗に落として肌触りの良い響きでした。 特に「アルルの女」第2組曲「メヌエット」でのフルート・ソロ、会場より注視されるなか堂々としたソロでしたけれど、木肌のぬくもりを感じる落ち着いた音色は、このオケ全体に通じるものであったと思いました。
第1曲「パストラール」、ゆったりとしたテンポで柔らかな木管の響きが印象的、コントラバスのピチカートもまろやかでした。
第2曲「間奏曲」、たっぷりとした響きながら底力が感じられる肌触りの良い響きが特徴的。 アルトサックスの音色も柔らかくオケにとてもマッチしていました。
第3曲「メヌエット」、フルートとハープによる落着いた美しい音楽が白眉。 でも何よりオケ全体の音色が統一されていて、朴訥でしみじみと聴かせた素晴らしい演奏でした。
第4曲「ファランドール」、まとまりの良さが光りました。 どのパートも真摯ですが、どこかのパートや旋律にスポットライトが当たるようなことはなく、全ての楽器が等価に鳴っていた、そんな感じでしょうか。
全ての楽器が等価に鳴っている、ちょっと古いたとえで恐縮ですがオーマンディがフィラデルフィア管弦楽団を振ったフィラデルフィア・サウンドにも通じる響き方、そんな気がしました。 あくまでも、気がした、ということですけれど、正攻法な音楽造りには違いなく、好感を持って聴いていました。
休憩を挟んでメイン・プロのショスタコーヴィッチの第5番。 この演奏もまたこれまで同様。 各パートがしっかりと纏まっていて、受渡しも良く、きちっと盛り上がってゆくのですけれど、エッジの効いた響きや、見栄を切るような節回しやフレーズはありません。 また少々遅いテンポとして演奏していた部分もあったようで(オケの力量のためでしょうか)、「革命」と題されるように、この曲に旧来からのエキセントリックな曲想を求めておられた向きには、かなり物足りなかったかもしれませんね。
ヴォルコフの「証言」にあるように、友人・親類たちが次々に逮捕・処刑されてゆく悲愴的な立場にたってこの演奏を聴くならば、なかなかに興味深い演奏であったと感じました。
第1楽章、冒頭のコントラバス、張りのある響きで切れ込むようでありながら、鋭いエッジでエキセントリックさは感じられませんでした。 緻密で重層的な響きで常に不安気な様相を呈した音楽としていたのは指揮者の思惑通りでしょう。 頂点もなだらかに迎えてオケ全体のヴォリュームが上ってゆくような感じでした。
第2楽章、力強くも深みのある響きで開始。 ホルンも勇壮ながら全体の響きによくマッチしていました。 岡田さん、オケの力量を考えているのか、面白味は少ないけれどまとまりのよい音楽としていたようですね。
第3楽章、想いのこもった弦楽アンサンブルの美しさが良かったですね。 しみじみとした木管のソロ、丁寧で丹精込めた響きとして進行。 ピークも切り込んでゆくのではなく全体の音量を上げるようでなだらかでしたね。
終楽章。力強いティムパニの響きはやや明るめの打音。テンポもやや遅かったかな、快速ではありませんでした。それでもこれまでにはあまり感じなかった粗野な雰囲気も出していたようですが、興に乗るようなことはなく、ちょっと淡々と進めていたよう。
スネアが入りましたが、やや音量は抑えめで、ゆったりとしたクラリネット、なだらかに主題を奏してピークを迎えますが、粘着質で薄暗い音楽とし、しかも淡々と演奏されているようで、勝利の雰囲気ではありませんね。 そして最後のティムパニと大太鼓の打音もまた、大きく響かせていましたが粘り気を含んだ響きに聴こえてきたのは気のせいだったかしら。
とにかく、記念演奏会とした気張って声高になったりすることなく、常任指揮・音楽監督のもと、音色を合わせてオーケストラが一丸となり、自分たちの音楽をひたすらに演奏していたと感じました。 そんな爽やかさを感じた演奏会でした。
皆さんお疲れさまでした。 更に10年、20年と活動が続くことを強く望みます。
場所:ザ・シンフォニーホール
曲目:芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽
ビゼー/「アルルの女」第2組曲
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調作品47「革命」
(アンコール)ドリーブ/「コッペリア」より「チャルダッシュ」
指揮:岡田良機(常任指揮・音楽監督)
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30周年の記念演奏会、シンフォニーホールがほぼ満杯になったなか、エキストラさんを入れていつもより大きな編成となっていたようですが、声高になることなどなく、自らの音楽を演じきった爽やかな演奏会でした。 更に10年、20年と活動が続くことを望みます。
多数のお客さんが詰めかけたこともあってか5分ほど遅れての開演となりました。 オケの編成は 14-14-12-9-7 の通常配置。 いつもの演奏会場であるいずみホールのステージには乗り切らないサイズなので、ホールにあわせてエキストラさんを入れた編成でしょうが、常任指揮者・芸術監督である岡田さんの指示・配慮がよく行き届いた演奏でした。
特に冒頭の芥川也寸志の交響管弦楽のための音楽が良かった。 軽快ながら弾力のあるリズムに乗り、抑制のよく効いた金管と暖かな響きの弦楽アンサンブル。 緻密に仕組まれた音楽としていた第1楽章。 第2楽章ではパワフルな音楽としながらも、余裕を持って進めて見事。 弦の分奏も良く、金管は突出せず、打楽器も落ち着いた打音なのも好ましく、オケが一丸となってリズミカルに進めて、この曲の良さ・面白さがよく伝わってきました。 フィナーレも、ぐっと引きつけてからの爆発。 カッコ良い幕切れでした。
いずれも演奏もそうでしたが、各パートの纏まりが良いのに、声高に主張するパートはなく、全奏になって音量が上っても刺激的な音はありません。 響きの角を綺麗に落として肌触りの良い響きでした。 特に「アルルの女」第2組曲「メヌエット」でのフルート・ソロ、会場より注視されるなか堂々としたソロでしたけれど、木肌のぬくもりを感じる落ち着いた音色は、このオケ全体に通じるものであったと思いました。
第1曲「パストラール」、ゆったりとしたテンポで柔らかな木管の響きが印象的、コントラバスのピチカートもまろやかでした。
第2曲「間奏曲」、たっぷりとした響きながら底力が感じられる肌触りの良い響きが特徴的。 アルトサックスの音色も柔らかくオケにとてもマッチしていました。
第3曲「メヌエット」、フルートとハープによる落着いた美しい音楽が白眉。 でも何よりオケ全体の音色が統一されていて、朴訥でしみじみと聴かせた素晴らしい演奏でした。
第4曲「ファランドール」、まとまりの良さが光りました。 どのパートも真摯ですが、どこかのパートや旋律にスポットライトが当たるようなことはなく、全ての楽器が等価に鳴っていた、そんな感じでしょうか。
全ての楽器が等価に鳴っている、ちょっと古いたとえで恐縮ですがオーマンディがフィラデルフィア管弦楽団を振ったフィラデルフィア・サウンドにも通じる響き方、そんな気がしました。 あくまでも、気がした、ということですけれど、正攻法な音楽造りには違いなく、好感を持って聴いていました。
休憩を挟んでメイン・プロのショスタコーヴィッチの第5番。 この演奏もまたこれまで同様。 各パートがしっかりと纏まっていて、受渡しも良く、きちっと盛り上がってゆくのですけれど、エッジの効いた響きや、見栄を切るような節回しやフレーズはありません。 また少々遅いテンポとして演奏していた部分もあったようで(オケの力量のためでしょうか)、「革命」と題されるように、この曲に旧来からのエキセントリックな曲想を求めておられた向きには、かなり物足りなかったかもしれませんね。
ヴォルコフの「証言」にあるように、友人・親類たちが次々に逮捕・処刑されてゆく悲愴的な立場にたってこの演奏を聴くならば、なかなかに興味深い演奏であったと感じました。
第1楽章、冒頭のコントラバス、張りのある響きで切れ込むようでありながら、鋭いエッジでエキセントリックさは感じられませんでした。 緻密で重層的な響きで常に不安気な様相を呈した音楽としていたのは指揮者の思惑通りでしょう。 頂点もなだらかに迎えてオケ全体のヴォリュームが上ってゆくような感じでした。
第2楽章、力強くも深みのある響きで開始。 ホルンも勇壮ながら全体の響きによくマッチしていました。 岡田さん、オケの力量を考えているのか、面白味は少ないけれどまとまりのよい音楽としていたようですね。
第3楽章、想いのこもった弦楽アンサンブルの美しさが良かったですね。 しみじみとした木管のソロ、丁寧で丹精込めた響きとして進行。 ピークも切り込んでゆくのではなく全体の音量を上げるようでなだらかでしたね。
終楽章。力強いティムパニの響きはやや明るめの打音。テンポもやや遅かったかな、快速ではありませんでした。それでもこれまでにはあまり感じなかった粗野な雰囲気も出していたようですが、興に乗るようなことはなく、ちょっと淡々と進めていたよう。
スネアが入りましたが、やや音量は抑えめで、ゆったりとしたクラリネット、なだらかに主題を奏してピークを迎えますが、粘着質で薄暗い音楽とし、しかも淡々と演奏されているようで、勝利の雰囲気ではありませんね。 そして最後のティムパニと大太鼓の打音もまた、大きく響かせていましたが粘り気を含んだ響きに聴こえてきたのは気のせいだったかしら。
とにかく、記念演奏会とした気張って声高になったりすることなく、常任指揮・音楽監督のもと、音色を合わせてオーケストラが一丸となり、自分たちの音楽をひたすらに演奏していたと感じました。 そんな爽やかさを感じた演奏会でした。
皆さんお疲れさまでした。 更に10年、20年と活動が続くことを強く望みます。