2012年10月10日

リカルド・オドノポゾフ、魔法のヴァイオリン

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会。
ヴァイオリンの持つ肉感的なフォルムをシックな色合いで収めたジャケット。

サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ
サン=サーンス/ハバネラ
サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン
ショーソン/ポエム
 リカルド・オドノポゾフ(vn)
  ジャンフランコ・リヴォリ指揮 ジュネーヴ放送交響楽団

PA051961
PA051961 posted by (C)fronte360

何といってもB面1曲目のツィゴイネルワイゼン、
ゆったりと歌う第1部、詠嘆的で甘美な第2部、そして疾走する第3部、
ここでも情熱の嵐が吹き荒れているかのようで、濃厚なロマンが漂います。

もっと技巧的な人が現代にはいっぱい居ると思いますけれども、
この鼻にかかるような美音、情熱的で魅惑的でありますが、潔さもあって、
見世物的な曲からちょっと次元を脱しているようにも感じられます。
ウィーンフィルのコンサートマスターとして活動もされてきたので、
気品を持って弾きこまれているのでしょうか。

気品といえばショーソンのポエム、詩曲と書かれるのが一般的でしょうか、
情熱的でドラマティックな部分を抑えながら、情緒的な抑揚でもって、
華やかさを封印した美音で最後まで弾ききっている感じ。

美しく伸びやかな演奏としては、A面冒頭のサン=サーンス、
序奏とロンド・カプリチオーソでしょう、しかし全般的に落ち着いた印象で、
丁寧に弾き込んでいます。

やはりソロ楽器にスポットライトの当たったようなステレオ録音。
ネットで調べてみると、1960年3月10日、ジュネーヴでの録音らしいです。

posted by fronte360 at 05:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 12-LP/CD音楽(Classical) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月08日

マヌーグ ・パリキアン、モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第3・4番

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会。
シックな色合いにヴァイオリンの駒のストロボ撮影、粋なジャケットです。

モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216
モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K.218
 マヌーグ ・パリキアン(vn)
  ワルター・ゲール指揮 ハンブルグ室内管弦楽団

PA051960
PA051960 posted by (C)fronte360

マヌーク・パリキアンもコンサートホール・ソサエティで見かけますけれども、
ロンドンフィルやフィルハーモニア管弦楽団でコンサートマスターを務め、
かのデニス・ブレインや、ピアニストのコリン・ホースレーと組み、
室内楽でも活躍したアルメニア出身の名ヴァイオリニスト。

ワルター・ゲールのサポートにもよるのでしょうが、しっかりとした構成感、
軽快さもあるので古臭いという感じはしませんけれど、モーツァルトとしては、
やや前時代的な演奏のような気がします。 きちっとした演奏です。

第3番の序奏、ゲールのしっかりとした演奏が終ると、満を持しての登場、
勢い込んで飛び出すパリキアンの響きがやや上ずって聴こえるように思います。
しかしこの艶やかな響きがパリキアンの特徴でしょう。

響きに色香があり、艶かさを感じますけれど、ちっともいやらしくなく、
とても聴きやすい音楽を作って、曲の魅力とも相俟った第3番が好きかな。
第2楽章の囁くようなソロは逆に落ち着いた語らいにも好感が持てます。
第4番はより落ち着いた演奏であるように思いますが悪くないです。

ステレオ録音。 ジャケットに「full STEREO」の赤いシールが貼ってますが、
レコードのレーベルには「LONG PLAYING STEREO」と書かれています。
正真正銘のステレオ録音には違いありませんが、
ソロ楽器にスポットライトを当てたようなコンサートホール盤らしい録音かな。

posted by fronte360 at 12:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 12-LP/CD音楽(Classical) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月07日

メナーエム・プレスラー、ショパン/ピアノ協奏曲第2番

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会。
このジャケットのデザインもシンプル、黄色地に白い鳥と青い文字のインパクト。

ショパン/ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 op.21
メンデルスゾーン/ピアノ協奏曲第1番ト短調 op.25
 メナーエム・プレスラー(p)
  ハンス・スワロフスキー指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団

PA051959
PA051959 posted by (C)fronte360

メナーエム・プレスラーもコンサートホール・ソサエティでは見かけますが、
一般的にはあまり知られていないピアニストではないでしょうか。
ジャケットの解説では以下のとおり。

イスラエル系のピアニストであるが、ドイツに生れ、今次大戦中はアメリカに渡って同地で活躍した。1946年にはサンフランシスコのコンクールで、ドビュッシー賞を受けている。シューマン、ショパンなどのロマン派ピアノ曲の他、ドビュッシーやバルトークも得意のレパートリーとしている。

ショパンのピアノ協奏曲第2番、2番ながら第1番よりも先に書かれた若い作品、
それだけにピアノ独奏部分の独りよがり度の高い作品であると思いますけれど、
プレスラーは、やや強いタッチで歌い上げていって、結構面白く聴けます。
こんな感じの曲だったかな、と新鮮な感じも受けます。

新鮮なといえば、伴奏のスワロフスキーも管楽器を追加しているのでしょうか、
伴奏部分に耳なれないクラリネットの響きが聞こえたりもして面白く、
また覇気の感じる伴奏は、スワロフスキーにしては良い伴奏かもしれません。
ただし第1楽章終結部の後奏をカット、あっという間に終って吃驚しました。

メンデルスゾーンのピアノ協奏曲、粒立ちの良いタッチで進む両端楽章の迫力、
しかし荒々しくはなくて、第2楽章の細やかな表現でも線が細くならず、
凜とした上品さも感じられ、いいと思いました。
伴奏はやや硬直気味のようで、これはスワロフスキーらしさでしょう。

ステレオ録音ですが、あまり奥行きが感じられないような感じだけれども、
特定の伴奏楽器がやや浮き上がるように聴こえてきたりもして、
これもまたコンサートホール盤らしい録音のような気がします。

posted by fronte360 at 14:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 12-LP/CD音楽(Classical) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月06日

オッテルロー、ベートーヴェン/交響曲第7番

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会。
ジャケットのデザインも可愛いですが、色使いがまた落ち着いて好きです。

ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調 op.92
ベートーヴェン/序曲「シュテファン王」op.117
 ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ウィーン音楽祭管弦楽団

PA051958
PA051958 posted by (C)fronte360

オッテルローもコンサートホール・ソサエティには多数録音を残していますが、
残念ながら日本では一般的には人気の無かった指揮者の部類に入るでしょう。
オランダの実力派指揮者ではあったのですけれど。

ベートーヴェンの交響曲第7番、いわゆる「のだめ効果」でよく耳にしますが、
天邪鬼なんで、レコードで落ち着いて聴いたのは、久しぶりな気がします。

気を衒わず、正面をしっかりと向いた演奏ながら劇的であり、
しなやかさをも感じさせるのは、オッテルローの特質であると思いました。
ウィーン音楽祭管弦楽団、実際はウィーン交響楽団の録音用名称なので・・・
と解説に書かれているように、引き締まった低弦などに安定感を感じます。
なかでも第3・4楽章に彼の上手さがよく出ているのではないかな。

手持ちの盤はややスクラッチノイズを拾いますけれども、
モノラル録音ながら全般的に細部までよく捉えられた録音であると思います。
ただし残念なのは第4楽章、ホルンの強奏が引っ込んでしまって聴き取り難く、
フィナーレでは、録音レベルが急に下げられ、音像が急に遠のいてしまいます。
ちょっと興ざめ・・・、それだけ燃え上がった演奏を拾いきれなかったのか・・・
とにかく残念な録音でした。

なお「シュテファン王」序曲は、躍動感あるプレスト部分のノリの良さ、
管楽器ソロは少々チープで朴訥とした味わいながら、弦との絡みの妙も味わえ、
この曲をこんな風に面白く聴いたのは初めてかもしれません。

posted by fronte360 at 17:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 12-LP/CD音楽(Classical) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月05日

クリップス、モーツァルト/オペラ序曲集

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会。
このジャケット、後宮のイメージでしょうか、シックな色合いです。

モーツァルト/オペラ序曲集
 歌劇「フィガロの結婚」序曲/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲/
 劇音楽「劇場支配人」序曲/歌劇「魔笛」序曲
 歌劇「後宮よりの逃走」序曲/歌劇「皇帝ティトゥスの慈悲」序曲/
 歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」序曲/歌劇「偽の女庭師」序曲/
 歌劇「イドメネオ」序曲

 ヨーゼフ・クリップス指揮
  チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団

PA031957
PA031957 posted by (C)fronte360

ウィーン生まれの指揮者。 第二次大戦後の混乱期にウィーン復興に尽くすも、
若手の台頭によって次第にウィーンの活動が減ってしまいましたけれども、
ロンドンやアムステルダムでの仕事の多くは今でも名盤となっています。
中でもコンセルトヘボウ管とのモーツァルトの交響曲はお気に入りです。
そんなクリップスのモーツァルトのオペラ序曲集です。

オペラ現場叩き上げの指揮者で、名歌手エリザベート・シュワルツコップが、
「一番お世話になったのはクリップス」と述懐されたそうですけれど、
ここで聴く序曲は、いずれもそんなクリップスの手腕が見事に発揮されていて、
素晴らしい演奏が堪能できます。

オペラの序曲とは、オペラの名場面の音楽を集めて繋いだいわば名場面集で、
これから幕が上がる! そんなワクワク感がどの曲にも満載されていて、
中でも「魔笛」が素晴らしいと思います。

歌う木管、躍動するリズム、自在に伸び縮む演奏はどれもツボに嵌まって・・・
こう書くとやたら刺激的な演奏表現に捕らえられてしまうかもしれませんが、
モーツァルトの自然な音楽の流れ、これに乗せられて高揚させられる感じ。
そして序曲が終ったあと、自然にオペラの場面も見えてくるようです。
(と言ってもフィガロの結婚と魔笛くらいしか見たことありませんけれど)

正直あまり耳馴染みのない曲もありますけれども、
どの曲を聴いてもワクワク感満載、とても楽しく聴けるレコードです。

ただしモノラル録音、音はやや痩せ気味です。
ヘッドホンで聴くと少々上ずったよう鳴くヴァイオリンが耳につきますので、
最近のデジタルアンプなどのシステムで鳴らすとスカスカで辛いかもしれません。
でも、我がサブ・システムのスピーカで鳴らすと、サンスイ・アンプの威力かな、
しっかりとした低域が音楽の底辺を支えくれ、ぐっと聴きやすくなります。

クラシック音楽を聴き始めた中学2年生で出会ったヨーゼフ・クリップスさん、
今でもまだ長いお付き合いをさせていただいています。

 ●

我がメイン・システムで聴くと、音に奥行きも出て更に聴き易くなりました。
アンプ SANSUI AD-D707X DECADE、スピーカー DIATONE DS-77EX の威力。

posted by fronte360 at 04:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 12-LP/CD音楽(Classical) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月03日

グゴルツ、モーツァルト&ウェーバー/クラリネット五重奏曲

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会。
このジャケット、シンプルなデザイン、シックでお洒落です。

モーツァルト/クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581
ウェーバー/クラリネット五重奏曲 変ロ長調 op.34
 ロベール・グゴルツ(クラリネット)
 ジュネーヴ弦楽四重奏団

PA011956
PA011956 posted by (C)fronte360

ロベール・グゴルツは、スイスロマンド管弦楽団のクラリネット奏者、
全員スイス人より成るジュネーヴ弦楽四重奏団と解説には書かれています。

モーツァルトの五重奏曲、明快な音色で端正に歌っている好演だと思います。
クラリネットと弦の会話もよく合っていて、躍動感もありますけれど、
無理のない会話で自然と進む、そんな感じでしょうか。

それに比してウェーバーの五重奏曲は耳馴染みが少ない曲なのですけれど、
よく言えば自由に歌っているようですが、どこか唐突さも感じてしまいます。
面白いのかもしれないけど、音が外れてない? これってゲンダイ音楽・・・
なんて思えてしまうのは聴き手の「修行が足りない」ってことでしょう。

録音はややオンマイクでしょうか、残響が少なくてちょいとストレート。
でもクラリネットの艶やかさや艶かしさもちゃんと捉えられていて、
これまでの音がイマイチというイメージは払拭しました。
もちろんしっかりとしたステレオ録音です。

posted by fronte360 at 21:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 12-LP/CD音楽(Classical) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月01日

オドノポゾフ、メンデルスゾーン&パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会。
このジャケットも好きです。 ヴァイオリンの弓が軌跡となっています。

メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調 Op.64
パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調 Op.6
 リカルド・オドノポゾフ(ヴァイオリン)
 ジャンフランコ・リヴォリ指揮ジュネーヴ放送交響楽団

P9301955
P9301955 posted by (C)fronte360

コンサートホール盤収集の盟友・日下部さんのサイトにあるジャケット写真は、
full stereo と印刷され、レコード番号が SM-2205 となってますけれど、
手元にあるのは M-2205 で、実際に聴く限りモノラル録音でした。

モノラルですが上質な録音、何よりリカルド・オドノポゾフの美音にうっとり。
端正なメンデルスゾーンの協奏曲に、久しぶりにぞくぞくっときました。
そしてパガニーニでは艶やかで伸びやかな歌いまわし、伴奏のリヴォリも好調。
ジャケットだけではなく、これも内容の良いアルバムです。

リカルド・オドノポゾフ(1914〜2004年)、両親がロシア人のアルゼンチン生れ。
1927年にベルリン高等音楽院に入学、カール・フレッシュに師事し、
1934〜8年 ウィーンフィルのコンサートマスターを務め、
1937年 第1回イザイ・コンクール(現エリザベート王妃国際コンクール)で、
ダヴィド・オイストラフに次ぐ2位入賞という輝かしい腕前の持ち主です。

しかしウィーンフィルの地位をウォルフガング・シュナイダーハンに取られ、
大戦中にアメリカに渡って、1944年にはカーネギーホール・デビューするも、
戦後 1956年 ウィーンに戻って、ウィーン音楽大学の教授となりました。

このため演奏家としては第一線から退いたような感じとなっていましたけれど、
コンサートホール・ソサエティには彼の録音がいくつか残っているようです。
ざっと調べたところ、手元には3種類あることが確認できました。
(あと1種未入手のようです)

またおいおいと聴いてゆきたいと思います。


posted by fronte360 at 20:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 12-LP/CD音楽(Classical) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月30日

オッテルロー、リムスキー=コルサコフ/シェエラザード

台風がやってきて、現在潮岬付近にいるようですね。
家に引き籠もるしかないので、以前より思案していた計画を実行しました。

東京で買ったアンプ SANSUI AU-D707F がDVD/CD用になってましたが、
東京でも使っていたレコードプレーヤ TRIO KP-7300 を接続して、
自宅の2箇所でアナログレコードが楽しめるようにしました。
(テレビは見ないので箱に詰めてしまいました)

アームは Audio-Technica AT1100、 カートリッジは Ortofon MC100 ですけど、
部屋が狭いので、スピーカはサンスイのミニコンポの安物を繋いでいて、
とりあえず鳴っている、レコードが聴ける、といった程度ですけれど。

P9301951
P9301951 posted by (C)fronte360

試運転を終えて聴いているのは、やはりコンサートホール・ソサエティ盤。
このレコードジャケットも魅力的なデザインですけれど・・・

リムスキー=コルサコフ/「シェエラザード」作品35
 ローラン・フニーヴ(ヴァイオリン・ソロ)
 ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮ウィーン音楽祭管弦楽団

演奏もまたいいですね。
しっかりとツボを押さえた演奏ながら、ダイナミズムがあって歌もある。
妖艶さよりも明るさが前に出るのがオランダの名匠オッテルローらしさかな。

ローラン・フニーヴは当時スイス・ロマンド管弦楽団の第1ヴァイオリン奏者で、
ジュネーヴのコンセルヴァトワールで教鞭もとって活躍中と書かれてますが、
確かに艶やかで魅力的なソロ・ヴァイオリンを聴かせてくれます。

あと驚いたのは、録音が意外と鮮明であることでしょうか。
ステレオ装置を変えたこともありますけど(音抜けが良い安物ですからね)、
これから別のコンサートホール・ソサエティ盤を聴く楽しみも増えました。

台風、大きな被害をもたらさずに行き過ぎてくれますように・・・


posted by fronte360 at 15:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 12-LP/CD音楽(Classical) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月29日

リリー・クラウス、シューベルト・リサイタル

台風がやってきます。
午前中に出かけて用事を済ませて、昼過ぎに戻ってきました。
10月中旬の資格試験に備えて勉強を始めたものの、眠くて眠くて・・・

レコード鑑賞の時間としました。
個性的で魅力あるジャケットデザイン、これでピンときたでしょうか、
コンサートホール・ソサエティのレコードです。

リリー・クラウス、シューベルト・リサイタル
 ピアノソナタ第20番 イ長調 遺作
 感傷的なワルツ 作品50
 楽興の時より 第2番・第3番  作品94
 レントラー 作品171より
 エコセーズ 作品18、33より

P9291946
P9291946 posted by (C)fronte360

A面のピアノソナタ、シューベルトが亡くなった1828年の作品、
遺作とジャケットに書かれているけれど、第21番が最後の作品なのでは・・・
それはともかくリリー・クラウスらしい明晰なタッチ、媚びるところのない、
真摯な演奏が展開されてゆきます。

それに比してB面の小曲は、同じく明晰なタッチで、気楽に楽しめます。
「感傷的なワルツ」の小粋なこと、たわいのない作品と解説に書かれていますが、
このレコードではこれが一番とっつきやすくてリラックスできますね。

お馴染みの「楽興の時」など少々カタイかな、とも思えますけれど、
清潔感があり、高雅な趣は彼女ならではのものでしょう。

ついに雨が降り出しました。 大きな被害が出ませんように・・・

.

posted by fronte360 at 16:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 12-LP/CD音楽(Classical) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月28日

レーゼル、シューマン/ピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲

「室内楽は老後の楽しみ」と若いときには嘯いていて
マーラーなどの交響曲や大規模管弦楽曲ばかり聴いて喜んでいましたが、
最近はモーツァルトと宗教曲と室内楽が中心になりつつある現状であります。

演奏会の予習も当分なくなったので、通勤時の音楽はもっぱら室内楽となり、
最近のお気に入りの一つがコレです。

シューマン/ピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲
 ペーター・レーゼル(p)、ゲヴァントハウス弦楽四重奏団

このCD、1994年発売の徳間音工のドイツ・シャルプラッテン・シリーズV、
ブロムシュテッドのシューベルト交響曲全集、ヘルビッヒのハイドン交響曲集、
スィトナーのドヴォルザーク交響曲全集などが出て、次々にこれらを捕獲し、
その時についでにコレも買いましたが、今また新たに聴き始めた感じ・・・

P9281896
P9281896 posted by (C)fronte360

シューマンの「室内楽の年」として知られる1842年、
クララと結婚して2年、クララとともにバッハの平均律クラヴィーア曲集や、
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を研究・分析をしたそうで、その結果として、
この年に3曲の弦楽四重奏曲とピアノ五重奏曲、四重奏曲が生まれたそうです。

ピアノ五重奏曲、弦楽四重奏にピアノという編成、これまでにありそうで無く、
シューベルトのピアノ五重奏曲「鱒」はコントラバスの入った編成で、
この編成で名を残す曲としてはシューマンが最初であるようです。
弦楽四重奏は、ベートーヴェンの時代には「賢者の会話」とも言われていて、
完結した楽器編成であったからでしょうかね。

さてこのピアノ五重奏曲、シューマン好きにとっては一筋縄でいかない魅力・・
とでも言うのかな、ちょっと分厚い響きの中にシューマンらしい詩情が、
現れては消えて、また顔を覗かせる、そんな感じですね。
気分も安定していないようにも思えるのがシューマンらしさかな〜
などと思いながら、けっこう面白く聴いています。

それに比してピアノ四重奏曲、五重奏よりも完成度は落ちる・・・
これが一般的評価であるようですが、よりスッキリと見晴らしが良くなって、
個人的にはこの曲の方が、好きです。

特に第3楽章のアンダンテ・カンタービレの美しさに感嘆しました。
今さらではありますが(今まで何を聴いていたんだろう・・・とも)。。。

メロディの美しさも特筆すべきですが、楽器間の会話、受け渡しが素晴らしい。
ヴィオラ、チェロの落ち着いた響きで歌い、ピアノとヴァイオリンが絡んできて、
感涙ものでした。 これほどに美しい曲があったのか、とも。

演奏の良し悪しまでは言及できるほど他の演奏を聴いていませんが、
ズスケ率いるゲヴァントハウスSQは、誠実でしなやかさも持ちあわせていて、
正統的なドイツの演奏と言っても良いのではないでしょうか。

.

posted by fronte360 at 05:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 12-LP/CD音楽(Classical) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする