2013年08月31日

吹田市交響楽団 サマーコンサート2013

日時:2013年8月25日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:吹田市文化会館メイシアター・大ホール

曲目:<第1部>
    アルバート・ケテルビー/ペルシャの市場にて -*
    ドヴォルザーク/スラヴ舞曲集 第1集より第8番 -*
    ブラームス/ハンガリー舞曲集より第5番 -*
    マルケス/ダンソン第2番 -*
    チャイコフスキー/序曲「1812年」-*
   <第2部>
    素人指揮者コーナー
   <第3部>
    伊福部昭/交響譚詩

(アンコール)
    小関裕而(米山 信編曲)/阪神タイガース球団歌(六甲おろし)

指揮:米山 信、新谷 武 -*

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今年も夏休み最後の日曜日、吹響のサマーコンサートを楽しみました。 なかでもケテルビーの「ペルシャの市場」、クラシック音楽を聴き始めた頃より好きな曲ですが、実演では始めて。 オケの男性メンバーが歌う合唱が入り、コスチュームに身を包んだ人物がステージを横切ったりもして、なかなかに情感のある演奏でした。 昨年の青少年のための管弦楽入門と同じく、有名ですけれど実演ではなかなか接することのできない曲が聴けるのが嬉しいですね。
またメキシコの作曲家マルケスのダンソン第2番。 1994年作曲の初めて聴く曲でしたが、ラテンの熱い血を彷彿とさせるリズムカルで魅力的な音楽でした。 新谷さんの粘着質の棒もよく演奏に似合っていたのではないでしょうか。 これも収穫でした。
チャイコフスキーの1812年では、増員させたブラスメンバー13名を舞台袖に配置してゴージャスな響きでのフィナーレを形成して奮闘。 ただし2階席だったので舞台袖からの立体感はイマイチといった感じでしたけれども・・・
なお増員ブラスメンバーも参加してのアンコール曲「六甲おろし」では、舞台袖のトランペット君の奮闘ぶりがちゃんと立体的に聴こえてきて、なかなかにカッコ良かったですよ。
指揮者コーナーも例年どおり米山さんの独壇場、トークで楽しませていただきました。
締めの伊福部昭の交響譚詩。 米山さんらしい省エネ指揮スタイルでさくさくっと進めた感じ。 新谷さんなら、土俗的なエネルギーを全開であったろうな、と思いつつ見晴らしいのいい感じの演奏を楽しみました。
午前中、大阪は豪雨となって警報も出て、梅田は浸水騒ぎもありましたので、いつもよりも少な目のお客さんだったのが残念でしたけれども、楽しませてもらいました。 皆さんお疲れさまでした。


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2013年08月04日

大阪ハイドンアンサンブル 第19回定期演奏会

日時:2013年7月28日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:ドーンセンター

曲目:モーツァルト/歌劇「後宮からの誘惑」序曲
   ハイドン/交響曲第100番ト長調「軍隊」
   ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調「田園」

(アンコール)
   モーツァルト/アヴェ・ヴェルム・コルプスK.618(弦楽合奏版)

指揮:杉田圭一

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弦楽アンサンブルそして管打楽器が有機的に絡む「田園交響楽」を楽しみました。 やはり田園って名曲なんだな、と再認識した演奏会でした。
調べてみると、大阪ハイドンアンサンブルの演奏会は第10回定期演奏以来なんと9年ぶり2度目。 その時の感想文を掘り出してみましたけれど、その当時と変わらず熱い演奏のハイドン。 最近流行、というよりも本流になりつつある古楽器を意識した演奏ではなく、しっかりとした構成感を持って正々堂々とオケを鳴らした「軍隊」。 個人的には、もうちょっと室内楽的な響きも織り交ぜるような変化も欲しかったところでしたが、19世紀的ともいえるしっかりとした演奏だと感じました。
これに先立って演奏された「後宮からの誘惑」序曲もまた華やかで賑々しい演奏で、開幕にぴったり。
そしてメインの交響曲第6番「田園」、「田園交響楽」と呼ぶのがふさわしい感じだったでしょうか。 ハイドンよりも洗練されたアンサンブルには力みが随分と消え、軽やかさに粘り強さも加わった端正なアンサンブルを楽しみました。
個人的にはアンコール曲の弦楽合奏版によるアヴェ・ヴェルム・コルプス。 この弦楽アンサンブルが心に沁み、暖かな気持ちで会場を後にすることができました。 皆さんお疲れさまでした。 来年は結成20周年、いずみホールでのコンサートだそうです。 ますますの発展を期待しています。


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簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

天満橋のドーンセンター、大阪府立男女共同参画・青少年センターの前は何度も通っているのですが、中に入るのは初めて。 ここの7階になかなかしっかりとしたホールがあるのですね。 約400席、可動席を加えると500席だそうです。

開演15分前にホールに入りました。 学校は既に夏休みですし、プログラムが「軍隊」「田園」ということもあるでしょうね、小学生とおぼしきお子さん連れが多く目につきました。 めぼしい席は埋まっていたので、後ろから3列目、右サイドの O-27 に陣取ります。 会議が出来る多目的ホールのようで、肘掛けにテーブルが仕込まれているのですね。 それはともかく座席幅、足元にも余裕があって、座席配置がよくステージも見やすくて、なかなかいい感じです。

アナウンスがあり、定刻となって左右より整列入場。 客席の照明が落ちてゆきました。 10-10-6-4-3 の通常配置。 コンミスが立ち上がってチューニングを指示、入念なチェックを終えて準備完了です。 にこやかな笑みをたたえた指揮者の杉田さんが登場して、コンミスと握手。 全員が起立します。 杉田さんが客席に深々と一礼をしてから登壇。 さぁ、始まります。

モーツァルトの歌劇「後宮からの誘惑」序曲、華やかで賑々しい演奏でしたね。 開幕にぴったりといった感じでした。
杉田さんの軽い鼻息と共に開始、穏やかな開始からリズムよく進めます。 弾力のあるティムパニの打音、クラリネットの太い響きが印象的でした。 キレ良く進めたのをスパッと切り、今度はまろやかな響きとしますが、また次第にキレを戻して進めて、賑々しい打楽器の響きで彩られますと、華やかな響きが全快で、開幕の音楽にピッタリとった感じ。 最後は更にヴォリュームを上げ、元気よく力強く纏めました。

ハイドンの交響曲第100番「軍隊」、しっかりとした構成感を持って正々堂々とオケを鳴らした演奏でした。 最近流行というよりも、本流になりつつある古楽器を意識した演奏ではなかった、ですね。 古楽器信者ではありませんが、個人的にはもうちょっと室内楽的な響きも織り交ぜるなどの変化も欲しかった、というのが正直な感想でした。 しかしながら、ちょっと懐かしい19世紀的ともいえるしっかりとした演奏は聴き応え充分でした。 名曲なんでハードルがちょっと高いのは許してください。

第1楽章、まろやかな弦アンサンブルによる開始、上品な響きですね。 これにぐっと力がこもって威厳のある響きとなります。 金管の煌びやかな響きが、まろやかな弦に絡んで進んでゆきます。 覇気を感じるハイドン。 いいですね。 主題を戻し、また上品な響きとしてから、再度力を増します。 ホルンの響き、全体によくマッチしていました。 杉田さん、拳を上げて更にホルンの強奏、よりパワフルな音楽としてこの楽章を締めました。

第2楽章、明るく艶やかな弦の響きで開始。 端正なオーボエ、暖かなクラリネットとファゴットの響きも交えて朗々とした音楽です。 これにパーカッションが加わっていわゆる「軍隊」なのですけれど、ややボリュームが大きいみたい。 曖昧さのないストレートで熱気ある音楽なのですけれど。 でも、トランペットの渋い響きがオケに絡んでいて良かったですよ。 この楽章も力強く終わりました。

第3楽章、滑るような弦の響きが明るく力強く響きます。 杉田さん、指揮台の上に直立して棒を終始上下に振っていて、力をこめて音楽を推進させてゆきます。 打点が明快なぶんやや単調になるきらいも感じました。 パワーで畳み掛けるなどフルオーケストラで演奏するハイドン、19世紀的な感じでしょうか。 最近流行の古楽器的な要素は感じません。 杉田さん、大きく振りかぶって主題を戻し、またタイトに進めていきました。

第4楽章、軽快な弦の響きによる開始も、さっと振ってまた力強くなります。 やはり19世紀的な感じなのですが、各パートがしっかりしているからでしょうね、艶やかな弦の響きで、力任せの混濁した感じでは全くありません。 ティムパニも素早く力強く叩きます。 これもちょっと音量大きめ。 覇気のある音楽を推進させて、杉田さんが軍楽隊長に見えてきた感じです。 ここもトランペットが良かったですね。 より大きな音楽として全曲を閉じました。

15分間の休憩。 聴き疲れたかな、ちょっと広めの座席が心地よいですね。 深く腰掛けてアンケートを書きながら時間を待ちます。 定刻、オケメンバーが左右より整列入場すると、ステージはいっぱい。 トロンボーンが加わったので、トランペットはひな壇より下りて、右隅のティムパニの前に陣取っていました。 コンミスによるチューニングを終えて準備完了。 杉田さんが出てきて深々と礼をし、登壇。 いよいよ始まります。

メインの交響曲第6番「田園」、「田園交響楽」と呼ぶのがふさわしい感じだったでしょうか。 弦楽器そして管打楽器が有機的に絡んだアンサンブルはハイドンよりも洗練された響き、力みが随分と消えていました。 軽やかさに粘り強さも加わった端正なアンサンブルを楽しみ、やはり田園って名曲なんだな、と再認識したしだいです。

第1楽章、軽やかで爽やかな響きながら奥行きを持った弦アンサンブルによる開始、上々の滑り出しです。 オーボエはチャーミング、ホルンもまろやかに響いて自然な盛り上がりが素晴らしいですね。 でも主役は弦楽アンサンブル。 低弦はコントラバス3本ながらしっかりと曲を支え、高音弦は瑞々しくて艶のある響きで魅了します。 中音弦が落ち着いていて、各パートがよく混ざり合っていて、しばし聴き入りました。 そしてこの楽章は柔らかく纏めました。

第2楽章、ふくよかな低弦の響きを伴った開始、第1ヴァイオリンの音色も軽やかでこの楽章も素敵です。 暖かな木管の響きを絡めつつ、ゆったりと進んでゆきます。 先のハイドンではストレートに力を込めていましたが、ここではまあるく力が込められている感じ。 チェロのトップ奏者の女性の方、指揮者をよく見ながら嬉しそうに弾いておられるのも印象に残りました。 クラリネットの朴訥とした響き、フルートとホルンの掛け合い、そして響きがオケと一体になっているのが素晴らしいですね。 この楽章もまた柔らかく着地。

第3楽章、軽やかに始まって徐々に力を増し、タイトな響きになりますけども、深みを感じて落ち着いています。 弾力のある響きですね。 トランペットは完全にオケの響きにすっぽりと同化しているようです。 木管楽器は全般的に端正、こじんまりとした感じだったでしょうか。 覇気ある響きとなりましたが、弦楽器が艶を乗せてこの楽章は力強く駆け込みました。

第4楽章、アタッカで入ると低弦の引き締まった響き、じっくりと集中力を高めてゆきます。 杉田さんがぐっと振りかぶってティムパニからタイトな打音。 先の細いマレットで素早く叩いてタイトに盛り上げます。 ハイドンでは音量が大きく感じましたが、ここではオケと同化、全体に小ぶりの嵐だったでしょうか。 凝縮度の高い演奏となっていてオケの響きがブレンドされ、クライマックスをタイトに決めました。

第5楽章、管楽器の端正な響きに伸びやかなヴァイオリン、柔らかな低弦のピチカート。 ゆったりと進めていいですね。 音楽が活気ついてきても、伸びやかな弦楽アンサンブル、各パートの響きが有機的に絡んで進んでゆくさまはまさに名曲。 うっとり。 全員が一丸となって曲を盛り上げてゆきます。 透明感の高いヴァイオリンに粘り気のある中音弦、そして終始落ち着いた低弦。 最後まで大きな呼吸で進めて、全曲を纏めました。
演奏終了後、ホールにしばしの静寂が流れてから、拍手。 これも良かったですね。 名曲を堪能しました。

アンコールは、モーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスの弦楽合奏版。 弦楽アンサンブルは田園よりも柔らかく、より美しく柔らかく暖かくなりましたね。 次第に熱気も孕んできて、魅了されました。 そんなアンサンブルが心に沁み、暖かな気持ちで会場を後にすることができました。 皆さんお疲れさまでした。 来年は結成20周年、いずみホールでのコンサートだそうです。 ますますの発展を期待しています。



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2013年07月15日

かぶとやま交響楽団 第47回定期演奏会

日時:2013年7月14日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:伊丹アイフォニックホール・メインホール

曲目:オネゲル/交響詩「夏の牧歌」
   ミヨー/バレエ音楽「屋根の上の牛」op.58
   エルガー/創作主題による変奏曲(エニグマ変奏曲)

(アンコール)
   エルガー/愛の挨拶
   エルガー/「威風堂々」第1番

指揮:藤田謹也

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いつもながらの凝った選曲、自然な高揚感のあとに小さなアイフォニックホールが強靭な響きで満たされる、そんな密度の濃い演奏会を楽しみました。
メインのエニグマ変奏曲、恰幅が良くて深い響きによる主題呈示から惹き込まれました。 自然な高揚感、キレの良い響きで満たされていて、第14変奏の行進曲から徐々に音量を上げてストレートに響く金管、華やかで力強くタイト。 じっくりと進めたあとパワフルに大きく纏めての着地まで高い集中力でした。
ミヨーの「屋根の上の牛」の主題もまた軽やかながら強靭さをもったタテ乗りアンサンブルが見事でした。 トランペットの輝かしい響きもラテン系ならば、終盤のホルン3連奏もタイトでカッコ良く響いていました。 ギロを弾いていた奏者の方、ポーカーフェイスでの力演が最後まで崩れることなく印象的でもありました。
冒頭のオネゲルの「夏の牧歌」は、まさに夏らしい物憂げな感じ。 やや掴みどころの無い柔らかなホルンの旋律を伴う緩やかなアンサンブル。 それが自然に高みへといざなっての高揚感、そしてまた牧歌に戻ってコントラバスの静かなピチカートで幕。 始めて聴く曲でしたが、楽しめました。
ちょっと小振りな曲によるプログラムなのでアンコールは2曲。 それでも15時間45分にはホールを後にしました。 夏らしく省エネ・・・いえいえ濃密な時間を過ごした演奏会でありました。


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簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

昨夕の豪雨のあと一気に気温が下がって過ごしやすくなりました。 でも空気は不安定なのでしょうね、朝にもバラバラと屋根を叩く強い雨が振って目覚めました。 演奏会に出かける頃は晴天、暑くて家を出るのがちょっと遅れましたが、大阪駅でうまく丹波路快速に乗れたので、セーフ。 15分前にホールに入ることができました。 この時期、焦ってホールまで走りたくないですものね。

いつもの席を目指しますが、あいにく先約がいらしたので、後ろ3列目のLG-11に落着きます。1階席は前の方を除いて沢山の方がいらっしゃいますが、ここは閑散としていますし、何より湾曲していて前に席が無いので、失礼ながら靴を脱いでリラックスできるのですね。 そして高みの見物、天井桟敷の気分でもあります。 下方に見えるステージは、8-7-6-5-4 の通常配置に並んでいます。 楽屋からは管楽器の練習音もよく聴こえております。

定刻、場内が暗転すると左右より入場が始まります。 管楽器はホルン、オーボエ、フルート、クラリネット、ファゴット各1本づつ。 コンマスが入場、拍手に一礼してからチューニング。 これを終えると照明が点いて準備完了・・・と思いきや、ホルン奏者の方がいきなり袖に走って消えて何事かと・・・でもすぐに戻ってきて席につくと指揮者の藤田さん登場。 何事も無かったように指揮台の前で全員を立たせて一礼して登壇。 いよいよ始まります。

オネゲルの「夏の牧歌」、たぶん始めて聴く曲です。 中低弦の柔らかな響きのあと、ホルンによる旋律が唄います。 これが牧歌なのでしょう。 オーボエの落ち着いて凜とした音色も素適でした。 軽やかな弦のアンサンブルは、やや掴みどころの無い感じ。 緩いのか手探りなのか、始めてなのでイマイチよく判りませんけれども、音楽は自然な高まり、高揚感へと登ってゆきました。 木管の落ち着いた響き、中でもクラリネットの音色がよかったですね。 高揚感を何度か繰り返したあと、牧歌が戻ってきました。 端正な響きのフルート、渋いヴィオラの音色をともなって曲は静かになり、最後はコントラバスのピチカートで幕。 夏らしい物憂げな感じで、なかなか良い曲でしたね。

暗転、管楽器奏者の入れ替えと増強を行って2管編成にパーカッション奏者2名が登場しました。 コンマスによるチューニングを終えて、準備完了。 照明が点き、指揮者の藤田さんが登場して始まります。

ミヨーの「屋根の上の牛」、この曲は実演でも何度か聴いている楽しい曲ですね。 藤田さんの軽いハナ息とともに、明るく始まりました。 しかも奥行きを感じさせるトランペットの響き、弦楽アンサンブルも軽やかながら重量感を感じさせた冒頭から見事な演奏。 これが多少ルーズな響きに崩してから、またぎゅっ〜と引き絞った響きへと戻すなど、お見事。 金管のファンファーレはよく揃っていて、しかもラテン系な響きにジャジーな要素も垣間見えて楽しめました。 弦楽奏者の方も、中には首で軽くリズムを取りながら弾く方もいらして、全体としても大きく波打ったり粘ったりするアンサンブルが聴き応えありました。

それに比してというのもナニですが、パーカッション奏者の方2名は立つ間もないのか座ったまま、そして座ったまま身体を捻じって大太鼓を叩いたりと忙しい。 ギロを担当されていたこの奏者の方は常にポーカーフェイスでの力演でした。
終盤、ホルン3連奏がタイトでカッコ良く響いて、トランペットも明るく輝くような響きがオケを抜けてきます。 リズムは引き締まって、馬力を上げていってピッコロも入って絶高調に達したところでシンバルの一撃で止めました。 軽やかながら強靭さをもったタテ乗りアンサンブルが見事でした。

15分の休憩。 定刻となってホール内が暗転します。 左右よりオケメンバーが入場、ステージいっぱいの奏者がいらっしゃいます。 コンマスが最後に登場してチューニングを実施。 準備OK、照明が点いて指揮者の藤田さんが登場。 登壇前に客席に一礼してから始まります。

エルガーのエニグマ変奏曲、恰幅が良くて深い響きによる主題呈示から惹き込まれました。
主題、おおきくゆったりと構えた藤田さんが動くと、深く潤いのある弦の響きが流れ出てきました。 前2曲ではなかった恰幅の良さを感じました。
第1変奏、木管楽器も同じ種類の響きで受け継がれてゆきます。 チェロ、コントラバスの響きもずしりと響いきたのもよかったですね。 金管楽器が入って瑞々しくなったみたい。 ティムパニはちょっと控えめの打音による自然な高揚感が見事でした。
第2変奏、第2ヴァイオリンの深みのある響き、管楽器が加わって重層的に響いてきました。
第3変奏、ファゴットとコントラファゴット、管楽器の深みのある響きを持った音楽で、躍動的にもなった緻密な演奏が展開。
第4変奏、力強く、キレ良く、ストレートにタイトな音楽で締めました。
第5変奏、弾力、粘り気のある弦アンサンブルの分奏が光っていました。 木管の軽やかな歌も挟み込まれていました。
第6変奏、明るい木管、軽やかな弦のアンサンブルに渋い響きのヴィオラのソロに味わいがありました。
第7変奏、ティムパニの打音により力強く駆け出すスピード感、トロンボーンとチューバがパワフルでタイトに決めました。
第8変奏、クラリネットの明るい音色が素適、やわらかな弦アンサンブルでのびやかな演奏。 絡む木管もまた素適な響き。
第9変奏、アタッカで前の曲より続けて演奏、ゆったりとした弦のアンサンブルによってテーマが歌いまわされてゆきます。 たっぷりとした弦に木管が絡む自然さそして高揚感がとてもよかったですね。
第10変奏、深みのあるフルート、クラリネットが小粋な掛け合い。 しみじみとしたヴィオラのソロが絡んで進みます。 ファゴットも素適で、落ち着いた音色に満ちていました。
第11変奏、軽いハナ息とともにタイトに走る音楽。 金管ファンファーレが壁のようにパワフルに響いてきました。 力強いティムパニの一撃で終了。
第12変奏、チェロのソロがむせび泣くような開始。 しみじみとしたヴィオラとチェロのアンサンブルも絡みます。 情感をたたえた音楽ですが、ホールが小さいせいかやや大きな音量だったでしょうか。
第13変奏、クラリネットがしみじみと唄い綴ってゆきます。 ティムパニが入って曲が大きくなると、明るくもなります。 ティムパニは布を敷いた上を叩いていました。
第14変奏、ティムパニの布は素早く取り除かれて行進曲となります。 引き締まった音楽が音量を上げて、華やかで力強い音楽。 キレも良いのですが、じっくりと曲を進めてゆく手堅さ。 としてまたパワフル、トロンボーンが気持ち良さそう。 拡大した音楽を丸ぁるく纏めたエンディング。 充実した音楽を楽しみました。

ちょっと小振りな曲によるプログラムだったからでしょうかアンコールを2曲するとの藤田さんのスピーチで、まずは「愛の挨拶」。 艶やかなヴァイオリンが素適な開始、コントラバスの芯のある響きを伴った豊穣なるアンサンブルとなって演奏されました。
演奏終了後いったん袖に下がって出直した2曲目は「威風堂々」。 タイトながら重量感のある演奏は筋肉質。 小さなホールがそんな響きで満たされてのお開きとなりました。
演奏会が終る頃にはまた雨が降り出しそうな天気となっていて、慌ててホールを出たのは15時間45分。 けっこう早めに終わりましたが、夏らしく省エネ・・・いえいえ濃密な時間を過ごした演奏会でありました。 皆さんお疲れさまでした。


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2013年07月01日

天理シティーオーケストラ 第13回定期演奏会

日時:2013年6月30日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:天理市民会館やまのべホール

曲目:ブラームス/ハンガリー舞曲集より第1番、第3番、第10番
   モーツァルト/オーボエ協奏曲ハ長調 K.314
   ブラームス/交響曲第3番ヘ長調 Op.90

(アンコール)
   J.シュトラウス2世/ピチカート・ポルカ
   J.シュトラウス2世/チック・タック・ポルカ
   J.シュトラウス/ラデツキー行進曲

独奏:浅川和宏(ob)

指揮:安野英之(常任指揮者)

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誠実さ、ふりかえってみるとそんな言葉が浮かぶ演奏会を楽しみました。
ハンバリー舞曲は、重厚な響きの弦楽アンサンブルを快速に進めるしっかりとした演奏。 何より第3番のオーボエの艶やかな響きに魅了されました。 この日の演奏会、この音色を聴けたことだけでもよかった、ちょっと大げさですけれども、そう思えるほどの音色にうっとりと聞き惚れていました。
大阪フィルの浅川さんを迎えてのモーツァルトのオーボエ協奏曲、高音域の多い華やかな曲ながらも端正な響きできっちりと演奏された感じだったでしょうか。 オーケストラもしっかりとソロを支えて健闘してたのが光っていました。
メインのブラームスの交響曲第3番、じっくりと腰を落ち着けて曲と対峙していました。 すべての楽章が静かに終わって盛り上がらない曲ですが、プレトークでは弱音を美しく演奏する練習を積まれたと言われていました。 そのこともあってか音量が上がる場面でもテンペラメントに燃えることなく、やや淡々と過ぎていった感じ。 終始落ち着いた響きによるブラームスの世界を堪能しました。
そして音楽にもっと親しんでもらいたい、そんな安野さんの気持ちはアンコール曲で爆発。
おどけた安野さんの指揮によるピチカートポルカ、はずんだチック・タック・ポルカ、そしていつものラデツキー行進曲で締め。 会場に来られた皆さん、笑顔になって会場を後にしていました。 開演前のプレトーク、そしてお開きとなったあとはロビーでのアンケート回収と、今回も指揮者の安野さんは大忙し。 これはなかなか出来ることではありません。 そっと頭を下げて会場を後にしました。

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簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

梅雨の合間の天候に恵まれた一日、久しぶりに天理駅に降り立ちました。 空が広いですね。 もうちょっと早めに家を出られれば、石上神宮や天理参考館にも行ってみたかったのですが、駅前で買い物をして開演20分前にホールに到着。 受付を済ませると、いつもどおり階段を上ってホール後方より入ります。 後ろから2列目のX-27に落ち着きました。

開演15分前、指揮者の安野さんが出てこられてプレトーク。 プログラムに載せていないことなど気楽に聞いて欲しいと、少々砕けた口調なども織り交ぜながら演奏会への期待を高めて下さいます。 ブラームスの交響曲第3番はどの楽章も静かな終わり方をする盛り上がらない曲、演奏し難い曲であるけれど弱音を美しく演奏する練習を積んでこれらたとのこと。 ハンガリー舞曲は3曲演奏するが、この3曲はブラームス自身が自信を持って選んだ3曲であること。 そしてオーボエ協奏曲の楽譜は3つの版の良いとこどりをしてカデンツァは浅川先生の師レイ・スティルのものであることなどなど。

プレトークが終わって安野さんが楽屋に戻られると、暗転した舞台にオケメンバーが出てきました。 対向配置で 8-9-7-5-5 の編成、中低弦が厚くなっていますね。 客席の照明が落ち、舞台の照明が照らされると2ndヴァイオリンの2プルト目に空席がありますが、コンミスが立ちあがってチューニング開始。 チューニングを終えた頃、ヴァイオリン奏者の方も現れて空席が埋まりました。 なお本日は2ndヴァイオリンでトップを弾かれている栄島さんは休演だそうです。 栄島さんの動きは躍動的で見ていて楽しいのですけれど、ちょっと残念。 とにかく準備が整い、指揮者の安野さんがゆったりとした歩みで登場して、いよいよ始まります。

ブラームスのハンガリー舞曲第1番、お馴染みのメロディが重厚なサウンドで始まりました。 やや早めのテンポ設定でしょうね、快速に駆けてゆきます。 コントラバスの響きが芯になって、その周りを柔らかな弦アンサンブルが取り囲んでいる感じでしょうか。 いいですね。 途中、ぐっとテンポを落としてメリハリを大き目につけ、もとの重厚ながらの快速テンポで締め。 掴みはバッチリといった感じ。
第3番、木管の柔らかな響きによる開始から惹き込まれましたが、何よりオーボエのちょっとおどけたようでいて潤いのある音色に完全にノックアウト。 今日はこの音を聴けたことだけでもよかった、ちょっと大げさですけれども、そう思えるほどうっとりと聞き惚れていました。 弦楽器が活躍するとやはり重厚なサウンドに。 大太鼓がズシリとした重い響きで裏打ちをしています。 弦と木管と交互に入って、最後の柔らかな着地も見事でした。
第10番、ここでも重厚な響きが軽快に走って気持ちいいですね。 フルートの軽やかな響きも素敵でした。 安野さん、いつもながら嬉しそうな表情を浮かべての指揮で曲をぐいぐいと走らせ、あっという間にお終い。 大きな拍手に包まれました。

舞台は暗転、管と1stヴァイオリン奏者は退場、指揮台を取ってステージ中央に空間を作ります。 他のメンバーがこの空間を囲むように座り、最後に管と1stヴァイオリン奏者も戻ってきて、7-6-5-4-3 の編成となりました。 コンミスによるチューニングを終えると、浅川さんと安野さんの登場。 浅川さんを中央に送り出して拍手を浴びた後、安野さんが位置について、いよいよ始まります。 安野さんここでは指揮棒を使わず手で指揮をされます。

モーツァルトのオーボエ協奏曲、高音域の多い華やかな曲ながらも端正な響きできっちりと演奏された感じだったでしょうか。 オーケストラもしっかりとソロを支えて健闘してたのが光っていました。
第1楽章、爽やかで柔らかな響きによる開始、コントラバスが芯になった弦アンサンブルが素敵です。 浅川さんのオーボエソロはやや楷書風、可愛らしい響きで奏でていますがちょっと音量控え目だったかしら。 安野さん、しっかりとオケをコントロールして綺麗な響きで支えています。 中盤より油が回ってきたのかもしれませんね、浅川さんの動きもちょっと大きくなりました。 軽やかさが増してニュアンスも増したみたいです。 カデンツァは明るい響きで軽やかに歌って、最後はオケが柔らかく包み込むような着地。
第2楽章、ゆったりと進みます。 浅川さんのソロもしみじみと歌って端正な響きです。 安野さんの指揮によるオケの響きも同様、ソロとの一体感があります。 が、ちょっと色彩感に乏しい感じに聴こえるのは、ホール最後尾で聴いているからだ、ということに気付きました。 そう思って周りを見回してみると居眠りしている人もけっこういらして、ちょっと(かなり)残念。 この楽章もそっと包み込むような感じで終了。
第3楽章、軽やかに浅川さんのソロが歌い出します。 オケも一体となって丁寧に楷書風の演奏で纏めている感じ。 大阪フィルの第1奏者なので、やはりソロ奏者のような華やかさがちょっと乏しいのは致し方ないと思いますけれども、もっと近い位置で聴いていたならば、この響きの中に煌めきなども感じられたのではないでしょうか。 この位置では変な色がついていず、質実とした感じ。 端正に整えられた演奏を最後まで展開されて、オーケストラもしっかりとソロを支えて健闘、丁寧に全曲を纏めました。

15分間の休憩。 お客さんは7割くらい入っているでしょうか。 客席後方は空いていますけど、前の方はけっこう埋まってますよ。 天理市民会館やまのべホール、座席がちょっと広くて座り心地良いのがいいですね。 席でアンケートなど書きながら開演を待ちます。
定刻に近くなると暗転した舞台にメンバーが集合、各自が練習を始めて騒々しくなって期待を高めてくれます。 そして定刻、客席の照明が落ち、舞台が照らされるとコンミスによるチューニング実施。 準備万端整ったので安野さんが登場し、メインプログラムが始まります。

ブラームスの交響曲第3番、じっくりと腰を落ち着けて曲と対峙していた演奏に感じました。 弱音を美しく演奏する練習を積まれたとのこと、そのこともあってか音量が上がる場面でもテンペラメントに燃えることなく、やや淡々と過ぎていった感じ。 誠実の文字が浮かびました。 そして終始落ち着いた響きによるブラームスの世界を堪能しました。

第1楽章、冒頭のファンファーレ、やや抑え気味だったでしょうか、柔らかく奏された開始より端正に進めてゆきました。 主題を繰り返しました。 ティムパニのロールがこのときいい感じでしたね。 そしてゆったりと構えた安野さん、丁寧に進め、しだいに音量を上げた展開部は豊かな弦楽アンサンブル。 再現部ではトロンボーンとトランペットも厚みのある響きでした。 じっくりと間合いを取って進めていったあと、ゆっくりと歩みを止めて上々の滑り出し。

第2楽章、クラリネットの柔らかな響きと裏で吹くファゴットがとても良い開始でしたね。 ほわっとした温かみ、これが良かったなぁ。 凛としたオーボエ、そして明るい響きの弦楽アンサンブル。 この楽章もじっくりと構えられた音楽で、決して急がず、しかもコンパクトに纏って進んでゆきます。 盛り上がる場面も淡々と過ぎてゆくような感じ。 いつもなら弦楽アンサンブルを歌わせる妙を聴かせてくれる安野さんも、今日は指揮棒を縦に振ることに終始しているようで、オケを纏めることに重きを置かれていたみたい。 この楽章、最後までクラリネットの響きに魅了されていました。

第3楽章、チューニングを行って仕切り直してからの開始となりました。 チェロの深く艶のある響きが魅力的な開始。 ゆったりと、でもサラリと歌って進め、透明感のあるヴァイオリン。 これもまたゆったりとしていて、変な色などつけない誠実な演奏ですね。 安野さんはやはり棒を縦に振ってオケを纏め、じっくりと腰を落ち着け、曲と対峙しているとの印象を持ちました。 淡々としながらも心に響くオーボエ、そして艶やかな弦楽アンサンブルが戻ってきて、静かなピチカートで締めました。

第4楽章、少しの間合いでもってアタッカで入りました。 落ち着いた弦楽アンサンブルでの開始。 弾力のあるティムパニが入って、曲は徐々に音量を上げてゆきますけれども、端正さはそのまま。 金管が加わってもテンペラメントに燃えることなどなく、渋い金管の響きがホールを包みます。 そんな嵐が収まると、少しテンポを落としたでしょうか、安野さんここでも指揮棒を上下に振って、じっくりと腰の座った音楽。 これを最後まで押し通しての幕となりました。 終始落ち着いた響きによるブラームスの世界を堪能しました。

アンコールは、クラシック音楽も楽しい音楽もあります、と安野さんが言われて始まったピチカート・ポルカ。 思いっきりタメを作ったり、また指揮台の上でトライアングル演奏をしたりと、見た目にも分かりやすい楽しい音楽を演出。 そして時間がまだあるからと演奏されたチック・タック・ポルカ、最後は客席を向いてチクタクと歌ってサービス満点。 そしてアンコールではお馴染みのラデツキー行進曲、これを全員で手拍子をしてお開きとしました。

最後の最後まで安野さん、自分たちのオケが出演する以外の演奏会にも行って音楽に親しんで欲しい、と言われていました。 開演前のプレトーク、そしてお開きとなったあとはロビーでのアンケート回収と、今回も大忙しいの安野さんでした。 これはなかなか出来ることではありません。 そっと頭を下げて会場を後にしました。


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2013年06月10日

オーケストラ千里山 第20回演奏会

日時:2013年6月9日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:いたみホール・大ホール

曲目:ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調 Op.92
   ラヴェル/古風なメヌエット
   レスピーギ/ローマの松

(アンコール)
   サン=サーンス/歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール

指揮:安野英之(客演)

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カラフルで豪華絢爛ながらも常に角の取れた柔らかな響き、重厚かつ落ち着いた「ローマの松」が素晴らしい演奏でした。 輝くような「ボルゲーゼ荘の松」の開始から惹き込まれましたが、「ジャニコロの松」での透明感のある響きが静寂を造りだして素敵な時間が流れていたのが印象に残りました。 そして全体を締めくくる「アッピア街道の松」の終結部は自然と盛り上がってゆきましたが、最後まで統率された重厚感のある響きが支配、シンバルも渋い響きで艶ののった金管ともどもで熟成された音楽をすっと離した幕切れも上品。 一気呵成に攻めるのではなく、じっくりと腰を据えて頑張ってきた(これからも頑張る)オケ千らしい「ローマの松」であったように思いました。

これに先立って、というより冒頭にはベートーヴェンの交響曲第7番。 メイン2曲構成という珍しいプログラムでしたが、こちらはチェロ奏者でもある安野さんらしいとも言える弦楽アンサンブルの妙が光った演奏でした。 第1楽章冒頭より聴きなれた音楽であるはずなのに、各弦パートの響きが響き合い混ざり合った奥行きをもった旋律、これが進んでゆくのハッとしました。 第2楽章では冒頭より深い響きのヴィオラによる葬送行進曲、対向配置に据えられた弦楽アンサンブルがしっかりと機能。 安心感があります。 終楽章では「のだめ」のドラマを見ていた人には面白味は少なかったかもしれませんが沈着冷静、唸りを上げた8本の低弦によるフィナーレも充実した響きとして纏めていました。 弦楽アンサンブルを堪能しました。

メイン2曲に挟まれた小品「古風なメヌエット」はややソリッドに感じた弦楽器の響きより、クラリネットのまろやかな響きに魅了されました。 オーボエの甘い響きも良かったですけれど、常に沈着冷静に曲を進めた安野さん、落ち着いた時間が流れていました。

しかしアンコールではそれまでの抑制が解かれたようで自由闊達、伸び伸びとした「バッカーナル」によって元気よく締めくくって、会場は大いに盛り上がりました。 この曲もメインプログラムとして時間かけて練習されるならば、また勢いだけでない一味違った良さも出てくるのだろうと思った次第。 とにかく皆さんお疲れさまでした。

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簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

急用があって午前中に難波まで一往復して戻ってきて、朝食兼昼食をかきこんで出発。 疲れたので電車の中で少々寝てしまいました。 ギリギリに到着かな、と思っていましたが、難波・梅田(大阪駅)での乗り継ぎはぴったし、なんとか開演15分前にホールに入ることが出来ました。 いつもどおり2階席へ行きましたが、けっこう入ってますね。 最終的に後ろから2列目に陣取っての鑑賞としました。 最終的には2階席も7割近く入っていたのではないでしょうか。 ステージを見ると、オケは対向配置になっていてコントラバスがなんと8本。 自由入場でメンバーの方が三々五々入ってきて練習を始めると次第にホールは練習音で賑やか、そしてこちらの期待度も高まります。

定刻、オケ編成は 15-14-13-10-8 のようです。 パンフレットを見ると第1曲目がベートーヴェンの交響曲第7番、締めが「ローマの松」というのに驚きましたが、ベートーヴェンを15型の大型オケで演るのにも少々吃驚ですね。 何しろ弦楽奏者の半分程がエキストラで、コントラバスに至っては6名がエキストラ、最近主流のコンパクトにまとめたベートーヴェン演奏ならエキストラ無しで演っても不思議ではないと思うけど、などと考えているうちにコンミスが立ち上がってチューニング開始。 客席が暗転して準備完了。 安野さんがにこやかに登場します。 いよいよ始まります。

ベートーヴェンの交響曲第7番。 チェロ奏者でもある安野さんらしいとも言える弦楽アンサンブルの妙が光った演奏でした。 第1楽章冒頭より聴きなれた音楽であるはずなのに、各弦パートの響きが響き合い混ざり合った奥行きをもった旋律、これが進んでゆくのハッとしました。 第2楽章では、冒頭より深い響きのヴィオラによる葬送行進曲、対向配置に据えられた弦楽アンサンブルがしっかりと機能。 安心感があります。 終楽章では「のだめ」のドラマを見ていた人には面白味は少なかったかもしれませんが終始沈着冷静、唸りを上げた8本の低弦によるフィナーレも充実した響きとして纏めていました。 弦楽アンサンブルを堪能しました。

第1楽章、安野さんがふわっと振って出てきたのが、深みをもった弾力ある響き。 凛としたオーボエで応えたあと、弦楽アンサンブルの豊かな響きに驚きました。 各弦パートの響きが響き合い混ざり合って、奥行きをもった旋律が進みます。 聴きなれた音楽であるはずなのに、耳から鱗が落ちるよう。 ティムパニも重く打つ響きが前に出ないのが似合ってます。 最近の傾向ですと室内楽的にソリッドに響く弦楽器にタイトなティムパニでしょうが、オーソドックスながら決して重く引きずることのない豊かな響きに魅了されました。

第2楽章、ここもふわっと振ってゆったりとした葬送行進曲、柔らかな弦楽アンサンブル、なかでも深い響きのヴィオラにぐっと来ます。 が、遅れてきた人が楽章間にどっと入ってきましたが、その人たちが席に落ち着く前に始まったものだから、少々落ち着かず残念。 安野さんコントラバスの方を向いて音量を上げます。 淡々と腕を上下に振っているだけの指揮のようですが、これで的確にオケをコントロール。 対向配置に据えられた弦楽アンサンブルをしっかりと機能させていました。 ふわっと着地してこの楽章を閉じます。

第3楽章、軽やかな開始、走りながらも落着いている感じ。 音量も自然にコントロールされているようで淡々と進みます。 トリオも変なクセをつけずに丁寧に進めた感じ。 安野さんここでも腕を上下に振って軽やかにまた走らせます。 終結部はちょっと締めてから、また軽やかに旋律を走らせてピタっと着地。 間合いを一呼吸とってアタッカで続けます。

第4楽章、的確にコントロールされた弦楽アンサンブル、金管も音量上げますが打楽器のように短く吹いて進みます。 音量を上げると安野さんの動きは逆に小さくなってオケの手綱を絞っているみたい。 安心感があります。「のだめ」のドラマを見ていた人には面白味は少なかったかもしれませんが終始沈着冷静。 唸りを上げた8本の低弦によるフィナーレ、ホルンはきちっと響きを溜めて突出せず、充実した響きとして纏めていました。 コントラバス8本の15型とちょっと懐疑的に思っていましたが、素晴らしい弦楽アンサンブルを堪能しました。

20分間の休憩、この間にちょっと編成替えがあったみたい、自由入場で揃った弦楽編成は 13-15-13-10-8 のようで第2ヴァイオリンが増えました。 コンマスも変わってチューニングを実施。 安野さんの登場で後半の開始です。

「古風なメヌエット」はややソリッドに感じた弦楽器の響きで開始。 ここでは何よりクラリネットのまろやかな響きに魅了されました。 これに続くオーボエの甘い響きも良かったですね。 金管ではミュートをかけたトランペットもチャーミング。 ここでも常に沈着冷静に曲を進めた安野さん、全奏になると深いコクのある響きを弦アンサンブルから醸し出し、静かな落ち着いた時間を演出していました。 最後は、上にすっと伸ばした左手、これを更に上にかざして響きを放して止めました。

暗転してオケメンバーのシフトと追加、ホルンはステージ上に7人が一列に並びました。 その横にはトランペットが3本、10人が並んでいます。 ステージが明るくなってコンマスによるチューニングをして準備完了。 安野さんの登場により始まります。

カラフルで豪華絢爛ながらも常に角の取れた柔らかな響き、重厚かつ落ち着いた「ローマの松」は素晴らしい演奏でした。 輝くような「ボルゲーゼ荘の松」の開始から惹き込まれましたが、「ジャニコロの松」での透明感のある響きが静寂を造りだして素敵な時間が流れていたのが印象に残りました。 そして全体を締めくくる「アッピア街道の松」の終結部は自然と盛り上がってゆきましたが、最後まで統率された重厚感のある響きが支配、シンバルも渋い響きで艶ののった金管ともどもで熟成された音楽をすっと離した幕切れも上品。 一気呵成に攻めるのではなく、じっくりと腰を据えて頑張ってきた(これからも頑張る)オケ千らしい「ローマの松」であったように思いました。

ボルゲーゼ荘の松、柔らかくもキラキラと輝くような素晴らしい開始。 音の洪水ながらも、響きの角がきれいに落ちているので騒々しくは感じません。 ここでも安野さん、沈着冷静に落着いてオケをリード。 金管楽器も先の曲まではちょっと不安定に思えたりもしましたがここでは好演、全体のリズム感も良くて、あれよあれよと思う間に終わっていました。

カタコンブ付近の松、深い低減の響きがゆったりと、祈りの音楽ですが、暗くなりすぎずにしっとりとした感じ。 バンダのトランペットが上手かったですね。 それにホルンとトロンボーンも厳かで纏まり良かったのも印象的。 荘厳な弦の響きにトロンボーンの響きが加わって増した音量は、しだいに神秘的な響きとして下げて消えてゆきました。 見事でした。

ジャニコロの松、瑞々しいピアノの響きに惹きつけられたあと、味わい深いクラリネットのソロにまた魅了されました。 チェロのアンサンブルが柔らかく流れ、しっとりとしたチェレスタ、そしてハープ。 じっくりと曲が進んで、またもやクラリネットの響き。 静寂な時の流れの中でナイチンゲールの鳴き声がホール内に響くと別世界が開けたみたい。 透明感のある響きが静寂を造りだした素敵な時間でした。

アッピア街道の松、ずん・ずん・・と低弦が響くなか、舞台中央の左右袖より金管のバンダ部隊が登場。 向かって右側にトランペット3本、左側にはトランペット2本とトロンボーン1本のようです。 コールアングレのエキゾティックな音色に魅了。 ホルンの柔らかな響き、ティムパニは静かながらも重たい響きで、じっくりと熟成させた音楽が進みます。 そしてシンバルの一撃、勢いはあるけどこれも渋い響きでオケ全体の響きのトーンによく合っていて感心しました。 重厚感のある音楽が更に進んで自然とオケは熱気を孕みます。 艶ののった金管ファンファーレで勇壮な音楽ですが、ここでもじっくりと響きを溜めこんだ感じすが、安野さん、これを右手をすっと上げてケレン味なく終了。 一気呵成に攻めるのではなく、じっくりと腰を据えて頑張ってきた(これからも頑張る)オケ千らしい「ローマの松」の幕切れであったように思いました。

アンコールは「バッカーナル」。 これまでの抑制が解かれたような自由闊達、伸び伸びとした「バッカーナル」でした。 少々荒々しいけれど元気よい演奏、演奏されている方も楽しそうでしたね。 これで締めくくったので、会場は大いに盛り上がっていました。 この曲もメインプログラムとして時間かけて練習されると、きっと勢いだけでない一味も二味も違った良さも出てのでしょうね。 とにかくいい演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。






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2013年06月03日

吹田市交響楽団 第75回定期演奏会

日時:2013年6月2日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:吹田市文化会館メイシアター・大ホール

曲目:ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
   ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
   プロコフィエフ/交響曲第7番「青春」 -*

(アンコール)
   プロコフィエフ/交響曲第1番 第3楽章 -*

独奏:安達 萌

指揮:米山 信、新谷 武 -*

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P6034618 posted by (C)fronte360


プロコフィエフの交響曲第7番、この曲をお目当てに伺いましたが、期待を遥かに上回る演奏に大満足。 素晴らしかった。 もっと知られてもいい曲なのを再認識したしだい。 第1楽章での憂いや想いを含んだ美しい響き、これをさっとひるがえして重量感のある低弦、そして締まった響きのホルンで畳み掛けるのにグッと来ました。 そして第2楽章ではめくるめくように曲が展開、打楽器も多用されていますけれど、派手にならず曲の中にきちんと納まっています。 しっかりと地に足が付いていますね。 終楽章の終結部はピチカートで静かに終わる短縮ヴァージョン。 この演奏ならばここから急展開させて全奏で終わるパターンで聴いてみたかった、と少々惜しくも感じましたけど、とにかく最後まで粘り気の伴った機動力のある素晴らしい演奏。 魅了されました。

これに先立つベートーヴェンの「皇帝」、ちょっと面白い演奏でした。 ピアニストの安達萌さんはフレーズを早めに切ってハッキリと弾くタイプ。 高音部分などチェレスタの響きのようにキラキラッと輝く響きが印象的でしたが、オケもまたザッハリッヒにバサバサッと潔く進めていましたね。 しかし注目は、トランペットとホルンにナチュラル楽器を使っていたこと。 バルブを持たない古楽器を2本づつ配し、ティムパニも先の細いマレットでコンパクトに打っていて、タイコは元気あるな、ラッパの音が突き抜けて聴こえるし、でもホルンソロはちょっとヨタヨタとしていたかな、などと聞いたのではないでしょうか。 それでもちゃんとカタチになって聴こえていたところが見事だと思います。
もっともこの演奏形態にどんな意味があるか、と言われると判りませんけれども(中途半端なだけの意見もあるでしょうが)、個人的には面白く聴いていました。

冒頭のドビュッシーの「牧神」は、フルート奏者の一人舞台といった感じだったでしょうか。 深く柔らかい響きで会場を魅了していました。 アマオケでこの曲の持つ漂うような雰囲気を醸し出すのは至難のことでしょうが、米山さんはオケを上手く纏めて雰囲気作りをされていました。

このオーケストラ、いつも色々と面白い試みをされているようですが、それがまったくプログラムには書かれていないのが残念です。 アマチュアらしくこっそりと楽しむというコンセプトかもしれませんけれど。 次回はどんな試みがあるかも楽しみです。

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簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

梅雨に入って天候が心配でした、奈良では出がけにパラパラっときたものの吹田は高曇りだったでしょうか。 開演15分前にホールに入り、いつものとおり2階席へ。 意外と、といっては失礼ですが、けっこうお客さんが入っています。 最終的には2階席も中央通路前は7割以上入っていたようです。 中央付近は諦めて、サイドでのんびりと鑑賞することにしました。

定刻、左右より整列入場。 いつもどおりの通常配置で 11-10-8-6-5 だったでしょうか。 コンマスが立ってチューニングを終えると、指揮者の米山さんがにこやかな表情でゆったりと歩いて登場。 コンマスと握手をし、そのまま指揮台に登壇して客席への一礼のあとオケを向いて始まります。

ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、フルート奏者の一人舞台といった感じだったでしょうか。 深く柔らかい響きで会場を魅了していました。 アマオケでこの曲の持つ漂うような雰囲気を醸し出すのは至難のことでしょうね、聴き手としてもホルンの響きなど柔らかいのか弛緩しているのかの判断が難しい。 オーボエやクラリネットは柔らかさはあるけれどもはっきりとした響きだったかな、弦楽アンサンブルも時おり熱気を孕んでみたりと、米山さんが端正な棒さばきによってオケメンバー各自の響きを整理して纏めての雰囲気作りをされていたようです。
この曲どうも個人的に苦手でして、掴みところのない感じの感想ですが、フルートがとても良かったことは特筆しておきたいと思います。

舞台は暗転、オケメンバーが楽屋に引き上げてピアノをステージ中央に出してきます。 休憩前なので、急いでヴァイオリンの席を揃えて自由入場でメンバーが席に着き、ピアノを叩いてチューニングをしますが、この時はまだコントラバスが入場中。 慌ただしい。 ようやく全員が揃うと同時に真っ赤なドレスに身を包んだピアニストの安達さんが指揮者の米山さんとともに登場。 始まります。

ベートーヴェンの「皇帝」、ちょっと面白い演奏でした。 ピアニストの安達萌さんはフレーズを早めに切ってハッキリと弾くタイプ。 高音部分などチェレスタの響きのようにキラキラッと輝く響きが印象的でしたが、オケもまたザッハリッヒにバサバサッと潔く進めていましたね。 しかし注目は、トランペットとホルンにナチュラル楽器を使っていたこと。 バルブを持たない古楽器を2本づつ配し、ティムパニも先の細いマレットでコンパクトに打っていて、タイコは元気あるな、ラッパの音が突き抜けて聴こえるし、でもホルンソロはちょっとヨタヨタとしていたかな、などと聞いたのではないでしょうか。 それでもちゃんとカタチになって聴こえていたところが見事だと思います。

第1楽章、弾けるような響きで開始。 トランペットの響きが少々突き抜けて聴こえてきました。 安達さんのピアノもキラキラと輝くようなハッキリとした響きで印象的な開始。 ティムパニも先の細いマレットで硬質なコンパクトな打音、米山さんもザッハリッヒにバサバサッと響きを切って潔く進めます。

注目はトランペット、2nd奏者は明らかに通常の長さの倍はある一重のナチュラル楽器を操っています。 1st奏者はロータリー式の通常の楽器かな、と思ってみていましたけど、遠目でよく見えませんがバルブが無いようです。 ホルンも2nd奏者のはすぐにナチュラル楽器と見たのですが、1st奏者のはウィンナホルンと思ってみていましたけど、どうやらこれもナチュラル楽器ですね。 するとこればっかり気になってしまうがちょっと困ったところです。

そして金管がナチュラル楽器で打楽器を含めオケもザッハリッヒに進めてゆくとなると、安達さんのピアノの響きも深みや陰影を抑えてやや平板に聴こえるのは、エラールやコンラート・グラーフといったベートーヴェン当時の楽器の響きになっているのか、などと想像も膨らみます。

とにかくピアノの打鍵が明快で聴いていて気持ちいいですね。 特に高音域などチェレスタみたいに煌めく響きも楽しみました。 オケもぐっと力のこもった響きでこの楽章を終えました。

第2楽章、深みのある弦楽アンサンブルからのいい感じで開始。 安達さんのピアノはここでも凛として響きます。 背筋をピンと伸ばしてピアノを弾く姿がそのものが音を現わしているような感じに見えました。 弾力のあるピチカートといい、終始落着いてこの楽章を進めてゆき、ためらいがちに進む第3楽章への道程も重くなく進めていました。

第3楽章、パンチのある明快な響きながら落着いた感じ。 粒立ちの良い響きなので重量感には少々欠けるきらいはありますが、キラっキラっと輝く響きが魅力的です。 タイトに打つティムパニ、金管楽器の響きも相まって、打点をしっかりとつけた伴奏。 楽器間の受渡しも良く前に前にと進んでゆく演奏がお似合いです。 そして終結部も重量感や深みよりも煌めく感じ、華々しく全曲を閉じました。

演奏後、安達さんの経歴を見ると阪神古楽器倶楽部ピアニストとの経歴がありましたので、ベートーヴェン時代を意識されたピアニズムだったのかもしれませんね。 現代オーケストラに古楽器を交えた編成、この演奏形態にどんな意味があるか、と言われると判りませんけれども(中途半端なだけの意見もあるでしょうが)、個人的にはとても面白く聴かせてもらいました。

15分間の休憩。 この間にピアノは舞台上手に移動、また舞台下手に2台あったハープも1台が上手に移動(移動した側のピアノ、ハープを利用されていました)。 定刻となって左右より整列入場となりました。 コンマスによるチューニングを終えて、ニコニコと笑いながら指揮者の新谷さん登場。 両手を上げてオケのメンバーに立つように促して、コンマスと握手。 指揮台に登ることなく、指揮台と客席の間に立って深々と礼をしてから登壇します。 気づいたら、米山さん、演奏後も一度もオケを立たせることなく舞台袖に引き上げてゆきましたね。 対照的です。

プロコフィエフの交響曲第7番、実は今日のお目当てはこの曲でしたが、期待を遥かに上回る演奏に大満足。 素晴らしかった。 もっと知られてもいい曲なのを再認識したしだい。 第1楽章での憂いや想いを含んだ美しい響き、これをさっとひるがえして重量感のある低弦、そして締まった響きのホルンで畳み掛けるのにグッと来ました。 そして第2楽章ではめくるめくように曲が展開、打楽器が多用されていますけれど、派手にならず曲の中にきちんと納まっています。 しっかりと地に足が付いていますね。 終楽章の終結部はピチカートで静かに終わる短縮ヴァージョン。 この演奏ならばここから急展開させて全奏で終わるパターンで聴いてみたかった、と少々惜しくも感じましたけど、とにかく最後まで粘り気の伴った機動力のある素晴らしい演奏。 魅了されました。

第1楽章、勢いよく開始、そして流麗な旋律がまた重厚な響きを孕んでいて、いきなり心を掴まれました。 憂いや想いを含んだ美しい響き、少々粘着質のある響きなのは新谷さんの動作からも見えるようです。 かつてはオーバーアクション気味でオケが付いてこない場面を目にしていましたけれど、今ではオケも動きに付いていて、さっとひるがえしては重量感のある低弦、そして締まった響きのホルンが畳み掛けて見事。 雄大な響きになってゆくさまも素晴らしく、機動力のあるオケの響きを堪能しました。

第2楽章、やわらかくうごめくようなクラリネットの響きで開始。 それがめくるめくように展開して、巧いなぁ。 打楽器が多用されていますけれど、派手にならず曲の中にきちんと納まっているのもいいですね。 しっかりと地に足が付いた音楽といった感じ。 さっきはタイトに打っていたティムパニもここでは弾力のある響きで叩き分けています。 引き締まった響きと集中力、音量が上がっても耳障りのない見事なエンディングを形成ました。

第3楽章に入る前にチューニングを実施、その甲斐あってヴィオラとチェロによる憂愁の響きが流れ出てきました。 クラリネット、ファゴット、コールアングレいずれも哀愁漂う素敵な響きで魅了。 中音弦の響きがまたいいですね、オケの響きに奥行き感があって素晴らしい演奏でした。 ハープの音もしっとりとした響き。 最後のトランペットが少々乱れたかもしれませんが、みずみずしくもありました。

第4楽章、軽快にオケが走ってゆき、時に現れる飄々とした感じがプロコフィエフらしさでしょう。 安定した音楽ながら、うきうきとさせる楽しさがあり、引き締まった響きのホルン、そしてトロンボーンとチューバの迫力もまた見事でした。 パンフレットの曲目解説では、リタルダンドで静かに曲を閉じる、とあったのでピチカートで静かに終わる短縮ヴァージョンによる終結。 この演奏ならばここから急展開させて全奏で終わるパターンで聴いてみたかった、と少々惜しくも感じました。 とにかく最後まで粘り気の伴った機動力のある素晴らしい演奏を楽しみました。

アンコールは、プロコフィエフ自身の青春時代の曲、古典交響曲より第3楽章。 少々いやかなり粘り気のある演奏だったように思いました。 演奏されなかった先の終結部を聴きたかったなぁ、とやっぱり思ってしまいました。

このオーケストラ、いつも色々と面白い試みをされているようですが、それがまったくプログラムには書かれていないのが残念です。 アマチュアらしくこっそりと楽しむというコンセプトかもしれませんけれど。 次回はどんな試みがあるかも楽しみです。 とにかく皆さんお疲れさまでした。







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2013年04月21日

奈良女子大学管弦楽団 2013年スプリングコンサート

日時:2013年4月21日(日) 13:30開演(12:30開場)
場所:奈良県橿原文化会館・大ホール

曲目:チャイコフスキー/3大バレエセレクション
   「眠れる森の美女」より
    「ワルツ」「ばらのアダージョ」
   「白鳥の湖」より
    「4羽の白鳥たちの踊り」「ハンガリーの踊り」「スペインの踊り」
   「くるみ割り人形」より
    「行進曲」「トレパーク」「花のワルツ」
   シューマン/交響曲第1番「春」

   (アンコール)
    ショスタコーヴィッチ/組曲「モスクワ・チェリョムーシカ」より
                        「モスクワを疾走」
指揮:牧村邦彦(常任)

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前夜からの雨も上がって時折強い陽射しが眩しくもありましたが、まだまだ肌寒さが残っている奈良において、奈良女オケの皆さんによる元気あふれるスプリング・コンサートを楽しみました。

前半プログラムは、チャイコフスキーの3大バレエ音楽からの抜粋。 いきなり真っ暗な中から1曲目をスタートさせた演奏や、指揮者の牧村さんによるトークを交えたり、そして何より彼女たち団員による投票でセレクトされた曲であったこと。 そして演奏会の最後、コンミスが指揮台に登壇して「ありがとうございました」と頭を下げると、団員も一斉に「ありがとうございました」との唱和。 団員全員が頭を下げる光景は時々目にしますけれどちょっと驚きました。 「春」イコール「新たな始まり」それを予感させる趣向に溢れた演奏会でした。

オーケストラの編成はいつもどおり 10-10-8-6-4 の通常配置。 ストレートで元気なブラスによって始まった「ワルツ」、爽やかな弦楽アンサンブルを伴って少々律儀な演奏に聴こえましたし、続く「バラのアダージョ」は 10型のヴァイオリンではブラスに抑えられた感もあったのは、少々緊張が残っていたと解釈します。

「4羽の白鳥の踊り」は軽やかな弦も艶っぽく響き木管のケレン味のない響きでスッキリ爽やかで良かったですね。「ハンガリーの踊り」もキレ良く進めてますが中低弦の響きがここでもしっかりとしていて安定感ありました。「スペインの踊り」でのパーカッションは牧村さんのMCでハードル上げられましたがキッチリとクリア、タイトな金管もスマートに纏めていました。良かったですよ。

「行進曲」冒頭アレっと思いましたが気のせいかな、軽やかな金管と爽やかな高音弦を支えるコントラバスの頑張りが光ってました。 「トレパーク」はタイトで軽快に進めてましたが低音金管楽器も落ち着いていて、速度上がってもうるさく感じさせない上質な音楽。 「花のワルツ」は練習詰まれたのでしょうね、柔らかなホルンにフルートそしてクラリネットが素適。 落ち着いた色合いの音楽で、最後は牧村さんらしくカッコ良くストレートに押し切ってました。 どの曲も耳なじみある曲だけに、大変だったと思いますが、なかなかよく奮闘されていました。 大きな拍手を贈りました。

15分の休憩ののち、メイン・プログラムのシューマンの交響曲第1番「春」。 中学・高校時代から好きな曲だけにハードルも高くなりがちですが、よく頑張っていたと思います。 特筆したいのはコントラバス。 プログラムには謙遜して書かれていますけれど、常に安定した演奏ながら、時にはアグレッシヴに曲に向かって推進役となっていて気持ちよかったですね。 あと重い響きを出していたティムパニとか、フィナーレでカッコよく決めたトロンボーンも印象に残りました。

第1楽章冒頭こそファンファーレが少々隙間があったようですが、すぐさま弦楽器が力を込め、ティムパニの重い響き、全員が集中力を高めてよく纏まっていたように感じました。 低弦が躍動感あって素晴しかった。 そして堂々とこの楽章を終えたものだから拍手まで出てきましたが、それも納得ですね。
第2楽章、第3楽章とすっきりとしていましたね、明るめの響きながら情感も込めていましたが、少々シューマンらしい粘り気が欲しく思えたのは個人的な嗜好(ちょっと思い入れ強い曲なのですみません)。

力強く始まった終楽章、牧村さんはここまで終始色をつけずに的確に音楽を形造っているようだったのですが、個人的な嗜好では、もうちょっと閃きが欲しく感じた楽章でもありました。 そして逆にホルンソロとつづくフルートソロの小鳥のさえずりでテンポを落としていたのも少々気になったところ・・・ですが(オケの皆さんに配慮してテンポを落としたのかもしれませんが)、とにかく個人的な嗜好とはちょっと相容れない部分もあった楽章でした(すみません)が、オケは最後の力を振り絞ってカッコ良い終結(ここは納得)。 普通はこんなことは書かないのですけど、今後への期待も込めて思っていたことをちょっと書いてみました。

アンコールは、ゴキゲンな「モスクワを疾走」でソロやパートで起立して演奏するなど会場を盛り上げての幕引き。 元気あふれるスプリング・コンサート、「春」イコール「新たな始まり」を予感させた演奏会でした。


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2013年03月17日

第3回ホール・バルティカ演奏会

日時:2013年3月17日(日) 14:30開演(14:00開場)
場所:吹田市文化会館メイシアター・大ホール

曲目:ハイドン/オラトリオ「天地創造」

独唱:Gabriel 平井 文(S)
   Uriel  小餅谷哲男(T)
   Raphael 井原秀人(Br)
   Adam   小玉 晃(T)
   Eva   小玉洋子(S)

合唱:ホール・バルティカ

管弦楽:セント・マーティン・オーケストラ

指揮:河崎 聡

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滅多に耳にすることの出来ないハイドンのオラトリオ「天地創造」、期待に胸を膨らませてメイシアターを訪れましたが、期待に違わないというよりも遥かに想像もつかなかった素晴しい演奏に感動しました。

実はこの曲、カラヤンによる抜粋盤のレコードで何度か予習したものの、豪奢な響きであるものの惹きつけられるような魅力を感じませんでした。 実演ではどのように料理されるのか、退屈で寝てしまうのか・・・ いやいや実演は何物に勝るはず、そんなことを思って臨んだ演奏会だったのですが、寝るどころか、時おり身を乗り出すようにし、またうっとり聞き惚れてしまうほどの素晴しい演奏でした。

何より指揮者の河崎さんの指導が隅々まで行き届いていました。 長丁場ではあるけれども、音楽にしっかりとした要があるので、誠実で実直なハイドンらしい纏まりの良さが終始切れることなく見事であったと思います。 オーケストラでは、中低弦の纏まりの良さ。 これが常に音楽の芯となっていました。 しかもリズム感良く脈打つように届けられて、第2部などいっしょになって身体を動かしていたほどです。 そして木管楽器、端正ながらチャーミングでしたし、金管楽器も華美な響きを抑えながら、長閑で明るめの響きがハイドンに似合ってました。

独唱陣では、何といってもガブリエルを歌った平井さん。 なんと柔らかな響きで可憐な声だったことでしょう。 うっとりと聞き惚れてしまいました。 まさしく大天使ガブリエル。 第1部の最初から最後まで虜になってしまいました。 小餅谷さん、井原さんというベテランも柔らかな響きでそれぞれ天使を好演。 第3部では、アダムとイヴを歌われた両小玉さん、共にちょっと押し出しの強い歌唱だったのは、人間・世俗的なものを表現されていたのでしょうか。

そして合唱のホール・バルティカ。 「バルト海の合唱団」という意味だそうです。 2008年2月に開催された第九演奏会の特別合唱団を母体としてホール・バルティカとなり、第1回はヴェルディのレクィエム、第2回はプーランクのグローリアとベルリオーズの荘厳ミサ、そんな大曲を約1年半かけて演奏会に採り上げられています。 なお次回は来年秋にヘンデルのメサイヤが予定されている気鋭の合唱団です。 管弦楽を受け持っているセント・マーティン・オーケストラの音楽監督である河崎聡さんが、この合唱団を指導されています。

それはともかく、やはり男声は少ないのですが、しっかりとコントロールされ、瞬発力もある見事な合唱でした。 第九のような圧倒的な声で押すのではなく、明るい響き、強い響き、そして柔らかな響きと巧く使い分けていたように感じました。 そして第3部のエンディングでは、フーガとなって高揚感をしっかりと演出してフィナーレ、アーメンを力強く歌っての幕切れの潔かったこと。 端正ながら熱っぽくて歌い上げました。 なおこのとき、河崎さんの眼鏡がふっ飛んで客席に落ちたみたいですね。 全員一丸となった素晴しい演奏に大きな拍手を贈りました。

しかし惜しむらくはお客さんが少なかったことですね。 合唱団による演奏会なので、もっと集客があるかな、と思っていたのですが、ホールに半分も満たないお客さん。 しかも少ないお客さんも演奏会慣れしていないのか、拍手もどこか力が弱く、長く続かないのがちょっと悲しかった。

しかしながら、誠実で実直ながらチャーミングさを失わなわないまさしくハイドンの音楽。 しかも第3部ではベートーヴェンやモーツァルトらしさも感じさせつつ、これらの時代を行き抜いてのハイドンの「天地創造」であったように感じました。 また一つ良い経験をさせてもらいました。 皆さん、有難うございました。


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2013年02月11日

紫苑交響楽団 第21回定期演奏会

日時:2013年2月11日(月・祝) 14:00開演(13:00開場)
場所:京都府長岡京記念文化会館

曲目:ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲
   チャイコフスキー/幻想序曲「ロミオとジュリエット」
   メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」

   (アンコール)ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲
   (アンコール)マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲

指揮:牧村邦彦

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P2113274 posted by (C)fronte360

名曲プログラムのような演奏会、ちょっとためらって伺いましたけれど、いつもの見事な集中力とバランス感覚の良さに、牧村さんのクールでスマートな指揮が相俟って至福の時間となりました。
中でもイタリア交響曲が素晴しかった。 いつもはクールな牧村さんが縦ノリのジャンプを繰り返したりもし、優等生になりがちなオケにジャブを繰り出しては鼓舞。 単なる勢い良い演奏とは違う、充実した演奏にのめりこみました。 これ以上の言葉が出てきません。

ホールには10分前に到着しましたが、ほぼ満員で席を探すのに苦労しました。 かつては団員のご家族を思われる方が中心みたいで、ベビーカーを押しての観戦という方もいらしたのは遠い過去になってしまいましたね。 今回、なんとか最後列に陣取りましたけれども、休憩後は立ち見されている方も散見されました。 シンフォニーホールで第20回を記念したマーラーの交響曲第7番、これでお客さんが増えたのかもしれませんが、いまノリに乗っている紫苑交響楽団であります。 そおいえば当初は、宗教団体とは関係ありません、の貼り紙もありましたね。

前回が大曲だったからでしょうか、今回は名曲プログラムのような御馴染み曲で、ちょっと小振りな曲が並びました。 これだと1時間半で終るのじゃないか、と予想しましたけれど、結果的には素晴しい演奏に大盛り上がり、アンコールも2曲はまた熱演、たっぷりと楽しませていただきました。

「運命の力」序曲、タイトながらも深みとコクを感じさせるブラスでの開始。 凝縮した響きの弦アンサンブルに繋ぐ見事な滑り出し。 クラリネットのソロも落ち着いて情感籠もっていていいですね。 牧村さん、指揮台の右前に出て斜めに立ち、オケを睥睨しながら的確に曲を進めてゆきます。 牧村さんお手の物のオペラ、余裕を持ってクールに決め、オケも最後は筋肉質で弾力ある響きで巧く纏めました。

「ロミオとジュリエット」、この曲も劇的というよりも牧村さんらしくスタイリッシュかつクールに決め、オケも見事に要求に応えていました。 第1主題のモンターギュ家とキャピレット家の争いの場面、熱い音楽になるだけれども決して声高になることなくタイトに引き締まった音楽。 巧いですね。 深みを感じさせるチェロとコントラバスも素晴しい。 ヴィオラの旋律もまたコクと奥行きがあって、この後のヴァイオリンの柔らかな響きも際立たせていたように感じました。
しかし深刻にならないのが牧村さん流のクールさでしょう。 展開部からフィナーレに至るまで、機動力のあるオケを凝縮させた響きでしっかりと鳴らしていますが、雄大になる部分は抑制かけて纏めて内面の熱さとします。 充実した響き。 ホルンの響きさえも渋く聴こえます。
エンディングも落ち着いた渋い響き、求心力を高めた演奏としてティムパニの太い打音にタイトなブラス、最後までキリっと引き締まった響きで見事な集中力でした。

20分の休憩を挟んで、メンデルスゾーンのイタリア交響曲。 颯爽とした軽快なこの曲ですが、単なる勢いだけではない充実した演奏に耳を奪われました。
第1楽章では、いつもはクールな牧村さんが縦ノリのジャンプを繰り返したりもし、優等生になりがちなこのオケにジャブを繰り出しては鼓舞。 第2楽章では低弦がしっかりと絡んでいるのが素晴しいのですけれども、ヴィオラがまたいい音色でした。 牧村さん、この楽章ではちょっとタメも作ったりして、弦楽アンサンブルを駆使していたようです。 第3楽章は柔らかな響きのホルンが印象的、しかもここにファゴットが絡んでいるのですね、ここは充実の管アンサンブル。 トランペットも力まずいい味で対話してましたね。 終楽章は機動的なオケによる充実した響きが満載。 牧村さんの的確な指揮でドライブされながらも時折繰り出すジャブで鼓舞、あれよあれよって言う感じで終ってしまいました。 面白かった。 単なる勢い良い演奏とは違う、充実した演奏にのめりこんでいました。 言葉が出てきません。

カーテンコールで出てきた牧村さん、とてもにこやか、嬉しそうですね。 いつもはクールな牧村さん、にこやかにアンコールに応えることはあっても、こんなに楽しそうで嬉しそうななのは滅多ないように思います。 それだけ演奏に満足されたのではないでしょうか。 花束を受ける前なのに、笑いながら楽屋のメンバーにアンコールだから出るようにと手招きされていましたね。
「セヴィリアの理髪師」序曲は、アンコールらしくちょっと荒っぽく、スピードも上げ気味だったでしょうか、ダイナミックに締めたエンディングなど楽しい演奏でした。
そして思いもかけず、2曲目アンコールの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲は指揮棒を持たずたっぷりとした指揮で叙情豊かながらもスタイリッシュに纏めていました。

御馴染みの曲は聴き手のハードルも高くなるものですけれども、カッコ良くそして充実した演奏会でした。 脂ののったオケと指揮者として充実されている牧村さんの見事なマッチング、至福の時間となりました。 皆さんお疲れさまでした。


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2013年02月03日

かぶとやま交響楽団 第46回定期演奏会

日時:2013年2月2日(土) 14:00開演(13:30開場)
場所:伊丹アイフォニックホール

曲目:バルトーク/ルーマニア民俗舞曲
   チャイコフスキー/ヴァイオリン交響曲 ニ長調 op.35
   ビゼー/交響曲第1番 ハ長調

   (アンコール)ビゼー/「子供の遊び」より「ギャロップ」

独奏:三田浩平

指揮:藤田謹也

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P2033126 posted by (C)fronte360

張りのある弦楽アンサンブル、艶を感じさせる管楽アンサンブル、小気味良く叩くティムパニ、いずれの曲も引き締まった響きによる明快な音楽。 きびきびとした音楽は、厳冬のなかの1日にあって、セーターも不要なほどの暖かな1日となったこの日によく似合っていたかもしれません。

ルーマニア民俗舞曲は、いわゆるバルークらしい透徹とした響きが印象的。 集中力を高めたきちっとした音楽、深い響きの弦楽器や管楽器の陰影も見事、そして4曲目からの変拍子のポルカそして踊りの曲も華やかなのですが、いずれもきちっと統制された音楽。 バルトークらしいといえばそうでしょうが、もう一歩進めて余裕を求めるのはは欲張りかもしれませんね。 でもそれが欲しくなった上手い演奏でした。 あと、いきなり4曲目で終って吃驚しました。 プログラムを読んだら、最後の3曲は続けて演奏されるのですね。

そしてチャイコフスキーのコンチェルト、楽器から奏でられる響きが時に太棹の三味線を連想させる含蓄のある響きによる堂々とした演奏でした。 オケは独奏者にぴったりと寄り添った楷書風の伴奏となって、終楽章の独奏との対峙も見事に盛り上がって万雷の拍手。 ソリストの三田浩平さん、精神科のお医者さん、アマチュアなのですね。 だけど、といっては失礼になるでしょうが終楽章のハルモニクスも見事に決めていました。 第1楽章の冒頭より淡々とした表情ながら気持ちの乗った演奏を展開。 気持ちが時に先走るからでしょうか、もうちょっとしっかりと止めたら、と思えた場面もありましたけれど技術的には素晴しく、アマチュアとは思えない見事な演奏でした。 

メインはビゼーが17歳の時に書いた交響曲。 颯爽としたこの曲を、かぶ響らしいタイトに織り成す響きによって演奏された快演でした。 第1楽章の冒頭よりシトラスオレンジをぎゅっと絞ったようなフレッシュで瑞々しい響きで始まり、終始この雰囲気をもったまま終楽章まで走りましたが、緻密にコントロールされた音楽。 弦楽パートの分奏がしっかりとし、管楽器も抑制かけて全体の響きよりはみ出ることなく、ティムパニも要所を小気味良く締めて、かなり集中力の高い演奏だったと感じました。 伸びやかな曲ではあるのですけれども。

個々に言うなら第2楽章のオーボエのエキゾティックなソロ、深みも感じさせて素晴しかったですね。 そしてティムパニはハンドルをクルクルと回してチューニングしながら大変そうでしたが、その真摯な目と丁寧に打つ音がこのオケの特徴をよく示しているのかもしれない、と感じた次第。 充実した響きに満たされた演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。

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