日時:2013年12月23日(祝・月) 14:00開演
場所:天理市民会館・やまのべホール
曲目: ◆第1部◆
歌えバンバン(阪田寛夫:作詞、山本直純:作曲、安野英之:編曲)
この星に生まれて(杉本竜一:作詞作曲、安野英之:編曲)
気球に乗ってどこまでも(東龍男:作詞、平吉毅州:作曲、安野英之:編曲)
指揮:安野英之 合唱:天理ピエーナ少年少女合唱団
演奏:天理シティオーケストラ
ホルスト/セントポール組曲 より 第1楽章
オッフェンバック/喜歌劇「天国と地獄」より カンカン
指揮:上田真紀郎 演奏:天理小学校オーケストラ
J.シュトラウス/ラデツキー行進曲
指揮:安野英之 演奏:天理シティオーケストラ
天理小学校オーケストラ 合同
◆第2部◆
ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱つき」
(アンコール)エルガー/威風堂々(合唱付き、作詞:喜多園子)
(アンコール)ふるさと、蛍の光
独唱:日紫喜恵美(S)、小林久美子(A)、清水徹太郎(T)、大谷圭介(Br)
合唱:天理第九合唱団
演奏:天理第九管弦楽団
指揮:安野英之
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第20回を迎えた天理の第九、天理の第九は縁あって2004年第11回を聴かせていただいてからなので期間としては10年となりますが、途中単身赴任となって聴けなかった時期も半分ほどあって、今年で5回目。 しかし今回はこれまでと大きく違って天理市の音楽パワーを結集した素晴らしい演奏会になりました。 少年少女合唱団に小学生のオーケストラ、普段聴くことのない演奏にも接することが出来たのもじつに楽しかった。 このような企画ならば、1年を締めくくるこの時期の恒例行事として今後も続けて欲しいと思った次第。 とにかく個人的にも今年1年を締めくくる演奏会でしたが、この予想外の展開には大いに満足、大いに楽しませていただき、会場を後にすることができました。
会場には立見のパイプ椅子まで出る超満員のなか、天理ピエーナ少年少女合唱団の柔らかですべすべした歌声が響いて始まりました。 「歌えバンバン」、安野英之さんの指揮による天理シティオーケストラも軽やかな響きで好演、トロンボーンの柔らかな吹奏にミュートを付けたホルンも決まっていました。
合唱団のコーチの女性が第1部の司会を担当、手慣れた司会だなと思っていたら来年大学を卒業されて音楽の先生になられるとのことでした。 それはともかくいつもはピアノ伴奏で歌っているけれど、お得意の2曲をオーケストラ伴奏にて、伸びやかに歌われた「この星に生まれて」、明るい声で「気球に乗ってどこまでも」を手拍子もつけて堂々と歌われました。 オーケストラも透明感ある響きで合唱を盛り立てていたのが良かったですね。
天理小学校オーケストラの弦楽器メンバーが登場、9-9-3-6-2 という編成にてホルストのセントポール組曲より第1楽章。 小学生の小柄な身体のためか切り返しが素早く、カチッカチッと曲が進みます。 おまけに真摯な眼差しでしょ。 指揮に併せて伸びやかになったり、凄いですね。 コントラバス2本、ヴィオラ3本なのに、それぞれの音がきちっと聴こえてきますし、全国大会で優勝する実力を味わいました。
管打楽器メンバーが登場して総勢71名の小学生オーケストラによるオッフェンバックの喜歌劇「天国と地獄」よりカンカン、ここでも真摯な音楽が素晴らしかった。 柔らかなトランペットやトロンボーンなど抑制も効いていて巧い。 ただ体力がまだ無いでしょうから、響きの底力をあまり感じないので、ちょっと言葉は悪いですがミニチュア版みたい。 でも録音で聴いたら分からなくなるんじゃないかな、大人の演奏と・・なんて感じました。
最後は天理シティオーケストラとの合同演奏、ステージが狭いので、チェロとチューバ以外は皆立って演奏されたラデツキー行進曲。 軽やかな響きに重厚感を織り込んでの演奏として第1部はお開き。 大いに楽しみました。
10分間の休憩のあと第2部はメインのベートーヴェンの第九。 オーケストラは対抗配置に変更されて 8-8-6-6-5 の編成。 コンマスは栄島さん。 安野さんの指揮はいつもながら明快、歌わせる部分とストイックに引き締める部分をほどよく調和させて曲を進めて行きます。 栄島さんも腰を浮かんばかりの大きな動きとなって表情を付けています。 見ているこちらにも気持ちが伝わってくるようです。 ティムパニが小さくコンパクトな振りながら輪郭をきちっと作っていたのが印象的。 また5本のコントラバスもキリっと締まって響いてくる音圧が心地良く、勢いに安定感が備わっていて良かったですね。
第4楽章、ここでもコントラバスの重い響きに迫力を感じた開始。 ソリストの方は4名とも粒が揃って声が前に届いてきますが、少々ストレートな感じだったかしら。 後半、前に前にって感じで競い合っていたみたい、もうちょっと包み込むような感じがあればなお良かったかな。 そして肝心の合唱団、いつもながらの壁のようにそびえ立った席から真摯で熱い声がビンビンと届けられました。 男声合唱も昨年よりは人数は少し増えたでしょうか、ミリオーネンも十分に力強く深みも感じましたしね、申し分ありません(視覚的にはもうちょっと人数欲しいところですが)。 金管ファンファーレ、合唱も大きく高らかに歌いあげたあと、オケが疾走、最後は安野さんの右腕がすっと上げて止めました。
ケレン味のない第九でした。
演奏会の締めは、第20回記念でもあり合唱団の喜多園子さんが天理にちなだ歌詞を付けられたエルガーの威風堂々。 颯爽と演奏された前半にスローなテンポになる部分で高らかに歌いあげたあと大団円での締めくくり。 そして天理ピエーナ少年少女合唱団、天理小学校オーケストラも全員集まって、天理の第九の締めで恒例の「ふるさと」「蛍の光」を会場の全員で歌ってのお開き。 今年は例年以上に盛り沢山な内容でたっぷりと楽しませていただきました。 大満足の演奏会で、本年を締めることができました。 皆さん有難うございました。
蛇足ですが、本年は開演時間が例年より1時間早く2時開演となったため、終演後にホールの外に出てもまだ明るかったのも良かったです。
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以下、未稿
2013年12月24日
2013年12月08日
奈良女子大学管弦楽団 第43回定期演奏会
日時:2013年12月8日(日) 13:00開演(12:30開場)
場所:奈良県文化会館・国際ホール
曲目:イタリアオペラ序曲集
ロッシーニ/セビリアの理髪師
ヴェルディ/ナブッコ
ロッシーニ/シンデレラ
ヴェルディ/シチリアの晩鐘
シューベルト/交響曲第8番「ザ・グレイト」
(アンコール)ショスタコーヴィチ/モスクワを疾走
指揮:牧村邦彦(常任)
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2014年1月、イタリアのパルマで行う演奏会のプログラムでの壮行演奏会。 タイトでダイナミックな響きは並みの女子大オケと一線を隔したものでしょう。 指揮者の牧村さんも相当に気合を入れて振っておられたようでした。 メンバーチェンジの場繋ぎと言われた曲間での牧村さんのスピーチでもハーハーゼーゼー言われている場面もありました。
前半はオペラ指揮者牧村さんの十八番、オペラ序曲集。 小気味よく振り、タイトでダイナミックな響きでいきなり魅了した「セビリアの理髪師」、起伏に富んだ曲運びはお手のものでパワフルに纏めた「ナブッコ」ではオーボエソロも端正にうまく纏めていましたね。 アマチュアでは難しいというロッシーニも安定感をもって楽しく聴かせた「シンデレラ」、ドラマティックな盛上がりながらしっかりと制御されたトロンボーンの響きが印象に残った「シチリアの晩鐘」。 本場イタリアへの殴り込みかと思えるほどどの曲もキレ良くパワフルな演奏でした。
後半はシューベルトの交響曲ザ・グレイト。 冒頭の遅いテンポこそやや手探りで弦アンサンブルも少々緩く感じましたが、トロンボーンの雄大な響きよりエンジンがかかって波に乗りました。 明るい響きを基調にしたストレートでフレッシュな演奏。 前半と同じく安定した低弦と常に落ち着いて控えめに打つティムパニが個人的に気に入りました。 これがあるから、いくらパワフルになったとしても落ち着いて聴いていられます。
第2楽章のオーボエソロもいい味を出していましたし、木管アンサンブル全体もまたよくまとまっていましたね。 起伏をとってうまく歌い繋いでいましたが、なんとなく聴き疲れしてきたのは、ちょっと杓子定規な感じだからでしょうか。 第3楽章もハリのある響きで弦と木管の呼応なども良いのですが、ストレートになぞっていると言うと言い過ぎかな。 好きな曲なのでハードルが高いのですみません。
終楽章、一体感のある演奏でパワフルに纏める響きは凄いのですけれど、同じフレーズがやはり同じようになぞられているみたい。 ようやくフィナーレに近くなった頃より気持ちが乗ってきたようでした。 木管奏者8人が同じように横に揺れながら吹いて、弦の響きにも艶がより出たようです。 そして最後は牧村さんの右腕が大きく回っての大団円。 ブラボーもいいタイミングで出ました。
あと1ヶ月、さらに練習を詰まれるとのこと。 縦の線を合わせることは大切ですけれど、もう少し気持ちを乗せると更に良い演奏になるのではないかな。 牧村さんの指揮を見ていると、同じ旋律が戻ってきても、決して同じような指示を出していないのですよね。 もっと思い切って演奏して、演奏を楽しんで欲しいな、と生意気ながら思った次第です。 巧い演奏ならCDやプロのオケを聴けばいいわけで、そんな巧い演奏よりも奈良女オケを聴いたら楽しくなった、そんな演奏を期待しているのですね。 そのためには演奏者が楽しんでいないと・・・などと思うわけです。 更に練習を詰まれて、イタリアでの本番を存分に楽しんできてください。 成功をお祈りします。
場所:奈良県文化会館・国際ホール
曲目:イタリアオペラ序曲集
ロッシーニ/セビリアの理髪師
ヴェルディ/ナブッコ
ロッシーニ/シンデレラ
ヴェルディ/シチリアの晩鐘
シューベルト/交響曲第8番「ザ・グレイト」
(アンコール)ショスタコーヴィチ/モスクワを疾走
指揮:牧村邦彦(常任)
PC085698 posted by (C)fronte360
2014年1月、イタリアのパルマで行う演奏会のプログラムでの壮行演奏会。 タイトでダイナミックな響きは並みの女子大オケと一線を隔したものでしょう。 指揮者の牧村さんも相当に気合を入れて振っておられたようでした。 メンバーチェンジの場繋ぎと言われた曲間での牧村さんのスピーチでもハーハーゼーゼー言われている場面もありました。
前半はオペラ指揮者牧村さんの十八番、オペラ序曲集。 小気味よく振り、タイトでダイナミックな響きでいきなり魅了した「セビリアの理髪師」、起伏に富んだ曲運びはお手のものでパワフルに纏めた「ナブッコ」ではオーボエソロも端正にうまく纏めていましたね。 アマチュアでは難しいというロッシーニも安定感をもって楽しく聴かせた「シンデレラ」、ドラマティックな盛上がりながらしっかりと制御されたトロンボーンの響きが印象に残った「シチリアの晩鐘」。 本場イタリアへの殴り込みかと思えるほどどの曲もキレ良くパワフルな演奏でした。
後半はシューベルトの交響曲ザ・グレイト。 冒頭の遅いテンポこそやや手探りで弦アンサンブルも少々緩く感じましたが、トロンボーンの雄大な響きよりエンジンがかかって波に乗りました。 明るい響きを基調にしたストレートでフレッシュな演奏。 前半と同じく安定した低弦と常に落ち着いて控えめに打つティムパニが個人的に気に入りました。 これがあるから、いくらパワフルになったとしても落ち着いて聴いていられます。
第2楽章のオーボエソロもいい味を出していましたし、木管アンサンブル全体もまたよくまとまっていましたね。 起伏をとってうまく歌い繋いでいましたが、なんとなく聴き疲れしてきたのは、ちょっと杓子定規な感じだからでしょうか。 第3楽章もハリのある響きで弦と木管の呼応なども良いのですが、ストレートになぞっていると言うと言い過ぎかな。 好きな曲なのでハードルが高いのですみません。
終楽章、一体感のある演奏でパワフルに纏める響きは凄いのですけれど、同じフレーズがやはり同じようになぞられているみたい。 ようやくフィナーレに近くなった頃より気持ちが乗ってきたようでした。 木管奏者8人が同じように横に揺れながら吹いて、弦の響きにも艶がより出たようです。 そして最後は牧村さんの右腕が大きく回っての大団円。 ブラボーもいいタイミングで出ました。
あと1ヶ月、さらに練習を詰まれるとのこと。 縦の線を合わせることは大切ですけれど、もう少し気持ちを乗せると更に良い演奏になるのではないかな。 牧村さんの指揮を見ていると、同じ旋律が戻ってきても、決して同じような指示を出していないのですよね。 もっと思い切って演奏して、演奏を楽しんで欲しいな、と生意気ながら思った次第です。 巧い演奏ならCDやプロのオケを聴けばいいわけで、そんな巧い演奏よりも奈良女オケを聴いたら楽しくなった、そんな演奏を期待しているのですね。 そのためには演奏者が楽しんでいないと・・・などと思うわけです。 更に練習を詰まれて、イタリアでの本番を存分に楽しんできてください。 成功をお祈りします。
2013年11月26日
高知大学交響楽団 第54回定期演奏会
日時:2013年11月24日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:高知市文化プラザかるぽーと・大ホール
曲目:グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26
(アンコール)J.S.バッハ/無伴奏パルティータ第2番
ステンハンマル/交響曲第2番ト短調 作品34
(アンコール)オーノコウヘイ(漢字不詳)/グラデーション
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲
独奏:吉川安子(vn)
指揮:小笠原暁
PB255685 posted by (C)fronte360
創団50周年を迎えた昨年の定期演奏会をもって16年間指導されていた池田俊さんが名誉指揮者に退かれ、新生高知大学交響楽団としてスタート。 ステンハンマルの交響曲第2番という意欲的なプログラムでしたが、フレッシュな感覚でメリハリを持った演奏で見事に演奏しきったのに感服しました。 学生時代より係わっておられたという小笠原暁さんの指揮のもと、キレもよく一体感のある充実した演奏でした。
各パート間の連携やバランスも良かったですし、何より第1楽章の冒頭が実にカッコ良く始まって、一気に最後まで聴かせた、そんな感じがしました。 確かに事故(ミス)も散見されましたけれど、果敢に攻めた前向きな演奏の結果であったので気になりません。 そして終楽章のフィナーレでは、沈着冷静に振り分けていた小笠原さんも少々熱っぽくなられていたようです。 落着きながらも粘り気も出し、じっくりと溜め込んだ終結は見事でした。 一呼吸おいて、最初に拍手を贈らせていただきました。
この演奏の前、団長の女性と前半プログラムでコンマスを務めていた先輩(男性)が登場。 曲紹介とともにスウェーデンと高知大学・高知大学交響楽団との結びつきの解説もあり、スウェーデンからの交換留学生3名もステージに登場するなど、単なる曲紹介に止まらず、オーケストラと演奏会場との一体感を醸成させるなかなか良い試みであったと感じました。 これで曲への親近感もぐっと増したことは間違いないでしょう。
これに先立って演奏された「ルスランとリュドミラ」序曲は、フレッシュかつストレートな演奏でした。 集中力を高めて走りきった、という感じかな。 各パートのソロがやや薄く響いてオケとも溶け合わないのは、練習量の差でしょうね。
高知在住のヴァイオリニストでオケのトレーナーでもある吉川安子さんを迎えてのブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番、オケの響きは厚みと深み増して覇気ある伴奏となり、吉川安子さんとの一体感がよく感じられた演奏でした。 第3楽章、明るくフレッシュに盛り上がり、吉川さんのソロも情感漂わせつつも力強く弾いて、元気を頂いた感じがしました。
アンコールには高知大学交響楽団のOBのよる「グラデーション」という曲のフル・オーケストラ・バージョン。 オーノコウヘイ(漢字不詳)さんもキーボードを弾かれて参加。 優しくも雄大な自然をテーマとした曲でしょうか、そんな感じがしました。
最後はラデツキー行進曲、手拍子でオケと一体となってのお開き。 今後の活躍を期待したいと思います。 これからも頑張ってください。
--------
簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。
昨年秋の高知旅行で偶然見つけた高知大学演奏会、そこでアンケートを書いたら招待状が来ました。 当初、今年秋は11月2〜4日の日程でしたが、仕事の都合などもあり今年秋の高知旅行は22〜24日に変更となし、演奏会と日程が合いました。 はりまや橋近くの「かるぽーと」へと足を運びました。
このホールには始めて入りましたが、新しく綺麗なホールですね。 正面は3階席、両サイドの席は5階まであって、奥行きは短いけれど天井の高いのが特長でしょうか。 2階席中央右側の最前列 1列-26 に陣取りました。 天井が高いのでやや音が上に抜けてしまうかな、と予想しましたが、確かにそんな感じで少々デッドな響きのホールのようです。
定刻、ブザーが鳴るのがちょっと昔風で違和感あり。 こんな綺麗なホールなのでメロディが流れるような工夫が欲しかったところですが、これはオケとは関係ありません。 左右より整列入場にてオケのメンバーが登場。 会場より暖かい拍手が鳴りやみません。 オケの編成は通常配置で 12-10-9-7-5 でしょうか。 コンマスが立ち上がってチューニングを実施して準備完了。 指揮者の小笠原暁さんが、やや緊張した面持ちで静かに登場し、指揮台の前で一礼をして登壇。 いよいよ始まります。
「ルスランとリュドミラ」序曲、フレッシュかつストレートな演奏でした。 集中力を高めて走りきった、という感じだったでしょうか。 的確に降る小笠原さんの指揮に合わせて、走る、といった感じ。 早いフレーズもきっちりと弾いているのですが、各パートのソロなどやや薄く響いてオケとも溶け合っていない感じなのですね。 ホールの音響もデッドな感じなのも影響しているでしょうが、練習量の差と感じました。 それでも集中力を切らさず、最後まで見事に演奏しきっていました。
なお、ヴァイオリン奏者の中には香南ジュニアオーケストラの方5名も参加していて、皆さんしっかりと弾いておられたのが印象的でした。
オケの弦楽器メンバーが刈り込まれてジュニアオケの方が抜けたようで、9-6-9-7-5 の編成となりました。 そして高知在住のヴァイオリニストでオケのトレーナーでもある吉川安子さんが、タイトな真っ赤なドレスに身を包んで登場。 まずはオケの各弦楽器1プルト方々に握手をしてから、客席に向かって一礼をして始まったブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。 オケの響きは先と比して厚みと深み増し、覇気ある伴奏となりました。 そして何より吉川安子さんとの一体感がよく感じられた演奏でした。
第1楽章、ティムパニのトレモロ、柔らかな木管アンサンブルによる上々の滑り出し。 安川さんも深みのある音で入ってきましたが、少々フレーズの最後の音程が怪しかったかな。 それをオケが重厚感ある響きで盛り上げてゆきますが、どうもソロがやや潤いの少ない響き。 小笠原さんはソロによく併せオケを的確にコントロールしています。 クライマックスとなって、吉川さんも油が回ってきたみたい、オケとともにパワフルに昇りつめてゆきました。
アタッカで第2楽章となると吉川さんのソロ、伸びやかになって艶が断然増してきました。 オケの弦楽器の分奏もしみじみとして、むせび鳴くようなソロも相俟って見せ場を形成。 素晴しかった。 ただオケの管楽器のソロが入るとやや音量が大きくでバランス悪く感じたのが少々残念でしたけれど。 雄大なホルンが入ったあと、じっくりと歌ってこの楽章を終えました。
第3楽章、ヴィオラのトレモロより徐々にオケが音量を上げて明るくなると、ソロも明るく歌いますが、少々音がかすれ気味かしら。 少々テンポを遅くとって歌います。 オケだけになって、力増して勢いつけて盛り上がってゆくフレッシュさがいいですね。 ソロも情感漂わせつつ吉川さんのソロも情感漂わせつつも力強く弾いて、一体感のある演奏となって、元気を頂いた感じがしました。 そしてフィナーレ、ストレートにキレ良く進めて駆け抜けました。
15分間の休憩。 団長の女性と前半プログラムでコンマスを務めていた先輩(男性)が登場。 曲紹介とともにスウェーデンと高知大学・高知大学交響楽団との結びつきの解説が始まりました。 少々慣れないやり取りに会場内はかえって和んだみたい。 そしてスウェーデンからの交換留学生3名もステージに登場。 単なる曲紹介に止まらず、オーケストラと演奏会場との一体感を醸成させるなかなか良い試みであったと感じました。 これで曲への親近感もぐっと増したことは間違いないでしょう。
解説が終るちょっと前よりオケのメンバーがステージに入ってきました。 11-12-8-9-5 の編成のようです。 解説を終えると、先輩は1ヴァイオリンの第2プルト、団長さんは楽屋にマイクを置いてからトランペット席に着席。 コンミスが立ち上がってチューニングを行って準備完了です。 指揮者の小笠原さんが登場していよいよ始まります。
第1楽章、小笠原さんの軽いハナ息とともにヴィオラとチェロが明るく深みのある響きで勢い良く歌います。 響きにはコクもあって素晴しい響きに魅了されました。 そしてメリハリを付けて進め、実にカッコ良い音楽に仕上がっていたに驚かされました。 素晴しい。 落ち着いた深みのある木管の響き、雄大でかつタイトなホルンの響き、弦楽器の分奏も良く、コントラバスもこれまでの曲よりも厚みのある響きです。 密やかさもありますが、若々しく明快な曲運びとして聴きやすい。 そして各楽器が歌って織り成す響き、想いの籠もった演奏で、色々な楽器が特徴的に扱われているのもよく分かる見事な演奏でした。
第2楽章、ヴィオラの静謐な響き、チェロが絡んで神秘的な開始。 落ち着いたヴァイオリンも入ってきました。 凜としたオーボエ、落ち着いたクラリネット、ゆったりとしてやや粘り気を持たせています。 小笠原さんの的確が棒捌きで丁寧に進めてゆき、各パートの響きを織り交ぜ、先の曲と違ってバランスも良く、統率力よく実に見事に纏めていました。 やや単調になるきらいもなきにしもあらずでしたけれど。
第3楽章、深い響きを持ちつつも活気あるメロディで攻めます。 ヴァイオリンのワルツのリズムでしょうか、巧く決めて盛り上げていって、ノリノリって感じ。 これをすっと転換するのも見事。 木管楽器が果敢に攻めていて、前向きな演奏が聴き応えあります。 多少の事故(ミス)はあっても気持ちいいじゃないですか。 弦楽器が加わって、コントラバスのピチカートも良かったですね。 小笠原さん、派手なアクションなどなく確実にテンポを刻み指示を出して進めてゆきます。 若干後半また単調になったようにも感じましたけれど、この楽章とそっと止めました。
第4楽章、小笠原さんの軽いハナ息とともに弦の響きのあとホルンが咆哮。 オーボエ、フルートも加わって雄大な響きのあと粘り強く盛り上げてゆきます。 小笠原さんのキレの良い的確な指揮に合わせてオケが見事に反応、タイトに曲を進めます。 想いの籠もった息づいた音楽です。 オケが一体となっています。 これをすっと止めた転換も見事。 クラリネットが身体を揺らして抑揚つけていましたね。 全休止。 コントラバスのピチカート、クラリネットの深い響きが絡み、徐々にタイトかつ重量感のある響きで盛り上がってゆきますと、小笠原さんも徐々に熱してきたみたい。 左拳をグーにしてホルンに指示。 それでも弦楽アンサンブルは冷静に進めて、スキップを踏むような少しおどけた感じも交えます。 エンディングに向かってトランペットも抑揚つけて吹いて盛り上げ、最後はじっくりと溜め込んだ響きとして落ち着いた着地。 ホールに残響が残った熱演。 フレッシュな感覚でメリハリを持った演奏で見事に演奏しきったのに感服しました。 素晴しい演奏でした。 ホールの響きが消えるのを待ち、最初に静かに拍手を贈らせてもらいました。
アンコールには高知大学交響楽団のOBのよる「グラデーション」という曲のフル・オーケストラ・バージョン。 オーノコウヘイ(漢字不詳)さんもキーボードを弾かれて参加。 優しくも雄大な自然をテーマとした曲でしょうか、そんな感じがしました。
最後はラデツキー行進曲、手拍子でオケと一体となってのお開き。 新生高知大学交響楽団を見たいい演奏会でした。 今後の活躍を期待したいと思います。 これからも頑張ってください。
場所:高知市文化プラザかるぽーと・大ホール
曲目:グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26
(アンコール)J.S.バッハ/無伴奏パルティータ第2番
ステンハンマル/交響曲第2番ト短調 作品34
(アンコール)オーノコウヘイ(漢字不詳)/グラデーション
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲
独奏:吉川安子(vn)
指揮:小笠原暁
PB255685 posted by (C)fronte360
創団50周年を迎えた昨年の定期演奏会をもって16年間指導されていた池田俊さんが名誉指揮者に退かれ、新生高知大学交響楽団としてスタート。 ステンハンマルの交響曲第2番という意欲的なプログラムでしたが、フレッシュな感覚でメリハリを持った演奏で見事に演奏しきったのに感服しました。 学生時代より係わっておられたという小笠原暁さんの指揮のもと、キレもよく一体感のある充実した演奏でした。
各パート間の連携やバランスも良かったですし、何より第1楽章の冒頭が実にカッコ良く始まって、一気に最後まで聴かせた、そんな感じがしました。 確かに事故(ミス)も散見されましたけれど、果敢に攻めた前向きな演奏の結果であったので気になりません。 そして終楽章のフィナーレでは、沈着冷静に振り分けていた小笠原さんも少々熱っぽくなられていたようです。 落着きながらも粘り気も出し、じっくりと溜め込んだ終結は見事でした。 一呼吸おいて、最初に拍手を贈らせていただきました。
この演奏の前、団長の女性と前半プログラムでコンマスを務めていた先輩(男性)が登場。 曲紹介とともにスウェーデンと高知大学・高知大学交響楽団との結びつきの解説もあり、スウェーデンからの交換留学生3名もステージに登場するなど、単なる曲紹介に止まらず、オーケストラと演奏会場との一体感を醸成させるなかなか良い試みであったと感じました。 これで曲への親近感もぐっと増したことは間違いないでしょう。
これに先立って演奏された「ルスランとリュドミラ」序曲は、フレッシュかつストレートな演奏でした。 集中力を高めて走りきった、という感じかな。 各パートのソロがやや薄く響いてオケとも溶け合わないのは、練習量の差でしょうね。
高知在住のヴァイオリニストでオケのトレーナーでもある吉川安子さんを迎えてのブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番、オケの響きは厚みと深み増して覇気ある伴奏となり、吉川安子さんとの一体感がよく感じられた演奏でした。 第3楽章、明るくフレッシュに盛り上がり、吉川さんのソロも情感漂わせつつも力強く弾いて、元気を頂いた感じがしました。
アンコールには高知大学交響楽団のOBのよる「グラデーション」という曲のフル・オーケストラ・バージョン。 オーノコウヘイ(漢字不詳)さんもキーボードを弾かれて参加。 優しくも雄大な自然をテーマとした曲でしょうか、そんな感じがしました。
最後はラデツキー行進曲、手拍子でオケと一体となってのお開き。 今後の活躍を期待したいと思います。 これからも頑張ってください。
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簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。
昨年秋の高知旅行で偶然見つけた高知大学演奏会、そこでアンケートを書いたら招待状が来ました。 当初、今年秋は11月2〜4日の日程でしたが、仕事の都合などもあり今年秋の高知旅行は22〜24日に変更となし、演奏会と日程が合いました。 はりまや橋近くの「かるぽーと」へと足を運びました。
このホールには始めて入りましたが、新しく綺麗なホールですね。 正面は3階席、両サイドの席は5階まであって、奥行きは短いけれど天井の高いのが特長でしょうか。 2階席中央右側の最前列 1列-26 に陣取りました。 天井が高いのでやや音が上に抜けてしまうかな、と予想しましたが、確かにそんな感じで少々デッドな響きのホールのようです。
定刻、ブザーが鳴るのがちょっと昔風で違和感あり。 こんな綺麗なホールなのでメロディが流れるような工夫が欲しかったところですが、これはオケとは関係ありません。 左右より整列入場にてオケのメンバーが登場。 会場より暖かい拍手が鳴りやみません。 オケの編成は通常配置で 12-10-9-7-5 でしょうか。 コンマスが立ち上がってチューニングを実施して準備完了。 指揮者の小笠原暁さんが、やや緊張した面持ちで静かに登場し、指揮台の前で一礼をして登壇。 いよいよ始まります。
「ルスランとリュドミラ」序曲、フレッシュかつストレートな演奏でした。 集中力を高めて走りきった、という感じだったでしょうか。 的確に降る小笠原さんの指揮に合わせて、走る、といった感じ。 早いフレーズもきっちりと弾いているのですが、各パートのソロなどやや薄く響いてオケとも溶け合っていない感じなのですね。 ホールの音響もデッドな感じなのも影響しているでしょうが、練習量の差と感じました。 それでも集中力を切らさず、最後まで見事に演奏しきっていました。
なお、ヴァイオリン奏者の中には香南ジュニアオーケストラの方5名も参加していて、皆さんしっかりと弾いておられたのが印象的でした。
オケの弦楽器メンバーが刈り込まれてジュニアオケの方が抜けたようで、9-6-9-7-5 の編成となりました。 そして高知在住のヴァイオリニストでオケのトレーナーでもある吉川安子さんが、タイトな真っ赤なドレスに身を包んで登場。 まずはオケの各弦楽器1プルト方々に握手をしてから、客席に向かって一礼をして始まったブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。 オケの響きは先と比して厚みと深み増し、覇気ある伴奏となりました。 そして何より吉川安子さんとの一体感がよく感じられた演奏でした。
第1楽章、ティムパニのトレモロ、柔らかな木管アンサンブルによる上々の滑り出し。 安川さんも深みのある音で入ってきましたが、少々フレーズの最後の音程が怪しかったかな。 それをオケが重厚感ある響きで盛り上げてゆきますが、どうもソロがやや潤いの少ない響き。 小笠原さんはソロによく併せオケを的確にコントロールしています。 クライマックスとなって、吉川さんも油が回ってきたみたい、オケとともにパワフルに昇りつめてゆきました。
アタッカで第2楽章となると吉川さんのソロ、伸びやかになって艶が断然増してきました。 オケの弦楽器の分奏もしみじみとして、むせび鳴くようなソロも相俟って見せ場を形成。 素晴しかった。 ただオケの管楽器のソロが入るとやや音量が大きくでバランス悪く感じたのが少々残念でしたけれど。 雄大なホルンが入ったあと、じっくりと歌ってこの楽章を終えました。
第3楽章、ヴィオラのトレモロより徐々にオケが音量を上げて明るくなると、ソロも明るく歌いますが、少々音がかすれ気味かしら。 少々テンポを遅くとって歌います。 オケだけになって、力増して勢いつけて盛り上がってゆくフレッシュさがいいですね。 ソロも情感漂わせつつ吉川さんのソロも情感漂わせつつも力強く弾いて、一体感のある演奏となって、元気を頂いた感じがしました。 そしてフィナーレ、ストレートにキレ良く進めて駆け抜けました。
15分間の休憩。 団長の女性と前半プログラムでコンマスを務めていた先輩(男性)が登場。 曲紹介とともにスウェーデンと高知大学・高知大学交響楽団との結びつきの解説が始まりました。 少々慣れないやり取りに会場内はかえって和んだみたい。 そしてスウェーデンからの交換留学生3名もステージに登場。 単なる曲紹介に止まらず、オーケストラと演奏会場との一体感を醸成させるなかなか良い試みであったと感じました。 これで曲への親近感もぐっと増したことは間違いないでしょう。
解説が終るちょっと前よりオケのメンバーがステージに入ってきました。 11-12-8-9-5 の編成のようです。 解説を終えると、先輩は1ヴァイオリンの第2プルト、団長さんは楽屋にマイクを置いてからトランペット席に着席。 コンミスが立ち上がってチューニングを行って準備完了です。 指揮者の小笠原さんが登場していよいよ始まります。
第1楽章、小笠原さんの軽いハナ息とともにヴィオラとチェロが明るく深みのある響きで勢い良く歌います。 響きにはコクもあって素晴しい響きに魅了されました。 そしてメリハリを付けて進め、実にカッコ良い音楽に仕上がっていたに驚かされました。 素晴しい。 落ち着いた深みのある木管の響き、雄大でかつタイトなホルンの響き、弦楽器の分奏も良く、コントラバスもこれまでの曲よりも厚みのある響きです。 密やかさもありますが、若々しく明快な曲運びとして聴きやすい。 そして各楽器が歌って織り成す響き、想いの籠もった演奏で、色々な楽器が特徴的に扱われているのもよく分かる見事な演奏でした。
第2楽章、ヴィオラの静謐な響き、チェロが絡んで神秘的な開始。 落ち着いたヴァイオリンも入ってきました。 凜としたオーボエ、落ち着いたクラリネット、ゆったりとしてやや粘り気を持たせています。 小笠原さんの的確が棒捌きで丁寧に進めてゆき、各パートの響きを織り交ぜ、先の曲と違ってバランスも良く、統率力よく実に見事に纏めていました。 やや単調になるきらいもなきにしもあらずでしたけれど。
第3楽章、深い響きを持ちつつも活気あるメロディで攻めます。 ヴァイオリンのワルツのリズムでしょうか、巧く決めて盛り上げていって、ノリノリって感じ。 これをすっと転換するのも見事。 木管楽器が果敢に攻めていて、前向きな演奏が聴き応えあります。 多少の事故(ミス)はあっても気持ちいいじゃないですか。 弦楽器が加わって、コントラバスのピチカートも良かったですね。 小笠原さん、派手なアクションなどなく確実にテンポを刻み指示を出して進めてゆきます。 若干後半また単調になったようにも感じましたけれど、この楽章とそっと止めました。
第4楽章、小笠原さんの軽いハナ息とともに弦の響きのあとホルンが咆哮。 オーボエ、フルートも加わって雄大な響きのあと粘り強く盛り上げてゆきます。 小笠原さんのキレの良い的確な指揮に合わせてオケが見事に反応、タイトに曲を進めます。 想いの籠もった息づいた音楽です。 オケが一体となっています。 これをすっと止めた転換も見事。 クラリネットが身体を揺らして抑揚つけていましたね。 全休止。 コントラバスのピチカート、クラリネットの深い響きが絡み、徐々にタイトかつ重量感のある響きで盛り上がってゆきますと、小笠原さんも徐々に熱してきたみたい。 左拳をグーにしてホルンに指示。 それでも弦楽アンサンブルは冷静に進めて、スキップを踏むような少しおどけた感じも交えます。 エンディングに向かってトランペットも抑揚つけて吹いて盛り上げ、最後はじっくりと溜め込んだ響きとして落ち着いた着地。 ホールに残響が残った熱演。 フレッシュな感覚でメリハリを持った演奏で見事に演奏しきったのに感服しました。 素晴しい演奏でした。 ホールの響きが消えるのを待ち、最初に静かに拍手を贈らせてもらいました。
アンコールには高知大学交響楽団のOBのよる「グラデーション」という曲のフル・オーケストラ・バージョン。 オーノコウヘイ(漢字不詳)さんもキーボードを弾かれて参加。 優しくも雄大な自然をテーマとした曲でしょうか、そんな感じがしました。
最後はラデツキー行進曲、手拍子でオケと一体となってのお開き。 新生高知大学交響楽団を見たいい演奏会でした。 今後の活躍を期待したいと思います。 これからも頑張ってください。
2013年11月18日
豊中市民管弦楽団 第49回定期演奏会
日時:2013年11月17日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:いたみホール
曲目:ワーグナー/歌劇「タンホイザー」序曲
ウェーバー/クラリネット協奏曲第1番ヘ短調 作品73
(アンコール)シュライナー/Immer Kleiner(どんどん小さく)
シューマン/交響曲第4番ニ短調
(アンコール)ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
独奏:近藤久美(cl)
指揮:谷野里香
PB185492 posted by (C)fronte360
シューマンの交響曲第4番、大好きな曲だけにハードルも高いのですけれど、充実した響きに感動しました。 第4楽章、まだ終わらないでくれ、と念じつつ最後の1音まで堪能させてもらいました。
惜しむらくは客席からのブラボーが早かったこと。 どの曲も太い声でブラボ・ブラビと叫ぶ御仁がいらして、気持ちは分からないでもないですが、音楽の終わりを知っているから素早くブラボと叫ぶのは間違い。 声が音楽の余韻を掻き消していることにもっと想像を巡らせて欲しいものです。
と、オーケストラには関係ない話を書きましたけれど、第1楽章の序奏部より谷野さんが両腕を拡げて大きく掬い上げるように始めた落着いた響き。 ファゴットのしっとりとした響きが絡み、熟成された音楽の始まり。 素晴らしい演奏になるな、と直感したとおりの素晴らしい演奏でした。 コントラバスは4本のみでしたが、一体となった響きは時にパワフルとなって見事な存在感。 木管楽器も見事でしたね。 僅かなフレーズでも身体を揺らながらイントネーションをつける熱演。 谷野さんらしくきちんと整理された音楽に、オケの面々の想いが熱くのった演奏にしばし心奪われました。
これに先立って演奏された「タンホイザー」序曲は、精密機械のように組み立てられた演奏と感じました。 パワフルな面ももちろんあるのですが、最初の曲ということもあってか、きちんと整理されているのが前面に立ってしまったようですね。 曲の構造がよく判ったという点では面白かったな。
近藤久美さんをソリストにしたウェーバーのクラリネット協奏曲では、オケの響きに深みとコクが出てきました。 近藤さんのソロは凛とした清潔感のある響きで、オケとうまく対峙していたように感じました。 まだお若いので深い陰影という面では少々物足りなさを感じましたけれど、時おり楽器を見て首をかしげておられたようなので楽器の不調だったのかもしれませんね。 第3楽章では輝くようなノリノリのソロとして活気ついたオケとの会話もよく駆け抜けました。 蛇足ですが、このブラボも早くて少々興ざめ。
でもアンコールでまた楽しめました。 オケのメンバーが増員されるので何をするのかな、と思って見ていると・・・クラリネットを分解しながら吹く曲なのですね。 おじさんが出て来たので、譜面でもめくるのかな、と思っていたら譜面を指さしたあと、近藤さんより渡されたベルを持って楽屋に引っ込みました。 次に出てくると下菅、その次は上管が持ち帰られて、最後はマウスピースでビロビロと吹いておしまい。 初めて見ました(聴きました)。 終演後の近藤さんのにこやかな笑顔も素敵でしたね。
思い起こすと豊中市民管弦楽団を最初に聴いたのは2001年4月15日の第24回定期演奏会でした。 途中単身赴任で聴けなかったり、都合が悪くてここ2回ほど聴けていませんでしたが、谷野さんの指揮のもと着実に進化しているようです。 素晴らしい演奏を有難うございました。
--------
簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。
奈良から伊丹まで1時間半でしょうか、バタバタとしていて12時過ぎに家を出たのでホールに到着は開演10分前。 慌てて2階席を目指し、中央通路より後ろ3列目 28-26 に陣取りました。 2階席は3割程度の入りだったでしょうか。 もっと余裕を持って来ないといけませんね。
定刻となり左右よりオケ・メンバーが整列入場。 通常配置で 10-12-8-8-4 でしょうか。 コンミスによるチューニングが始まりました。 パンフレットによるとゲストコンサートミストレスとなっておりました。 準備完了。 長身スリムな谷野里香さんが登場し、指揮台の手前にて、にこやかな笑顔とともに左・中央・右と3方向に丁寧に頭を下げてから登壇します。 一つ括りにした髪、10年前に黒かったのにずいぶんと白くなったなぁ、との印象。 あえて染めないのは、年輪を意識されているのでしょうか。 勇気あるなぁ、とは同行者の意見。 とにかく始まります。
ワーグナー「タンホイザー」序曲、きちっと制御された精密機械のように組み立てられた演奏と感じました。 柔らかな響きでの始まりには威圧感なし。 丁寧に紡いでゆきます。 そして底鳴りのするオケの大きな響きもありましたが、きちっとしているからか威圧感はここでもあまり感じません。 コントラバスの響きもよく聴こえますし、ティムパニは終始重い打音なのですけれど。 ヴァイオリン・ソロは清澄な響き。 谷野さんの手中に綺麗に収まっているからかな。 その谷野さん、左手を使って音量をまた上げました。 少々ヴァイオリンの響きが薄いというか、ザラついた感じだから余計にそう思うのかもしれませんね。 最後までもちろんパワフルな面ももちろんあるのですが、きちんと整理されていた、との印象。 最初の曲ということもあるでしょうね。 曲の構造がよく判ったという点では面白く感じた演奏でもありました。
オケメンバーが一部退席、手際よく第1ヴァイオリンの席を後ろに下げてソリストのスペースを確保しました。 9-9-6-5-3 の編成になったようです。 チューニングを終えて準備完了。 紫というかガーネットのような色相の綺麗なロングドレス、裾を引きずりながらソリスト近藤久美さんが登場。 裾を踏まないように、足元に注意しながら指揮台の後ろに回り込んだ谷野さんとともに礼をし、いよいよ始まります。
ウェーバーのクラリネット協奏曲、先ほどまで精密機械のようなっだオケの響が生き生きとして深みとコクが出てきました。 そして近藤さんのソロは凛とした清潔感のある響き。 オケとうまく対峙して吹き切りました。
第1楽章、コントラバスの響きが印象的な序奏、先ほどのまでのオケの響きとは違って生き生きとた感じで堂々としています。 クラリネットのソロは凛とした響きで、やや憂いを帯びた感じだったでしょうか。 音量は十分、オケと対峙しつつ曲が進みます。 劇的な感じもよく出ていました。 オケも間奏部分では音量を上げていますが、ソロが加わってもオケの音量は目立って下がることなく、堂々と渡り合ったのと、そっとこの楽章を止めました。
第2楽章に入る前、布を通してクラリネットの清掃してから始まります。 柔らかな弦楽器の伴奏にのってクラリネットも柔らかに歌い出します。 凛とした響きで落ち着いて歌い継いでゆく感じ。 ホルンとの響きも絡んでしっとりと歌います。 ホルン大健闘。 やや陰影に乏しく感じたのはまだお若いからでしょうか。 楽器の調子もイマイチだったのかもしれませんが・・・時折楽器を見て首をかしげておられたようですし。
第3楽章、輝くようなノリノリのソロとし、活気ついたオケとの会話。 ティムパニは先の細いマレットに持ち替え、軽快に走るオケとソロとの掛け合いが気持ちいい。 一転しっとりと吹いたあと、主題を戻してまた活気つき、技巧的なパッセージを織り交ぜながら颯爽と駆け抜けました。 間髪を入れずにブラボー、熱演でしたけれど、ちょっと早いのではないの・・・と少々同行者は不満だったようです。
アンコール、普通ならソロの曲になると思いますが、オケのメンバーが増員されるので何をするのかな、と思って見ていると・・・オーケストラをバックに軽快なメロディを吹きながら、クラリネットを分解しながら吹く曲なのですね。
途中、おじさんが出て来たので、譜面でもめくるのかな、と思っていたら譜面を指さしたあと、近藤さんより渡されたベルを持って楽屋に引っ込みました。 次に出てくると下菅、その次は上管が持ち帰られ、右手をベル(持ち帰られましたが)の置いて管を塞ぎながら吹いていて、最後はマウスピースだけでビロビロと吹いておしまい。 面白い。 初めて見ました(聴きました)。 終演後の近藤さんのにこやかな笑顔も素敵でした。
15分の休憩。 パンフレットやチラシなど見ながら席で時間を過ごします。 落着いて見ると綺麗なホールですね。 座席のシートもいい感じ。 標準的ですが、もうちょっと足元が広いと、なんて欲張りたくなります。
そして定刻、オケの方が左右より整列入場し 11-12-8-8-4 の通常配置にて着席。 コンミスが立ちあがってチューニングをし、準備完了。 谷野さんが登場して、またも左・中央・右と丁寧に3方向に礼をし、登壇。 さぁ始まります。
シューマンの交響曲第4番、大好きな曲だけにハードルも高いのですけれど、充実した響きに感動しました。 第4楽章、まだ終わらないでくれ、と念じつつ最後の1音まで堪能させてもらいました。
第1楽章、谷野さんが両腕を拡げて大きく掬い上げるように始めた序奏、落着いた響き、ファゴットのしっとりとした響きが絡む熟成された音楽の始まり。 これは素晴らしい演奏になるな、と直感。 主題、コントラバスは4本のみなのに重量感のある響き、畳み掛け、えぐる力感、素晴らしい。 単にパワフルなのではなく、シューマンらしいくぐもった感じが良く出ていますし、またオーボエを始めとして木管が歌っています。 各パートがしっかりとしていて、かつ有機的に絡んで、本当に見事。 弦楽パートもくっきりと分かれて聴こえてくるので、対向配置で聴いてみたくもなったほど。 フィナーレはパワーアップして感動的。 惜しむらくは、アタッカでそのまま第2楽章に繋いで欲しかった。
第2楽章、アマチィアなので間合いをとって体制整えて始まりましたが、オーボエの物悲しい響きが見事。 チェロも素敵、ヴァイオリンがじわじわっと攻めてきて、明るさが増してきました。 ヴィオラが良かったですね。 ヴィオリンのソロも可憐。 しっとりとして曲想によくマッチしていました。
第3楽章、ここでは第2楽章終結部より谷野さんの手が上ったまましばし静止、オケの準備が整ったのち直ち、深みを持たせた強靭な響きで開始。 くすんだようでいて艶もあって最高。 ABAB形式のBの部分、柔らかな響きに大きな呼吸、ここのコントラバスも柔らかな響き。 そしてAに戻ってまた強靭な響きのコントラバスは大活躍、存在感ありました。 谷野さん潔く音楽を進めて終楽章に繋ぎます。 ここはもちろんアタッカ。
第4楽章、トロンボーンのコラール風の序奏、トランペットも渋い響きで盛り上げてからの強靭な主題の呈示。 跳躍するようでもいて、また粘り気もあり充実した響き。 木管楽器の皆さん、僅かなフレーズでも身体を揺らながらイントネーションをつける熱演。 オケのやる気もひしひしと伝わってきます。 谷野さん、盛り上げる前では大きな振りとしてオケを盛り立てますが、要所では返って小さく振ってオケの自主性に任せているのでしょうか。 きちんと整理されながらも、オケの面々の想いが熱くのった演奏となって心奪われました。 まだ終わらないでくれ、と念じつつ最後の1音まで堪能させてもらいました。 素晴らしい演奏でした。
惜しむらくは客席からのブラボーが早かったこと。 どの曲でも太い声でブラボ・ブラビと叫ぶ御仁がいらして、気持ちは分からないでもないですが、音楽の終わりを知っているから素早くブラボと叫ぶのは間違い。 その声が音楽の余韻を掻き消していることにもっと想像を巡らせて欲しいものです。
アンコールはワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、これは開放感もあってか華やかで恰幅の良い演奏とし、演奏会を締めくくりました。
思い起こすと豊中市民管弦楽団を最初に聴いたのは2001年4月15日の第24回定期演奏会でした。 途中単身赴任で聴けなかったり、都合が悪くてここ2回ほど聴けていませんでしたが、谷野さんの指揮のもと着実に進化しているようです。 皆さんお疲れさまでした。 素晴らしい演奏を有難うございました。
場所:いたみホール
曲目:ワーグナー/歌劇「タンホイザー」序曲
ウェーバー/クラリネット協奏曲第1番ヘ短調 作品73
(アンコール)シュライナー/Immer Kleiner(どんどん小さく)
シューマン/交響曲第4番ニ短調
(アンコール)ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
独奏:近藤久美(cl)
指揮:谷野里香
PB185492 posted by (C)fronte360
シューマンの交響曲第4番、大好きな曲だけにハードルも高いのですけれど、充実した響きに感動しました。 第4楽章、まだ終わらないでくれ、と念じつつ最後の1音まで堪能させてもらいました。
惜しむらくは客席からのブラボーが早かったこと。 どの曲も太い声でブラボ・ブラビと叫ぶ御仁がいらして、気持ちは分からないでもないですが、音楽の終わりを知っているから素早くブラボと叫ぶのは間違い。 声が音楽の余韻を掻き消していることにもっと想像を巡らせて欲しいものです。
と、オーケストラには関係ない話を書きましたけれど、第1楽章の序奏部より谷野さんが両腕を拡げて大きく掬い上げるように始めた落着いた響き。 ファゴットのしっとりとした響きが絡み、熟成された音楽の始まり。 素晴らしい演奏になるな、と直感したとおりの素晴らしい演奏でした。 コントラバスは4本のみでしたが、一体となった響きは時にパワフルとなって見事な存在感。 木管楽器も見事でしたね。 僅かなフレーズでも身体を揺らながらイントネーションをつける熱演。 谷野さんらしくきちんと整理された音楽に、オケの面々の想いが熱くのった演奏にしばし心奪われました。
これに先立って演奏された「タンホイザー」序曲は、精密機械のように組み立てられた演奏と感じました。 パワフルな面ももちろんあるのですが、最初の曲ということもあってか、きちんと整理されているのが前面に立ってしまったようですね。 曲の構造がよく判ったという点では面白かったな。
近藤久美さんをソリストにしたウェーバーのクラリネット協奏曲では、オケの響きに深みとコクが出てきました。 近藤さんのソロは凛とした清潔感のある響きで、オケとうまく対峙していたように感じました。 まだお若いので深い陰影という面では少々物足りなさを感じましたけれど、時おり楽器を見て首をかしげておられたようなので楽器の不調だったのかもしれませんね。 第3楽章では輝くようなノリノリのソロとして活気ついたオケとの会話もよく駆け抜けました。 蛇足ですが、このブラボも早くて少々興ざめ。
でもアンコールでまた楽しめました。 オケのメンバーが増員されるので何をするのかな、と思って見ていると・・・クラリネットを分解しながら吹く曲なのですね。 おじさんが出て来たので、譜面でもめくるのかな、と思っていたら譜面を指さしたあと、近藤さんより渡されたベルを持って楽屋に引っ込みました。 次に出てくると下菅、その次は上管が持ち帰られて、最後はマウスピースでビロビロと吹いておしまい。 初めて見ました(聴きました)。 終演後の近藤さんのにこやかな笑顔も素敵でしたね。
思い起こすと豊中市民管弦楽団を最初に聴いたのは2001年4月15日の第24回定期演奏会でした。 途中単身赴任で聴けなかったり、都合が悪くてここ2回ほど聴けていませんでしたが、谷野さんの指揮のもと着実に進化しているようです。 素晴らしい演奏を有難うございました。
--------
簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。
奈良から伊丹まで1時間半でしょうか、バタバタとしていて12時過ぎに家を出たのでホールに到着は開演10分前。 慌てて2階席を目指し、中央通路より後ろ3列目 28-26 に陣取りました。 2階席は3割程度の入りだったでしょうか。 もっと余裕を持って来ないといけませんね。
定刻となり左右よりオケ・メンバーが整列入場。 通常配置で 10-12-8-8-4 でしょうか。 コンミスによるチューニングが始まりました。 パンフレットによるとゲストコンサートミストレスとなっておりました。 準備完了。 長身スリムな谷野里香さんが登場し、指揮台の手前にて、にこやかな笑顔とともに左・中央・右と3方向に丁寧に頭を下げてから登壇します。 一つ括りにした髪、10年前に黒かったのにずいぶんと白くなったなぁ、との印象。 あえて染めないのは、年輪を意識されているのでしょうか。 勇気あるなぁ、とは同行者の意見。 とにかく始まります。
ワーグナー「タンホイザー」序曲、きちっと制御された精密機械のように組み立てられた演奏と感じました。 柔らかな響きでの始まりには威圧感なし。 丁寧に紡いでゆきます。 そして底鳴りのするオケの大きな響きもありましたが、きちっとしているからか威圧感はここでもあまり感じません。 コントラバスの響きもよく聴こえますし、ティムパニは終始重い打音なのですけれど。 ヴァイオリン・ソロは清澄な響き。 谷野さんの手中に綺麗に収まっているからかな。 その谷野さん、左手を使って音量をまた上げました。 少々ヴァイオリンの響きが薄いというか、ザラついた感じだから余計にそう思うのかもしれませんね。 最後までもちろんパワフルな面ももちろんあるのですが、きちんと整理されていた、との印象。 最初の曲ということもあるでしょうね。 曲の構造がよく判ったという点では面白く感じた演奏でもありました。
オケメンバーが一部退席、手際よく第1ヴァイオリンの席を後ろに下げてソリストのスペースを確保しました。 9-9-6-5-3 の編成になったようです。 チューニングを終えて準備完了。 紫というかガーネットのような色相の綺麗なロングドレス、裾を引きずりながらソリスト近藤久美さんが登場。 裾を踏まないように、足元に注意しながら指揮台の後ろに回り込んだ谷野さんとともに礼をし、いよいよ始まります。
ウェーバーのクラリネット協奏曲、先ほどまで精密機械のようなっだオケの響が生き生きとして深みとコクが出てきました。 そして近藤さんのソロは凛とした清潔感のある響き。 オケとうまく対峙して吹き切りました。
第1楽章、コントラバスの響きが印象的な序奏、先ほどのまでのオケの響きとは違って生き生きとた感じで堂々としています。 クラリネットのソロは凛とした響きで、やや憂いを帯びた感じだったでしょうか。 音量は十分、オケと対峙しつつ曲が進みます。 劇的な感じもよく出ていました。 オケも間奏部分では音量を上げていますが、ソロが加わってもオケの音量は目立って下がることなく、堂々と渡り合ったのと、そっとこの楽章を止めました。
第2楽章に入る前、布を通してクラリネットの清掃してから始まります。 柔らかな弦楽器の伴奏にのってクラリネットも柔らかに歌い出します。 凛とした響きで落ち着いて歌い継いでゆく感じ。 ホルンとの響きも絡んでしっとりと歌います。 ホルン大健闘。 やや陰影に乏しく感じたのはまだお若いからでしょうか。 楽器の調子もイマイチだったのかもしれませんが・・・時折楽器を見て首をかしげておられたようですし。
第3楽章、輝くようなノリノリのソロとし、活気ついたオケとの会話。 ティムパニは先の細いマレットに持ち替え、軽快に走るオケとソロとの掛け合いが気持ちいい。 一転しっとりと吹いたあと、主題を戻してまた活気つき、技巧的なパッセージを織り交ぜながら颯爽と駆け抜けました。 間髪を入れずにブラボー、熱演でしたけれど、ちょっと早いのではないの・・・と少々同行者は不満だったようです。
アンコール、普通ならソロの曲になると思いますが、オケのメンバーが増員されるので何をするのかな、と思って見ていると・・・オーケストラをバックに軽快なメロディを吹きながら、クラリネットを分解しながら吹く曲なのですね。
途中、おじさんが出て来たので、譜面でもめくるのかな、と思っていたら譜面を指さしたあと、近藤さんより渡されたベルを持って楽屋に引っ込みました。 次に出てくると下菅、その次は上管が持ち帰られ、右手をベル(持ち帰られましたが)の置いて管を塞ぎながら吹いていて、最後はマウスピースだけでビロビロと吹いておしまい。 面白い。 初めて見ました(聴きました)。 終演後の近藤さんのにこやかな笑顔も素敵でした。
15分の休憩。 パンフレットやチラシなど見ながら席で時間を過ごします。 落着いて見ると綺麗なホールですね。 座席のシートもいい感じ。 標準的ですが、もうちょっと足元が広いと、なんて欲張りたくなります。
そして定刻、オケの方が左右より整列入場し 11-12-8-8-4 の通常配置にて着席。 コンミスが立ちあがってチューニングをし、準備完了。 谷野さんが登場して、またも左・中央・右と丁寧に3方向に礼をし、登壇。 さぁ始まります。
シューマンの交響曲第4番、大好きな曲だけにハードルも高いのですけれど、充実した響きに感動しました。 第4楽章、まだ終わらないでくれ、と念じつつ最後の1音まで堪能させてもらいました。
第1楽章、谷野さんが両腕を拡げて大きく掬い上げるように始めた序奏、落着いた響き、ファゴットのしっとりとした響きが絡む熟成された音楽の始まり。 これは素晴らしい演奏になるな、と直感。 主題、コントラバスは4本のみなのに重量感のある響き、畳み掛け、えぐる力感、素晴らしい。 単にパワフルなのではなく、シューマンらしいくぐもった感じが良く出ていますし、またオーボエを始めとして木管が歌っています。 各パートがしっかりとしていて、かつ有機的に絡んで、本当に見事。 弦楽パートもくっきりと分かれて聴こえてくるので、対向配置で聴いてみたくもなったほど。 フィナーレはパワーアップして感動的。 惜しむらくは、アタッカでそのまま第2楽章に繋いで欲しかった。
第2楽章、アマチィアなので間合いをとって体制整えて始まりましたが、オーボエの物悲しい響きが見事。 チェロも素敵、ヴァイオリンがじわじわっと攻めてきて、明るさが増してきました。 ヴィオラが良かったですね。 ヴィオリンのソロも可憐。 しっとりとして曲想によくマッチしていました。
第3楽章、ここでは第2楽章終結部より谷野さんの手が上ったまましばし静止、オケの準備が整ったのち直ち、深みを持たせた強靭な響きで開始。 くすんだようでいて艶もあって最高。 ABAB形式のBの部分、柔らかな響きに大きな呼吸、ここのコントラバスも柔らかな響き。 そしてAに戻ってまた強靭な響きのコントラバスは大活躍、存在感ありました。 谷野さん潔く音楽を進めて終楽章に繋ぎます。 ここはもちろんアタッカ。
第4楽章、トロンボーンのコラール風の序奏、トランペットも渋い響きで盛り上げてからの強靭な主題の呈示。 跳躍するようでもいて、また粘り気もあり充実した響き。 木管楽器の皆さん、僅かなフレーズでも身体を揺らながらイントネーションをつける熱演。 オケのやる気もひしひしと伝わってきます。 谷野さん、盛り上げる前では大きな振りとしてオケを盛り立てますが、要所では返って小さく振ってオケの自主性に任せているのでしょうか。 きちんと整理されながらも、オケの面々の想いが熱くのった演奏となって心奪われました。 まだ終わらないでくれ、と念じつつ最後の1音まで堪能させてもらいました。 素晴らしい演奏でした。
惜しむらくは客席からのブラボーが早かったこと。 どの曲でも太い声でブラボ・ブラビと叫ぶ御仁がいらして、気持ちは分からないでもないですが、音楽の終わりを知っているから素早くブラボと叫ぶのは間違い。 その声が音楽の余韻を掻き消していることにもっと想像を巡らせて欲しいものです。
アンコールはワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、これは開放感もあってか華やかで恰幅の良い演奏とし、演奏会を締めくくりました。
思い起こすと豊中市民管弦楽団を最初に聴いたのは2001年4月15日の第24回定期演奏会でした。 途中単身赴任で聴けなかったり、都合が悪くてここ2回ほど聴けていませんでしたが、谷野さんの指揮のもと着実に進化しているようです。 皆さんお疲れさまでした。 素晴らしい演奏を有難うございました。
2013年10月21日
近畿フィルハーモニー管弦楽団 第9回ファミリーコンサート
日時:2013年10月20日(日) 14:00開演
場所:門真市民文化会館ルミエールホール・大ホール
曲目:チャイコフスキー/「白鳥の湖」より
「情景」「4羽の白鳥の踊り」「チャルダーシュ」
チャイコフスキー/「くるみ割り人形」より
「葦笛の踊り」「花のワルツ」
プロコフィエフ/「ロメオとジュリエット」より
「モンタギュー家とキャピレット家」
ストラヴィンスキー/「火の鳥」(1919年版)より「終曲」
ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調
(アンコール)チャイコフスキー/「くるみ割り人形」より「トレパーク」
(アンコール)メンデルスゾーン/結婚行進曲
指揮:朝倉 洋
PA215335 posted by (C)fronte360
ひとことで言うなら、とても楽しい演奏会でした。 聴かせ上手な指揮者・朝倉さんの本領発揮でしょうね。 明快で判りやすくてノリやすい朝倉さんの指揮に応え、オーケストラもキレのいい演奏で奮闘していました。 そして朝倉さんの解説、バレエのストーリーの説明を中心にしたお話でしたが、聞きやすい口調でかつ興味を持たせるような話しの組み立て、まったく飽きさせません。 休憩後のベートーヴェンの交響曲第7番やアンコールまでもスピーチされて、楽しい演奏会を堪能した、そんな気分でいっぱいとなって演奏会場を後にしました。
前半はバレエ曲の演奏、個々の曲についての言及はしませんが、いずれも超の字の付く有名曲。 これがズラリと並んでいて、演奏される側としてはハードルが高かったと思いますけれど、いずれも破綻など皆無(些細なミスはあったかもしれませんが聞き取れていません)、何より聴かせ所のソロがいずれもしっかりと演奏されていたのが見事でした。
ただし少々気になったは、少々音がデッドに響いてきたことでしょうか。 ホールの特性か、聴いていた席が2階席(EE-15)のせい、それとも雨模様だったので響きが悪かったかな・・・なんて思って聴いていましたけれど。 コントラバスが4本編成で奮闘、低弦の人数にもよると思いますが、ティムパニが堅い打音となっていて、全体の響きにも深みが少々不足してたかな・・って感じ。 もうちょっと粘り気が欲しかったというのは欲張りかもしれませんが・・・ 全体的に少々響きが薄くなってしまって、大きな音での圧力がちょっと乏しかった感じかな。
メインプログラムのベートーヴェンの交響曲第7番。 完全に酔っ払い、なんて朝倉さんが言われていましたけれど、終楽章に至って丁寧ながらも力いっぱい演奏。 見事な幕切れで盛り上がりました。 朝倉さんが舞台袖に下がられたあと、団員の皆さんの満足そうな笑顔がアチコチでこぼれていました。
アンコールの1曲目、トレパークはこれまでの演奏とは一味違って、朝倉さんの動きも大きくなってイケイケドンドンでノリノリの演奏。 指揮によってこれだけ違ってくるのかがよく判りますね。 ファミリーコンサートらしい演出でしょうか。 そしてアンコール2曲目は、公私混同と朝倉さんが言われてましたが、前日に結婚されたトランペット奏者の男性と、近日結婚予定のコントラバス奏者の女性もいらっしゃるそうで、結婚行進曲。 ベートーヴェンで寂しい思いをした金管奏者、これも朝倉さんの談ですが、見事な金管ハーモニー、艶やかな響きに深みもあって魅せられました。
とにかく楽しい演奏会、ありがとうございました。 そして皆さんお疲れさまでした。
場所:門真市民文化会館ルミエールホール・大ホール
曲目:チャイコフスキー/「白鳥の湖」より
「情景」「4羽の白鳥の踊り」「チャルダーシュ」
チャイコフスキー/「くるみ割り人形」より
「葦笛の踊り」「花のワルツ」
プロコフィエフ/「ロメオとジュリエット」より
「モンタギュー家とキャピレット家」
ストラヴィンスキー/「火の鳥」(1919年版)より「終曲」
ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調
(アンコール)チャイコフスキー/「くるみ割り人形」より「トレパーク」
(アンコール)メンデルスゾーン/結婚行進曲
指揮:朝倉 洋
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ひとことで言うなら、とても楽しい演奏会でした。 聴かせ上手な指揮者・朝倉さんの本領発揮でしょうね。 明快で判りやすくてノリやすい朝倉さんの指揮に応え、オーケストラもキレのいい演奏で奮闘していました。 そして朝倉さんの解説、バレエのストーリーの説明を中心にしたお話でしたが、聞きやすい口調でかつ興味を持たせるような話しの組み立て、まったく飽きさせません。 休憩後のベートーヴェンの交響曲第7番やアンコールまでもスピーチされて、楽しい演奏会を堪能した、そんな気分でいっぱいとなって演奏会場を後にしました。
前半はバレエ曲の演奏、個々の曲についての言及はしませんが、いずれも超の字の付く有名曲。 これがズラリと並んでいて、演奏される側としてはハードルが高かったと思いますけれど、いずれも破綻など皆無(些細なミスはあったかもしれませんが聞き取れていません)、何より聴かせ所のソロがいずれもしっかりと演奏されていたのが見事でした。
ただし少々気になったは、少々音がデッドに響いてきたことでしょうか。 ホールの特性か、聴いていた席が2階席(EE-15)のせい、それとも雨模様だったので響きが悪かったかな・・・なんて思って聴いていましたけれど。 コントラバスが4本編成で奮闘、低弦の人数にもよると思いますが、ティムパニが堅い打音となっていて、全体の響きにも深みが少々不足してたかな・・って感じ。 もうちょっと粘り気が欲しかったというのは欲張りかもしれませんが・・・ 全体的に少々響きが薄くなってしまって、大きな音での圧力がちょっと乏しかった感じかな。
メインプログラムのベートーヴェンの交響曲第7番。 完全に酔っ払い、なんて朝倉さんが言われていましたけれど、終楽章に至って丁寧ながらも力いっぱい演奏。 見事な幕切れで盛り上がりました。 朝倉さんが舞台袖に下がられたあと、団員の皆さんの満足そうな笑顔がアチコチでこぼれていました。
アンコールの1曲目、トレパークはこれまでの演奏とは一味違って、朝倉さんの動きも大きくなってイケイケドンドンでノリノリの演奏。 指揮によってこれだけ違ってくるのかがよく判りますね。 ファミリーコンサートらしい演出でしょうか。 そしてアンコール2曲目は、公私混同と朝倉さんが言われてましたが、前日に結婚されたトランペット奏者の男性と、近日結婚予定のコントラバス奏者の女性もいらっしゃるそうで、結婚行進曲。 ベートーヴェンで寂しい思いをした金管奏者、これも朝倉さんの談ですが、見事な金管ハーモニー、艶やかな響きに深みもあって魅せられました。
とにかく楽しい演奏会、ありがとうございました。 そして皆さんお疲れさまでした。
2013年10月15日
枚方フィルハーモニー管弦楽団 第78回定期演奏会
日時:2013年10月14日(月・祝) 14:00開演(13:30開場)
場所:枚方市民会館・大ホール
曲目:モーツァルト/歌劇「劇場支配人」序曲
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調
チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調 -*
(アンコール)マスネ/歌劇「タイス」より瞑想曲
(アンコール)マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲 -*
独奏:池川章子(vn)
指揮:生島 靖、谷村 浩-*
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普段は大人しい指揮をされる谷村さんの印象ですが、その谷村さんが両足を踏ん張って腕を大きく上下に振り、時に左腕をぐるりと回し、そして指揮棒を持った右手を前に突き出して力を込めていました。 オーケストラの各メンバーもそれに応え、全身全霊でもって振り絞るように、またじっくりと噛み締めるようにして音を出していたチャイコフスキー交響曲第5番のフィナーレ。 学生オケの定番曲として、若さを武器に大いに盛り上がる曲ですけれども、それとは一味も二味も違った深い印象と感動を覚えた演奏でした。
一所懸命・・・ 学生オケとて同じでしょうけれども、制約の多い社会人であるからこその本番にかける意気込みの強さ。 しかしそれが決してすべてが成功するとは限らないけれども、幾多の人生の困難を乗り越えてきた社会人だからこそ、成しえる芯の強さでしょうか。 念を押したかのような、ダ・ダ・ダ・ダンッ、とした堂々のエンディングにそれを想いました。 そして熱い拍手の渦。 一緒に大きな拍手を贈りました。
これに先立って演奏されたサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番は、柔のソリスト池川章子さんと剛のオーケストラの対比。 第1楽章のソロとオーケストラが呼応しあってゆくのに身を任せ、優しいメロディがたっぷりと楽しめた第2楽章ではオケは重心の低い太い響きでゆったりと。 アタッカで入った第3楽章、指揮者の生島さんの軽いハナ息が聞こえる場面もあって、真摯な音楽となった場面もありましたけれど、池川さんは終始伸びやかで落ち着いた美音で応えていました。 終演、暖かな拍手で会場中が包み込まれました。
ここでのアンコールは、マスネのタイスの瞑想曲。 オーケストラも柔らかで可憐な優しい響きとなって、池川さんのソロともに夢見るようなファンタジーの世界を演出。 ステージ上の世界だけでなく、客席をも包み込んで、音楽が聴き手にもすっ〜と中に入ってくるような一体感を覚えました。
アンコールについてはあまり書かないのですけれど、メインのチャイコフキーの交響曲第5番のあとのアンコール曲、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲もとても美しかったですね。 透徹した近寄り難い美しさとは違って、すぐ身近に感じられるような美しさ、ハートフルな美しさに心曳かれました。
なお冒頭の歌劇「劇場支配人」序曲は、明るく快活な演奏でした。 ヴァイオリンのアンサンブルなどややガサついた響きはしたものの、何故だか楽しく感じさせる演奏となって、終演後もしばらく主題を口ずさんでしまうほど印象に残りました。 巧い下手とは次元の違う演奏の楽しさをここから既に体得していたのかもしれませんね。
あと演奏とは違いますけれど、チャイコフスキーのフィナーレの部分、丸坊主にした小学校低学年のおぼしき少年が、嬉しそうな表情で両手を振って指揮しながら聴いていました。 また別のご家族のやはり小学校低学年の少女二人は、この曲までは大人しく観ていたのにこのフィナーレでは身体をねじって座席に埋もれるようにしていました。 勇壮な曲は好きではないのかな。 疲れたのかな。 それでも終演時には背筋を伸ばして拍手をしていて立派でした。 演奏中はちっとも騒がず、偉い子供たちを久しぶりに見ました。 このような子供たちがクラシック音楽の次世代を担ってゆくのですね。 未来は明るいかも。
いつもながら枚方フィルの演奏会では色々な発見ができ、考えさせられます。 とにかく演奏された皆さんお疲れさまでした。 有難うございました。
場所:枚方市民会館・大ホール
曲目:モーツァルト/歌劇「劇場支配人」序曲
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調
チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調 -*
(アンコール)マスネ/歌劇「タイス」より瞑想曲
(アンコール)マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲 -*
独奏:池川章子(vn)
指揮:生島 靖、谷村 浩-*
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普段は大人しい指揮をされる谷村さんの印象ですが、その谷村さんが両足を踏ん張って腕を大きく上下に振り、時に左腕をぐるりと回し、そして指揮棒を持った右手を前に突き出して力を込めていました。 オーケストラの各メンバーもそれに応え、全身全霊でもって振り絞るように、またじっくりと噛み締めるようにして音を出していたチャイコフスキー交響曲第5番のフィナーレ。 学生オケの定番曲として、若さを武器に大いに盛り上がる曲ですけれども、それとは一味も二味も違った深い印象と感動を覚えた演奏でした。
一所懸命・・・ 学生オケとて同じでしょうけれども、制約の多い社会人であるからこその本番にかける意気込みの強さ。 しかしそれが決してすべてが成功するとは限らないけれども、幾多の人生の困難を乗り越えてきた社会人だからこそ、成しえる芯の強さでしょうか。 念を押したかのような、ダ・ダ・ダ・ダンッ、とした堂々のエンディングにそれを想いました。 そして熱い拍手の渦。 一緒に大きな拍手を贈りました。
これに先立って演奏されたサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番は、柔のソリスト池川章子さんと剛のオーケストラの対比。 第1楽章のソロとオーケストラが呼応しあってゆくのに身を任せ、優しいメロディがたっぷりと楽しめた第2楽章ではオケは重心の低い太い響きでゆったりと。 アタッカで入った第3楽章、指揮者の生島さんの軽いハナ息が聞こえる場面もあって、真摯な音楽となった場面もありましたけれど、池川さんは終始伸びやかで落ち着いた美音で応えていました。 終演、暖かな拍手で会場中が包み込まれました。
ここでのアンコールは、マスネのタイスの瞑想曲。 オーケストラも柔らかで可憐な優しい響きとなって、池川さんのソロともに夢見るようなファンタジーの世界を演出。 ステージ上の世界だけでなく、客席をも包み込んで、音楽が聴き手にもすっ〜と中に入ってくるような一体感を覚えました。
アンコールについてはあまり書かないのですけれど、メインのチャイコフキーの交響曲第5番のあとのアンコール曲、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲もとても美しかったですね。 透徹した近寄り難い美しさとは違って、すぐ身近に感じられるような美しさ、ハートフルな美しさに心曳かれました。
なお冒頭の歌劇「劇場支配人」序曲は、明るく快活な演奏でした。 ヴァイオリンのアンサンブルなどややガサついた響きはしたものの、何故だか楽しく感じさせる演奏となって、終演後もしばらく主題を口ずさんでしまうほど印象に残りました。 巧い下手とは次元の違う演奏の楽しさをここから既に体得していたのかもしれませんね。
あと演奏とは違いますけれど、チャイコフスキーのフィナーレの部分、丸坊主にした小学校低学年のおぼしき少年が、嬉しそうな表情で両手を振って指揮しながら聴いていました。 また別のご家族のやはり小学校低学年の少女二人は、この曲までは大人しく観ていたのにこのフィナーレでは身体をねじって座席に埋もれるようにしていました。 勇壮な曲は好きではないのかな。 疲れたのかな。 それでも終演時には背筋を伸ばして拍手をしていて立派でした。 演奏中はちっとも騒がず、偉い子供たちを久しぶりに見ました。 このような子供たちがクラシック音楽の次世代を担ってゆくのですね。 未来は明るいかも。
いつもながら枚方フィルの演奏会では色々な発見ができ、考えさせられます。 とにかく演奏された皆さんお疲れさまでした。 有難うございました。
2013年10月14日
オーケストラ・アンサンブル・フォルツァ Autumn Concert 2013
日時:2013年10月13日(日) 14:00開演(13:15開場)
場所:八尾市文化会館・プリズムホール
曲目:ミヨー/地中海風序曲
ロドリーゴ/アランフェス協奏曲 -*
チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」 -**
(アンコール)ヴィラ=ロボス/ブラジル民謡組曲よりガヴォット・ショーロ -*
(アンコール)チャイコフスキー/組曲第4番より第3曲「祈り」-**
独奏:谷 治毅 -*
指揮:池田俊明、菊 正憲 -*、大塚洋平 -**
PA145329 posted by (C)fronte360
アランフェス協奏曲が始まるとホールの中に陽が射したように明るく暖かな空気が流れ込みました。 透明感のある軽やかな素晴しいギターソロ、オーケストラも歯切れ良い響きで真摯なサポート、素晴しい演奏演奏でした。 またアンコールも柔らかなギターの調べにうっとり。 生でこれらの曲を聴くのは始めてだと思いますが、このような素晴しい演奏に出会えたこと感謝します。
オーケストラは前曲より引き続いて14型の編成でチェロ9本・コントラバス6本の大型の編成、ギターの音がかき消されないかとの心配は杞憂でした。 きちんと統率されたオケもギターによく似た明るめの響き。 軽やかで暖かく、ギターによくマッチしていました。 中でも木管の落ち着いて深みのある響き、特にコールアングレのソロは巧かった。 また終楽章フィナーレでの軽やかなトランペットに軽い押し出しの強さを見せたホルン、弦楽器もよく揃って盛り上げていました。 そして谷のギターの調べには懐の深さが充分にあって、第2楽章では哀愁をもった落ち着いた響きでホールを満たして惹きつけていました。 素晴しい演奏に大きな拍手を贈りました。
休憩を挟んでチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」は、余計な感傷や盛り上がりを抑えて見得を切ることなど皆無。 大塚洋平さんの端正な指揮に呼応したオーケストラもクールで粘り気の少ない演奏として応えていました。 物足りないと感じた人はいるかもしれませんね。 ピークとなる第3楽章の終わりなども機動力を発揮した力強くタイトな演奏なのだけれども常にクールな印象。 きっちとした演奏はどこか冷めた感じがしましたし、終楽章のフィナーレなどもささっと進んでコントラバスのピチカートに繋いで、あっさりと終わった感じ。 正直なところ、この曲はあまり好きではないので、聴いている当方にとってはけっこうすんなりと入ってきました。
しかし冒頭に演奏されたミヨーの地中海風序曲は、よく言うと全員参加の熱演なのでしょうが、各パートが無防備に鳴っている感じ。 端的に音量が大きく、特にトランペットとトロンボーンの響きの正面になっていたせいか正直うるささを禁じ得ず、ウィット感を感じられないまま盛大に終った・・・という感じ。 あまりいい感想が書けなくてすみません。
とにかく若いメンバーによるアンサンブル・フォルツァ、今回も全員団内指揮者によるオケと一体感のある演奏を楽しみました。 皆さんお疲れさまでした。
場所:八尾市文化会館・プリズムホール
曲目:ミヨー/地中海風序曲
ロドリーゴ/アランフェス協奏曲 -*
チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」 -**
(アンコール)ヴィラ=ロボス/ブラジル民謡組曲よりガヴォット・ショーロ -*
(アンコール)チャイコフスキー/組曲第4番より第3曲「祈り」-**
独奏:谷 治毅 -*
指揮:池田俊明、菊 正憲 -*、大塚洋平 -**
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アランフェス協奏曲が始まるとホールの中に陽が射したように明るく暖かな空気が流れ込みました。 透明感のある軽やかな素晴しいギターソロ、オーケストラも歯切れ良い響きで真摯なサポート、素晴しい演奏演奏でした。 またアンコールも柔らかなギターの調べにうっとり。 生でこれらの曲を聴くのは始めてだと思いますが、このような素晴しい演奏に出会えたこと感謝します。
オーケストラは前曲より引き続いて14型の編成でチェロ9本・コントラバス6本の大型の編成、ギターの音がかき消されないかとの心配は杞憂でした。 きちんと統率されたオケもギターによく似た明るめの響き。 軽やかで暖かく、ギターによくマッチしていました。 中でも木管の落ち着いて深みのある響き、特にコールアングレのソロは巧かった。 また終楽章フィナーレでの軽やかなトランペットに軽い押し出しの強さを見せたホルン、弦楽器もよく揃って盛り上げていました。 そして谷のギターの調べには懐の深さが充分にあって、第2楽章では哀愁をもった落ち着いた響きでホールを満たして惹きつけていました。 素晴しい演奏に大きな拍手を贈りました。
休憩を挟んでチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」は、余計な感傷や盛り上がりを抑えて見得を切ることなど皆無。 大塚洋平さんの端正な指揮に呼応したオーケストラもクールで粘り気の少ない演奏として応えていました。 物足りないと感じた人はいるかもしれませんね。 ピークとなる第3楽章の終わりなども機動力を発揮した力強くタイトな演奏なのだけれども常にクールな印象。 きっちとした演奏はどこか冷めた感じがしましたし、終楽章のフィナーレなどもささっと進んでコントラバスのピチカートに繋いで、あっさりと終わった感じ。 正直なところ、この曲はあまり好きではないので、聴いている当方にとってはけっこうすんなりと入ってきました。
しかし冒頭に演奏されたミヨーの地中海風序曲は、よく言うと全員参加の熱演なのでしょうが、各パートが無防備に鳴っている感じ。 端的に音量が大きく、特にトランペットとトロンボーンの響きの正面になっていたせいか正直うるささを禁じ得ず、ウィット感を感じられないまま盛大に終った・・・という感じ。 あまりいい感想が書けなくてすみません。
とにかく若いメンバーによるアンサンブル・フォルツァ、今回も全員団内指揮者によるオケと一体感のある演奏を楽しみました。 皆さんお疲れさまでした。
2013年09月16日
大阪市民管弦楽団 第78回定期演奏会
日時:2013年9月15日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:ザ・シンフォニーホール
曲目:外山雄三/管弦楽のためのラプソディ
シベリウス/交響曲第3番
フランク/交響曲ニ短調
指揮:小田野宏之
フランクの交響曲ニ短調、これまで暗い曲なのでどちらかと言うと敬遠しがちな曲でしたけれど、緻密に組み立てられた曲なのですね。 これを終始落ち着いて淀みのない演奏としつつも覇気にも満ちた演奏に印象を変えました。 そして何より輝かしいフィナーレ、心動かされました。 そしてアンコール無し。 循環形式で現れる主題がいつまでも耳を離れない、素晴しい演奏会となりました。
会場を後にされる年配のご婦人方も、美しいメロディの曲でよかったわ、と口々に言われていたのを付記しておきます。
会場のシンフォニーホールのステージには、コントラバス9本、チェロ11本が並んでいたのが壮観でした。 張りのある低弦の響きが、終始どの曲も支えてたのが印象的でしたけれど、フランクはもとよりシベリウスの交響曲第3番でその真価が発揮されていたように感じました。 冒頭の激しくも豊かな響きよりたちまち惹き込まれました。 指揮者の小田野さん、渡邉暁雄さんに師事されていたそうで、立ち居地をほとんど変えない明快な指揮。 オケもよくついてエネルギッシュでありながらも、人間味というとちょっと変ですが、言葉にならないじわじわっとするものを随所に感じさせた弦楽アンサンブルが見事でした。 隠れた名曲ともいえる第3番、その魅力が存分に発揮されていたのではないでしょうか。
そして外山雄三のラプソディ、アンコールピースを演奏会冒頭にぶつけ、いきなり会場内の空気を和ませました。 知っているメロディが随所に織り込まれ、拍子木の響きがホールを引き裂いた場面転換などなど、現代日本の名曲の紹介といった感じ。 勢いよく演奏されて、あとの2曲に繋ぎました。
ちょっと渋めの曲が並んでいて、オケの底力が確認できる演奏会ではないでしょうか・・・と先に書いていましたけれど、その底力を充分に堪能させていただきました。 そして繰り返しになりますが、アンコールが無かったのが感動をより大きくさせたと思います。 輝かしいあのフィナーレの後には感動以外何も要りません。 素晴しい演奏を有難うございました。 そして皆さんお疲れさまでした。
P9165254 posted by (C)fronte360
簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。
台風18号接近中、明け方には豪雨があったものの朝には陽射しも出ていました。 演奏会は無事開催されそうな感じ。 用事もあったので雨の降っていない10時すぎに家を出て、他の用事で先に外に出ていた長男とは12時に福島で合流。 小雨となっていました。 まず眠眠で腹ごしらえをし、いざシンフォニーホールへ出陣。 座席引換えで「できれば2階席」と遠慮して言うと、整理係りのお兄さんが窓口の中のチケット係りに人にオウム返しのように「できれば2階席」と言うではありませんか。 普通「2階席ありますか」とかね、言い方変えるでしょ・・・こっちは遠慮して言っているのにと少々バカにされた嫌な気分となりましたが・・・出てきた席がAA−27・28。 おおっ、2階席最前列の中央じゃないですか。 会社の同僚が、このオケの団長を10年以上前にやっていたとき、招待客用の席として別枠にしている、と言っていた並びですね(何度かそこにも座らせてもらいました)。 これで許しましょう。
開場とともにホールに入りますと、コントラバス奏者の方2名が出ていて練習中。 聴いていると馴染みのメロディが・・・ マーラーの交響曲第1番第3楽章の冒頭の部分をソロと伴奏で演奏されてました。 我が長男、バンドではエレキベースを弾いているので、その事を伝えると興味深そうに見てましたね。 当方はその音を聴きながらしばし爆睡(少々お疲れなのです)。 開演10分程前、会場内がざわついてきて目覚めました(ほんと良く寝ました・・・体調万全です)。 目覚めるとコントラバス軍団はほとんど揃っていて、開演5分ほど前になると他のメンバーの方もセクション毎に自由入場として席につきます。 オケは通常配置で 13-11-11-11-9 のようです。 中低弦が分厚いのが老舗アマオケらしさでしょうか。 コンミスが拍手とともに登場して客席にむかって一礼。 チューニングを開始すると客席が暗転となります。 準備完了。 指揮者の小田野さんが上半身をピンと伸ばしてスタスタと歩いて出てこられました。 コンミスと握手。 登壇して客席に深々と一礼ののちオケの方を向き、いよいよ始まります。
外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」、アンコールピースを演奏会冒頭にぶつけ、いきなり会場内の空気を和ませました。 知っているメロディが随所に織り込まれ、拍子木の響きがホールを引き裂いた場面転換などなど、ある種現代日本の名曲の紹介といった感じ。 勢いよく演奏されていました。
金管メンバーが打ち鳴らす小さな拍子木が小気味良く会場内を引き付けます。 鐘の音に続いて和太鼓の連打ですが、ここでバチを1本落としてしまう事故がありながらも見事に乗り切って、あんたがたどこさ、の手まり歌へ。 分厚い弦の響きに管楽器の吹奏、力強いコントラバスのピチカートを織り交ぜながら進みます。
緩の部分となって、フルートの味わい深い音色がよかったですね。 温ったかくて。 弦楽器もしみじみとさせました。
そしてステージ中央奥のティムパニ奏者の方が拍子木を両手を左右に大きく広げて打つ響きがホール内を引き裂いてから、よぉ〜の掛け声が入って鐘・太鼓に続き、お馴染みの八木節のメロディを力強く吹奏して盛り上げます。 最高潮に達したのを小田野さんが右腕を大きく回して止めました。
この曲、クラシック音楽を聴き始めた中学生の頃、同級生より借りたレコードで聴いて衝撃を受けてからのお気に入りなのでかれこれ40年ですか・・・、こうやって聴いてみるとなかなか難しい曲ですね。 全奏になるとちょっと捉えどころが無くなってしまいますものね。 わっ〜と演奏して勢いはあればOKって感じでしょうか。
管楽器メンバーの一部が入れ替わり、パーカッションメンバーも退場しました。 コンミスがチューニングを行って準備完了。 小田野さんが登場されて始まります。
シベリウスの交響曲第3番、ステージ上に並んだコントラバス9本、チェロ11本が壮観で、これより奏でられた張りのある低弦の響き。 第1楽章の冒頭より激しくも豊かな響きにたちまち惹き込まれました。 指揮者の小田野さん、渡邉暁雄さんに師事されていたそうで、立ち居地をほとんど変えない明快な指揮。 オケもエネルギッシュでありながらも、人間味というとちょっと変ですが、随所に言葉にならないじわじわっとするものを感じさせたアンサンブルで応えて見事でした。 隠れた名曲ともいえる第3番の魅力が存分に発揮されていたのではないでしょうか。
第1楽章、小田野さんがチェロの方を向いて一振り、力強くも豊かでコクのある低弦の響きが出てきました。 素晴しい。 高音弦もまた厚い響きながら透明感を持って応えます。 ティムパニの重い響きに渋い金管、冒頭より充実した演奏に惹き込まれました。 小田野さんの明快な棒、小さく振り分けながらオケをリード。 太いコントラバスの響きをベースにした弦楽アンサンブルがよく纏まっています。 木管ソロも滋味ある響き。 ティムパニは思い切り良くも重たくズシっとくる打音がいいですね。 力強いトロンボーンで熱くなりました。 弾力あるピチカート。 一呼吸置いてから、たっぷりとしたフィナーレ。 ひたむきさがあって、見事でした。
第2楽章、ホルンとティムパニの落ち着いた響きによる開始。 フルートがまた柔らかくてよかったですね。 ピチカートがズンズンと響いてフルートを際立たせます。 これに絡んだクラリネットも良く似た音色でバッチリ。 滋味で艶のある弦楽アンサンブルがいいですね。 先日聴いた紫苑交響楽団の弦サンサンブルは技巧的でしたけれど、市民管の弦は人間味というとちょっと変ですが、随所に言葉にならないじわじわっとするものが心に届く感じ。 木管アンサンブルもまた落ち着いて響きを合わせていいですね。 オーボエとフルートの奏者の方が同じように左右に揺れながらの演奏もしみじみとさせて素適。 情感あふれるピチカートに重い打音のティムパニ、コントラバス9本の響きに演奏が少々熱気をはらんでこの楽章を終えました。
第3楽章、先の楽章と一転した明るい響き、オーボエの音色も綺麗ですね。 高音弦に艶と力があって、木管と呼応。 続いて木管がホルンと呼応し、ぐいぐいと力を増して、タイトな響きのホルン斉奏。 コントラバスの底鳴り、チェロの明快で引き締まった響き、そして高音弦も力強く張りのある響きによるスケルツォですが、単に力で押しているのではなく、情感がこもっているのに惹かれます。 そしてエネルギッシュなフィナーレ、ホルンの斉奏は落着いた響きながらも覇気が籠もりました。 小田野さん立ち居地をほとんど変えず、明快な棒より堂々とした晴れやかな響きをオケのより導き出しての総力戦でのエンディング。 右腕をぐいっと回して掬い上げるように纏めると、ホールに残響が残りました。 あまり演奏されない交響曲第3番、隠れた名曲、その魅力が存分に発揮されていたように感じました。
20分間の休憩。 一人ではまず行かないラウンジも長男を連れているので、コーヒーとアイスクリームを注文してしばし休憩とします。 ここのアイスクリームは長男が小学生の頃からのお気に入りなのですね。 トイレにも行き、体調整えて後半戦に臨みます。
座席に戻るとすでにコントラバス軍団と管楽器メンバーは着席、他の弦楽器のメンバーが順次自由入場で着席するところ。 コンサートマスター席には、男性コンマスが陣取っていました。 全員が着席すると、男性コンマスが立ち上がってチューニングを指示。 客席が暗転します。 準備完了。 小田野さんがスタスタと歩いて登場し、そのまま登壇して客席に深々とお辞儀をしてから開始となります。
フランクの交響曲ニ短調、これまで暗い曲なのでどちらかと言うと敬遠しがちな曲でしたけれど、緻密に組み立てられた曲なのですね。 これを終始落ち着いて淀みのない演奏としつつも覇気にも満ちた演奏に印象を変えました。 そして何より輝かしいフィナーレ、ここに心動かされました。 オケの底力が確認できる演奏会ではないでしょうか・・・と先に書いていましたけれど、その底力を充分に堪能させていただきました。 そしてアンコールが無かったのも感動をより大きくさせたと思います。 循環形式で現れる主題がいつまでも耳を離れない、素晴しい演奏でした。
第1楽章、重量感のある弦の響き、張りもあります。 管楽器が入って少々明るくなり、ヴァイオリンの響きがしっとりと奏でます。 上々の滑り出し。 チェロのトレモロで心にざわつきを感じさせて、渋いホルンの響き、コントラバスの重い響きに彩られて良い感じ。 小田野さんがぐいっと振って波打つようなピークを形成。 ティムパニの打音が強烈。 ぐっと溜めてから再度ピーク。 トロンボーンとチューバの響きがまたよかったですね。 低弦とティムパニに隠れ気味になるヴァイオリンも奮闘。 小田野さんが終始ヴァイオリンに力を込めていました。 質実としたホルン、凜として艶のあるオーボエ、フルートは煌くような感じとして曲を彩り、またもやエネルギッシュとなっては、また落ち着いて。 これを繰り返し、堂々とかつ覇気をもって曲が進んでゆきます。 最後の最後は充分に感動的なフィナーレとして、小田野さんが腕を大きく丸あるく振って止めました。
第2楽章、弾むピチカートとハープの響きが重なって息づいています。 コールアングレのソロがいい音色でしみじみとさせて見事。 ヴィオラの旋律も重なってくるのですね。 ホルンが艶のある響き、チェロに受け継いで、有機的なアンサンブルが展開されました。 最後の最後にちょっと息切れしたみたいですけれど。 ヴァイオリンのアンサンブルがこれを引継いで十分に熱くなります。 コールアングレが戻ってきました。 2階席の最前列よりオケを見下ろしているので、各弦楽パートが弾き分けられているのがよく判って勉強になりますね。 その弦パート、特に第1・第2ヴァイオリンの弾き分けなどは対向配置で聴いたならまた印象違うかな、とか思ってみたり。 とにかく艶やかな旋律を目と耳で追いかけてゆき、ゆったりたっぷりとした盛り上がりのあと、ハープ音を伴って静かにこの楽章を終えました。
第3楽章、覇気あるヴァイオリンがちょっと明るく響いた開始に驚きました。 もっと暗い曲のイメージだったので。 チェロの旋律も明るくて、このような解釈なのでしょう。 金管が華やかに吹き、タイトなティムパニが締め上げます。 嵐が収まり、ゆったりと吹くトランペット、ヴァイオリンも大きく呼吸するよう。 低弦も力をこめてゆったりと弾きます。 コールアングレが第2楽章の旋律を戻し、第1楽章の旋律も戻ってくる循環形式。 金管が高らかに吹奏すると、小田野さんが大きく丸く振って、これまでの楽章よりも明るい響きです。 弦楽器だけとなって、これも上から見ていると、各パートが弾き分けているようです。 対向配置で聴いたなら印象違うかなとまた思っていると、ハープの太い響き。 じっくりと腰を落としてから、今度はぐいぐいと昇ってゆくフィナーレ。 華やかな響きながら重心が低く安定した演奏、淀みなく高らかに歌い上げたのを、小田野さんの棒がケレン味なく振り切りました。
感動的で素晴しい幕切れに心動かされました。 この曲がこんなにも緻密でかつ美しいとは、初めての経験となりました。 またアンコールが無かったのも良かった。 循環形式で現れる主題がいつまでも耳を離れない、素晴しい演奏会となりました。 エスカレータで客席からホールエントランスに降りるとき、年配のご婦人方も、美しいメロディの曲でよかったわ、と口々に言われていたのを付記しておきます。 また長男が言うには循環形式が面白くてメロディが出てくるとも。 とにかくあの輝かしいフィナーレの後にはあの感動以外何も要りません。 素晴しい演奏を有難うございました。 そして演奏された皆さんお疲れさまでした。
場所:ザ・シンフォニーホール
曲目:外山雄三/管弦楽のためのラプソディ
シベリウス/交響曲第3番
フランク/交響曲ニ短調
指揮:小田野宏之
フランクの交響曲ニ短調、これまで暗い曲なのでどちらかと言うと敬遠しがちな曲でしたけれど、緻密に組み立てられた曲なのですね。 これを終始落ち着いて淀みのない演奏としつつも覇気にも満ちた演奏に印象を変えました。 そして何より輝かしいフィナーレ、心動かされました。 そしてアンコール無し。 循環形式で現れる主題がいつまでも耳を離れない、素晴しい演奏会となりました。
会場を後にされる年配のご婦人方も、美しいメロディの曲でよかったわ、と口々に言われていたのを付記しておきます。
会場のシンフォニーホールのステージには、コントラバス9本、チェロ11本が並んでいたのが壮観でした。 張りのある低弦の響きが、終始どの曲も支えてたのが印象的でしたけれど、フランクはもとよりシベリウスの交響曲第3番でその真価が発揮されていたように感じました。 冒頭の激しくも豊かな響きよりたちまち惹き込まれました。 指揮者の小田野さん、渡邉暁雄さんに師事されていたそうで、立ち居地をほとんど変えない明快な指揮。 オケもよくついてエネルギッシュでありながらも、人間味というとちょっと変ですが、言葉にならないじわじわっとするものを随所に感じさせた弦楽アンサンブルが見事でした。 隠れた名曲ともいえる第3番、その魅力が存分に発揮されていたのではないでしょうか。
そして外山雄三のラプソディ、アンコールピースを演奏会冒頭にぶつけ、いきなり会場内の空気を和ませました。 知っているメロディが随所に織り込まれ、拍子木の響きがホールを引き裂いた場面転換などなど、現代日本の名曲の紹介といった感じ。 勢いよく演奏されて、あとの2曲に繋ぎました。
ちょっと渋めの曲が並んでいて、オケの底力が確認できる演奏会ではないでしょうか・・・と先に書いていましたけれど、その底力を充分に堪能させていただきました。 そして繰り返しになりますが、アンコールが無かったのが感動をより大きくさせたと思います。 輝かしいあのフィナーレの後には感動以外何も要りません。 素晴しい演奏を有難うございました。 そして皆さんお疲れさまでした。
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簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。
台風18号接近中、明け方には豪雨があったものの朝には陽射しも出ていました。 演奏会は無事開催されそうな感じ。 用事もあったので雨の降っていない10時すぎに家を出て、他の用事で先に外に出ていた長男とは12時に福島で合流。 小雨となっていました。 まず眠眠で腹ごしらえをし、いざシンフォニーホールへ出陣。 座席引換えで「できれば2階席」と遠慮して言うと、整理係りのお兄さんが窓口の中のチケット係りに人にオウム返しのように「できれば2階席」と言うではありませんか。 普通「2階席ありますか」とかね、言い方変えるでしょ・・・こっちは遠慮して言っているのにと少々バカにされた嫌な気分となりましたが・・・出てきた席がAA−27・28。 おおっ、2階席最前列の中央じゃないですか。 会社の同僚が、このオケの団長を10年以上前にやっていたとき、招待客用の席として別枠にしている、と言っていた並びですね(何度かそこにも座らせてもらいました)。 これで許しましょう。
開場とともにホールに入りますと、コントラバス奏者の方2名が出ていて練習中。 聴いていると馴染みのメロディが・・・ マーラーの交響曲第1番第3楽章の冒頭の部分をソロと伴奏で演奏されてました。 我が長男、バンドではエレキベースを弾いているので、その事を伝えると興味深そうに見てましたね。 当方はその音を聴きながらしばし爆睡(少々お疲れなのです)。 開演10分程前、会場内がざわついてきて目覚めました(ほんと良く寝ました・・・体調万全です)。 目覚めるとコントラバス軍団はほとんど揃っていて、開演5分ほど前になると他のメンバーの方もセクション毎に自由入場として席につきます。 オケは通常配置で 13-11-11-11-9 のようです。 中低弦が分厚いのが老舗アマオケらしさでしょうか。 コンミスが拍手とともに登場して客席にむかって一礼。 チューニングを開始すると客席が暗転となります。 準備完了。 指揮者の小田野さんが上半身をピンと伸ばしてスタスタと歩いて出てこられました。 コンミスと握手。 登壇して客席に深々と一礼ののちオケの方を向き、いよいよ始まります。
外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」、アンコールピースを演奏会冒頭にぶつけ、いきなり会場内の空気を和ませました。 知っているメロディが随所に織り込まれ、拍子木の響きがホールを引き裂いた場面転換などなど、ある種現代日本の名曲の紹介といった感じ。 勢いよく演奏されていました。
金管メンバーが打ち鳴らす小さな拍子木が小気味良く会場内を引き付けます。 鐘の音に続いて和太鼓の連打ですが、ここでバチを1本落としてしまう事故がありながらも見事に乗り切って、あんたがたどこさ、の手まり歌へ。 分厚い弦の響きに管楽器の吹奏、力強いコントラバスのピチカートを織り交ぜながら進みます。
緩の部分となって、フルートの味わい深い音色がよかったですね。 温ったかくて。 弦楽器もしみじみとさせました。
そしてステージ中央奥のティムパニ奏者の方が拍子木を両手を左右に大きく広げて打つ響きがホール内を引き裂いてから、よぉ〜の掛け声が入って鐘・太鼓に続き、お馴染みの八木節のメロディを力強く吹奏して盛り上げます。 最高潮に達したのを小田野さんが右腕を大きく回して止めました。
この曲、クラシック音楽を聴き始めた中学生の頃、同級生より借りたレコードで聴いて衝撃を受けてからのお気に入りなのでかれこれ40年ですか・・・、こうやって聴いてみるとなかなか難しい曲ですね。 全奏になるとちょっと捉えどころが無くなってしまいますものね。 わっ〜と演奏して勢いはあればOKって感じでしょうか。
管楽器メンバーの一部が入れ替わり、パーカッションメンバーも退場しました。 コンミスがチューニングを行って準備完了。 小田野さんが登場されて始まります。
シベリウスの交響曲第3番、ステージ上に並んだコントラバス9本、チェロ11本が壮観で、これより奏でられた張りのある低弦の響き。 第1楽章の冒頭より激しくも豊かな響きにたちまち惹き込まれました。 指揮者の小田野さん、渡邉暁雄さんに師事されていたそうで、立ち居地をほとんど変えない明快な指揮。 オケもエネルギッシュでありながらも、人間味というとちょっと変ですが、随所に言葉にならないじわじわっとするものを感じさせたアンサンブルで応えて見事でした。 隠れた名曲ともいえる第3番の魅力が存分に発揮されていたのではないでしょうか。
第1楽章、小田野さんがチェロの方を向いて一振り、力強くも豊かでコクのある低弦の響きが出てきました。 素晴しい。 高音弦もまた厚い響きながら透明感を持って応えます。 ティムパニの重い響きに渋い金管、冒頭より充実した演奏に惹き込まれました。 小田野さんの明快な棒、小さく振り分けながらオケをリード。 太いコントラバスの響きをベースにした弦楽アンサンブルがよく纏まっています。 木管ソロも滋味ある響き。 ティムパニは思い切り良くも重たくズシっとくる打音がいいですね。 力強いトロンボーンで熱くなりました。 弾力あるピチカート。 一呼吸置いてから、たっぷりとしたフィナーレ。 ひたむきさがあって、見事でした。
第2楽章、ホルンとティムパニの落ち着いた響きによる開始。 フルートがまた柔らかくてよかったですね。 ピチカートがズンズンと響いてフルートを際立たせます。 これに絡んだクラリネットも良く似た音色でバッチリ。 滋味で艶のある弦楽アンサンブルがいいですね。 先日聴いた紫苑交響楽団の弦サンサンブルは技巧的でしたけれど、市民管の弦は人間味というとちょっと変ですが、随所に言葉にならないじわじわっとするものが心に届く感じ。 木管アンサンブルもまた落ち着いて響きを合わせていいですね。 オーボエとフルートの奏者の方が同じように左右に揺れながらの演奏もしみじみとさせて素適。 情感あふれるピチカートに重い打音のティムパニ、コントラバス9本の響きに演奏が少々熱気をはらんでこの楽章を終えました。
第3楽章、先の楽章と一転した明るい響き、オーボエの音色も綺麗ですね。 高音弦に艶と力があって、木管と呼応。 続いて木管がホルンと呼応し、ぐいぐいと力を増して、タイトな響きのホルン斉奏。 コントラバスの底鳴り、チェロの明快で引き締まった響き、そして高音弦も力強く張りのある響きによるスケルツォですが、単に力で押しているのではなく、情感がこもっているのに惹かれます。 そしてエネルギッシュなフィナーレ、ホルンの斉奏は落着いた響きながらも覇気が籠もりました。 小田野さん立ち居地をほとんど変えず、明快な棒より堂々とした晴れやかな響きをオケのより導き出しての総力戦でのエンディング。 右腕をぐいっと回して掬い上げるように纏めると、ホールに残響が残りました。 あまり演奏されない交響曲第3番、隠れた名曲、その魅力が存分に発揮されていたように感じました。
20分間の休憩。 一人ではまず行かないラウンジも長男を連れているので、コーヒーとアイスクリームを注文してしばし休憩とします。 ここのアイスクリームは長男が小学生の頃からのお気に入りなのですね。 トイレにも行き、体調整えて後半戦に臨みます。
座席に戻るとすでにコントラバス軍団と管楽器メンバーは着席、他の弦楽器のメンバーが順次自由入場で着席するところ。 コンサートマスター席には、男性コンマスが陣取っていました。 全員が着席すると、男性コンマスが立ち上がってチューニングを指示。 客席が暗転します。 準備完了。 小田野さんがスタスタと歩いて登場し、そのまま登壇して客席に深々とお辞儀をしてから開始となります。
フランクの交響曲ニ短調、これまで暗い曲なのでどちらかと言うと敬遠しがちな曲でしたけれど、緻密に組み立てられた曲なのですね。 これを終始落ち着いて淀みのない演奏としつつも覇気にも満ちた演奏に印象を変えました。 そして何より輝かしいフィナーレ、ここに心動かされました。 オケの底力が確認できる演奏会ではないでしょうか・・・と先に書いていましたけれど、その底力を充分に堪能させていただきました。 そしてアンコールが無かったのも感動をより大きくさせたと思います。 循環形式で現れる主題がいつまでも耳を離れない、素晴しい演奏でした。
第1楽章、重量感のある弦の響き、張りもあります。 管楽器が入って少々明るくなり、ヴァイオリンの響きがしっとりと奏でます。 上々の滑り出し。 チェロのトレモロで心にざわつきを感じさせて、渋いホルンの響き、コントラバスの重い響きに彩られて良い感じ。 小田野さんがぐいっと振って波打つようなピークを形成。 ティムパニの打音が強烈。 ぐっと溜めてから再度ピーク。 トロンボーンとチューバの響きがまたよかったですね。 低弦とティムパニに隠れ気味になるヴァイオリンも奮闘。 小田野さんが終始ヴァイオリンに力を込めていました。 質実としたホルン、凜として艶のあるオーボエ、フルートは煌くような感じとして曲を彩り、またもやエネルギッシュとなっては、また落ち着いて。 これを繰り返し、堂々とかつ覇気をもって曲が進んでゆきます。 最後の最後は充分に感動的なフィナーレとして、小田野さんが腕を大きく丸あるく振って止めました。
第2楽章、弾むピチカートとハープの響きが重なって息づいています。 コールアングレのソロがいい音色でしみじみとさせて見事。 ヴィオラの旋律も重なってくるのですね。 ホルンが艶のある響き、チェロに受け継いで、有機的なアンサンブルが展開されました。 最後の最後にちょっと息切れしたみたいですけれど。 ヴァイオリンのアンサンブルがこれを引継いで十分に熱くなります。 コールアングレが戻ってきました。 2階席の最前列よりオケを見下ろしているので、各弦楽パートが弾き分けられているのがよく判って勉強になりますね。 その弦パート、特に第1・第2ヴァイオリンの弾き分けなどは対向配置で聴いたならまた印象違うかな、とか思ってみたり。 とにかく艶やかな旋律を目と耳で追いかけてゆき、ゆったりたっぷりとした盛り上がりのあと、ハープ音を伴って静かにこの楽章を終えました。
第3楽章、覇気あるヴァイオリンがちょっと明るく響いた開始に驚きました。 もっと暗い曲のイメージだったので。 チェロの旋律も明るくて、このような解釈なのでしょう。 金管が華やかに吹き、タイトなティムパニが締め上げます。 嵐が収まり、ゆったりと吹くトランペット、ヴァイオリンも大きく呼吸するよう。 低弦も力をこめてゆったりと弾きます。 コールアングレが第2楽章の旋律を戻し、第1楽章の旋律も戻ってくる循環形式。 金管が高らかに吹奏すると、小田野さんが大きく丸く振って、これまでの楽章よりも明るい響きです。 弦楽器だけとなって、これも上から見ていると、各パートが弾き分けているようです。 対向配置で聴いたなら印象違うかなとまた思っていると、ハープの太い響き。 じっくりと腰を落としてから、今度はぐいぐいと昇ってゆくフィナーレ。 華やかな響きながら重心が低く安定した演奏、淀みなく高らかに歌い上げたのを、小田野さんの棒がケレン味なく振り切りました。
感動的で素晴しい幕切れに心動かされました。 この曲がこんなにも緻密でかつ美しいとは、初めての経験となりました。 またアンコールが無かったのも良かった。 循環形式で現れる主題がいつまでも耳を離れない、素晴しい演奏会となりました。 エスカレータで客席からホールエントランスに降りるとき、年配のご婦人方も、美しいメロディの曲でよかったわ、と口々に言われていたのを付記しておきます。 また長男が言うには循環形式が面白くてメロディが出てくるとも。 とにかくあの輝かしいフィナーレの後にはあの感動以外何も要りません。 素晴しい演奏を有難うございました。 そして演奏された皆さんお疲れさまでした。
2013年09月10日
紫苑交響楽団 第22回定期演奏会
日時:2013年9月8日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:高槻現代劇場・大ホール
曲目:ヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ「うわごと」
R.シュトラウス/交響詩「ドンファン」
ベートーヴェン/交響曲第7番
(アンコール)
R.シュトラウス/「薔薇の騎士」より「ワルツ」
指揮:森口真司
P9105251 posted by (C)fronte360
「のだめ」ブーム以降あまたベートーヴェンの交響曲第7番を聴かされてきましたが、これほどまでに感動的な演奏だったのは初めて。 終楽章のフィナーレにさしかかるあたりより微動だにできず、音楽の奔流にのまれただただ身を任せるのみといった感じ。 すべてを耳と目に集中させていないと勿体ない、そんな感じでした。 素晴らしい演奏に、会場からは割れんばかりの熱い拍手とブラボーに包まれました。
これに先駆けて演奏された「ドンファン」もまた見事な演奏。 絢爛たるオーケストレーションを確実に支えているのは弦楽器アンサンブルで、やはり弦楽器がしっかりとしていないと音楽の出来はこうまで違うものかと、舌を巻いた次第。 もちろん管楽器、打楽器もしっかりとし、巧いだけでなく音色に統一感があったのが何より感動をより深くさせたと考えます。
冒頭に演奏されたワルツ「うわごと」からしてきっちりと制御されたオーケストレーション。 キレの良い筋肉質の音楽ながら、粘りのある響きに余裕をも感じさせた演奏でした。
このオケを始めて聴いた2005-6年頃は要員減に悩み、ヴァイオリンは1名のみの状況もあったと記憶していますが、高槻に拠点を移したことも転機となり、素晴らしいオケに成長されました。 感慨深いものがあります。 強いて言わせていただくなら、あのベートーヴェンのあとにアンコールは不要では、と思ったことです。 とにかく皆さんお疲れさまでした。
----------
簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。
いつもは開演15分前に入る感じですが、今回は乗り継ぎも良かったこともあり、35分前にホールに到着。 さっそく2階最前列へ。 長年使用されたであろう設備の古さ、最近のホールに慣れている身には懐かしくもあります(同行者に不評でしたが)。 枚方市民会館や豊中市民会館も同様ですけれど。 開演5分前のブザー、これも最近ではあまり聞かなくなりましたね。 そして定刻、団員の方が左右より整列入場します。 通常配置で 12-11-9-8-6 でしょうか。 コンミスが拍手で登場、チューニングして準備完了。 指揮者の森口さんが自信に満ちた表情で登場するとようやく客席の照明が落ちました。 いよいよ始まります。
ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「うわごと」。 ハプスブルグ家の王女が病気で危篤になったとき、悲しみに包まれたウィーンを描いた作品らしいですが、冒頭よりヴィオラそしてヴァイオリンともにきちっと制御されていながらも粘り気を持った響き、続くコントラバスにも芯を感じさせる充実した弦楽アンサンブルが印象的。 凛としたフルートを挟んで豊穣な響きながらキレのあるワルツですが、これが時として迫力ともなる筋肉質のワルツとなって進みます。 後半も森口さんのキレのよい棒で、要所をバシバシと決めつつ進めて、最後も両手をすっと挙げて止めると、残響がホールに残る見事な幕切れ。 キレの良い筋肉質の音楽ながらも粘り気のある響きに余裕をも感じさせた演奏でした。
管打楽器メンバーを増強、落着いたところでコンミスが立ちあがってチューニングを実施。 準備が整うと指揮者の森口さんがゆっくりと歩いて登場します。 指揮台の手前で客席を向いて一礼して登壇。 始まります。
リヒャルト・シュトラウスの「ドンファン」もまた見事な演奏でした。 絢爛たるオーケストレーションを確実に支えているのは弦楽器アンサンブルで、やはり弦楽器がしっかりとしていないと音楽の出来はこうまで違うものかと、舌を巻いた次第です。 もちろん管楽器、打楽器もしっかりとしていて、単に個人が巧いだけでなくオケの音色に統一感があったのが何より感動をより深くさせたのだと考えます。 素晴らしい。
森口さんの右腕が力強く小さく回されると、素早く引き締まった弦の響きが迸り出て、あれよあれよと進んでゆきます。 チェロとコントラバスはパワフル。 のっけからパンチを食らったみたい。 しかもコンミスのソロがまた濡れたように美しい。 また素早い音楽となりますが、各弦楽パートの纏まりが素晴らしく、一糸乱れない機能的でありながらも、大きく波打つ高音弦に安定した低弦が絡み、弦楽アンサンブルがしっかりと曲を支えて進みます。
オーボエ・ソロは落着いた響きで、変な色を添えず丹精のこもった旋律が届けられます。 時折からむ低弦のピチカートもまた深い響きで情感が籠っています。 ぐっと力を増し、ホルンの斉奏も力強いのですが渋い響きが横に拡がってゆく感じかな。 トランペットのファンファーレも前に突き出るのではなく横に拡がっていますし、ティムパニの打音もタイトながら重い響き。 オーケストラの音色が見事に統一されています。 これがさらに音量を増しても、音が濁ることもなく更にパワフルとなった音楽が実にカッコ良くもありました。
そんな音楽も最後までゆるぎなく、じっくりと進めたあと、最後は森口さんの左腕が回って腰がガクリと折れて止まります。 しばしの静寂もまた良かった。 すべてのパートが巧かったと思いますが、やはり弦楽アンサンブルが基本なのだと改めて気付いた次第。 充実した音楽に大満足しました。
20分間の休憩、客席でアンケートなど書いてじっと時間を過ごします。 周りを見ると2階席も半分近くの席が埋まっていたみたいで、1階席は見える範囲で8割くらいかな、なかなかの集客力です。 定刻となって、団員の方が左右より整列入場します。 通常配置で 12-11-11-9-6 と若干補強されたみたいです。 コンミスによるチューニングが行われて準備完了。 森口さんがゆっくりと歩いて登場されて、やはり指揮台の手前で客席を向いて一礼、登壇されて始まります。
「のだめ」ブーム以降あまたベートーヴェンの交響曲第7番を聴かされてきましたが、これほどまでに感動的な演奏だったのは初めて。 終楽章のフィナーレにさしかかるあたりより微動だにできず、音楽の奔流にのまれただただ身を任せるのみといった感じ。 すべてを耳と目に集中させていないと勿体ない、そんな感じでした。 素晴らしい演奏に、会場からは割れんばかりの熱い拍手とブラボーに包まれました。
第1楽章、張りのある一撃のあと、艶やかな木管の旋律、引き締まった弦楽アンサンブルが軽やかかつ重量感もある躍動的な旋律なって進みます。 しっかりとした森口さんの統制のもと、各パートがそれに見事に応えて、フレーズの最後まで曖昧になることのないゆるぎのない音楽。 それがまた見事に受け渡されてゆくと、まさにベートーヴェンらしい音楽になっていました。
第2楽章、葬送行進曲の重層的な響きが見事な開始。 ヴィオラ、チェロ、コントラバスと重厚な響き、第2ヴァイオリンが入って拡がりを持った上に、第1ヴァイオリンがしっとりと歌い出して美しさもありました。 管楽器が入り、音量を増しても、音色が変わらない、深い琥珀のような感じ。 素晴らしい。
第3楽章、凝縮した響きによる力強いスケルツォの開始、木管と弦楽器の受渡しも見事で、音色もまた同じ。 チェロ、コントラバス、そしてティムパニのタイトな響き芯になっています。 じっくりと響きを溜める部分もケレン味なくじっくりと弾かせてから、また走り始めます。 途中森口さんが踊るような場面もありましたけれど、若干単調に感じられた面はあったものの、右手をぐるりと廻して粘り気持たせて止めます。
第4楽章、止まったままの姿勢でしばし呼吸整えて、アタッカで熱い音楽が迸り出てきました。 音量も少々大きくなったみたい。 森口さんの唸り声も時おり聴こえましたが、森口さんは基本これまでと同じ動きながら振りは大きく動きも少々荒くなったかな。 かなり気迫のこもった指揮となりましたが、オケもそれに見事に応え、暴走したり緩んだりすることなく、しっかりとした音楽。 音楽に十分に気持ちを乗せて盛り上がっている感じ。 素晴らしい。 フィナーレにさしかかるあたりよりすべてを耳と目に集中させていないと勿体ない、そんな感じにもなって微動だにできず。 音楽の奔流にのまれただただ身を任せていました。
演奏終了後、割れんばかりの拍手とブラボーの連呼・・・すさまじい拍手に包まれていました。 今日はアンコールは無しがいいな、もしくは終楽章の再演でもと思っていたら、これまた大曲のR.シュトラウスの薔薇の騎士」より「ワルツ」。 聴き手として、ベートーヴェンでの感動からの切り替えに少々戸惑ったこともありますが、最初は柔らかな響きと思いつつも乗り切れず、全奏となったあたりより馴染んで来た感じ。 アンコール無くても良かったのでは・・・と生意気言ってすみません。 とにかく皆さんお疲れさま&素晴らしい演奏を有難うございました。
場所:高槻現代劇場・大ホール
曲目:ヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ「うわごと」
R.シュトラウス/交響詩「ドンファン」
ベートーヴェン/交響曲第7番
(アンコール)
R.シュトラウス/「薔薇の騎士」より「ワルツ」
指揮:森口真司
P9105251 posted by (C)fronte360
「のだめ」ブーム以降あまたベートーヴェンの交響曲第7番を聴かされてきましたが、これほどまでに感動的な演奏だったのは初めて。 終楽章のフィナーレにさしかかるあたりより微動だにできず、音楽の奔流にのまれただただ身を任せるのみといった感じ。 すべてを耳と目に集中させていないと勿体ない、そんな感じでした。 素晴らしい演奏に、会場からは割れんばかりの熱い拍手とブラボーに包まれました。
これに先駆けて演奏された「ドンファン」もまた見事な演奏。 絢爛たるオーケストレーションを確実に支えているのは弦楽器アンサンブルで、やはり弦楽器がしっかりとしていないと音楽の出来はこうまで違うものかと、舌を巻いた次第。 もちろん管楽器、打楽器もしっかりとし、巧いだけでなく音色に統一感があったのが何より感動をより深くさせたと考えます。
冒頭に演奏されたワルツ「うわごと」からしてきっちりと制御されたオーケストレーション。 キレの良い筋肉質の音楽ながら、粘りのある響きに余裕をも感じさせた演奏でした。
このオケを始めて聴いた2005-6年頃は要員減に悩み、ヴァイオリンは1名のみの状況もあったと記憶していますが、高槻に拠点を移したことも転機となり、素晴らしいオケに成長されました。 感慨深いものがあります。 強いて言わせていただくなら、あのベートーヴェンのあとにアンコールは不要では、と思ったことです。 とにかく皆さんお疲れさまでした。
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簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。
いつもは開演15分前に入る感じですが、今回は乗り継ぎも良かったこともあり、35分前にホールに到着。 さっそく2階最前列へ。 長年使用されたであろう設備の古さ、最近のホールに慣れている身には懐かしくもあります(同行者に不評でしたが)。 枚方市民会館や豊中市民会館も同様ですけれど。 開演5分前のブザー、これも最近ではあまり聞かなくなりましたね。 そして定刻、団員の方が左右より整列入場します。 通常配置で 12-11-9-8-6 でしょうか。 コンミスが拍手で登場、チューニングして準備完了。 指揮者の森口さんが自信に満ちた表情で登場するとようやく客席の照明が落ちました。 いよいよ始まります。
ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「うわごと」。 ハプスブルグ家の王女が病気で危篤になったとき、悲しみに包まれたウィーンを描いた作品らしいですが、冒頭よりヴィオラそしてヴァイオリンともにきちっと制御されていながらも粘り気を持った響き、続くコントラバスにも芯を感じさせる充実した弦楽アンサンブルが印象的。 凛としたフルートを挟んで豊穣な響きながらキレのあるワルツですが、これが時として迫力ともなる筋肉質のワルツとなって進みます。 後半も森口さんのキレのよい棒で、要所をバシバシと決めつつ進めて、最後も両手をすっと挙げて止めると、残響がホールに残る見事な幕切れ。 キレの良い筋肉質の音楽ながらも粘り気のある響きに余裕をも感じさせた演奏でした。
管打楽器メンバーを増強、落着いたところでコンミスが立ちあがってチューニングを実施。 準備が整うと指揮者の森口さんがゆっくりと歩いて登場します。 指揮台の手前で客席を向いて一礼して登壇。 始まります。
リヒャルト・シュトラウスの「ドンファン」もまた見事な演奏でした。 絢爛たるオーケストレーションを確実に支えているのは弦楽器アンサンブルで、やはり弦楽器がしっかりとしていないと音楽の出来はこうまで違うものかと、舌を巻いた次第です。 もちろん管楽器、打楽器もしっかりとしていて、単に個人が巧いだけでなくオケの音色に統一感があったのが何より感動をより深くさせたのだと考えます。 素晴らしい。
森口さんの右腕が力強く小さく回されると、素早く引き締まった弦の響きが迸り出て、あれよあれよと進んでゆきます。 チェロとコントラバスはパワフル。 のっけからパンチを食らったみたい。 しかもコンミスのソロがまた濡れたように美しい。 また素早い音楽となりますが、各弦楽パートの纏まりが素晴らしく、一糸乱れない機能的でありながらも、大きく波打つ高音弦に安定した低弦が絡み、弦楽アンサンブルがしっかりと曲を支えて進みます。
オーボエ・ソロは落着いた響きで、変な色を添えず丹精のこもった旋律が届けられます。 時折からむ低弦のピチカートもまた深い響きで情感が籠っています。 ぐっと力を増し、ホルンの斉奏も力強いのですが渋い響きが横に拡がってゆく感じかな。 トランペットのファンファーレも前に突き出るのではなく横に拡がっていますし、ティムパニの打音もタイトながら重い響き。 オーケストラの音色が見事に統一されています。 これがさらに音量を増しても、音が濁ることもなく更にパワフルとなった音楽が実にカッコ良くもありました。
そんな音楽も最後までゆるぎなく、じっくりと進めたあと、最後は森口さんの左腕が回って腰がガクリと折れて止まります。 しばしの静寂もまた良かった。 すべてのパートが巧かったと思いますが、やはり弦楽アンサンブルが基本なのだと改めて気付いた次第。 充実した音楽に大満足しました。
20分間の休憩、客席でアンケートなど書いてじっと時間を過ごします。 周りを見ると2階席も半分近くの席が埋まっていたみたいで、1階席は見える範囲で8割くらいかな、なかなかの集客力です。 定刻となって、団員の方が左右より整列入場します。 通常配置で 12-11-11-9-6 と若干補強されたみたいです。 コンミスによるチューニングが行われて準備完了。 森口さんがゆっくりと歩いて登場されて、やはり指揮台の手前で客席を向いて一礼、登壇されて始まります。
「のだめ」ブーム以降あまたベートーヴェンの交響曲第7番を聴かされてきましたが、これほどまでに感動的な演奏だったのは初めて。 終楽章のフィナーレにさしかかるあたりより微動だにできず、音楽の奔流にのまれただただ身を任せるのみといった感じ。 すべてを耳と目に集中させていないと勿体ない、そんな感じでした。 素晴らしい演奏に、会場からは割れんばかりの熱い拍手とブラボーに包まれました。
第1楽章、張りのある一撃のあと、艶やかな木管の旋律、引き締まった弦楽アンサンブルが軽やかかつ重量感もある躍動的な旋律なって進みます。 しっかりとした森口さんの統制のもと、各パートがそれに見事に応えて、フレーズの最後まで曖昧になることのないゆるぎのない音楽。 それがまた見事に受け渡されてゆくと、まさにベートーヴェンらしい音楽になっていました。
第2楽章、葬送行進曲の重層的な響きが見事な開始。 ヴィオラ、チェロ、コントラバスと重厚な響き、第2ヴァイオリンが入って拡がりを持った上に、第1ヴァイオリンがしっとりと歌い出して美しさもありました。 管楽器が入り、音量を増しても、音色が変わらない、深い琥珀のような感じ。 素晴らしい。
第3楽章、凝縮した響きによる力強いスケルツォの開始、木管と弦楽器の受渡しも見事で、音色もまた同じ。 チェロ、コントラバス、そしてティムパニのタイトな響き芯になっています。 じっくりと響きを溜める部分もケレン味なくじっくりと弾かせてから、また走り始めます。 途中森口さんが踊るような場面もありましたけれど、若干単調に感じられた面はあったものの、右手をぐるりと廻して粘り気持たせて止めます。
第4楽章、止まったままの姿勢でしばし呼吸整えて、アタッカで熱い音楽が迸り出てきました。 音量も少々大きくなったみたい。 森口さんの唸り声も時おり聴こえましたが、森口さんは基本これまでと同じ動きながら振りは大きく動きも少々荒くなったかな。 かなり気迫のこもった指揮となりましたが、オケもそれに見事に応え、暴走したり緩んだりすることなく、しっかりとした音楽。 音楽に十分に気持ちを乗せて盛り上がっている感じ。 素晴らしい。 フィナーレにさしかかるあたりよりすべてを耳と目に集中させていないと勿体ない、そんな感じにもなって微動だにできず。 音楽の奔流にのまれただただ身を任せていました。
演奏終了後、割れんばかりの拍手とブラボーの連呼・・・すさまじい拍手に包まれていました。 今日はアンコールは無しがいいな、もしくは終楽章の再演でもと思っていたら、これまた大曲のR.シュトラウスの薔薇の騎士」より「ワルツ」。 聴き手として、ベートーヴェンでの感動からの切り替えに少々戸惑ったこともありますが、最初は柔らかな響きと思いつつも乗り切れず、全奏となったあたりより馴染んで来た感じ。 アンコール無くても良かったのでは・・・と生意気言ってすみません。 とにかく皆さんお疲れさま&素晴らしい演奏を有難うございました。
2013年09月03日
六甲フィルハーモニー管弦楽団 第36回定期演奏会
日時:2013年9月1日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:神戸文化ホール・大ホール
曲目:ショスタコーヴィチ/祝典序曲
アッテルベリ/交響曲第6番 -*
カリンニコフ/交響曲第1番
(アンコール)
グリエール/「青銅の騎士」より「偉大な都市への賛歌」
指揮:松井真之介、森 康一 -*
P9035249 posted by (C)fronte360
2009年3月20日、児玉宏指揮大阪シンフォニカー交響楽団の定期演奏会で日本初演されたばかりのアッテルベリの交響曲第6番、アマチュアでも演奏するのかと喜んで駆けつけました。 演奏もとてもしっかりとしたもので、プログラムにも書かれていたように、更にこの曲が好きになる人が増えれば幸いです。
大阪シンフォニカーによる録音もよく聴いているので、第1楽章こそ冒頭のホルン(大阪シンフォニカーでは名手細田さんの演奏だろう)ほか皆さん律儀に演奏されているけれども、やはりプロと違って潤いが少ないなぁ、と思っていたのだけれど、行進曲調となった第1楽章の中盤あたりより伸びやかになって俄然面白くなってきた。 大太鼓など打楽器軍団の奮闘、終始勇壮に鳴り響かせるホルン軍団にも熱が籠っての熱演。 木管による祭囃子のような響きもあってぐっと盛り上がっての終結。 打楽器のスティックが落ちる事故音が混じったは少々残念でした。
第2楽章、密やかな弦の響きにクラリネットのソロがもの哀しく始まるアダージョ。 いわゆる北欧音楽らしい冷やりとした美観漂う演奏でした。 またここではヴァイオリンが3プルト、ヴィオラ・チェロ・コントラバスは1プルトのみによって演奏されていて、録音だけでは分からない仕組みをこの眼で見、耳で聴けて、ほほうっと驚いたり納得したり。 面白い曲いい演奏であることを再認識したしだい。 ティムパニのロールより力を増すとともに哀愁も籠った感動的な演奏として終結。 録音で聴くより実演が素敵でした。
終楽章は「アメリカ商業主義のコマーシャルの繰り返しへの皮肉を込めたロンドの大騒ぎ」とのこと。 チェロ、ヴィオラ、2ndヴァイオリンへと旋律の受け渡してゆく様や、ステージ左の高音弦(ヴァイオリン)と、右に配置された中低音弦(ヴィオラ・チェロ・コントラバス)のステレオ効果、また高音弦の軽やかなアンサンブルと引き締まった低音ブラス+打楽器群との対比も面白かった。 後半、コミカルな響きや軽やかな旋律、音色の変化も楽しめた「大騒ぎロンド」は潔く駆け込むようなフィナーレで、最後まで大いに楽しませて頂きました。
これに先立って演奏されたショスタコーヴィッチの祝典序曲。 燕尾服姿の指揮者の松井さん、長い指揮棒を持ち、両腕を頭上にすっと上げてた姿は、ファンタジアのストコフスキーみたい。 そして出てきた音楽もオープニングには相応しく派手な演奏。 終盤には舞台右ソデに配したトランペット3本+トロンボーン3本、左ソデのホルン4本も加わって華やかさを倍増。 少々シンバルが派手に鳴り過ぎかなと思ったけれど、最後は大きく伸びやかに締めくくっていました。
トリはカニンニコフの交響曲第1番、甘美なメロディてんこ盛りの曲ながら重厚感も漂わせて堂々とした演奏を展開。 終楽章のフィナーレでは松井さんのボディブローのようなパンチも繰り出しての大団円で、両手で放り投げるように締めて、ちょっとこの曲の別の面を感じたしだい。
第1楽章、艶やかな弦ながら冒頭ちょっと乱れたでしょうか、中低楽パートしっかりと曲を支えていて安定感・重量感あり。 甘美なメロディの連続ながら、キレよく重厚に響いて進めている感じ。 松井さん、途中指揮棒を左手に持ち、表情をつけていたりもしますが、芯になった響きに聴き応えあります。 ティムパニのロールによる終結も、ちょっと纏まり感なかったかな。
第2楽章、ハープの雨だれのような響きが綺麗。 木管楽器も奮闘して柔らかく優しい響きです。 弦楽アンサンブルは力強くそして深く。 ホルンのメロディのあとハープの雨だれの響きが戻り、コールアングレの密やかな響きも素敵で、静かに着地。
第3楽章、力強く粘り気もある弦の響き、勢いよく開始。 ブラスも力入って、縦ノリで進めて華やかに展開するも、低弦がしっかりと絡んで安定しています。 すっと止め、オーボエの凛とした音色が素敵。 フルートもしっとりとさせてから、弦が入って力強くゆったりと進めてますが、ちょっと散漫にも感じられたかな。
第4楽章、艶やかな弦の響きを力強くキレ良く進め、ブラスも加わっての盛り上がり。 木管と弦の受渡しもスームスながら気合いの入った演奏。 弦の分奏は変わらずしっかりとしているし、トロンボーン・チューバなど底鳴りのするブラスも絡んでこの楽章も聴き応えあり。 フィナーレは集中力を高めたクライマックスを形成、松井さんのボディブローのようなパンチも繰り出しての大団円。 高らかに歌い上げるようにし、最後は両手で放り投げるように全曲を締めました。
アンコールも珍しい曲とのこと、帰りにロビーで作者と曲名を見て欲しい、と言われて始まったのは、雄大な感じのする大柄な曲。 グリエールの「青銅の騎士」より「偉大な都市への賛歌」。 指揮棒を持たない松井さんは鳥が羽ばたくようなジェスチャーも交え、たっぷり聴かせます。 最後には松井さんの左右ストレートパンチも繰り出し、大きく盛り上げてのお開き。
意欲的なプログラミングを無料で届けてくださる六甲フィルに感謝。 有難うございます、そして、皆さんお疲れさまでした。
場所:神戸文化ホール・大ホール
曲目:ショスタコーヴィチ/祝典序曲
アッテルベリ/交響曲第6番 -*
カリンニコフ/交響曲第1番
(アンコール)
グリエール/「青銅の騎士」より「偉大な都市への賛歌」
指揮:松井真之介、森 康一 -*
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2009年3月20日、児玉宏指揮大阪シンフォニカー交響楽団の定期演奏会で日本初演されたばかりのアッテルベリの交響曲第6番、アマチュアでも演奏するのかと喜んで駆けつけました。 演奏もとてもしっかりとしたもので、プログラムにも書かれていたように、更にこの曲が好きになる人が増えれば幸いです。
大阪シンフォニカーによる録音もよく聴いているので、第1楽章こそ冒頭のホルン(大阪シンフォニカーでは名手細田さんの演奏だろう)ほか皆さん律儀に演奏されているけれども、やはりプロと違って潤いが少ないなぁ、と思っていたのだけれど、行進曲調となった第1楽章の中盤あたりより伸びやかになって俄然面白くなってきた。 大太鼓など打楽器軍団の奮闘、終始勇壮に鳴り響かせるホルン軍団にも熱が籠っての熱演。 木管による祭囃子のような響きもあってぐっと盛り上がっての終結。 打楽器のスティックが落ちる事故音が混じったは少々残念でした。
第2楽章、密やかな弦の響きにクラリネットのソロがもの哀しく始まるアダージョ。 いわゆる北欧音楽らしい冷やりとした美観漂う演奏でした。 またここではヴァイオリンが3プルト、ヴィオラ・チェロ・コントラバスは1プルトのみによって演奏されていて、録音だけでは分からない仕組みをこの眼で見、耳で聴けて、ほほうっと驚いたり納得したり。 面白い曲いい演奏であることを再認識したしだい。 ティムパニのロールより力を増すとともに哀愁も籠った感動的な演奏として終結。 録音で聴くより実演が素敵でした。
終楽章は「アメリカ商業主義のコマーシャルの繰り返しへの皮肉を込めたロンドの大騒ぎ」とのこと。 チェロ、ヴィオラ、2ndヴァイオリンへと旋律の受け渡してゆく様や、ステージ左の高音弦(ヴァイオリン)と、右に配置された中低音弦(ヴィオラ・チェロ・コントラバス)のステレオ効果、また高音弦の軽やかなアンサンブルと引き締まった低音ブラス+打楽器群との対比も面白かった。 後半、コミカルな響きや軽やかな旋律、音色の変化も楽しめた「大騒ぎロンド」は潔く駆け込むようなフィナーレで、最後まで大いに楽しませて頂きました。
これに先立って演奏されたショスタコーヴィッチの祝典序曲。 燕尾服姿の指揮者の松井さん、長い指揮棒を持ち、両腕を頭上にすっと上げてた姿は、ファンタジアのストコフスキーみたい。 そして出てきた音楽もオープニングには相応しく派手な演奏。 終盤には舞台右ソデに配したトランペット3本+トロンボーン3本、左ソデのホルン4本も加わって華やかさを倍増。 少々シンバルが派手に鳴り過ぎかなと思ったけれど、最後は大きく伸びやかに締めくくっていました。
トリはカニンニコフの交響曲第1番、甘美なメロディてんこ盛りの曲ながら重厚感も漂わせて堂々とした演奏を展開。 終楽章のフィナーレでは松井さんのボディブローのようなパンチも繰り出しての大団円で、両手で放り投げるように締めて、ちょっとこの曲の別の面を感じたしだい。
第1楽章、艶やかな弦ながら冒頭ちょっと乱れたでしょうか、中低楽パートしっかりと曲を支えていて安定感・重量感あり。 甘美なメロディの連続ながら、キレよく重厚に響いて進めている感じ。 松井さん、途中指揮棒を左手に持ち、表情をつけていたりもしますが、芯になった響きに聴き応えあります。 ティムパニのロールによる終結も、ちょっと纏まり感なかったかな。
第2楽章、ハープの雨だれのような響きが綺麗。 木管楽器も奮闘して柔らかく優しい響きです。 弦楽アンサンブルは力強くそして深く。 ホルンのメロディのあとハープの雨だれの響きが戻り、コールアングレの密やかな響きも素敵で、静かに着地。
第3楽章、力強く粘り気もある弦の響き、勢いよく開始。 ブラスも力入って、縦ノリで進めて華やかに展開するも、低弦がしっかりと絡んで安定しています。 すっと止め、オーボエの凛とした音色が素敵。 フルートもしっとりとさせてから、弦が入って力強くゆったりと進めてますが、ちょっと散漫にも感じられたかな。
第4楽章、艶やかな弦の響きを力強くキレ良く進め、ブラスも加わっての盛り上がり。 木管と弦の受渡しもスームスながら気合いの入った演奏。 弦の分奏は変わらずしっかりとしているし、トロンボーン・チューバなど底鳴りのするブラスも絡んでこの楽章も聴き応えあり。 フィナーレは集中力を高めたクライマックスを形成、松井さんのボディブローのようなパンチも繰り出しての大団円。 高らかに歌い上げるようにし、最後は両手で放り投げるように全曲を締めました。
アンコールも珍しい曲とのこと、帰りにロビーで作者と曲名を見て欲しい、と言われて始まったのは、雄大な感じのする大柄な曲。 グリエールの「青銅の騎士」より「偉大な都市への賛歌」。 指揮棒を持たない松井さんは鳥が羽ばたくようなジェスチャーも交え、たっぷり聴かせます。 最後には松井さんの左右ストレートパンチも繰り出し、大きく盛り上げてのお開き。
意欲的なプログラミングを無料で届けてくださる六甲フィルに感謝。 有難うございます、そして、皆さんお疲れさまでした。