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2012年12月25日

カール・シューリヒト、モーツァルト/交響曲第40番、第36番

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会(37)
花瓶に咲き誇る花、淡い色彩のジャケットに飾り文字のMOZART、お洒落です。

モーツァルト/交響曲第40番 ト短調 K.550
モーツァルト/交響曲第36番 ハ長調 K.425「リンツ」
  カール・シューリヒト指揮 パリ・オペラ座管弦楽団

PC122734
PC122734 posted by (C)fronte360

カール・シューリヒト指揮パリ・オペラ座管弦楽団による「リンツ交響曲」、
こちらも宇野功芳さんの強力なバックアップによって有名になっていますが、
おおもとは、このコンサートホール・ソサエティのレコードです。

こちらも超快速運転の「リンツ交響曲」が冴えていますけれども、
40番のシンフォニーも室内楽的、淡々とオーソドックスながらも閃きも感じ、
個人的にはなかなか良い演奏に思います。

しかしそれを上回るのがやはり「リンツ交響曲」で、まさにライブのよう。
疾風のように走る爽快感のなかに、細かな表情を付けた味わいがたまりません。
ユニークな演奏と一口で片付けられない滋味深さを感じます。

分離・奥行きがあって芯のある低域など、コンサートホール盤としては、
良い部類に入るステレオ録音であると思います。
リンツは1961年11月録音だそうです。
なお手持ちの盤のレーベルが、MMS(Musical Masterpiace Society)
コンサートホール・ソサエティの前身のものが貼ってあります。


2012年12月23日

カール・シューリヒト、モーツァルト/交響曲第41番、第38番

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会(36)
天使の背の羽根が伸びた彫刻、赤バックのシックなデザインが秀逸。

モーツァルト/交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
モーツァルト/交響曲第38番 ニ長調 K.504「プラーハ」
  カール・シューリヒト指揮 パリ・オペラ座管弦楽団

PC122733
PC122733 posted by (C)fronte360

カール・シューリヒト指揮パリ・オペラ座管弦楽団による「プラハ交響曲」、
宇野功芳さんの強力なバックアップにより今では誉れ高い名盤になりましたが、
おおもとは、このコンサートホール・ソサエティのレコードです。

シューリヒトらしくキリリっと引き締まって超快速運転の「プラハ交響曲」、
驚くほど表情豊かであって、今更ここで多くを述べる必要はないと思いますが、
両端楽章の冴えに舌を巻きます。 まるでライブのようでもあります。

それに比して「ジュピター」は室内楽的であり、穏健な感じが否めません。
オーソドックスなテンポ設定、閃きよりも構成感をきちんと保っている感じ。
終楽章のフーガも粋でありますけれども怒涛のような終結をではないですね。
でも初心者向けにはちょうどいいのかもしれません。

分離・奥行きがあって芯のある低域など、コンサートホール盤としては、
良い部類に入るステレオ録音であると思います。
1963年録音だそうです。


2012年12月19日

パウル・クレツキ、ベートーヴェン/交響曲第1番、第5番

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会(35)
馬上の騎士が三角の旗をなびかせて疾走するイメージ、石版画でしょうか。

ベートーヴェン/交響曲第1番 ハ長調 op.21
ベートーヴェン/交響曲第5番 ハ短調 op.67

  パウル・クレツキ指揮 南西ドイツ放送交響楽団

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PC122731 posted by (C)fronte360

ポーランドの名指揮者パウル・クレツキ(1900〜73年)によるベートーヴェン。
チェコフィルとのベートーヴェン交響曲全集に取り組む前、1960年代初の録音。

英雄交響曲は明晰かつ強靭な演奏と紹介したのと基本ベースは同じですが、
重厚さが増して芯のある低弦がゴウゴウと鳴っていて、共にいい演奏です。

なかでも第1番が好みですが、終楽章など低弦の唸りに伸びやかさも兼ね備え、
構成感をしっかりと保ちながら疾走しているのに爽快感を感じます。
終結部もさまざまな楽器をバランスよく配置して堂々と終了。

第5番第1楽章冒頭、奇をてらわずオーソドックス。
しかしぐいぐいと聴き手を惹き込んでゆく真迫力ある演奏は見事。
そしてこのまま終楽章まで惹きつけて離さないのはクレツキの職人技でしょう。
腰の据わった低弦の唸り、そこに職人技の冴えを聴くことができます。

録音はシンクロ・ステレオ。 この時期のコンサートホール盤には珍しく(?)
分離がよくステレオ感がよく出ています。
右スピーカより流れる低弦、この捉え方がしっかりとしていていい感じです。


2012年12月16日

カール・シューリヒト、ロマン派序曲集

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会(34)
リトグラフによる簡素ながらもロマン派を象徴するデザインが秀逸。

ニコライ/歌劇「ウィンザーの陽気な女房達」序曲
ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
ウェーバー/歌劇「オイリアンテ」序曲
メンデルスゾーン/序曲「美しきメルジーネ」作品32
メンデルスゾーン/序曲「ルイ・ブラス」作品95
 カール・シューリヒト指揮南西ドイツ放送交響楽団

PC012568
PC012568 posted by (C)fronte360

19世紀のはじめごろに活躍した3人のロマン主義作曲家による、歌劇、演劇のための序曲、それに、文学的作品の内容を音楽化した一種の音詩とも言うべき演奏会用の序曲が演奏録音されています。 初期ロマン派の音楽に共通する抒情的な美しい作品であり、あるいは爽快でたのしく明るい。 また、あるものは幻想的なニュアンスが濃厚であり、劇的な緊張裡に力強くもりあがる−−−それは、すべて、ロマン派の音楽の持って生まれた新しい特徴だったのです。

ジャケット冒頭には上述のような総覧的な記載がありますが(解説:小林利之)、
カール・シューリヒトによる演奏では、すべてがシューリヒトらしさで染まって、
快速で爽快ながらも生命力を歌心のある円熟した演奏を聴かせてくれます。
ジャケットに記載はありませんが、1963年9月録音だそうです。

バーデン・バーデンにある南西ドイツ放送も骨のある良い演奏を展開していて、
特にメンデルスゾーンの2曲ではダイナミズムも感じます。
オベロン序曲では非常にノリのいい演奏で応えているのも嬉しいところで、
シューリヒトもうまくコントロールして聴き応えある演奏に仕上げていますね。
通販で入門用ライブラリを提供するシリーズとしては非常に良い出来でしょう。

録音はフル・ステレオ、ネットでは南西ドイツ放送響との録音は悪い・・・
そんな記事も見かけましたけれども、この盤ではコンサートホール盤としては、
との注釈付きですが、なかなか良い部類に入ると思います。


2012年12月14日

ペルルミュテ、パスカル四重奏団 シューベルト/ピアノ五重奏曲「ます」

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会(33)
水面を写した黄土色の単色写真に、オレンジ色の文字、シックなデザインです。

シューベルト/ピアノ五重奏曲 イ長調「ます」
シューベルト/弦楽四重奏曲 ハ短調「四重奏断章」
 ヴラド・ペルルミュテ(p)
 ハンス・フライバ(cb)
 パスカル弦楽四重奏団

PB232372
PB232372 posted by (C)fronte360

ヴィオラのレオン・パスカルがリーダーを務めていたフランスの名四重奏団と、
ラベルの直弟子でフランスのパリ音楽院の教授も勤めたペルルミュテール、
両者が組んだシューベルトの「ます」。
フランス人による繊細で高雅な印象をうける「ます」の演奏です。

パスカル四重奏団、コンサートホールにはベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集、
モーツァルトの弦楽五重奏曲全集などの録音があります。
メンバーは、リーダーのレオン・パスカル(va)、ジャック・デュモン(1vn)、
モーリス・クリュ(2vn)、ロベール・サル(vc)。

第1楽章の冒頭、1stヴァイオリン(ジャック・デュモン)の演奏がヨレヨレ?
不安定な印象を持ってしまいますが、全体に線の細い演奏です。
ペルルミュテール、ショパンのような高雅で穏やかな口調で語るのではなく、
ちょっと硬めのタッチでの演奏となっているようです。

合奏では響きが混ざり合って情感が湧きあがってくるような感じは少なく、
強奏になっても凜としていて、そこはかとない香りが漂う感じでしょうか。
それにしても1stヴァイオリンの線の細さが少々気になったりします。

録音はフル・ステレオもあるようですが、手持ちの盤はモノラル。
そのせいでしょうか、やや残響に乏しくて損をしているかもしれません。

2012年12月13日

ピエール・ブーレーズ、ストラヴィンスキー/春の祭典

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会(32)
緑系の色で纏められたシックなデザイン、若葉でしょうかハイソサエティな意匠。

ストラヴィンスキー/春の祭典
ストラヴィンスキー/管弦楽のための4つのエチュード
 ピエール・ブーレーズ指揮 フランス国立放送局管弦楽団

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PB232371 posted by (C)fronte360

1964年度A.C.C.国際ディスク大賞、A.D.F.フランス・ディスク大賞受賞
ピエール・ブーレーズが録音した最初の「春の祭典」は彼の金字塔であり、
コンサートホール・ソサエティを代表する名盤の最右翼と言って良いでしょう。

よって多くを語る必要はなく、ジャケットの解説より記載を引用します。

指揮者ブーレーズと《春の祭典》
(前略)ブーレーズにとって、ストラヴィンスキーの《春の祭典》は、特別の関心の対象となっている。(中略)ブーレーズは、メシアンの<楽曲分析>のクラスで、《春の祭典》のリズム構造が、きわめて有機的であることについて、重要なヒントをうけた。彼は、この観点から作品を研究した結果、全曲が、有機的かつ変化にとんだ、リズム細胞の驚くべき精妙な構成をもっていることを発見したのである。ブーレーズの論文は、《ロシア音楽》(1953年出版)という論文集のなかに、《ストラヴィンスキー・ドミュール》というタイトルで発表され、センセーションを捲きおこした。(後略)


今の耳でこの演奏を聴くと、原始的なエネルギーに満ちているように思えます。
最新の録音技術で精緻に研ぎ澄まされ、無機質になりがちな音楽と違って
リズムの変化・切れに生命力が溢れていているようです。

フル・ステレオ録音、コンサートホール盤に珍しくエネルギーを感じる録音、
しかしスピード感はあまりないのでスペクタクル感を求めるのは物足りない。
でもコンサートホール・ソサエティ盤としては良いのではないでしょうか。

2012年12月06日

シャルル・ミュンシュ、フランク/交響曲 ニ短調

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会(31)
天使やペガサスが飛ぶ中、音楽に興じる人々が描かれた寓意画でしょうか。

フランク/交響曲 ニ短調
 シャルル・ミュンシュ指揮 ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団

PB232370
PB232370 posted by (C)fronte360

ミュンシュのフランクの交響曲ニ短調の録音といえばボストン交響楽団、
廉価盤(いわゆる1,000円盤)RCAグランプリ1000にもラインナップされていて、
1957年録音のものが(個人的にも)馴染み深い方が圧倒的に多いでしょう。

ロッテルダムフィルとのこの録音は1966年。ミュンシュ晩年の録音になります。
ミュンシュの熱気あふれる指揮のもと必死でくらい付いてゆくオーケストラ、
そんな感じですが、曲そのものはサラサラとしたイメージでサクサクと進みます。
この曲にありがちなドロドロ感は熱気によって昇華されているのでしょうか。

オケの精度があまり高く思えないこともありますが録音もあっさりとした感じ、
ロンドンによるffss録音であれば印象はもっと変わってくるかもしれません。
特に終楽章など豊麗さが欲しいような気もしますけれど、晩年のミュンシュ、
晩年とは思えないようなスピード感を持って駆け抜けてゆく熱い演奏です。

録音はシンクロステレオ。 盤質も上々ですが、ちょっと薄い響きなのは、
コンサートホールらしいといえばそうですが、惜しい感じがします。

2012年12月02日

パウル・クレツキ、ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」

ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会(30)
切り絵によるシンプルで力強い意匠、コンサートホール盤らしいデザイン。

ベートーヴェン/交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
 パウル・クレツキ指揮 南西ドイツ放送交響楽団

PB182368
PB182368 posted by (C)fronte360

ポーランドの名指揮者パウル・クレツキ(1900〜73年)による英雄交響曲。
チェコフィルとのベートーヴェン交響曲全集に取り組む前、1960年代初の録音。

クレツキはフルトベングラーに招かれてベルリン・フィルを指揮し、
ドイツで活躍するもナチスの台頭により、ユダヤ系の彼は迫害の対象となり、
イタリアに逃れるもののファシスト政権の反ユダヤ主義によって今度はソ連へ、
しかしスターリンの大粛清を逃れて、最終的にスイスへと亡命しています。
この間ナチスに両親や姉妹を含む肉親を殺害されたという経験もしていますが、
彼の音楽は心穏やかで温かいのが特徴です。

アンセルメの後を継いでスイス・ロマンド管弦楽団の音楽監督を務めましたが、
同世代のベーム、セル、バルビローリなどから比べると地味な存在ですけれども
なかなかの実力者です。

この英雄交響曲も重厚さとはちょっと違い、明晰かつ強靭な演奏であります。
第1楽章のコーダでは少々軽めのトランペットがを前面に出てきたり、
終楽章では内声部を浮き上がらせたり、色々な発見もありますけれど、
終楽章コーダの真迫力はなかなかに感動的。
ティムパニの乱打がポコポコといった音だったりしますけれど・・・
個人的にはいずれもとても面白く聴けて、好きな演奏です。

なおコンサートホール・ソサエティには南西ドイツ放送響と第1・5番、
フランス国立放送局管との第6番の録音があります。

録音は、ステレオ録音盤も存在しますが、手元のはモノラル盤。
ネットではステレオ盤は散々な書かれ方がされていますけれども、
我がサブシステムでは重厚な低弦もよく鳴っています。
少々歪みっぽいのはコンサートホール盤らしさでしょう。