2014年12月23日

第21回「天理の第九」演奏会

日時:2014年12月21日(日) 14:00開演(13:15開場)
場所:天理市民会館やまのべホール

曲目:第1部
    天理市制60周年記念式典
     君が代
     天理市歌(作詞:松本昭、作曲:平井康三郎)
    ドヴォルザーク/スラヴ舞曲第6番 作品46
    ブラームス(シュメリンク編曲)/ハンガリー舞曲第6番
     演奏:天理シティーオーケストラ
     指揮:安野英之
   第2部
    ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125「合唱つき」
     独唱:福永修子(S)、廣澤敦子(A)、中川正崇(T)、鳥山浩詩(Br)
     合唱:天理第九合唱団、天理ピエーナ少年少女合唱団
     演奏:天理第九管弦楽団
     指揮:井村誠貴
(アンコール)エルガー/威風堂々(合唱付き、作詞:喜多園子)
(アンコール)蛍の光

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天理市制60周年。 そして「天理の第九」を始めるきっかけとなった天理ライオンズクラブが設立50周年。 これらを記念したのでしょうか、ここ数年の第九の指揮をされていた安野さんに代わって井村誠貴さんが指揮を担当。 過去に2度「天理の第九」を振られている井村さんですが、当方は単身赴任中で伺えず、今年ようやく念願かなったという感じでしたが、そんな期待を遥かに超えるダイナミズム溢れた演奏に痺れました。
合唱団も見た目、年々男声が細ってゆく感じですけれど、数の少なさをものともしない鉄壁の合唱が熱く燃えていました。 そしていつも思うことですが「天理の第九」は何より一体感が素晴らしい。 男声・女声、合唱・管弦楽、ステージ・客席が一体になって盛り上がっているのがよく判るのですが、今年は更に集中力が高い熱い演奏によって、素晴らしい演奏会になっていました。 今年もこの充実した演奏で、一年を締めくくることできて幸せでした。

第1部、若い天理市長の挨拶のあと起立して君が代、天理市歌を斉唱。 天理シティーオーケストラの夏の演奏会にも伺っているので、なんとなく市歌も歌えるようになってしまいましたね。
そして60周年にちなんで6のつく曲、ドヴォルザークのスラヴ舞曲第6番。 そしてブラームスのハンガリー舞曲第6番。 安野さんの指揮によるオケは 8-7-7-5-5 の対向配置。 コンマス席には栄島さんが座っていましたが、その栄島さんの独壇場ともいえる演奏が展開されました。 腰を浮かし、弓を隅から隅まで使った素早く大きな動き。 いつもながら楽しそうな表情で演奏されていて、また安野さんも同様に楽しそうな表情を浮かべて、栄島さん、オケをコントロール。 視覚的にも楽しさがびんびんと伝わっくる演奏を楽しみました。

第2部の前には15分間の休憩、この間に合唱団がステージに出て着席しました。 オケも自由入場で配置につきますが、先ほどまで指揮されていた安野さんがチェロの席に座っているので 8-7-7-6-5 の編成、同じく対抗配置です。 定刻、コンマスは相原さんに交代(栄島さんは2ndヴァイオリンのトップ)、チューニングを終えるとソリストも登場しました。 合唱団とオケの間に着席して準備完了。 井村さんが登場して始まります。

第1楽章、冒頭指揮台の上でしばし沈思黙考、集中力を高めてからの厳かな開始。 しかし、いきなりダイナミックに盛り上げます。 先日の大阪市民管との惑星を彷彿とさせる動き、ストイックな響きがホールを満たしました。 やや早めのテンポ、メリハリを付けつつも一部の隙も感じさせない音楽に痺れました。 それでなくても長身の井村さんが大きく伸びあがるのだから、スケールの大きな音楽でした。 第2ヴァイオリンとヴィオラが死にもの狂い、必死に弾いていたのも印象に残りました。

第2楽章、こちらもストイックな開始より「時計仕掛けのオレンジ」を思い出してしまうのですが、やや淡々としながらも2ndヴァイオリンやヴィオラなど時に大きくうねるようでもあって、映画音楽の印象とは違ってちゃんと血の通った演奏。 ここではホルン、オーボエ、トランペットを始めとする管楽器の奮闘も印象に残りました。 

第3楽章の前にチューニング、汗をぬぐい指揮棒を片付けて手による指揮で始まります。 やわらなか音楽は、ロマンティックな香りを漂わせています。 ここでもヴィオラがいい音色でしたね。 木管アンサンブルも素敵で、目立たないけれどもファゴットがとても良い仕事をしていたと思いました。 自然な昂揚感、歌わせながら盛り上げてゆく静かながらもロマンティックかつドラマティックな音楽。 指揮棒を取り出して終結部を締めます。

第4楽章はアタッカで突入、全曲を自然な流れとするために合唱団やソリストを先に登場させていたのでしょうね。 冒頭、ティムパニは先が太くなってやわらかな打音がするマレットで打ち、次に先が細くて堅い音がするマレットと、何度か持ち替えて曲に変化を付けていました。 コントラバスによる歓喜の旋律、ゆったりと柔らかな響き。 第1ヴァイオリンも透明感ある柔らかな響きが素適。 そしてここでもファゴットがうまく絡んでいました。 
合唱団の中程、横一列に並んでいる天理ピエーナ少年少女合唱団の子供たちがそわそわし始めて・・一斉に起立(ちょっと微笑ましい風景)。 ソリストのバリトンの声は伸びやかでよく透る声でしたが少々軽量級な響き。 いずれのソリストも同様な感じだったかな。 合唱はいつもながら屹立した合唱団席より気迫のこもった押し出しの強い声が印象的。 井村さん、抑制もよく効かせてきちっとコントロールされています。 緊密に響くオケと合唱。 メリハリを利かせて歌わせる部分ではたっぷりとさせたり伸びやかにさせてます。 合唱はピエーナが加わったぶん、いつもよりも華やかなになっていたみたい。 そして合唱とオケが一丸となった熱い音楽が渦巻き力強く歌い上げてのフィナーレ。 息もつかせない見事な幕切れでした。 ブラボーも掛け値なし。

このあと昨年と同じく故里天理を歌い上げる合唱付きのエルガーの「威風堂々」、そして「天理の第九」の締めでは恒例となった会場全員がライトを振って「蛍の光」を歌ってお開き。 ああ1年が終わるのだな、と感慨深い瞬間でありました。 天理の冬の風物詩ともなった「天理の第九」今年も素晴らしい演奏会にお招きいただき、有難うございました。 ますますの発展を祈念いたします。


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2014年12月15日

奈良女子大学管弦楽団 第44回定期演奏会

日時:2014年12月14日(日) 13:30開演(12:30開場)
場所:奈良県文化会館 国際ホール

曲目:シベリウス/交響詩フィンランディア
   シベリウス/交響曲第7番 ハ長調
   ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調
(アンコール)マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲

指揮:柴 愛

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長年常任監督を務められた牧村さんが退任、これまでも奈良女オケのステージにも立たれていた柴 愛さんがタクトを取られての定期演奏会。 新鋭女性指揮者と女子大オケのコラボは大満足の演奏会となりました。

何より素晴らしかったのが弦楽アンサンブル。 各パートの纏まりがよく、そして柴さんのリードのもとに生気あるアンサンブルが展開されていました。 冒頭のフィンランディアよりまずはお手並み拝見、と聴き進めましたが、奥行きのある響きに艶も乗せた響き。 粘りもあって、聴き応え十分な演奏でした。 冒頭よりこんなに充実した演奏が聴けるとは、失礼ながら思ってもみませんでした。

そして個人的に一番興味あったのがシベリウスの交響曲第7番。 この難解な曲を、柴さんが各弦楽パートを紡ぐように響きを重ねて進め、聴きやすく纏めていたのに驚きました。 トロンボーンなど金管楽器も腰の据わった堂々として柔らかい響き、ティムパニは先ほどのフィンランディアでは強打でしたが、こちらも響きをたっぷりととった打音として素晴らしかったですね。 柴さん、動きを大きくたっぷりとした腕の振りで、オケを的確に進めてゆきました。 じっくりと腰の据わったアンサンブルには生命感が宿っていて、ピチカートなどぞくぞくっとする感じ。 緊張感を保ちつつ練り上げたフィナーレも見事でした。

15分の休憩のあとメインはベートーヴェンの交響曲第7番。 「のだめ」以降お馴染みの曲となりましたが、こちらも圧巻のフィナーレ。 フィナーレまでは、しっかりとしたアンサンブルながら明るさを基調とし、爽やかさの漂う演奏としていましたが、最後、柴さんに力が入りました。 ボクシングみたいにフック、アッパーなどパンチを繰り出し、ぐいぐいと盛り上げて進めていったのが印象的でした。 オケもまたそれよく応え、きちっとよく纏まった演奏での締めくくりました。

個人的な印象としては、演奏の出来としてはシベリウスの第7番の方が良かったと思いますが、さすがに有名曲。 ベートーヴェンの第7番終演後の拍手はとても熱いものがありました。 とにかくどの曲もよく訓練された音楽ながら、しっかりとした主張も感じられて素晴らしかったと思いました。

次回スプコンはまた違う女性指揮者による演奏会となるようですが、これまでの常任指揮者とは違う様々な解釈・アプローチ・訓練を得て、更なる発展を期待します。 お疲れさまでした。


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2014年11月17日

カンマーフィルハーモニー神戸 第3回定期演奏会

日時:2014年11月16日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:伊丹アイフォニックホール

曲目:モーツァルト/歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲 K621
   ハイドン/チェロ協奏曲 二長調 Hob VIIb 2
(アンコール)J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番より「アルマンド」
   ベートーヴェン/交響曲第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」
(アンコール)シューベルト/ロザムンデ間奏曲第3番

独奏:花崎 薫(vc)

指揮:花崎 薫

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小規模編成で少数精鋭のメンバーにて、現代に生きる新しい古典演奏することを目的に立ち上げられたアンサンブル。 元新日本フィル首席チェリストで現在は大阪フィルのトップ・チェロ奏者である花崎薫さんの指揮のもと、スピード感のある歯切れのいい演奏を目指されています。 バロック・ティムパニの利用や「皇帝ティートの慈悲」序曲ではナチュラル・トランペット2本を交えての演奏、弦楽器は6型でコントラバス2本、確かにスピード感や歯切れの良さを重視した演奏でした。 ただオーケストラの音がすべて出ている、というか、とにかく音が大きくて元気よく、ワッ〜と出ている感じ。 ナチュラル・トランペットとバロック・ティムパニを加えていますが、他はモダン楽器で弦楽器もピリオド奏法ではなかったと思います。 とにかく音量が大きくてちょっと取りとめのない感じがしました。

2曲目のハイドンのチェロ協奏曲は、花崎さんの振り弾き。 結果的にこれが一番良かったように思いました。 花崎さんのソロは、オケ奏者にありがちな杓子定規な感じではなく、ソリストとしての華を感じさせるもので、明朗かつ奥行きもしっかりとあって、さすがと思わせました。 正面を向いた花崎さんが、コンマスとアイコンタクトを取り、そのコンマスを軸にしたオーケストラ。 やはり弦楽器6型でコントラバス2本の編成でしたが、やはり少々音は大き目なものの、先ほどとは違って伸びやかな表情がよく出ていました。 確かに少数精鋭、特に弦楽アンサンブルの精度が高いオケですね。 花崎さんの薫陶によるものと推察します。 アンコールも良かったですね、ちょっとミスタッチもあったようですが、やわらかく深みのある音色ながら、しっかりとした主張があったように感じました。

休憩を挟んで、ベートーヴェンの英雄交響曲。 冒頭、花崎さんのハナ息よりまさに歯切れ良くスピード感のある演奏が展開。 スキッと纏めつつも躍動的、メリハリを付けて進みます。 オケの音量はやはり大き目でした。 花崎さんの指揮は初めてみますが、基本的に縦振りですね。 ほとんど横には振らない。 そして指揮棒の振りが大きくなると音量が大きくなり、小さくなると音量が下がる。 実に分かりやすいのですけれど、すべての繰り返しを実行されていたと思いますが、同じ音量で同じように繰り返されてました。 繰り返しを実行する/しないは指揮者の主張と思うのでそのことは言及しませんが、せっかくのスピード感ある演奏が冗長で退屈に思えてしまいました。 いつまでたっても終わらない・・・そんな印象を持ちました。

しかしオーケストラは各パートともよく纏まっていて巧かったですね。 特に弦楽アンサンブル。 先にも書いたように花崎さんの薫陶でしょう。 英雄ではコントバスを3本に増強したこともあってピチカートもより深い響きとなり、何より各パートがよく纏まって明快、よく主張し合い響き合ってました。 そして木管楽器のアンサンブルも明快。 みな凛とした響きで自信を持って主張しつつもとてもよく纏まっていました。 金管打楽器も堂々としていて、パワフルなホルンは巧かったし、トランペットとティムパニは勘所良くスピード感もあって良かったと思います。

惜しむらくは、これらの各パートが等価で鳴っていたように思えたこと。 ソロや主旋律にスポットライトを当てて浮き上がらせるように・・・というのがあまり感じられませんでした。 皆さん巧くて、せっかく皆さんが一所懸命演っているのにもかかわらず、結果として聴き疲れする音楽になってしまい、熱演だけど感動しない、そんな感じを持ってしまいました。 楽器を演奏されている方には、また違った面が感じられたと思いますけれど、お気楽に音楽を聴いているだけの当方としては、頑張っているのに付き合わされている感じがして、あまり楽しめなかったのが正直なところ・・・ 偉そうにすみません。 繰り返しになりますが、オーケストラはとても巧かったことは間違いありません。 いつもはこんな風には書かないのですが、せっかくのオケがちょっと勿体なく感じたのでこのように書いてしまいました。 お気を悪くされた方がいらっしゃたらごめんなさい。


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2014年10月27日

枚方フィルハーモニー管弦楽団 第80回定期演奏会(60周年記念演奏会)

日時:2014年10月26日(日) 14:15開演(13:30開場)
場所:枚方市市民会館・大ホール

曲目:
(オープニングファンファーレ)
   金管・打楽器奏者
     すぎやまこういち/中央競馬のファンファーレより「東京&中山G1競走」
(ウェルカムコンサート)
   木管五重奏
     ハイドン/ディベルティメントより第1,2,4楽章
     J.シュトラウス1世/ラデツキー行進曲
       枚フィル女子木管五重奏団
         滝本明子(fl)、新井理恵(ob)、越野倫巨(cl)、
         北野知恵(hr)、新谷 絢(fg)
   弦楽アンサンブル
     シベリウス/アンダンテ・フェスティーヴォ
       谷村 浩 指揮 枚方フィルハーモニー管弦楽団弦楽器奏者有志
(本プログラム)
   エルガー/エニグマ変奏曲 (-*)
   ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調「運命」
(アンコール)菅野よう子作曲・岩井俊二作詞/花は咲く
(アンコール)レハール/金と銀

指揮:生島 靖、寺坂隆夫 (-*)

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枚方フィルらしい暖かな気持ちになった60周年記念演奏会でした。

入場すると頂けるパンフレット、枚方フィルのロゴマークの入ったクリアホルダーに入っていました。 これに驚くとともにお得感でまずにっこり。 今回はお客さんも多くいらしているようで、会場整理の方も増員されていたのでしょう。 いつもの2階席より入りましたが、ここにも会場整理の方が複数名いらして、にこやかに出迎えてくださいました(帰りにもにこやかな笑顔で「ありがとうございました」と言われていました)。

最前列に陣取りましたが、ステージでは既に木管五重奏が演奏されていたのに驚きました。 今回はウェルカムコンサートとして、開場時にはファンファーレ、続いて木管五重奏、最後に弦楽アンサブル。 弦楽アンサンブルといっても谷村さん指揮による12型編成のフルオケによる思い入れたっぷりのアンダンテ・フェスティーヴォ。 次第に熱気が籠ってきた堂々たる演奏でした。 こんなことならもっと早く来るべきでしたが、ノリの良い木管五重奏によるラデツキー行進曲を最初から聴けたのが幸いでした。 うきうきとさせる演奏に、客席より自然発生の手拍子も加わってまたもやにっこりと。

ロビーコンサートは混み合っているのと、目の前で団員さんが演奏されていると何となく気恥ずかし事もあって敬遠してしまうのですが、これなら気楽に楽しめます。 お隣のアベックさんなどビスケットの封をバリッと切って食べながらの鑑賞・・・ま、これも枚方フィルらしくて許せてしまいます(本プログラムでは食べてませんでした、念のため)。

本プログラムは、寺坂さんらしく丁寧かつ明快に纏められた「エニグマ変奏曲」。 静謐な響きには艶も乗っていて上々の滑り出し。 底鳴りのするトロンボーンの響きも良かったですけれど、オケ全体が落ち着いた音色で統一されていて、落着いた大人の音楽といった感じ。 第9変奏のニムロッドでは雄大としつつも寺坂さんの落ち着いた音量コントロール、溜めて練り上げた盛り上がりは見事でした。 続く第10変奏では低弦ピチカートが暖かな響きでほっこりとさせるチャーミングな音楽としていたことも印象に残りました。 ストレートに盛り上げた終曲、寺坂さんが最後まで各所に気を配って曲を進め、弾けるようなエンディングを見事に決めました。

15分の休憩を挟んでメインプログラムの前、枚方市長の挨拶。 堅苦しい挨拶かと思いきや、気さくな感じのする市長さんのお話のなかで、5年後のオープンを目指して新ホールの設計費を計上されたとのこと。 こけら落としには枚方フィル85周年記念演奏会とのサプライズ? 団員の方も驚かれていたようです。

さて、メインプログラムは生島さんの指揮による「運命」。 オーソドックスな開始でしたけれど、突き抜けるトランペット、強奏するホルンで彩られて少々気色ばんだ面を見せながら進みます。 第2楽章でも落着いた演奏の中でも木管楽器が歌っていたりもして、運命はちょっとハイソな大人の音楽といった印象。 取り立てて変わったことをしていないようですけれど、生島さんって結構ロマンティストではないかなぁなどと思える演奏を楽しみました。 終楽章は落ち着きまがらも熱気のこもった演奏として見事なフィニッシュ。 ブラボーの声も飛び出しました。 オーソドックスで落着いていながらもドラマティックな音楽造りに好感が持てました。

アンコールは2曲、アンコール曲の「金と銀」を聴きながら思いました。 音楽を聴く楽しみって何、演奏する楽しみって何・・・ きっと演奏を成し遂げようとする一所懸命さ、それを音楽を通して聴かせてもらうこと。 今回の企画もまたそんな一所懸命さにあふれていました。 枚方市にこんなオーケストラあるの初めて知った・・・と嬉しそうに語っている人の横を抜けてロビーに出ると、指揮者の生島さんはステージを退けるとロビーに飛んで出てきたのでしょうね、アンケート回収箱を持って「ありがとうございました」「そのままでいいから、ぐしゃっと入れて」などとにこやかに挨拶されていました。

会場には暖かな気持ちが満ちていてとても楽しい演奏会でした。
ありがとうございました。 そして遅ればせながら80周年おめでとうございます。
85周年を楽しみにします。


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2014年10月20日

オーケストラ・アンサンブル・フォルツァ Halloween Concert 2014

日時:2014年10月19日(日) 14:00開演(13:15開場)
場所:八尾市文化会館プリズムホール・大ホール

曲目:ムソルグスキー/禿山の一夜(原典版)(*1)
   リャードフ/「バーバ・ヤガー」Op.56 (*1)
   メイヤー/Rosin Eating Zombies from Outer Space (*2)
   サン=サーンス/交響詩「死の舞踏」(*2)
   グリーグ/「ペール・ギュント」第1組曲より「山の魔王の宮殿にて」(*3)
   グノー/あやつり人形の葬送行進曲(*3)
   ファリャ/バレエ音楽「恋は魔術師」より「火祭りの踊り」(*3)
   バデルト/「パイレーツ・オブ・カリビアン〜呪われた海賊たち」メドレー(*1)
   デュカス/交響的スケルツォ「魔法使いの弟子」(*4)
(アンコール)グリーグ/「ペール・ギュント」第1組曲より「朝」(*4)
(アンコール)バデルト/「パイレーツ・オブ・カリビアン〜呪われた海賊たち」(*1)

ナビゲーター:山村雅代

指揮:池田俊明(*1)、大塚洋平(*2)、池永健司郎(*3)、菊 正憲(*4)

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ハロウィン・コンサートと名付けられた演奏会に行ったのは初めてではないでしょうか。 小さな子供の泣き声も音楽のうち、そんなちょっと不気味で面白い音楽の数々を楽しみました。

会場はハロウィン一色、随所にオレンジ色のパンプキン提灯や風船が飾られ、団員やスタッフの方も思い思いの扮装を凝らしてられました。 また会場にも扮装した小さな子供さん(団員の方のご子息でしょうか)もいましたし、入口に配布されたパンフレットにも仮面まで付いている・・・休憩時間は30分もあって、ロビーでは小さなお子さんにプレゼントも配っていたようです。 企画・運営された方々の努力に驚きました。

また何より音楽も良かったですね。 滅多に聴くことのできない「禿山の一夜」の原典版(生で聴くのは2回目)、「魔法の弟子」(生で聴くのは3回目)なども面白かったけれど、ゾンビに追われた女性がステージから会場へと歩き回る「Rosin Eating Zombies from Outer Space」この女性の絶叫が実に見事でした。 そして「パイレーツ・オブ・カリビアン〜呪われた海賊たち」では寸劇さながらに最後はゾンビや着ぐるみまでも出てくる大団円で会場は賑わいました。

演奏もとてもしっかりとしたものでした。 時に少々飛ばし気味であったり、テンポを落としたり抑揚を付けて判りやすくしていたようですが、そもそもしかめっ面して聴く演奏会ではなく、楽しむ演奏会。 団内指揮者4名も4者それぞれの指揮ぶりにオーケストラもよく応えていてとても良かったですね。 会場内で落ち着かなくなって泣きわめく子供の声もまた音楽の一部。 そう考えて楽しみました。
演奏された皆さんお疲れさま&有難うございました。



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2014年09月29日

紫苑交響楽団 第24回定期演奏会

日時:2014年9月28日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:京都府長岡京記念文化会館

曲目:ブラームス/大学祝典序曲
   ヒンデミット/管弦楽組曲「至高の幻想」
   ブラームス/交響曲第4番

指揮:森口真司(音楽監督)

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しっかりとした構成感を持ち、1音たりとも無駄にしない意気込みを感じた演奏会でした。 理知的な響きで堂々と進められたブラームス、落着いた響きで神経質さは微塵もなく端正に演奏されたヒンデミットに浸りました。 何より弦楽アンサンブルが巧いのが素晴らしいかったですね。 やはり弦楽器がしっかりとしていないと音楽の芯のところで感動は深くならない、と思いました。 もちろん木管アンサンブルも素敵でしたけれど。

ヒンデミットの「至高の幻想」は、1938年に作曲されたバレエ音楽からの組曲とのこと。 初めて聴く曲ゆえにプログラムの記載を事前に読み込み、また演奏中も時に確認しながら聴き進めましたけれど、難解な感じがしなかったのはプログラムのお蔭でしょう。 とても分かりやすく書かれていて助かりました。 肝心の演奏はじつに真摯に展開されてゆきましたけれど、それでいてまったく神経質な響きにはならない。 起伏もあって、音量が上がっても熱気に流されない、上がった音量であっても角の取れたまろやかな響きであったことも印象に残りました。 これがこのオーケストラの巧い所でしょう。 もうちょっと聴きこんで味わえるまでになりたいと思えた曲でした。

ブラームスの2曲はともに耳馴染みのある曲。 所謂名曲。 返ってこのような曲のほうが演奏し難いとは思うのですが、引き締まった響きでともによく纏まっていました。 鳴らすべきところは十分に鳴らしつつも、やはりここでも端正に纏めた素晴らしい演奏。 虚飾を排しつつも、慈しむようなタメを作り、急緩もつけていました。 インテンポの無機質な音楽ではなく1音1音には意味があり、それを大切に、丁寧に紡いで進めていったのは音楽監督である森口さんの意図するところ。 それにオーケストラ、特に弦楽アンサンブルが見事に応えていました。

大学祝典序曲、柔らかくて弾力をもった開始より端正な音楽造り。 トランペット、そしてブラスアンサンブルが入ったのち、右腕を大きくグルグルと回し、まるでネジを巻くかのようにオケに力を込めていったのが印象的でしたけれど、音楽は決して派手にはなりません。 しっかりとした構成感を持ったままの盛り上がり。 オーボエ奏者の方が感情込めて吹いてらして、ときにベルアップのように身体を大きく揺らしていたのも印象に残りました。 いずれも誇り高く気高い大学校歌、じつに理知的な演奏となっていて見事でした。

交響曲第4番、 句読点をしっかりと押さえ、場面転換でのキレの良さを感じさせつつも、じっくりとブラームスに向き合った真摯な演奏でした。 最後の交響曲のため、ブラームスの最晩年を思ってしまい、何となく人生の黄昏時もイメージしてしまうのですけれど、ブラームス50歳を少し過ぎた頃の作品。 第3楽章など壮年期の力強い響きでしょう、座席も強靭なオケの響きに共振していたのに驚きましたけれど、やはりここでも音量は上がっても刺激的な響きとはなっていませんでした。 そして、テンポを僅かに落としたてタメを作ったり、やはりそここに考え抜かれた世界を垣間見ることが出来ました。 よく知っている曲だけれども、こうやって1音1音を丁寧に響かせているのを追いかけてゆくのが面白く感じられました。 素晴しい演奏であったと思います。

ここでは特に弦楽アンサンブルの素晴らしさを特筆しておきたいですね。 各パートが1枚岩のように纏まっていて、どのセクションを見ていてもプルトの前から後ろまで弓の動きが綺麗に揃ってました。 オケによっては後ろに行くにつれて弓の動きが小さくなるとか、逆にエキストラの猛者が入って大きな動きで揃っていないようなことにも出くわしたりしますけれど・・・ このオケにもエキストラさんが入っていらっしゃるようですが、見事な弦楽アンサンブルに舌を巻きました。 当方がこのオケを聞き始めた頃、メンバー減少で解散の危機に直面していた頃で、ヴァイオリンは1名しか居なかった、そんな状況であったと記憶していますけれど、それも遠い過去のことになってしまいました。 とにかく弦楽器がしっかりとしていないと、感動も大きくならないことを改めて感じた次第です。

そして今回はアンコール無し。 こんな素晴らしい演奏の後には、何も無いほうが感動がかえって持続できて賛成です。 皆さんお疲れさまでした。



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2014年09月24日

甲南大学OB交響楽団 第3回演奏会

日時:2014年9月23日(火・祝) 14:00開演(13:30開場)
場所:神戸市立灘区民ホール・マリーホール

曲目:ニールセン/交響曲第1番 ト短調 -*
   ブラームス/交響曲第1番 ハ短調

指揮:松下正彦(-*)、岸本竜太郎

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交響曲第1番のプログラム、気合いの入った筋肉質なニールセン、明るく若々しい響きで彩られたブラームスといった感じだったでしょうか。 どちらもよく纏まったオケの響きが特徴でした。 惜しむらくはホールが小さく(ブラームスではステージ上がオケ団員で埋め尽くされている過密状態で)直接音が多く聴こえすぎた点でしょうか。 このため迫力十分でしたけれど、やや刺激的に聴こえたきらいもありました。 ですが、いずれも熱気あふれた演奏に圧倒されました。

自由入場でステージ上に集まったメンバー、弦楽器は 10-8-7-5-6 の通常配置。 客席の照明が落ち、コンマスによるチューニングを終えたあと、指揮者なしでの演奏開始。 校歌なのでしょうね。 OB交響楽団、客席も同窓会の雰囲気が漂っていましたが、演奏はいずれもとてもしっかりとしたものでした。

ニールセンの交響曲第1番、カッコ良い曲をそのままカッコ良く指揮されていたのは松下正彦さん。 右手で掴み、左手で掴み、かがみこんで爆発させる・・・1989-1990年のシーズンで学生指揮をされていた方でしたが、この曲の特徴を実によく掴んでおられた開始。 低弦もゴリゴリと響いてきて、ブロムシュテッドによる演奏も彷彿とさせる納得の演奏でした。 ホールが小さいのでやや刺激的に響くものの、一気にこの曲の世界に惹きこまれました。 とてもいい開始でした。

第2楽章では指揮棒を置いて静謐な音楽に想いを乗せた開始。 これも良かったですよ。 そしてしだいに熱くなったアンサンブルですが、ここでは直接音が多いから雄大に響かせる場面でちょっと損をしていたかもしれません。 軽やかさを失わず、よくタメも効かせてコントロールされた第3楽章。 鋭利な響きでソリッドに開始した終楽章もまたカッコ良かったですね。 当方も少々直接音に疲れたのか、もうちょっと低弦が響いて巻き込むような感じが欲しいなどと(生意気にも)思った次第ですが、纏まり感があってクールな演奏には違いありません。 フィニッシュの残響も響いた筋肉質なニールセンでした。

15分間の休憩、やはり自由入場にて集まったオケメンバーは 12-10-8-7-6 に拡大されてステージ上は過密状態となってしまいました。 指揮者は岸本竜太郎さん、とても若い方で2009-2010年のシーズンで学生指揮をされていた方だそうです。 まだ20歳台なのですね。

ブラームスの交響曲第1番、キレの良い上半身の動きよりフレッシュで若々しい響きが推進力を持って進みました。 岸本さんの指揮は下半身をほとんど動かさず、素早い腕の動きで切返されてスパスパっと進むのですが、第1楽章冒頭よりちょっと固めのティムパニのとともに増強されたオケの響きが引き締まって強靭。 各パートともの纏まりよく、響きが折り重なったクライマックスなど聴き応えのある音楽としていました。

第2、3楽章も明るい木管楽器のソロが巧かったですね。 瑞々しくて翳りのない音楽となっていて、人生黄昏時を迎えた当方にはちょっとまぶしい感じもしましたけれど、このような若々しく突き進む屈託のなさもまた良いものでしょう。 しかし、終楽章はこのフレッシュな響きに想いがのった素晴らしい演奏でした。 指揮者の方の思い入れが出ていたのでしょうね。 ホルン・ソロの押出しの強い響き、中低弦の奮闘などの好演もあって、早いテンポ・見通しの良い音楽としつつも感動もより深くなりました。 フィナーレは、凄い勢いで進んで一気呵成。 あまりに早いテンポだったせいか、出を間違った弦もあったように聴こえましたが、フィニッシュを見事に決めた素晴らしい幕切れ。 感動的でした。 会場から大きな拍手、当方も大きな拍手を送りました。

やる気が前面に出た演奏は聴いて気持ちの良いものです。 残念ながらここ数年残現役の甲南大学交響楽団を聴く機会がありませんでしたが、その伝統はOB交響楽団にもきちんと引き継がれているようでした。 皆さんお疲れさまでした。


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2014年09月15日

大阪市民管弦楽団 第80回定期演奏会

日時:2014年9月14日(日) 15:00開演(14:00開場)
場所:ザ・シンフォニーホール

曲目:エルガー/行進曲「威風堂々」第1番
   プロコフィエフ/古典交響曲
   ホルスト/組曲「惑星」
(アンコール)エルガー/エニグマ変奏曲より「ニムロッド」

指揮:井村誠貴

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P9158191 posted by (C)fronte360

機動力のあるオケをドライヴ、ザ・シンフォニーホールを雄弁な響きで満たした冒頭の「火星」にまず度肝を抜かれました。 そして最後の「海王星」では女声によるヴォカリーズが3階席より降りそそいできて包み込まれる感じ。 こんなに凄くて素晴しいドラマティックな「惑星」の演奏に出会えるとは、正直思ってもみませんでした。

豪快に鳴らした「火星」でしたがそのエンディングは凄まじかった。 そして想いのよくのった「金星」ではソロが光ってました。 瑞々しい響きとした弦楽アンサンブルが際立っていた「水星」。 躍動感と奥行きを感じさせた「木星」では何よりホルンが素晴しかったことを付け加えておきたいと思います。 「土星」では底鳴りのする響きで緻密に組み立てられていて、「天王星」ではオケの機動力を生かした躍動感ある音楽。 そして最後の「海王星」での寒気がたつほどの神秘的な音楽。 実にドラマティック、かつファンタスティックな音楽でした。 素晴しかった。

客席もまた良かったですね。 女声が消え去ったあと、井村さんの腕がそっと下りて一呼吸あいてから徐々に大きくなった拍手。 そして、ちょっとして遠慮がちにかけられたブラボーの1声。 これみよがしなブラボー連呼の演奏会には正直辟易していることもあって、十二分に感動を醸成させることもできました。 大感動の演奏会でした。

いつも2階席を指定するのですけれど、今回は言いそびれて1階席(O-8)であったことも良かったのかもしれません。 久しぶりに見る井村さんの指揮も、気合の入れ方などがよく判って、いつもながら判りやすい動きでオーケストラをコントロール、そしてドライヴしているのもよく窺えました。 そして何よりそれによく応えていたオーケストラが見事。 コントラバス10本という大編成ながら各パートともよく纏まった演奏で、アンサンブルの連携も見事、そしてまたソロも皆さん巧かったですもの。

これに先立っての2曲もまた佳演。

「威風堂々」はいきなりアンコールピースから始まった感じがして、重厚なサウンドで落ち着いて進むのにちょっと戸惑いましたけれど(いえね、アンコールで聴くときは、聴き手としてもいきなりハイテンションなので、落ち着いて進んでいくのにアレって感じがしたわけですが)、徐々に力強さを増したエンディングではパイプオルガンも鳴って壮麗な締め括り。 見事でした。

古典交響曲は、メンバーを刈り込んで10型のオケだったでしょうか、それでもコントラバス7本もありましたけど、こちらもよく纏まった演奏。 チャーミングな高音弦に中低弦をうまくブレンドさせた第1楽章、ゆったり進めつつも生気を失わない第2楽章、第3楽章では抑揚つけてタメも作っていましたね、そして終楽章では要所を決めつつ小気味良く進めて止めました。 井村さんも動きを少なくして丁寧な音楽造り。
この曲、聴いている側にとってはシンプルな感じに聴こえますけれど、演奏者とっては転調が多く、時にリズムがずらされたり、あるべき音が無かったりと、けっこうな難曲と聞きます。 あの「惑星」の前に演奏するにはかなり高レベルの曲だったのではないでしょうか。 無難に演奏纏めるだけでなく、音楽にはちゃんと生気もあって、これはこれでよかったと思ったしだいです。

とにかく「惑星」、そしていきなり「火星」で度肝を抜かれてしまってはこの2曲はかすんでしまいますね。 とにかく皆さん、素晴しい演奏をありがとうございました。


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2014年09月09日

六甲フィルハーモニー管弦楽団 第38回定期演奏会

日時:2014年9月7日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:神戸文化ホール・大ホール

曲目:シベリウス/「カレリア」序曲 op.10
   シベリウス/交響曲第3番ハ長調 op.52
   シベリウス/交響曲第2番ニ長調 op.43 -*
(アンコール)シベリウス/交響詩「フィンランディア」 -*

指揮:松井真之介、森 康一(-*)

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P9088093 posted by (C)fronte360

オール・シベリウス・プログラム、二人の団内指揮者の特長もよく出た六甲フィルの巧い演奏に大満足。 素晴らしい演奏会でした。 キレの良い動作より第2番をクールにまとめた森さん、粘着質な動作で第3番への共感を表現した松井さん、といった感じだったでしょうか。

それぞれの指揮に見事に追随し表現した六甲フィルにまずブラボー。 オケの響きとしては第2番のほうに立体感を感じましたけれど、個人的には、耳に馴染んだ第2番の演奏より第3番のほうが面白く聴けました。

第1楽章の冒頭より強靭な響きの量うまくコントロールし、艶ののった高音弦に引継ぐと、右腕をぐるぐると廻して盛り上げてワクワクしました。 また途中には中腰になった腰を上下させてリズム感よく盛り上げていくさまなど、指揮の姿を見ていても作品への共感が伝わってくるような感じ。 いつもは気付いた点などをメモに取りながら聴いているのですが、そんなことよりも目の前に繰り広げられる音楽に浸っていたい、そんな感じを強く受けました。

第2楽章も躍動感がありましたし、終楽章ではシベリウスらしいちょっと掴みどころのない音楽が次第に形造られてゆくような感じ。 パワフルで強靭かつよく歌う演奏ながら、これらが緻密にコントロールされていました。 雰囲気で演っているのではない、充実感を感じたしだいです。 管楽器はやや抑え気味でしたが、弦楽アンサンブルがとても巧かったように感じました。 とにかく充実した演奏、作品への共感や愛着といったものまで感じたと思います。 とても面白く聴けました。

これに先立ってのカレリアも同様な感じ。 強靭ながらよく歌い、メリハリ・強弱・緩急を巧くつけていました。 ホルンもよくコントロールされていてよかったですね。 いつも聴いている曲とは違った発見もあって(何か具体的には語る言葉を持っていませんが)こちらも面白く聴けました。

20分の休憩ののち、森さん指揮による第2番は、より洗練された響きでクール、カッコ良い演奏でした。 管楽器のウェートが大きくなったこともあって全体のバランスもより明るい響きになったのかもしれません。 しかしながら中低弦に芯のある強靭な弦楽アンサンブルはそのまま、終楽章の盛り上がりも実にスッキリとした見通しの良さが特徴的。 常に推進力を持った音楽と纏めていました。 言い方は悪いのですが優等生的な演奏だったかもしれません。

しかしアンコールでの森さんは違っていましたね。 熱く燃えたぎるようなフィンランディア。
冒頭の低音金管楽器の底鳴り、ティムパニの重い打音。 しかしキレ良く音楽をドライブしてワクワクドキドキ・・・ 満足感を持って演奏会場を後にすることが出来ました。
今回のオール・シベリウス・プログラム。 大満足でした。

演奏された皆さんお疲れさまでした。 無料での素晴しい演奏会を有難うございました。
今後のご活躍も期待しています。


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2014年09月01日

第4回 ホール・バルティカ演奏会

日時:2014年8月31(日) 15:00開演(14:15開場)
場所:兵庫県立芸術文化センター・KOBELCOホール

曲目:ヘンデル/オラトリオ「メサイア」

独唱:内藤里美(S)、野上貴子(A)、山本康寛(T)、井上敏典(Br)

合唱:ホール・バルティカ

チェンバロ:吉竹百合子

管弦楽:セント・マーティン・オーケストラ

指揮:河崎 聡

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P8318089 posted by (C)fronte360

「バルト海の合唱団」という意味を持つ合唱団ホール・バルティカ。 昨年3月の第3回定期演奏会・ハイドン/オラトリオ「天地創造」以来、1年半をかけてヘンデルのオラトリオ「メサイヤ」に挑戦。 メサイヤというと、グーセンス編曲の豪華絢爛たる演奏(ビーチャム指揮ロイヤルフィル)が浮かんでしまう輩なのですが、今回はノヴェロ社のショー版を使われていたのでしょうか、真摯でスピード感のある演奏に接し、やはり「メサイヤ」っていい曲なのだな、と今更ながら心奪われました。

管弦楽を受け持っているセント・マーティン・オーケストラの音楽監督である河崎聡さんが、この合唱団も指導されています。 当然のことながら、一体感のある演奏となっていましたが、オーケストラは対向配置とし、弦楽器を 6-5-5-4-3 に絞り込み(しかも多くの場合では 5-5-3-3-2 になっていたようですし、ヴィオラが出番の無い場面も多くありました)、ノン・ビブラートのピリオド奏法を採られていたようです。 全曲、少ない低弦がしっかりと曲の下支えをし、キレの良いスピード感のある演奏としていたのに好感が持てました。

今回も合唱団がよくコントロールされてパワフルな歌唱が素晴しかった。 そして何より、ここでも河崎さんのコントロールが良く効いていました。 各パートの纏まりやパート間の連携、そしてオケとの連携も良く、合唱もまたスピード感を感じる歌声でドライブされていて、魅了されました。 やや絶叫調に聴こえた部分も無くはなかったけれど、基本的に響きの角を取ったやわらかな響き。 これに真摯さや弾力、スピード感が加わったという印象。 特筆したいのは全休止となった時、ピタリと決まって合唱団の残響がホールに響いていたのが素晴しかった。 感動を大きくしました。

独唱陣の皆さんも声質の揃った人選としていたのでしょうね。 皆さん、やはり声の響きの角が取れ、まろやかさが特徴的でした。 ソプラノの良く透って可愛らしくも暖かな声がとても魅力的。 うっとりしました。 そしてアルトは深く響かせたときの表現力の豊かさが見事でした。 テノールは何より艶のある声、立ち姿も綺麗で冒頭より魅了されました。 ただしバリトンは声量もあって声もよく届きましたけれど、発声がやや不明瞭であったのでしょうか、掴みどころがなくてちょっと残念でした(偉そうにすみません)。

前回演奏会のプログラムがハイドン「天地創造」、マイナーだったからでしょうか、演奏会場となった吹田メイシアターには半分ほどの入りだったのでとても残念でしたが、今回は1階席はほぼ満席、2階席もまた8割ほど入っていたのではないでしょうか。 綺麗なホールで大入りのお客さんとともにメサイヤを楽しみました(隣のご婦人は時おり小声で歌っておられましたし、通路反対側のご老人はハレルヤコーラスで国王陛下のように起立しておられました)。

次回はやはり1年半後の2016年2月14日、ザ・シンフォニーホールでオルフ「カルミナ・ブラーナ」に挑戦されます。 好きな曲ですので楽しみにしたいと思います。 演奏に係わった皆さまお疲れさまでした。


posted by fronte360 at 20:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 14-演奏会にて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする