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CD棚をひっくり返していたら、フィリップスの輸入廉価盤 CONCERT CLASSICS のCDも出てきました。 1990年頃、堂島ワルツ堂などでせっせと発掘して購入したものです。 その中よりヨーゼフ・クリップスが最晩年にコンセルトヘボウを振って録音したモーツァルトの交響曲選集。 実際は6枚あるようですが、その中の3枚のみ捕獲しています。 久しぶりに聴いて、典雅なモーツァルトの世界にどっぷりと浸かって幸せになりました。
1902年、ウィーンで生まれたヨーゼフ・クリップス。 ワインガルトナーの助手として入ったウィーン・フォルクスオパーを皮切りに各地の歌劇場で腕を磨き、ウィーン国立歌劇場の常任指揮者に。 しかしユダヤ系だったのでオーストリア併合後に退去させられましたが、1945年戦後いち早くウィーン楽壇に復帰。 戦後第1回となるウィーンフィルのニューイヤーコンサートを指揮するなど、疲弊したウィーンの音楽界の復興に尽くすものの、若手の台頭によって次第にウィーンの活動が減ってしまいました。 以降、ロンドンやアメリカなどに活躍の場を移すもの、短期間で任地を移り変わったこともあり、人気指揮者にはなれなかったと思いますが、ウィーンの伝統を受け継ぐ存在として「今なお根強いファンが存在する」(Wikipedia)とのこと、当方もその一人です。
有名曲、第40番・第41番は、NAXOS MUSIC LIBRALY でも聴けますが、テンポが遅く、逐一噛んで含めるような丁寧な進行、声高になることなくサラっと進めてゆきますので、初めての人は「なんだ」と思われる方も多いのではないでしょうか? 実は当方もそう思っていた時期が長く、主に第30番・第33番・第34番のCDを愛聴し、その颯爽とした演奏に心躍らされていました。
しかしよく聴き込むと、低弦をベースに、すべての楽器の旋律が綺麗に鳴り、それぞれの表情が微妙に変化してゆくのが聴きとれると思います。 実に優雅、繊細かつエレガントな演奏なのです。 第40番の第1楽章、第41番の終楽章など、これまで聴きなれた旋律を頭で再現しながら聴いていると、なんでもっと強く激しくしないの、と欲求不満になるかもしれませんが、虚心に音楽を聴き進めてみてください。 これまでと違った上品な音楽が心に届くことでしょう。
録音もいいですね。 コンセルトヘボウの洗練された美しい響き、残響を伴って絡み合うのがよく分かります。 木管楽器がほんと綺麗。 弦アンサンブルも颯爽としていますが、意外にもコントラバスの響きがしっかりとしている骨太な音楽です。 でもね、少しも重さを感じさせることはなく、まさに歌劇場叩き上げの職人技じゃないでしょうか。 今回聴きなおした中では、個人的に第34番がとても素晴らしい演奏だと思いました。
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モーツァルト/交響曲第30番 ニ長調 K.202
モーツァルト/交響曲第33番 変ロ長調 K.319
モーツァルト/交響曲第34番 ハ長調 K.338
モーツァルト/交響曲第39番 変ホ長調 K.543
モーツァルト/交響曲第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」
モーツァルト/交響曲第40番 ト短調 K.550
モーツァルト/交響曲第32番 ト長調 K.318
モーツァルト/交響曲第38番 ニ長調 K.504 「プラハ」
ヨーゼフ・クリップス指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1972年6月(交響曲 39-41)、1972年11月(交響曲 38)、
1973年6月(交響曲 30,32,33)、1973年9月(交響曲 34)
2020年06月05日
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