このところちょっと渋めなオトマール・スィトナーを聴いてきましたが、圧倒的な演奏へと回帰、カラヤン指揮によるベルリン・フィルの演奏よりメンデルスゾーンの交響曲全集。 CD−3です。
メンデルスゾーンの交響曲というと、第4番「イタリア」が有名で、続いて第3番「スコットランド」というイメージでしょうけれど、カラヤンのこのCDでは、この2曲は個人的にはあまりお薦めしません。 と書きましたが、決して悪い演奏ではなく、これまで書いてきたような重量感を持ったベルリン・フィルの響きによる豊穣な「スコットランド」、豊麗な「イタリア」です。 これが個人的な嗜好とちょっとズレているだけで、カラヤンの特質を出している巧い演奏には違いありません。
第3番「スコットランド」、第1・3楽章を遅いテンポで豊穣な響きで連綿と歌い込んでゆきます。 特に第3楽章はオケが止まりそうなほど遅いのが印象的です。 これと比した第2・4楽章の力感を持った響きが怒涛のように迫ってきます。 重厚な響きにスピード感があって、さすがベルリン・フィルとうなってしまいます。 この曲については、もうちょっとしみじみとした感じが欲しいんですけどね。
第4番「イタリア」、この曲についてはもっと颯爽として駆け抜けて欲しいのですけれど、カラヤンは冒頭より艶やかでゴージャスな響きを駆使して歌い繋いでゆきます。 第2・3楽章はやや遅めのテンポでじっくりと歌い、終楽章では緻密に響き合せた力感のある演奏として、巧いオーケストラの演奏を堪能できます。
ということで全曲を何度も聴きましたけれど、好みはあろうとも、いずれの曲もメンデルスゾーンがベートーヴェンの後継者としての位置付け、後期ロマン派への橋渡しを担っている、そんな魅力が分かる交響曲全集であると思いました。

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CD−1
メンデルスゾーン/交響曲第1番 ハ短調 Op.11
メンデルスゾーン/交響曲第5番 ニ短調「宗教改革」 Op.107
CD−2
メンデルスゾーン/交響曲第2番 変ロ長調「讃歌」 Op.52 -*
CD−3
メンデルスゾーン/交響曲第3番 イ短調「スコットランド」 Op.56
メンデルスゾーン/交響曲第4番 イ長調「イタリア」 Op.90
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
エディト・マティス(S) -*、リゼロッテ・レープマン(S) -*、
ヴェルナー・ホルヴェーク(T) -*
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団 -*
録音:1971/1(3,4番),1971/2(5番),1972/9(2番),1972/11(1番)
ベルリン・イエス・キリスト教会