このところちょっと渋めなオトマール・スィトナーを聴いてきましたが、圧倒的な演奏へと回帰、カラヤン指揮によるベルリンフィルの演奏よりメンデルスゾーンの交響曲全集です。
メンデルスゾーンの交響曲というと、第4番「イタリア」が有名で、続いて第3番「スコットランド」というイメージでしょうけれど、カラヤンのこのCDでは、この2曲は個人的にはあまりお薦めしません。
第1番、第2番「讃歌」、第5番「宗教改革」がお薦め。 この3曲、あまり目立った曲ではありませんが、いずれも堂々たる演奏です。
第1番、メンデルスゾーンが15歳の1824年に書かれた曲ですが、カラヤンは、BPOの重厚な弦楽アンサンブルを駆使、巨匠の音楽を聴いているようです。
メンデルスゾーンはご存知のとおり神童、1821〜23年にかけて、既に弦楽のための交響曲を12曲も作曲し、この曲は当初第13番とされたとおり、弦アンサンブルの妙が随所に聴かれます。 しかも1970年前後の分厚いベルリン・フィルの弦を駆使したカラヤンの絶妙な棒が冴え渡っています。
終楽章、フーガのように畳み掛ける場面など圧巻、興奮します。
第5番「宗教改革」、熱心なルター派の信者であったメンデルスゾーンがルーテル教会300周年を記念して書いた曲(でも300年祭には間に合わず)、何度か演奏し手を入れたそうですが、本人は曲の出来には納得できなかったそうですね。
カラヤンは覇気を持ってベルリン・フィルを駆使してこの曲を立体的に鳴らし、立派で堂々たる演奏としています。
第1楽章冒頭、祈りに似た厳かな曲の流れ、陰影をつけながらもたっぷりと、難しい部分ですがさすが聴かせ上手やなと感心。 そして力強い主題提示、展開部をスピード感で興奮させたあとじっくりと「ドレスデン・アーメン」
そしてまた次第に熱く燃える音楽としての着地。 力入ります。
第2楽章以降もチャーミングな木管、腰の据わったベルリン・フィルの弦楽アンサンブルによって起伏を持たせた音楽とし、駆け抜けます。 うん、聴きごたえ充分です。

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CD−1
メンデルスゾーン/交響曲第1番 ハ短調 Op.11
メンデルスゾーン/交響曲第5番 ニ短調「宗教改革」 Op.107
CD−2
メンデルスゾーン/交響曲第2番 変ロ長調「讃歌」 Op.52 -*
CD−3
メンデルスゾーン/交響曲第3番 イ短調「スコットランド」 Op.56
メンデルスゾーン/交響曲第4番 イ長調「イタリア」 Op.90
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
エディト・マティス(S) -*、リゼロッテ・レープマン(S) -*、
ヴェルナー・ホルヴェーク(T) -*
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団 -*
録音:1971/1(3,4番),1971/2(5番),1972/9(2番),1972/11(1番)
ベルリン・イエス・キリスト教会