日時:2020年2月23日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:いたみホール・大ホール
曲目:サン=サーンス/歌劇「サムソンとデリラ」より「バッカナール」
チャイコフスキー/バレエ組曲「白鳥の湖」より
「情景」「ワルツ」「白鳥たちの踊り」「ハンガリーの踊り」「終曲」
ラフマニノフ/交響曲第3番
(アンコール)ラフマニノフ/ヴォカリーズ
指揮:白谷 隆
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キビキビとオケをドライブする白谷さん、よく訓練されたオケが白谷さんにきちんと反応していました。 ソノリテ、その名のとおり響きの美しさも特徴的ですが、キレよくスピード感も十分にある演奏会を楽しみました。
サン=サーンスの「バッカナール」、白谷さんが大きく振りかぶって、ふわっとした響き、オーボエの凛とした響きによる上々の滑り出し。 金管も華やかで、弦アンサンブルもよく揃って艶やかです。 エキゾティック感もよく出ていました。 個人的にはもうちょっとエロっぽさが欲しかったかな。 カスタネット、女性奏者が台に右足を載せ膝のちょっと上あたりで叩いていたのも印象的でした。 活気ある音楽とした後半、ホルンの斉奏もパワフル、そしてぐぃっと盛り上げての着地。 聴きごたえ十分でした。 大きな拍手が沸きました。
続いて、チャイコフスキーのバレエ組曲「白鳥の湖」より5曲。 まずはお馴染み「情景」は、冒頭のオーボエの好演、瑞々しいハープ、情感たっぷりな見事な滑り出し。 壁のように響くホルンの強奏、弦アンサンブルは時に強く、時にしなやかに。 急激に盛り上げてパワフルな着地。
「ワルツ」、太い響きのピチカート、おちついた弦アンサンブル。 ちょっと艶消し気味の響きが上品です。 大きくうねるように盛り上げて、ぐっとこらえてはじけるようなたっぷりとした響き。 よかったですね。
「白鳥たちの踊り」、ファゴット裏で吹くクラリネットやフルートも美しく、上々の開始。 そんな木管と弦アンサンブルが艶やかに絡んで素敵でした。
「ハンガリーの踊り」、メリハリの利いた音楽、ここでも聴かせ上手な白谷さんの本領が発揮され、オケもそれによく応えてました。 引き締まった金管、力強い幕切れでした。
「終曲」、各パートがよく纏まって、引き締まった開始。 そのまま緊張感を保ったままティムパニも加わって雄大な音楽。 あまりの盛り上がりにティムパニ奏者の手よりマレットがこぼれてタイコの上をポンポンポンって転がりましたけど、態勢に影響なし(それほど力入っていたのでしょうね)。 急激な盛り上がりのあとはたっぷりとしたさせ、聴かせ上手な白谷さんですね。 各ソロにスポットライトを当てるような感じですが、オケもそれに応えて見事なソロを展開。 最後は落ち着いて、ぐっと底力をこめた演奏として全体を締めました。 ここでも大きな拍手。
15分間の休憩のあと、ラフマニノフの大曲・難曲でもある交響曲第3番。 こちらも白谷さんの指揮の元、オケの皆さんの好演が随所に光っていましたが、すみません、何故か曲全体としての印象が薄く感じた演奏でした。 終演後の会場からの拍手も、前2曲に比してちょっと少なかった印象。 皆さん曲を知らないってこともあるでしょうけれど、終演後のスピーチで白谷さんが、様々に絡み合っていて、とても難しい曲だと言われていましたように、個々の場面場面はよくできていても、全体でのまとまり感が希薄だったのかもしれません。 部分最適が全体最適にならなかった、ということかな(偉そうにすみません)。 これは指揮者の責任でしょうけれど。
第1楽章、クラリネットの太い響き、重厚な序奏より、オーボエ、ファゴット、第2ヴァイオリンと主題を繋ぎ、たっぷりとしたチェロによる第2主題。 シンフォニックな展開をキレよく進めます。 高音弦の数が少ないからでしょうか、もうちょっと粘り気あると、懐かしさも醸し出されたのかもしれませんね。
第2楽章、ハープの響きに乗せてホルンの遥かな響きで始まり、コンマスのソロがとても巧かったですねぇ。 情感漂う開始でしたね。 フルートやバスクラリネットも素敵でした。 中間部は活気のある演奏、突き抜けるミュート・トランペット、テキパキと進めてゆきます。 皆さん熱演なんですけど、全体としていまいちドラマを感じないのね。
第3楽章、スピード感を持った開始。 トランペットが雄弁でした。 第2主題も熱っぽく、白谷さんがキビキビと曲を進め、オケもよくそれに応えてました。 大太鼓入って重い響きがズシリ。 どこかアメリカンな響きによる演奏として、スピードアップ、パワフルに締めくくりました。
アンコールは「ヴォカリーズ」、懐かしさをたっぷりと含んだラフマニノフらしい粘り気のある美しい演奏としてお開きとなりました。 メインの曲が交響曲第2番だったら、もっと違った印象の演奏会になっていたかもしれませんね。 でもみなさん巧かったですよ。 お疲れさまでした。
2020年02月29日
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