日時:2020年2月16日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:いたみホール・大ホール
曲目:オッフェンバック/「天国と地獄」序曲
伊福部昭/交響譚詩
シューベルト/交響曲第8番ハ長調「ザ・グレート」
(アンコール)シューベルト/「ロザムンデ」より間奏曲第3番
指揮:佐々木宏
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天国的な長さとも称される「ザ・グレート」が秀逸でした。 何より常に締まった低弦がビシッと曲を支えていたのが良かった。 指揮者の佐々木さんがコントラバス奏者だからでしょうか。 芯がしっかりと通った上で、栄嶋さん率いる高音弦がアグレッシブかつ艶やかに、木管はチャーミングに美しいシューベルトの旋律を歌う。 すっかり魅了されました。 もちろん堂々とした金管ファンファーレ、ティムパニも落ち着いてしっかりと持ち場を守り、また打楽器扱いで見せ場のないトランペットもまた良い味を出して吹いてましたね。 いつまでも聴いていたかった「ザ・グレート」でした。
第1楽章、冒頭ホルンこそ慎重でやや手探りな感じは否めませんでしたが、頑張って乗り切ってからは艶やかな弦とチャーミングな木管が歌って惹き込まれました。 たっぷりと弾く栄島さん率いる高音弦や、しっとりしたヴィオラも素敵でしたが、5本ながらコントラバスがしっかりと曲を支えていて、また時にはぐぃっと切り込んで来るのに耳を奪われました。 以降ず〜っと低弦を主に聴いていたといっても過言ではありません。
第2楽章、やや音量が大きめのスタートでしたが、ここはオーボエ、クラリネットなど木管アンサンブルが大健闘。 さわやかでした。 そしてしっとりとした弦アンサンブル、第2ヴァイオリンも頑張ってましたね。 そしてここでもコントラバスが見事に会話をしていたのに魅了されて、たっぷりとシューベルトを味わいました。
第3楽章、重厚な弦とチャーミングな木管が交差するスケルツォ。 生き生きとした音楽ですが、ここでも低弦は表面にこそ立ちませんが、裏でしっかりとした良い味を出し、曲を支えてました。 中間部のトリオ、ややもっさりした感じもしましたけれど、主題を戻してからの木管の優雅な響き、力強い弦がまた交差して、力強い着地を見事に決めました。
終楽章、キレよく始まって快活で伸びやかながら、弦アンサンブルはとても力強く、アグレッシブな上々の滑り出し。 低弦ピッカート、まとまり感あってノリも良かったですよ。 時おり重い響きで打つティムパニも曲をしっかりと支えてました。 安定した土台にのって、音楽が延々繰り返され、雄大な音楽が素晴らしい。 そして畳みかけるように切り込んで、更に盛り上げてゆきましたが、最後は佐々木さんが腕をくるっと廻し、すっとした着地。 最近の解釈みたいですね。 スケール感も十分で覇気ある演奏に大満足しました。
アンコールのシューベルトの「ロザムンデ」間奏曲第3番、こちらも美しい演奏でしたね。 たっぷりとシューベルトを堪能させていただきました。 しあわせ。
これに先立って、冒頭のオッフェンバックの「天国と地獄」序曲、華やぎを感じさせた演奏でした。 何より栄嶋さんのソロ、ちょっと粘りつくような美音が耳に残りました。 オケは真摯でキレの良さと引き締まったダイナミズムを持った前半。 後半のお馴染みの運動会のメロディでは軽やかかつ迫力も秘めたしっかりとした演奏としていました。 運動会のメロディになると佐々木さん、ほとんど棒を振らず嬉しそうにオケを見て、オケを走らせておられました。
伊福部昭の交響譚詩は、総力戦ながら先ほどのキレの良さをそのままにしてストレートに進めた第1譚詩。 タイトに引き締めながらも渋い響きで彩った第2譚詩もまた総力戦。 オケの皆さんの真摯な気持ちが前向きに伝わってきた演奏でした。 とてもしっかりとした演奏で、芯のある低弦、突き抜ける金管、渋いヴィオラ、最後のしみじみとさせたコールアングレなどなど、とても巧くまとまった印象ですが、う〜ん、伊福部らしい土俗さが少々洗練されたなぁ、と少々欲張ってしまったりもした演奏でした。 偉そうにすみません。
とにかく、新型コロナウィルス騒ぎが続くなか、素敵な音楽に出会えて免疫力が高まりました。 ありがとうございました。 そして皆さんお疲れさまでした。
2020年02月23日
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