2017年12月13日

奈良女子大学管弦楽団 第47回定期演奏会

日時:2017年12月10日(日) 13:30開演(12:30開場)
場所:奈良県文化会館・国際ホール

曲目:ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲
   ブラームス/悲劇的序曲
   ドヴォルザーク/交響曲第8番
(アンコール)ドヴォルザーク/スラヴ舞曲 op46-8

指揮:木下麻由加

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木下麻由佳姐さんと奈良女オケのコンビを聴くのはこれで4回目かしら。 毎度このオケの良いところを自然と引き出す手腕に感心していますが、今回もまた堂々としたワーグナー、覇気あるブラームス、そして歌謡性を保ちつつも衣の下にはしっかりとした構成感を持って届けられたドヴォルザーク、これに特に感嘆しました。

ブラームスは一点一画をきちっと積み上げていけば「らしい」音楽になると思いますが、ドヴォルザークは一筋縄ではいかないリズムと親しみやすいメロディが特長。 木下さんはしっかりと読み込まれたスコアをもとに、押しては引き、緩急もつけて曲を進めます。 そして要所要所でオケが持っている力を信頼し本当に巧く力を引き出している。 奏者の方はそんな木下さんに従ってゆけば持っている力を自然と前向きで出す。 そんな構図かな。 とにかく前向きな音楽を聴いていると気持ちが良くなります。 失敗を恐れて安全運転に徹した音楽、失敗しないよう抑制かけた音楽なんて聴いていても面白くないですものね。 かといって、勢いに任せてオケをノセているのともまったく違う。

そんな意味でもドヴォルザークの交響曲第8番がとても聴き応えのある演奏でした。
美しい旋律、ソロも満載な曲ですが、オケの力量というか楽器の質もあるのでしょうけれど、全体的に朴訥とした素朴な響きで纏められていたのが印象的でした。 冒頭のフルートからピッコロ、終楽章のトランペットなどには艶も感じましたがごくあっさりとしたもの。 終楽章のチェロによる主題呈示など(豊穣な響きではなかったけど)しみじみとした響きでしっかりと音が出ていました。 全体とよくマッチしてましたよ。 そうそう第2楽章のコンミスのソロも可憐な響きでした。 機動的なアメリカのオケではなく、一時代前の東欧のオケのような誠実な響きでしたね。 しかしフィナーレ、精力的で迫力も持ち合わせた響きとしましたが、勢いに任せて飛ばすようなことはなく、しっかりと地に足をつけての演奏。 味わい深さをも備えてのフィニッシュとしました。 常に理性的、上品な音楽造りで、気持ちのいい演奏でした。

冒頭のマイスタージンガーの前奏曲、木下麻由佳姐さんと近畿フィルのコンビでも先日聴いたばかり。 たっぷりとしたオケの響きに低音金管や低弦の響きをしっかりと絡ませていたのは同じ。 刺激的な響きはなく、肌触りの良さと見晴らしの良さが先に立つ演奏でしたが、その下にはしっかりとした構成感。 必要以上な虚勢を張ることなく、かといってこじんまりと纏まる事のない、身の丈をきちんと意識した雄大さを示した佳演。 こちらも先日と同じ感じでした。

ブラームスの悲劇的序曲、冒頭より鋼のような強靭さとキレある響きでぐいぐいと進めていったのが印象的。 前曲のワーグナーより音量が大きかったようにも感じました。 集中力の高さが違っていたのかもしれません。 キレだけでなく粘り、ぐっと木下さんが踏み込んでオケから強い響きと緊張感を引き出します。 でもここでも勢いに任せるのではなくて、一音一音にしっかりと意味がある。 オケには事前にそれらがしっかりと浸透されていたうえでの熱演ですね(指揮棒を飛ばしてしまって途中から手での指揮となりましたが全然影響なし)。 とにかくテンションの高い熱演で、緊張感を持たせた演奏でしたが、あざとくならないのは常に真摯なオケの姿勢によるところ大だったと思います。 パンフレットに書いてあった「力強く、挫折せずに生き抜いていく」まさにそんな意思をオケの演奏より感じました。

アンコールはスラヴ舞曲より8番、さすが練習量が違うのでしょうね、勢いはあってもやや大づくりの音楽での大団円。 こちらは景気づけと理解しました。
次回のスプコンは団内指揮者による学内演奏会となるようですね。 オケの自力をつけるのには良いかもしれません。 でもまた木下麻由佳姐さんとの演奏会も期待します。 皆さん良い演奏ありがとうございました。 お疲れさまでした。




posted by fronte360 at 05:00| Comment(0) | 17-演奏会にて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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