日時:2013年10月14日(月・祝) 14:00開演(13:30開場)
場所:枚方市民会館・大ホール
曲目:モーツァルト/歌劇「劇場支配人」序曲
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調
チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調 -*
(アンコール)マスネ/歌劇「タイス」より瞑想曲
(アンコール)マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲 -*
独奏:池川章子(vn)
指揮:生島 靖、谷村 浩-*
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普段は大人しい指揮をされる谷村さんの印象ですが、その谷村さんが両足を踏ん張って腕を大きく上下に振り、時に左腕をぐるりと回し、そして指揮棒を持った右手を前に突き出して力を込めていました。 オーケストラの各メンバーもそれに応え、全身全霊でもって振り絞るように、またじっくりと噛み締めるようにして音を出していたチャイコフスキー交響曲第5番のフィナーレ。 学生オケの定番曲として、若さを武器に大いに盛り上がる曲ですけれども、それとは一味も二味も違った深い印象と感動を覚えた演奏でした。
一所懸命・・・ 学生オケとて同じでしょうけれども、制約の多い社会人であるからこその本番にかける意気込みの強さ。 しかしそれが決してすべてが成功するとは限らないけれども、幾多の人生の困難を乗り越えてきた社会人だからこそ、成しえる芯の強さでしょうか。 念を押したかのような、ダ・ダ・ダ・ダンッ、とした堂々のエンディングにそれを想いました。 そして熱い拍手の渦。 一緒に大きな拍手を贈りました。
これに先立って演奏されたサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番は、柔のソリスト池川章子さんと剛のオーケストラの対比。 第1楽章のソロとオーケストラが呼応しあってゆくのに身を任せ、優しいメロディがたっぷりと楽しめた第2楽章ではオケは重心の低い太い響きでゆったりと。 アタッカで入った第3楽章、指揮者の生島さんの軽いハナ息が聞こえる場面もあって、真摯な音楽となった場面もありましたけれど、池川さんは終始伸びやかで落ち着いた美音で応えていました。 終演、暖かな拍手で会場中が包み込まれました。
ここでのアンコールは、マスネのタイスの瞑想曲。 オーケストラも柔らかで可憐な優しい響きとなって、池川さんのソロともに夢見るようなファンタジーの世界を演出。 ステージ上の世界だけでなく、客席をも包み込んで、音楽が聴き手にもすっ〜と中に入ってくるような一体感を覚えました。
アンコールについてはあまり書かないのですけれど、メインのチャイコフキーの交響曲第5番のあとのアンコール曲、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲もとても美しかったですね。 透徹した近寄り難い美しさとは違って、すぐ身近に感じられるような美しさ、ハートフルな美しさに心曳かれました。
なお冒頭の歌劇「劇場支配人」序曲は、明るく快活な演奏でした。 ヴァイオリンのアンサンブルなどややガサついた響きはしたものの、何故だか楽しく感じさせる演奏となって、終演後もしばらく主題を口ずさんでしまうほど印象に残りました。 巧い下手とは次元の違う演奏の楽しさをここから既に体得していたのかもしれませんね。
あと演奏とは違いますけれど、チャイコフスキーのフィナーレの部分、丸坊主にした小学校低学年のおぼしき少年が、嬉しそうな表情で両手を振って指揮しながら聴いていました。 また別のご家族のやはり小学校低学年の少女二人は、この曲までは大人しく観ていたのにこのフィナーレでは身体をねじって座席に埋もれるようにしていました。 勇壮な曲は好きではないのかな。 疲れたのかな。 それでも終演時には背筋を伸ばして拍手をしていて立派でした。 演奏中はちっとも騒がず、偉い子供たちを久しぶりに見ました。 このような子供たちがクラシック音楽の次世代を担ってゆくのですね。 未来は明るいかも。
いつもながら枚方フィルの演奏会では色々な発見ができ、考えさせられます。 とにかく演奏された皆さんお疲れさまでした。 有難うございました。
2013年10月15日
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