コンサートホール・ソサエティ盤大会・番外編
フランスのバルビソンの森でしょうか、薄日の差し込むモノクロ写真が素適。
ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」作品68
パウル・クレツキ指揮 フランス国立放送局管弦楽団
P4063926 posted by (C)fronte360
チェコフィルを振ってベートーヴェンの交響曲全集を録音したクレツキですが、
コンサートホールには、フランス国立放送管を振った田園交響曲を残しており、
これがなかなかの名演と思います。
クレツキ/チェコフィルのベートーヴェンの交響曲は定評の高いものですが、
ここでも声高になることなく、特に第2楽章ではフランスのオケらしく
木管楽器がチャーミングに鳴り、それを浮き立たせるような弦の響きなど
見事なバランス感覚で曲を運びます。
第4楽章の嵐の場面もタイトでありながらやはり声高にならず、
かといってメロウな感じでは決してなく、きちんと嵐であったりするので、
やはりバランス感覚に優れていると思います。
自然な流れで終楽章に入り・・・そして解説に書かれているとおり、
永遠なる大自然の懐の中の平和と静かな幸福感を印象づける
そのような隠れた名演であると思っています。
録音はフル・ステレオですが、重量感に乏しいコンサートホールの標準的?
ながら奥行きも感じさせるものです。
ただし手元の盤はやや状態が悪くて(それだけよく聴かれた証左でしょう)
スクラッチノイズがあるのが残念です。 上質な盤を捕獲したいのですが、
時おり見つける中古盤も大抵くたびれた感じになっています。
2013年04月14日
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パウル・クレツキがこういう録音を残していたことは知りませんでしたね。チェコフィルとのベートーヴェンも、地味で目立ちませんが、オケが上手いし、この田園もオケが上手そうですから、個性的な演奏なんではないかと思いますね。この人はただ、メインのレパートリーはなんだったんでしょう。マーラーで有名な演奏を残していますし、ショパンコンクール直後にポリー二がショパンの第1協奏曲を録音した時の指揮者が、たしかこの人でしたよね。器用な人だったんでしょうか。
パウル・クレツキの代表作はやはりチェコフィルとのベートーヴェンの交響曲全集とマーラーの交響曲ではないでしょうか。
クレツキもアンチェルも家族をホロコーストで殺害されてしまうという過酷な人生でしたけれども、演奏される音楽が静かで心優しいものであるのが共通点ではないでしょうか。