バッハから現代音楽まで膨大なレパートリーを誇るとともに、
バッハのオルガン曲全集を3回にわたって制作された不世出のオルガニスト
マリー=クレール・アランさんが26日に亡くなられていました。 享年86歳。
クラシック音楽を聴き始めた頃からすでにエラート盤で活躍されていて
当方にクラシック音楽を教えてくれた先生がまた一人逝ってしまいました。
オルガン独奏のみならずバロック音楽の伴奏にも多数参加されているので
手持ちの盤も多くありますが、偶然手に当たったこれで偲びたいと思います。

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バッハ・オルガン作品集
Side A
トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
フーガ ト短調 BWV578
協奏曲 イ短調 BWV593
Side B
幻想曲とフーガ ト短調 BWV542
パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582
1982年8月録音 サン=ドナ教会 シュヴェンケーデル製オルガン(1970年製)
このレコードの原盤ではアラン自ら曲目解説をされていて
「輝かしい才能を備えた若き音楽家バッハが、壮大な音構成による至高の世界の征服に向かって、どのように成長発展していったかが、この5曲を通してあとづけられる」
と述べられており、バッハの音語法発展の軌跡が読み取れるそうです。
(RVC 12E-1009 解説:植田義子)
当方には語法云々は判りませんが、常に壮麗に響きの中に瑞々しさを感じます。
1979年に2回目のバッハ全集を出した後の新録音、少なく見積もっても3度目、
それでも常に新鮮な響きを導き出しているこれらの演奏によって、
アランとJ.S.バッハの偉大さを改めて知ることが出来ました。
中でもフーガ ト短調、俗に「小フーガ」と呼ばれる美しい旋律の名曲ですが、
その旋律が端正に模倣されるなかに潜んでいる深遠さに心を揺さぶられました。
ご冥福をお祈りいたします。