ステレオ・サブ・システム稼動記念、コンサートホール・ソサエティ盤大会。
荒涼たる草原に曇り空、木立の向こうは湖沼でしょうか、シックな写真です。
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 作品13「悲愴」
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第19番 ト短調 作品49-1「ソナチネ」
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 作品53「ワルトシュタイン」
リリー・クラウス(p)
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モーツァルトの名演奏家として知られたリリー・クラウスですが、
コンサートホール・ソサエティにはベートーヴェンのソナタも残していて、
きりっと引き締めつつも女流演奏家らしい表情が垣間見える演奏です。
「悲愴」の第2楽章など、リリーらしさが滲み出ているでしょうか、
しっかりとした造形美の隙間より魅せる愛らしい表情が素適です。
ピアノ曲は門外漢ではありますが、「悲愴」については、このところ、
ゼルキン、アラウも聴いていて、朴訥としたゼルキン、情熱的なアラウ、
そんな風に思っていましたので、リリーについては上記のように思ったしだい。
19番「ソナチネ」は耳馴染みの無い曲ですが、弟子のレッスン用の曲らしく、
弟のカスパールが無断で手稿を楽譜商に手渡したため、出版されたとのこと。
リリーはこの曲をとても丁寧に演奏して、ベートーヴェンらしさを失わず、
聴き応えの小品として、端正に弾き込んでいるようです。
「ワルトシュタイン」も強靭さや尊大さをやたら強調することはなく、
端正な演奏で、じっくりと聴きたい秋の夜長に似合っているかもしれません。
録音年代は不明ですが、上質なステレオ録音です。
ジャケットに「ノイマン SX-68 カッター・ヘッド使用」と書かれています。
2012年10月21日
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