「室内楽は老後の楽しみ」と若いときには嘯いていて
マーラーなどの交響曲や大規模管弦楽曲ばかり聴いて喜んでいましたが、
最近はモーツァルトと宗教曲と室内楽が中心になりつつある現状であります。
演奏会の予習も当分なくなったので、通勤時の音楽はもっぱら室内楽となり、
最近のお気に入りの一つがコレです。
シューマン/ピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲
ペーター・レーゼル(p)、ゲヴァントハウス弦楽四重奏団
このCD、1994年発売の徳間音工のドイツ・シャルプラッテン・シリーズV、
ブロムシュテッドのシューベルト交響曲全集、ヘルビッヒのハイドン交響曲集、
スィトナーのドヴォルザーク交響曲全集などが出て、次々にこれらを捕獲し、
その時についでにコレも買いましたが、今また新たに聴き始めた感じ・・・
P9281896 posted by (C)fronte360
シューマンの「室内楽の年」として知られる1842年、
クララと結婚して2年、クララとともにバッハの平均律クラヴィーア曲集や、
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を研究・分析をしたそうで、その結果として、
この年に3曲の弦楽四重奏曲とピアノ五重奏曲、四重奏曲が生まれたそうです。
ピアノ五重奏曲、弦楽四重奏にピアノという編成、これまでにありそうで無く、
シューベルトのピアノ五重奏曲「鱒」はコントラバスの入った編成で、
この編成で名を残す曲としてはシューマンが最初であるようです。
弦楽四重奏は、ベートーヴェンの時代には「賢者の会話」とも言われていて、
完結した楽器編成であったからでしょうかね。
さてこのピアノ五重奏曲、シューマン好きにとっては一筋縄でいかない魅力・・
とでも言うのかな、ちょっと分厚い響きの中にシューマンらしい詩情が、
現れては消えて、また顔を覗かせる、そんな感じですね。
気分も安定していないようにも思えるのがシューマンらしさかな〜
などと思いながら、けっこう面白く聴いています。
それに比してピアノ四重奏曲、五重奏よりも完成度は落ちる・・・
これが一般的評価であるようですが、よりスッキリと見晴らしが良くなって、
個人的にはこの曲の方が、好きです。
特に第3楽章のアンダンテ・カンタービレの美しさに感嘆しました。
今さらではありますが(今まで何を聴いていたんだろう・・・とも)。。。
メロディの美しさも特筆すべきですが、楽器間の会話、受け渡しが素晴らしい。
ヴィオラ、チェロの落ち着いた響きで歌い、ピアノとヴァイオリンが絡んできて、
感涙ものでした。 これほどに美しい曲があったのか、とも。
演奏の良し悪しまでは言及できるほど他の演奏を聴いていませんが、
ズスケ率いるゲヴァントハウスSQは、誠実でしなやかさも持ちあわせていて、
正統的なドイツの演奏と言っても良いのではないでしょうか。
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2012年09月28日
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