ウィルヘルム・ケンプによるベートーヴェン「皇帝」第2楽章を聴いています。
伴奏はオランダの巨匠パウル・ファン・ケンペン指揮によるベルリン・フィル、
1953年録音によるモノラル盤、グラモフォン・スペシャル(\1,300円盤)です。
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飾り気のない質実とした美しさをたたえた名演であると思います。
第3楽章に流れこむあたりの間合いの取り方、ちょっと息をのむほどで、
その第3楽章での強い打鍵、推進力、変幻自在な演奏に圧倒されてしまいます。
ケンペン指揮によるベルリンフィルもちょっとささくれだったような響きがし、
質実とした昔のベルリン・フィルの響きもまた雰囲気のよくあったサポートです。
雄渾という表現がいいかしら。
あまり話題に上る演奏ではないと思いますし、
技巧的な巧さはありませんけれど、味わいのある演奏で大変気に入っています。
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2011年04月03日
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パウル・ファン・ケンペン!、懐かしい名前ですね。この人は確か、ステレオ録音が始まる前に亡くなっちゃったんで、一般にはCDは出ていない人ですね。それにグラモフォンとEMIはステレオ録音の認識が甘かったようで、1958年からステレオ録音を始めたため、たとえばシューリヒト・パリ音楽院菅のベートーヴェン全集(第9だけステレオ)とか、ベーム・ベルリンフィルのブラームス#2など、おやっと思う時期の録音がモノラルですからね。そうでなければパウル・ファン・ケンペンの録音もステレオで出ていたかもしれないのにね。
パウル・ファン・ケンペンもウィルヘルム・ケンプもともに、戦犯として戦後活動を狭められたこともあってか、両者によるこの演奏はがっぷりと組んだ素晴らしい演奏であるように思います。
CD化もされているはずですが、おっしゃられるとおりステレオ録音ではありませんよね。 残念ですが、モノラル録音であっても抜けのクリアな良い音で、歴史的録音のような感じじゃなく、普通に耳にすることができます。
グラモフォンなど敗戦国ですから、資金のかかるステレオ録音には躊躇していたのかな〜 なんて想像します。