日時:2010年10月31日(日) 13:30開演(13:00開場)
場所:すみだトリフォニーホール・大ホール
曲目:マーラー/さすらう若人の歌
(アンコール:マーラー/不思議な子供の角笛
〜「高き知性への讃歌」
マーラー/交響曲形式による音詩「巨人」(1893年ハンブルグ稿)
独唱:小松英典(Br)
指揮:山田和樹
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マーラーの交響曲第1番の原型といえる交響曲形式による音詩「巨人」(1893年ハンブルグ稿)の演奏会があるので、こちらに来て初めて、すみだトリフォニーホールに行ってきました。
オーケストラも指揮者も初めての、山田和樹指揮日本交響楽団。 素晴らしい集中力による演奏と熱気、特に「巨人」のフィナーレに感動しました。 新日本交響楽団、素晴らしい技量を持ったアマチュアオーケストラですね。 管楽器も素晴らしかったけど、中低音弦の充実ぶりに目を見張るものを感じました。
交響曲形式による音詩「巨人」(1893年ハンブルグ稿)は、パンフレットによると、日本で4回目の演奏になるとのことです。 そうならば、当方は3回目になる京都フィロムジカ(指揮:金子健志)による演奏も聴いているので、2回目、半分を聴いたことになります。 京都フィロムジカもアマチュア・オーケストラ。 いまだスコアがまともなものではなく、強い志しを持ったアマオケでないと演奏できない、そのような類の曲でもあります。 京都フィロムジカでも書かれていましたが、このオケでも送付されてきたレンタル楽譜より間違いを訂正し、余計な書き込みを排除するなど、ここでも困難を極めていたようです。
それだけに演奏にかける情熱は強いものがあったのだと想像しますが、演奏はクールかつ着実なものでした。 冒頭こそやや緊張気味に思える場面もありましたけれども、基本的な技術力は十二分、しかも各パートの団結力は強いことが印象に残りました。 そして指揮の山田和樹さんのリードにも忠実にそい、見事な見せ場を構築しつつも、けっして前のめりになったり、熱気を引きずることのない、見事な演奏を展開していました。
稿の違いによる聴き所・聴かせ所もありましたが(例えば、第1楽章冒頭の狩のテーマがクラリネットではなくホルンが吹き、バンダのトランペットがステージ上で吹くとか、終楽章のエンディングが4小節長くティムパニと太鼓の連打が長いとか)、それらを置いておいても、やはりオーケストラの健闘ぶりが強く印象に残った演奏会でした。
なお、これに先立って演奏された「さすらう若人の歌」、独唱の小松英典さんの余裕を感じさせる歌唱。 ただ、力が入ると少々声質が硬くなるのは気になりましたけれども、感情を込める声のコントロールが素晴らしかったですね。 オーケストラもまた、やわらかな管楽器、中低音弦が芯になった演奏で充実した響きを堪能しました。
素晴らしい演奏会をありがとうございました。
IMGP2911 posted by (C)fronte360
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2010年10月31日
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早朝覚醒しました…
例の「巨人」の演奏会に行かれたのですね。当方は都合により、結局行けませんでした。良い演奏会だったようで、何よりです。それにしても、アマオケでこれだけ意欲的な取り組みをしているというのは、凄いことですね。見習わなければ…
アマオケだからこそ出来る演奏会も多いと思います。
商業的には成り立ち難い、一般には人気は無いけれども良い曲や、珍しい曲の演奏などなど・・・
またアマオケならではの演奏にかける情熱・熱気もまた、聴き所だと思います。
ルーティン・ワーク化したプロ・オーケストラの演奏ほど聴いていてつまらないことはありませんし・・・
なお、京都の演奏会ですが、12月12日、上記でも書いた京都フィロムジカが、またもや金子健志さんの指揮で、ブルックナーの交響曲第8番・初稿(1887年稿)を関西初演されるようです。
聴いてみたい。
ブルックナーの第8番初稿は、確か第4楽章最後の「ミレド」がないということくらいしか知りません。初稿のCDはインバルとアイヒホルンのCDを持っていますが、いつも一線を越えることはありません(汗)。ちなみに、ブルックナーの第8番(ハース版)を来週末に高関健さんと日本フィルの演奏で聴いてきます。気合いを入れて、プレトークから聴いて来ようかと思っています。
当方、ブルックナーの良い聴き手とは言えず、実際よく分かっていなかったりします(その他の曲は分かっているのか・・そんな質問はしないでくださいね〜)。
とにかく、実演がイチバンだと思います。
予習も大切かもしれませんが、先入観なく聴いても、言葉にできないような感動を味わえることもあります。 それよりも体調を整えておくことが肝要かと思います。 よい演奏会を迎えられますよう。