森香織さんの指揮のもと、切れの良い整った響き、どの楽器の音もよく聞こえてくるバランスの良い演奏に耳を奪われました。
指揮者の森香織さん、大阪音大作曲科を卒業され、同指揮専攻科修了後にザ・カレッジオペラハウスで研鑽を積まれました。 高槻出身らしいですね。 その後ロームミュージックファンデーションに選出、小澤征爾さんなどにも師事されてウィーン音楽大学に留学。 そして2005年にはイタリア・キジアーナ音楽院指揮コースでさらに研鑽を積まれ、2007年には同音楽院のディプロマを取得されたという立派な経歴の持ち主。 でも演奏前後には、そのような経歴とは似合わないような柔和な笑顔を満たしておられましたが、いざ音楽が始まるとなると、毅然として集中力が高くキレの良い音楽が整然と流れて出てきました。
冒頭のベートーヴェンのコリオラン序曲。 決して大きくない編成(8-7-5-5-2)のこのオケから密度の高い強靭な響きを醸し出してきて驚きました。 このような編成なのに底鳴りがするようように感じるのですね。 無理に大きな音を出して豪快に演奏する指揮者もいますが、まったくもってそのようなことはなく、充実した響き、といって良いと思います。 この曲を存分に堪能しました。
つづくモーツァルトの交響曲第40番、こちらも集中力を高く保った密度の濃い演奏でした。 先でも思ったのですが、バランス良く響かせていて、どの楽器もよく聞こえています。 でもモーツァルトの場合、それらが整然と一気に流れて続けると・・少々単調にも思えてくるものですね。 もっと研ぎ澄まして現代音楽風でストイックな演奏になるとまた別なのでしょうけれど・・ 少々ゴシック建築風な堅牢な感じもして、すみません、巧い演奏でしたけれど個人的には少々飽きてしまいました。
しかいメインのベートーヴェンの交響曲第8番。 やはり森さんの今回のアプローチはベートーヴェンに合っていますね。 構成感をしっかりと持った演奏で、瞬発力、緻密さ、そしてに何よりバランス感覚の良さが光っていた素晴らしい演奏でした。 第1楽章を聴いたとき、「アポロ的」という言葉も浮かんできました。 明るい感じもしましたものね。 そして終楽章、緊張と緩和もきちんと計算されて制御している感じ。 繰り返しになりますが、無理に大きな音を出して豪快に演奏するのとは全く違い、7-7-5-5-2 の編成からとは思えない重厚感に溢れた演奏は見事の一言。 それを実現したオケの皆さんにも大きな拍手を贈りました。
相当練習を積まれたのでしょうね、アンコールなしで終了。 そのケレン味の良さもまた清々しい演奏会でした。
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ハーモニック・ソアラ高槻 第3回定期演奏会
2008年4月6日(日) 14:00 高槻現代劇場・中ホール
ベートーヴェン: コリオラン序曲
モーツァルト: 交響曲第40番ト短調
ベートーヴェン: 交響曲第8番ヘ長調
指揮: 森 香織
2008年04月06日
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【感想】ハーモニックソアラ高槻 第3回定期演奏会
Excerpt: 2008年4月6日(日) 14:00 高槻現代劇場・中ホール ベートーヴェン:
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