
冒頭のファンファーレの落ち着きと迫力、きりっと纏まった弦楽器、十分に熱い演奏でありながらもしっかりと纏まっていて、これは素晴らしい演奏だ、と思いながら聴き進めてゆきましたけれど、このフィナーレで完全にノックアウト。 金管ファンファーレの纏まりの良さは全く崩れることなく、打楽器の迫力、それに負けない弦楽器の熱い演奏を目の当りにして興奮しました。 言葉がありません。 あの場所、あの時間に居た者だけが共有できた素晴らしい時間でした。 演奏終了後に見せた奏者方々の屈託のない笑顔、関大オケらしい熱い演奏に大きな拍手を贈りました。
学生指揮による演奏もいつも楽しみですが、こちらもいつもながらの学生とは思えない見事な演奏。 どちらも超有名曲なのに、堂々とした演奏で会場を魅了していました。
正指揮者の松本裕太さんによるウェーバーの「魔弾の射手」序曲、いつもながらのスムーズな動きには迷いを感じさせません。 ちょっと不安定な響きが出た楽器もありましたけれど、全く動じることのない指揮で最後まで纏め上げた手腕。 せめぎあいの表現も見事なら、フィナーレの柔らかな全奏も見事でした。 知らない人が見たらプロの指揮者だと思えるカッコ良い動きは、いつ見ても納得させるものがあります。
副指揮者の平尾真江さんによるチャイコフスキーの組曲「白鳥の湖」、小気味良い振りにオケの好サポートも得て聴き応えがありました。 こちらもとても納得度の高い演奏。 平尾さん、立ち位置を全く変えずに右腕をきちっと上下に振って纏めているのが基本ですが、一見この単調な動きから、驚くほどの表現の豊かさが聴こえて、おおっと唸らせられました。 弦と管楽器のブレンドも見事で、落ち着きのなかにも活気ある音楽には自信も漲っていたように感じました。 そして演奏後に振り返ると、初々しくこぼれるような笑顔も可愛らしくて、このギャップも不思議な魅力でしょうか。
会場は立ち見も出る満員で、関大オケらしい熱気に満ちた演奏を楽しませていただきました。