オーソドックスながらも活き活きとした響きに満ちたシューマンの交響曲第4番に感動。 ほんと素晴らしい演奏でした。 この曲、大好きなだけにハードルも高いのですけれど、楽々とクリアしていました。
何と言って表現したらいいでしょうか、充実したアンサンブル、この言葉しか浮かびません。 金洪才さんの指揮らしく誠実でいて内面は熱い響きに満ちていました。 オーケストラは分奏がとてもしっかりとしていて内声部が充実。 全体としては落着いた表現に思えたのに活気に満ちていたのはこれによるものでしょう。 終演後、ホルンの第3・4番奏者の方が握手して健闘を称え合っていたとおり、タイトなホルンの響きも全体の響きに合っていて素晴らしかったと思います。
これに先だって演奏されたシューベルトの交響曲「未完成」もまた落着いた表現ながら活気がありました。 シューマンもワーグナーもそうでしたが、響きの当りがとても柔らかく、刺激的な感じがまったくしないのが素晴らしいところです。 落着いた色彩も感じさせますが、そこは学生オケらしい活きの良さ、底力が勿論あって、金さんのもとで丁寧な演奏として応えていました。 聴き応えのする「未完成」交響曲でした。
冒頭のワーグナーの楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲も落着いた雄大な演奏。 そしてこの演奏はきりっと引き締まっていたのが印象的でした。 弦楽器奏者の方が弓をいっぱいに使っていましたし、金管ファンファーレはオケ全体の響きのトーンに見事にマッチした拡散させて響きで広大なイメージ空間を演出。 落着いていながらもパワーが内包された若者らしい覇気のある響きが素敵でした。
しかし何よりメインのシューマンの交響曲第4番の演奏には敵わないでしょう。 今年2月某オケによる1841年版による演奏も聴き聞きましたが、こちらはオーソドックスながらも金洪才さんの指揮による熱い演奏。 大きな拍手を贈りましたがアンコールはなし。 確かに、この素晴らしい演奏のあとには曲は必要ないでしょう。 皆さんお疲れさまでした。
2007年07月07日
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