芦響のいずれも巧い演奏の中でも、伊福部昭の演奏は一段とレベルが違っていました。
気迫というか、意気込み、共感といったものがびんびんと伝わってきた演奏でした。
「シンフォニア・タプカーラ」の冒頭、1979年の改訂で付け加えられたノスタジックな序奏に北海道(蝦夷)の大地を感じました。
そして主題の民族的なリズム・パターンの繰返し。
どこかゴジラのテーマにも似たリズムに、ぞくぞくっときました。 オケから湧き上がってくる気迫が、これまでの曲とは段違いだったようです。
そして、このまま最後まで、ぐぃと胸ぐらを掴まれたまま一気に最後まで聴き通した、そんな感じ。
大げさになるかもしれませんけど、これは本名さん指揮による芦響にしかできない音楽じゃないか、そんな風にも思えた演奏でした。
なおアンコールも、同じく伊福部昭の「SF交響ファンタジー第1番」、しかも全曲。
この曲は2002年の吹響サマーコンサート以来、2回目なのですが、どちらが良い悪いの問題ではなく、芦響の演奏には、今年亡くなった伊福部さんへの追悼の気持ちが滲み出ていました。
もちろん、聴き手のこちらにもその気持ちが伝わってきたのでしょう、冒頭のゴジラの動機、間奏曲と聴き進むうち、何故か涙があふれてきそうになり、困りました。
いつもながら、芦響の演奏は、技量のみならず、伝わってくるもののレベルが違うように感じざるを得ません。
こんなにも素晴らしい伊福部さんの演奏、しかも2曲も聴けたとても幸せな演奏会でした。
2006年04月23日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック
【感想】芦屋交響楽団 第65回定期演奏会
Excerpt: 2006年4月23日(日) 16:00 ザ・シンフォニーホール ベルリオーズ:
Weblog: アマオケ大好き、クラシック音楽大好き
Tracked: 2006-04-30 16:12