
初めて聴くオーケストラなのですけど、どこか懐かしい感じのする演奏なのは、指揮者の辻敏治さんだからでしょうか。
脱線しますが、ご自身のホームページには、1970年に大阪音大を卒業、在学中より福村芳一さんの助言を受け、卒業後は渡邊曉雄さん、山田一雄さんの門下になるとの記載があります。 懐かしいお名前ですね。 福村さんも山田さんも京響時代に生で聴かせていただいたこと、当時まだ中学生でしたけど、今でも心に残っています。
緻密な響きを追求するというよりも、アンサンブルを楽しむといった団体でしょうね。 そんな暖かな感じのする響きが特徴的だったロッシーニの「セヴィリアの理髪師」序曲。 ちょっとバランス的にどうかな、なんていう面もありましたけど。 ストレートな演奏で好感が持てました。
シューベルトの未完成交響曲は、ゆったりとしたテンポから沸きあがってくるようなアンサンブルの力を感じました。 柔らかでまろやかな響きが特徴的。 第2楽章なども暖かな響きが魅力で、実にオーソドックスにオーケストラを鳴らした演奏を楽しみました。
そしてベルリオーズの幻想交響曲、気迫の篭った演奏でした。 まず弦楽器のアンサンブルが安定していたことでしょう。 しっかりと全体を支えていました。 そして指揮者の辻さんも、慌てず騒がず、オケ本来の力が存分に出せるところを狙って盛り立ててゆく。 木管楽器もしっとりとしていたし、金管や打楽器も呼吸を大きくとってゆったりとうねるような堂々たる演奏でした。 全員一丸となった20回記念演奏会にふさわしい感動的な演奏でした。
お客さんも小さなお子さん連れが多く、演奏途中に出入りもあったし、楽章毎には必ず拍手もあるのですけどね、みんなに愛されているオーケストラということがよく分かりました。
地域に密着したオケ、枚方フィルと似ているような感じがしますね。 音楽を楽しんでいることがストレートに分かる気持ちのすっきり演奏会でした。