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以前、トムシックによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番を採り上げたとき、CD棚を漁っていたら、「鍵盤の獅子王」ヴィルヘルム・バックハウスとイッセルシュテット/VPOによるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集も出てきました。 持っていたことすらすっかり忘れてました。 トムシックとの比較試聴では、獅子王に登場いただくのもちょっと気が引けたこともあり、内田光子や(記事にはしませんでしたが)杉谷昭子の演奏を聴いていました。 そしてここにきてようやく順不同でぽつぽつとバックハウスによるベートーヴェンのピアノ協奏曲に耳を通しましたが、これらの演奏でもまた今までの「鍵盤の獅子王」のイメージをちょっと改めないといけないみたい。 これまでいったい何を聴いていたんでしょうね。
鍵盤の獅子王という言葉の響きより、まっさきに第5番「皇帝」を聴きましたけれど、意外と大人しいというか、均整の取れた演奏なのですね。 もっとバリバリと弾きこなしてゆくのかと思いきや、しごくまともな感じ。 晩年ですからね。 それでもバリバリっていう感じですと、第3番がまだ獅子王に近いのではないでしょうか。 オケも気合入ったサポートしていますし、何よりカデンツァが圧巻でした。 いずれの曲も、余裕を持った表現と均整の取れた構成を持った、落ち着いた演奏といって良いと思いました。 そして何よりイッセルシュテットとウィーンフィルによる伴奏も魅力的ですね、緩徐楽章でのしっとりと寄り添うサポート、急速楽章でのバックハウスとの覇気あふれる伴奏もまたしっかりとしていて、はみ出すことがありません。 安心して聴いていられます。
そして通して5曲を聴いてみて一番感銘を受けたのが、第4番でした。 冒頭のピアノの楚々とした響き、そしてしっとりとサポートするオケによる共同作業が進められる。 ウィーンフィルという楽器もまた魅力なのかもしれません。 しかしバックハウスのピアノ、緩徐楽章でのキラキラと輝くような響きも、急速楽章での力強い響きもまた透き通るようで、そして何より節度が感じられる。 鍵盤の獅子王の荒ぶるイメージからは離れますが、とても格調高い演奏だと思いました。
この演奏もまた NAXOS MUSIC LIBRALY で聴くことができます。
そしてベートーヴェンのピアノ協奏曲(全5曲)、交響曲(全9曲)にシェリングによりるヴァイオリン協奏曲と序曲集もそえたハンス・シュミット=イッセルシュテットのアルバムが NAXOS MUSIC LIBRALY で聴くことができます。
P6283000 posted by (C)fronte360
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番ト長調 op.58
ヴィルヘルム・バックハウス(P)
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1958年 ウィーン、ゾフィエンザール