ドラティによる「春の祭典」のCDが行方不明になったとき、CD棚をひっくり返していたら、新星堂の1000円盤CDも多量に出てきました。 1991年当時、ワゴン等で売られていたバッタもんCDを除くと、ちゃんとしたレーベルのCDを1000円でリリースしてくれた新星堂には拍手喝采をしたものです。
色々とありますが、RCAレーベルより出ていた、ルドルフ・ケンペ指揮ロイヤルフィルによるアルプス交響曲をピックアップ。 アルプス交響曲を始めてまともに聴いたのがこのCDでした。 しかし、全曲を1つのトラックにしていたため、当時のポータブルCD装置(いわゆるCDウォークマン)では、毎度最初から聴くことになって、なかなか最後はおろか頂上にまで行きつかなかったり、途中で今どこ? と迷子になった記憶もあります。
久しぶりに聴きなおしてみると、ロイヤルフィル頑張ってますね。 豪快ですし、R.シュトラウスらしい華やかさや艶っぽさもよく出ているグラマラスな演奏です。 また、ケンペは、派手さのない手堅い職人肌の指揮者というイメージです。 そしてご存知のとおり R.シュトラウスとは相性もよく、この演奏でも表面的な効果は追っておらず、きちんと丁寧に振り分けて進めていってますが、先にも述べた気合のこもったオケの演奏とのマッチングで、とても聴き応えのある演奏に仕上がっていることを確認しました。
ビーチャムが創設し、ケンペが再建したロイヤルフィル、1961年にビーチャム他界後の経営危機や「ロイヤル」の名称使用問題などのトラブルが発生して低迷(ケンペも辞任)。 エリザベス女王より「ロイヤル」使用許可が下りたのはこれが録音された1966年でした。 同年にケンペが復帰、まさに満を持しての録音だったのですね。 そして世界で初めてのアルプス交響曲のステレオ録音。 これを買った当時は、そんなことなど知りませんでした。 なんせ新星堂の1000円盤CDには解説など無かったですものね。

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R.シュトラウス/アルプス交響曲 Op.64
ルドルフ・ケンペ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1966年4月27日 キングズウェイ・ホール、ロンドン