新型コロナの緊急事態宣言、奈良県では解除されましたが、お家で良い音楽を♪
今日もコロナ対策で急きょ付与された休暇を取得して臨時休業です。
ドラティによる「春の祭典」のCDが行方不明になったとき、CD棚をひっくり返していたら、若き小澤征爾による幻想交響曲のCDも出てきました。
クラシック音楽を聴き始めた中学生時代(1970-72年)、小澤さんは海外の一流オーケストラを指揮する若手としてまさに上り調子。 1970年にはサンフランシスコ交響楽団の音楽監督(1976年まで)となり、1973年にはボストン交響楽団の音楽監督も兼務されました(2002年まで)。 その後はご存知のとおりで、2002年のウィーン・フィルのニューイヤーの指揮者として登場して、お茶の間にもその名が知れ渡ったと思われます。
さてそんな小澤征爾さんの音楽ですが、ニューイヤーで指揮している姿、楽器が出来ない僕にとっても、見ていても非常に判りやすく、演奏もしやすいのだろうなぁ、と思います。 また一生懸命に音楽に打ち込んでおられることも見てとれるのですが、出てくる音楽が琴線に響くかというと、神経質でちょっと堅苦しい気分になってしまいました。
しかし1967年、小澤さん31歳の録音。 1964年から68年にかけて音楽監督をされていた当時の手兵トロント交響楽団との幻想交響曲。 録音もあまり上等とは言えず、名演奏・名盤とは言えないと思いますが、若き日の小澤さんの情熱に充ちた演奏は聴き応えあります。 かつて書いた文章があります。
「若いって良いことですね、なんて思ってしまう幻想交響曲です。 自分はこう思っている、こう演りたい、そんなものがほとばしり出ていますね。 そしてそれが変な独り善がりの演りたい放題になってなく、誠実できちっと纏めてあげているところに小澤さんの手腕の高さを感じさせます。 時に1967年、小澤さん31歳の時の録音。 潤いやコクには欠けるけれど、それを上回る若い情熱をストレートに感じる幻想交響曲です。」
「この31歳の小澤さんによる幻想交響曲は実に面白いものです。 とにかく自己主張がはっきりした演奏です。 音楽の主要旋律を浮かび上がらせていて、その対になる旋律にもきちんとスポットライトを当て、常にこれらが絡みあうように音楽を進行させています。 冒頭から、おっ〜こんな旋律があったのか、とちょっと耳からウロコ状態です。 聴きなれた曲なのに新鮮で、ぐっと惹きこまれてしまいます。 第2楽章はハープを左右に振り分けて対比させ、第3楽章の前半の室内楽的なアンサンブルも実に面白く聴けます。 第4楽章から終楽章にかけてはもう一気に突き進むといった感じでしょうか。 句読点をきちっとつけているので安心感があり、ドライブ感のあるオーケストラ・コントロールはさすが世界の小澤を充分に予感させるものです。」
リズム感、キレの良さ、曲との相性も良かったのでしょうね。
P5182781 posted by (C)fronte360
ベルリオーズ/幻想交響曲 op.14
小澤征爾指揮 トロント交響楽団
録音:1966年12月1,3日、トロント、マッセイ・ホール