2020年05月18日

ドラティ、シモノフ、ライナー、チャイコフスキー/大序曲「1812年」

新型コロナの緊急事態宣言、奈良県では解除されましたが、お家で良い音楽を♪

今日はコロナ対策で急きょ付与された休暇を取得して臨時休業です。

ドラティによる「春の祭典」のCDが行方不明になったとき、CD棚をひっくり返していたら、ドラティ指揮の大序曲「1812年」のCDを見つけました。

これは録音年こそ 1958年と古いのですけれど Mercury LIVING PRESENCE による優秀録音です。 しかも、ニューヨークのウェストポイント(陸軍士官学校)が保管する 1775年製の大砲(BRONZE CANNON)の発射音。 また鐘の音は、ローラ・スペルマン・ロックフェラーの名で呼ばれているニューヨークのリバーサイド教会の鐘塔のカリヨンの音を使っています。 蛇足ですがここのカリヨンの総重量は 500,000ポンド (230,000kg) で世界一だと Wikipedia に記載されていました。 これらはチャイコフスキーが意図していたであろう当時の大砲や教会の鐘を使うというコンセプトによるものでしょうが、そんな超豪華な鳴り物とは別にしても、演奏そのものもドラティらしいきちんとした造形美でしっかりと奏でられた名演だと思います。

そして大序曲「1812年」といえば、ユーリ・シモノフ指揮のも忘れられませんね。 知る人ぞ知るのトンデモナイ大砲の乱れ打ちが凄い(スコア無視)、打ち上げ花火?も左から右へとヒュ〜と飛び、極めつけは曲の最後の音に合わせてドッカ〜ン! と大砲の音が被ります。 しかし、この最後の1分以外の演奏がとってもしっかりとしたもので、このギャップが何とも言えません。 なお「1812年」以外の収録曲の演奏もまたロシア的な雄大さや力強さ、ほの暗い情感もよく表現された素晴らしい演奏です。 ⇒ かつてこんな文章も書いてましたね。

大序曲「1812年」で一番最初に買ったのが、ライナー指揮シカゴ交響楽団によるもの。 RCAグランプリ"1000"クラシカルの1000円盤、大砲の音が実射音ではなく大太鼓だったので当時は正直ちょっとガックリきたものです(友人の家でプレヴィンのを聴いていましたので)。 キレの良い巧い演奏ながらも艶っぽさも感じるライナー/シカゴの演奏。 ショルティ/シカゴの巧さとはちょっと次元が違っていて、超絶技巧のアンサンブルのなかに深みや肌合いの良さを感じます。 特別なものは一切入っていないけれども、最後に戻ってくるのはこの充実した演奏ですね。 惜しむらくは演奏にちょっとカットがあることかな。

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P5172777 posted by (C)fronte360

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P5172778 posted by (C)fronte360

 チャイコフスキー/大序曲「1812年」op.49
   アンタル・ドラティ指揮 ミネアポリス交響楽団、ミネソタ大学ブラスバンド
    録音:1958年4月、ミネアポリス、ノースロップ記念オーディトリアム

 チャイコフスキー/大序曲「1812年」op.49
   ユーリ・シモノフ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
    録音:1994年

 チャイコフスキー/大序曲「1812年」op.49
   フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団
    録音:1956年1月7日、 シカゴ、オーケストラ・ホール


posted by fronte360 at 01:00| Comment(0) | 20-LP/CD音楽(Classical) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする