今朝もまた初夏の日差しですが、清々しい朝の空気はまだひんやりとして、
とても過ごしやすい朝を迎えました。
先週聴いたイ・ムジチ盤によるブランデンブルグ協奏曲
「小難しいことを考えさせる古楽器演奏とは別次元の音楽を聴く愉しさ」
と書きましたが、今回は「小難しい」盤を取り出して、また楽しんでいます。
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J.S.バッハ/ブランデンブルグ協奏曲
ネヴィル・マリナー指揮 アカデミー室内管弦楽団
第1番:アラン・ラヴディ(vn)、
フィリップ・レドガー(hpsi)、コーリン・ティルニー(hpsi)
第2番:イオナ・ブラウン(vn)、デイヴィット・マンロウ(bf)、
ニール・ブラック(ob)、バリー・タックウェル(hr)、
サーストン・ダート(第1楽章)、レイモンド・レッパード(hpsi)
第3番:イオナ・ブラウン(vn)、サーストン・ダート(hpsi)
第4番:アラン・ラヴディ(vn)、
デイヴィット・マンロウ(s-bf)、ジョン・ターナー(s-bf)
サーストン・ダート(第1楽章)、レイモンド・レッパード(hpsi)
第5番:イオナ・ブラウン(vn)、クロード・モントゥー(fl)、
ジョージ・マルコム(hpsi)
第6番:スティーヴン・シングルス(va)、マーガレット・メイジャー(va)、
ロードリック・スキーピング(gamb)、ケネス・スキーピング(gamb)、
ケネス・ヒース(vc)、コーリン・ティルニー(hpsi)
「オリジナル版による世界初録音」とジャケットに書かれているように、
音楽学者サーストン・ダートの研究成果をもとに1971年に録音されたものです。
ただし使われている楽器は古楽器ではなくモダン楽器で、今となっては過渡期、
中途半端な感じは拭えませんけれど、演奏と活き活きとして充実しています。
この当時のマリナー指揮アカデミーの演奏は、新譜が出るたびに注目されていて、
この盤も雑誌などで大きな話題に包まれていた記憶があります。
ちょうどクラシック音楽を聴き始めたころでした。
このレコードは後年、社会人になってから捕獲したものです。
御大・吉田秀和さんによる「きりがないほどの驚き、楽しみ、魅惑」や、
ネヴィル・マリナー(三浦淳史訳)「サーストン・ダートへの感謝」、
またエリック・スミス(栗原雪代訳)「ブランデンブルグ協奏曲」には
BBCでの放送のために準備されたサーストン・ダートのノートの抜粋が記され、
とても読み応えもあります。
通常言われているブランデンブルグ辺境伯のために書かれたものではなく、
ケーテンの宮廷で行われた演奏会のために書かれた曲の中から
辺境伯に献呈するために大幅に書き改められた。
それを元あった形での演奏に再現しよう、という試みが記されています。
さまざまな改変がされていますが、たとえば第2番はトランペットではなく
ホルンで演奏され、第5番のチェンバロのソロが極端に短かったりしますが、
演奏自体に活気と自信があるせいでしょうね、そんな違和感もなかったり
(鈍感なだけかもしれませんが)これはこれで考え込むことなく、
楽しめる演奏ですね。
2017年05月28日
高槻フィルハーモニーオーケストラ 新緑コンサート2017
日時:2017年5月21日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:高槻現代劇場・大ホール
曲目:モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
シューベルト/交響曲第7(8)番 ロ短調 D.759「未完成」
シューマン/交響曲第3番 変ホ長調 op.97「ライン」
(アンコール)シュトラウス兄弟/ピチカート・ポルカ
指揮:鈴木啓哉
P5226772 posted by (C)fronte360
新緑コンサートらしく新緑が目にまぶしいような演奏会。 中でもシューマンのラインは、マーラー版を参考にされた演奏で、冒頭よりアレアレっていった金管の響きが混じって聴こえてきましたね。 いずれの曲もメリハリをつけた音楽で、時おり華やかな金打楽器に彩られていたのは、指揮者の鈴木啓哉さんがホルン奏者ご出身だからでしょうか。 明るく元気のよい演奏を楽しみました。
オーケストラの編成は 7-7-5-5-3 の対抗配置。 残念ながら2階席が閉鎖されていたので、会場はほぼ満杯状態で、中央右側「て-38」の座席に収まりました。 前方には第2ヴァイオリンの後ろに配されたティムパニが見えます。 だからでしょうか、冒頭の「フィガロの結婚」序曲は、硬い響きのティムパニの打音がストレートに響いてきて、それが耳に残るとっても元気の良い演奏でした。 指揮者の鈴木さんは指揮棒をやや長めに持って颯爽と振っていらっしゃいました。
シューベルトの「未完成交響曲」、重厚な響きでたっぷりとした開始。 管楽器も巧く乗ってきてぐっと盛り上がりました。 ティムパニ響きは硬さが取れましたけど、鈴木さんの演奏はメリハリつけた音楽。 旋律を繰り返して、どんどんと力がこもってゆく感じ。 ただ弦楽器の数が少ないのがちょっと難点だったかな。 ちょっと余裕を感じられないのね。 前に前に出るような感じだったかな。 第2楽章もかっぷくの良い音楽構成、パワフルな盛り上がり。 冒頭のしみじみとした木管が良かったですね。 鈴木さん、ここでも丁寧に振って曲を進めてゆきますけど、元来あまり好きな曲ではないので、なんとなく聴いてしまいました。 すみません。
休憩をはさんでメインのシューマンのライン。 パンフレットには、シューマンの交響曲は楽器の重ね過ぎによる不明瞭な響きが批判されて、マーラーがオーケストレーションを改訂した話が記されていて、このアイディアを一部参考にした版での演奏を行うことが書かれてありました。 マーラー版のCDも持っていますけど、あまり好きな演奏ではなかったのでどんな演奏だったか忘れてしまっていて、ちょっと期待して演奏に臨みました。
冒頭よりいきなりアレアレっていった金管の響きもあって、パンフレットを読まなかった人は、ミスしたんじゃないかなと驚かれたのじゃないかなぁ。 旋律線のこともありますが、一斉にワッーっと楽器が鳴った感じで響いたものだから、耳慣れていないこともありますが、纏まり感がちょっと希薄な印象で鳴っちゃった感を受けました。 普段とは違う楽器の重ね方など面白かったけどね。
でもシューマンの交響曲は大好物なので、未完成交響曲とは違って面白く聴けた半面、やはり前に前にと進む演奏でちょっと辛口な印象。 せっかくのオケが対抗配置だったのに、中低弦と高音弦の構成感や、第1・2ヴァイオリンの対比などの効果も感じなく、響きを整理したのか、弦楽器の少なさもあったのでしょうね、タメとかコクといったシューマンらしさもそがれてしまったように感じました、。 第4楽章などトロンボーンなど厳かで鈴木さんは金管の扱いは巧いと思いましたけど、弦楽器には思い入れが少ないのか、サラサラっと流していて、ここぞという中低弦の切込みもなくちょっと残念な感じ。 このあたり曲への思い入れが強く出てしまって、すみません。 でもとにかく快活な演奏で、華麗な終楽章では大いに盛り上がった終結。 会場ウケはよかったですね。 後ろでブラボーと叫んでいる方もいらっしゃいました(でもサクラかな?)。
辛口な感じで書きましたが、新緑コンサートらしく新緑が目(耳)にまぶしいような明るく元気のよかった演奏会、いろいろと面白く聴かせていただきました。 次回定期演奏会は古典派音楽に戻って楽しみです。 皆さんお疲れさまでした。
場所:高槻現代劇場・大ホール
曲目:モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
シューベルト/交響曲第7(8)番 ロ短調 D.759「未完成」
シューマン/交響曲第3番 変ホ長調 op.97「ライン」
(アンコール)シュトラウス兄弟/ピチカート・ポルカ
指揮:鈴木啓哉
P5226772 posted by (C)fronte360
新緑コンサートらしく新緑が目にまぶしいような演奏会。 中でもシューマンのラインは、マーラー版を参考にされた演奏で、冒頭よりアレアレっていった金管の響きが混じって聴こえてきましたね。 いずれの曲もメリハリをつけた音楽で、時おり華やかな金打楽器に彩られていたのは、指揮者の鈴木啓哉さんがホルン奏者ご出身だからでしょうか。 明るく元気のよい演奏を楽しみました。
オーケストラの編成は 7-7-5-5-3 の対抗配置。 残念ながら2階席が閉鎖されていたので、会場はほぼ満杯状態で、中央右側「て-38」の座席に収まりました。 前方には第2ヴァイオリンの後ろに配されたティムパニが見えます。 だからでしょうか、冒頭の「フィガロの結婚」序曲は、硬い響きのティムパニの打音がストレートに響いてきて、それが耳に残るとっても元気の良い演奏でした。 指揮者の鈴木さんは指揮棒をやや長めに持って颯爽と振っていらっしゃいました。
シューベルトの「未完成交響曲」、重厚な響きでたっぷりとした開始。 管楽器も巧く乗ってきてぐっと盛り上がりました。 ティムパニ響きは硬さが取れましたけど、鈴木さんの演奏はメリハリつけた音楽。 旋律を繰り返して、どんどんと力がこもってゆく感じ。 ただ弦楽器の数が少ないのがちょっと難点だったかな。 ちょっと余裕を感じられないのね。 前に前に出るような感じだったかな。 第2楽章もかっぷくの良い音楽構成、パワフルな盛り上がり。 冒頭のしみじみとした木管が良かったですね。 鈴木さん、ここでも丁寧に振って曲を進めてゆきますけど、元来あまり好きな曲ではないので、なんとなく聴いてしまいました。 すみません。
休憩をはさんでメインのシューマンのライン。 パンフレットには、シューマンの交響曲は楽器の重ね過ぎによる不明瞭な響きが批判されて、マーラーがオーケストレーションを改訂した話が記されていて、このアイディアを一部参考にした版での演奏を行うことが書かれてありました。 マーラー版のCDも持っていますけど、あまり好きな演奏ではなかったのでどんな演奏だったか忘れてしまっていて、ちょっと期待して演奏に臨みました。
冒頭よりいきなりアレアレっていった金管の響きもあって、パンフレットを読まなかった人は、ミスしたんじゃないかなと驚かれたのじゃないかなぁ。 旋律線のこともありますが、一斉にワッーっと楽器が鳴った感じで響いたものだから、耳慣れていないこともありますが、纏まり感がちょっと希薄な印象で鳴っちゃった感を受けました。 普段とは違う楽器の重ね方など面白かったけどね。
でもシューマンの交響曲は大好物なので、未完成交響曲とは違って面白く聴けた半面、やはり前に前にと進む演奏でちょっと辛口な印象。 せっかくのオケが対抗配置だったのに、中低弦と高音弦の構成感や、第1・2ヴァイオリンの対比などの効果も感じなく、響きを整理したのか、弦楽器の少なさもあったのでしょうね、タメとかコクといったシューマンらしさもそがれてしまったように感じました、。 第4楽章などトロンボーンなど厳かで鈴木さんは金管の扱いは巧いと思いましたけど、弦楽器には思い入れが少ないのか、サラサラっと流していて、ここぞという中低弦の切込みもなくちょっと残念な感じ。 このあたり曲への思い入れが強く出てしまって、すみません。 でもとにかく快活な演奏で、華麗な終楽章では大いに盛り上がった終結。 会場ウケはよかったですね。 後ろでブラボーと叫んでいる方もいらっしゃいました(でもサクラかな?)。
辛口な感じで書きましたが、新緑コンサートらしく新緑が目(耳)にまぶしいような明るく元気のよかった演奏会、いろいろと面白く聴かせていただきました。 次回定期演奏会は古典派音楽に戻って楽しみです。 皆さんお疲れさまでした。