2014年03月23日

セント・マーティン・オーケストラ 第10回定期演奏会

日時:2014年3月23日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:箕面メイプルホール

曲目:モーツァルト/交響曲第32番 ト長調 K.318
   芥川也寸志/交響三章
   ブラームス/交響曲第4番 ホ短調 op.98

指揮:河崎 聡

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設立以来取り組んでこられたベートーヴェンの交響曲全曲演奏は前回第9回演奏会で締めくくりましたので、第8回の第1番以来のブラームスの交響曲の連続演奏になったのでしょうか。 その第4番は、プログラムにもあるように晩年のブラームスではなく52歳壮年のブラームスといった感じ。 枯淡の境地とは一線を画したブラームスの演奏でした。

個人的には第3楽章が良かったですね。 深さと重さ、それにキレの良さもあって見事な場面転換。 トライアングルは控えめに鳴っていました。 第4楽章では、音楽を止めながら進めたあと、より熱く主題を戻し、タイトに響かせたエンディングもまた潔い音楽でした。 もっともこの年齢になってしまうと、ちょっと疲れたかな、という感じ。 フレーズの最後にふっとため息をつくような演奏ではなく、しっかりと鳴らしたエキサイティングな演奏でした。

そして今回一番エキサイティングだったのは、芥川也寸志の交響三章でしょう。 1948年8月に完成、23歳の野心作です。 とプログラムにあったとおりの演奏。
第1楽章冒頭のファゴットが奮闘していましたね、クラリネットも素適でした。 そして弦楽アンサンブルもまろやかな響きとなって、覇気もあるけどふくよかな感じ。 ズンチャッチャ・ズンチャッチャのリズムなどさまざまなテーマが出てきますが、いずれもカッコ良い演奏でこなしてゆきました。 ヴィオラが奮闘していたのもよかったですね。 音楽に厚みが出ます。
第2楽章もファゴットが素適でしたね、しかもこのあとも各パートがそれぞれ主張するのですが、全体が良く纏まっていていました。 郷愁をさそうオーボエの長いソロも見事でしたよ。
第3楽章は勢いのある音楽が飛び出しましたが、ルロイ・アンダーソンのような感じもする耳なじみの良い音楽。 柔らかな大太鼓のリズムに乗って走ったあと、ブラスが入って景気付けたりと、そして最後は河崎さんが左拳を突き上げて力強く幕。 面白かったなぁ。

冒頭に演奏されたモーツァルトの交響曲第32番は、音量大きめであって、威勢の良い音楽でした。 弦楽器はノンビブラート、金管楽器も打楽器っぽくパーンパーンを打つような響きだったでしょうか。 快活ではあるけれども、チャーミングじゃないって感じかな。 オーケストラは対向配置で 8-8-5-6-4 の編成。 ホールがいつもと違うせいもあったでしょうか。 フィナーレまでちょっと一本調子で走ったような感じを覚えました。

「エキサイティングで、かつ美しい古典音楽の演奏」を目指されているとのこと。 今回はちょっと前者の趣が強かったのではないかな。 古典ではなかったけど、芥川也寸志の交響三章が素晴しい演奏が聴けたのが大きな収穫となりました。 お疲れさまそして有難うございました。


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箕面

140323_1314~0001.jpg箕面といえば、滝。

残念だけど、さぁ急いで引き返えそう。
posted by fronte360 at 13:18| Comment(0) | TrackBack(0) | mobile | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「スペイン、ポリフォニー音楽の黄金時代を歌おう」発表会

日時:2014年3月22日(土) 16:00開演(15:30開場)
場所:神戸松蔭女子学院大学・チャペル

曲目:モラレス/「すべて主のおそれ」(6声)
   ゲレーロ/「もしあなたが」(器楽・3声)
   ゲレーロ/「あなたがたのうち、誰が私に罪が」(4声)
   ルジェール/第1旋法による5声のシンフォニア(器楽曲)
   モラレス/サンクトゥス・ベレディクトゥス(器楽)
   モラレス/「おお、大いなる神秘よ」(女声)
   エンシーナ/「おお、三賢王が訪ねてきた」(器楽曲・3声)
   ビクトリア/ミサ「あなたの足はなんと美しい」(4声)

出演:神戸松蔭女子学院大学公開講座・公募の器楽と声楽アンサンブル

指揮:笠原雅仁
指導・コルネット:上野訓子

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神戸松蔭女子学院大学公開講座、バッロック音楽のスペシャリスト笠原雅仁さん、上野訓子さんの講師にて5回のレッスンを経ての公開発表会。 珍しいスペインのポリフォニー音楽がテーマで、日ごろよりバロック以前の宗教曲をよく聴いている当方にとっては、実際にそれらが耳にできる稀有の機会となり、とても興味深く良い経験となった1時間でした。

合唱は女性11名、男性9名ですが、うち1名はカウンターテナーだったでしょうか。 器楽はツィンク(コルネット)3名(うち1名はリュート持ち替え)、サックバット1名、トラヴェルソ1名、リュート2名、ヴィオラ・ダ・ガンバ1名にポジティーフオルガン1名の9名による合奏、16時になって天井のステンドグラスに陽が斜めに差し込む時間より合唱団が入場して演奏会は始まりました。

モラレスの6声による器楽伴奏つきの「すべて主のおそれ」、オルガンによる前奏が控えめにが始まり、こちらの期待も高まりましたが、器楽伴奏による合唱に移ると・・・響きが溶け合わず、女声が聞こえてこなくて焦りました。 前から4列目という場所の選択を誤ったのか、とも思いましたけれど徐々に女声も聞こえてくるようになって、終わりの方では全体の響きも纏まってきたので、安堵。 。

指揮者の笠原さんによる解説、ここで解ったのですが、わずか5回の練習で本番に臨まれているとのこと、いきなりの6声、皆さんも緊張されていたのでしょうね。 大航海時代のスペインの立ち居地の話、ゲレーロのことなどの解説があって、2曲続けての演奏となりました。

まずは器楽のみによるゲレーロの「もしあなたが」、上野訓子さんが太鼓を担当。 この柔らかな太鼓のリズムに乗って、左右に配置されたツィンクとサックバットによる演奏。 途中よりリュートやトラベルソも加わって音量も上がりますが、終始太鼓のリズムが印象的な面白い馴染み易いいい曲いい演奏でした。

オルガンに導入で始まったゲレーロの「あなたがたのうち、誰が私に罪が」、まず女声そして男声もテノール、バスと順に加わって声の響きが溶け合って美しかったですね。 器楽奏者の方も歌える方は歌っておられるようでした。 人間の声っていいなぁ、って思えました。

笠原さんの解説が入って、モラレスの紹介。 ほとんど宗教曲しか作曲されなかった方とか。 事前の知識ではビクトリアも1曲の世俗曲も書かなかったというのは持っていましたが、モラレスもそうなのですね。

まずは、器楽のみによるルジェールの「第1旋法による5声のシンフォニア」、ともするとツィンクやサックバットの金管が前に出てくるのきらいがあるのですが、ここでは柔らかな合奏となって、尺八にようなトラベルソの響きも楽しみました。

続くモラレスの「サンクトゥス・ベレディクトゥス」も器楽による演奏ですが、ビオラ・ダ・ガンバをギターのように抱いてピチカート演奏するのですね。 始めて見ました。 ポン・ポンという柔らかなガンバの響き、それがちょっとリズムに乗り遅れ気味になるところなど、実演の妙ともいえていい感じに聞こえました。 なおここではリュートが3本となっていました。

モラレスの女声合唱による「おお、大いなる神秘よ」、リュートがそっと絡みながら進み、最初はちょっと硬い声質であるように感じましたけれど、徐々に清んだ響きとなって、そっと消え入るように終わりました。 なおオルガン脇の男性1名も歌われていてカウンターテナーの方なのだな、と発見できました。

笠原さんの解説、ビクトリアとパレストリーナのことなど。 ビクトリアについては少々知識もあったのでうんうんと納得しながら、そうビクトリアっていいんだよなぁ、と共感しておりました。

まずはエンシーナの「おお、三賢王が訪ねてきた」、指揮者の笠原さんが太鼓も担当されて、多彩な響きを楽しみました。 ツィンクの渋い響きで朗々と旋律が吹かれていて、サックバットとの掛け合いなど、ジャズのノリではないのですがジャムセッションのような感じも受けて楽しみました。

そしてメインのビクトリアのミサ曲「あなたの足はなんと美しい」、熱気のこもった合唱と器楽演奏が素晴しかった。 またグロリアとクレドの冒頭には笠原さんの素晴しくいい声で導入が歌われて合唱へ、これも素適でした。

オルガンのちょっと長めの前奏、このあと「キリエ」は女声の清んで柔らかな響きと男声の力強くも角のとれた柔らかな響きがかけあっていましたね。
「グロリア」は笠原さんの導入のあと女声そして男声と進み、女声とツィンク、男声とサックバット、通奏低音のオルガンの支えに乗って、合唱にも熱気があって素晴しい演奏となりました。
「クレド」もまた笠原さんの導入、ここはまずは男声より女声が加わっての合唱。 柔らかな女声・弾力ある男声、そこにサックバット、そのあとツィンクも重なって多彩な響きとなって音楽も高まります。 合唱では特に男声陣、楽譜をにらむように見て懸命にうたってらっしゃって、熱気がびんびんと伝わってきました。
「サンクトゥス」では弾けるように入った男声、それに続いて女声へと続きます。 トラベルソの響きも素適。 フーガでしょうか、歌い継がれてちょっとワクワクもしました。
「ベネディクトゥス」オルガンの伴奏に静かな男声合唱、カウンターテナーと思われる方も歌ってらっしゃいましたが、女声も加わると響きが華やかにになりましたね。
「アニュス・デイ」オルガンの響きとともに女声合唱が柔らかくAgnus deiと歌い始めるおごそかな開始。 ツィンク、サックバットが加わって音量は上がって合唱も熱くなりました。 そしてそのまま力強く締めた終結。

少々遅れての拍手がホールに満ちると、演奏者の方の満足そうな笑顔がこぼれた素敵な演奏会でした。 冒頭の6声では正直どうなるか、と思いましたけれど、終ってみればいろいろとあっても所詮生身の人間。 頑張って神の領域に近づこうとしていることの証にようにも思えました。 珍しい楽曲・楽器なども含めて貴重な体験をさせていただきました。 有難うございました。

posted by fronte360 at 09:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 14-演奏会にて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする