カンヌ映画祭審査員賞受賞、との触れ込みで、確かによく撮られていて、
裸も暴力も出てこないのに、まったく飽きさせることはなかった映画でしたが、
映像がなんとも地味(滋味)な映画でしたね。
日本ってこんな殺風景なんだと逆に思い知らされたような気もしました。
あと気になったのは、劇中に使われていた、下手クソなピアノの音楽・・・
ゴールドベルク変奏曲のアリアが象徴的に流れていたことですね。
主人公でもある取り違えられた子供の慶多くんがピアノを習わされているけど、
ちっとも上手くなく、また向上心もなく、父親の福山雅治をイラつかせる・・・
そんな伏線もあったでしょう、慶多くんはゴールドベルクを弾いてませんが。
この演奏、グレン・グールドが1982年に録音したゴールドベルク変奏曲、
このアリアの部分でした。

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下手なんで、この映画のための録音か、と不覚にも思っていたのですけれど、
エンドロールで気付いて吃驚しました。
ゴールドベルク変奏曲は好きで、グレン・グールドの演奏も好きなんですが、
いつも1955年録音のデビュー盤、スピード感溢れるのをよく聴いていて、
こちらを先に聴いた、ということもありますが、ほんと不覚でした。
ちょっと反省したしだい。
そんなこともあるかもしれませんが、映画を観終わったあとも、
ついついこのアリアのフレーズで口に出てきております。