その中にルドルフ・ケンペのカラー写真も見つけ、手が止まりました。
日本でようやく人気が出たと思ったら、肝臓癌で急逝されてしまいました。
その後、しばらく忘れ去られたような存在でしたが、今ではXRCDによる、
リマスターで音の良くなった盤も出ていますね。
ACANTA の輸入CDに飛びつきましたけど、イマイチ音に鮮度がなくて、
レコードで聴いた時の感激がくぐもってしまったようにも感じたものです。
それで、手元にあるテイチク(ACANTA)のレコードをかけています。

P3313819 posted by (C)fronte360
元気な謎のカートリッジ audio-technica TT30E に交換したこともあり、
全体的に金管の咆哮が少々荒っぽく響いて、迫力あります。
しかし第2楽章の再現部、木管とピチカートによる瞑想的で深遠な表情や、
コーダへと流れ込んでゆくあたりの深々とスケール感、素晴しい演奏です。
終楽章での金管の強奏や、生々しいまでの弦合奏のうねりなどが、
ちょっと速いテンポでずんずんと進みます。 構成は堅牢ではあるけれども、
ひたむきにブルックナーの世界を体現しようとしている感じでしょうか。
ある意味メジャーな曲で耳馴染みのある「ロマンティック」ですけれども、
その行間にあって言葉に現し難く色どられたものが滲み出ているようで、
この演奏はやはりできるだけ音の良いもので聴くのが良いようです。
中庸で地味な指揮者というイメージは先のようなCDによるかもしれません。