2012年09月23日

かぶとやま交響楽団 第45回定期演奏会

日時:2012年9月22日(祝・土) 14:00開演(13:30開場)
場所:いたみアイフォニックホール

曲目:プロコフィエフ/古典交響曲ニ長調(交響曲第1番)
   ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」
   シューベルト/交響曲第8番ハ長調「グレート」

独奏:岩城智由理(p)

指揮:藤田謹也

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シューベルトのグレート、素晴らしい演奏でした。 演奏を聴き進めながらも演奏が終らないで欲しい・・・と久しぶりに思え、終演後もしばらく頭の中で音楽が流れ続けていました。 そんな衝撃を久しぶりに受けました。

オーケストラは対抗配置、弦楽器はいつもながらの 9-7-6-5-4 の小振りな編成にて各パートの引き締まった響きです。 これらが絡み合いつつ響きが醸し出されるので、ワクワクしっぱなし。 特筆したいのは、第2楽章のオーボエの端正な演奏もよくマッチして良かったのですが、個人的にはトロンボーンとティムパニを採りたいですね。

女性3名のトロンボーン・チーム。 息もぴったりでみなタッチが柔らかいけれども押しの強さも十分、終始演奏に華やかさを彩っていました。 第1楽章よりうっとり聴き入っていて、最後まで存分に楽しませてもらいました。 またティムパニも女性奏者、コンパクトで控えめな叩きっぷりでしたが、先の細いマレットでタイトに打ち、先の大きなマレットでは柔らかく打ち分けて、控えで前面にしゃしゃり出ることは決してないけれども、曲の芯をしっかりと支えていてこちらも感心しました。

もちろん数は少ないけれども圧力をも感じさせる弦楽アンサンブル、中音域がしっかりとしていますね。 そして凜とした管楽器群も素晴らしかった。 クラリネットも端正に歌っていて、ピストン式のトランペットは打楽器のごとく要所を締めていました。 そして全体として躍動するリズム、安定した響きで展開されて歌われて、どんどんと前のめりになって聞き入っていました。 そして歌っていたといえば2本のホルン、2本ともウィンナホルンで、冒頭こそそっけなく演奏していましたけれども、随所で鼻にかかった朴訥な響きもまたこの演奏のアクセントになっていました。

素晴らしい演奏に、演奏終了後にブラボーがかかったのも納得。 しかしながら、終演時間が押していたようです(この演奏の後には他のオケのリハも予定されているようです)、あっけなくお開きになったのも、潔さですね。 この素晴らしい演奏のあとでアンコールは不要。 そのような素晴らしい演奏でした。

なおこれに先立って演奏されたのは、プロコフィエフの古典交響曲とベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」。

冒頭のプロコフィエフは、実演で何度か聴いていますけれども、終楽章では細かな音が続いている木管を弦楽器が追い立てるようにしてとても大変そう。 しかしメリハリがついていて、どんどん華やかになってゆくのですね。 こんな風に面白く聴けたのは初めてかもしれません。 リズム感の良さを感じた素晴らしい演奏だったと思います。

ただ少々気合入りすぎていたかもしれませんね(確かに難曲です)。 小型技巧派のオケらしく展開も素晴らしく、また凝縮されたオケの響きには光沢ものっていましたが、ただ音量が上がるとストレートでやや刺激的にも感じたのは、覇気ととるべきかもしれません。 が、個人的には少々気になった点でした。

ベートーヴェンの皇帝は、岩城智由理さんのピアノに指揮者の藤田謹也さんが終始注意を払いながら寄り添った演奏でしたね。 岩城さん、落ち着いた深みのある響きが特徴的ですね。 ソリストとしての華という良いですが、やや強引に自分を主張するような場面はあまりなかったように感じました。 でも、当たりの柔らかな深い響きの底でキラリと輝くピアノの響きはとても魅力的。 第2楽章などタッチが軽く柔らかいのにピアノがたっぷりとよく鳴っていてました。

ただオケもピアノも全体的に単調になったきらいも感じられ、終楽章など聴き手として少々疲れてきたこともあいまって、しっかりとしたピアノとオケの演奏が繰り返されるのに少々飽きてしまったようです。 オケも冒頭のプロコフィエフのややソリッドな響きから暖かみのある響きになってましたしね。

そんなことで少々疲れを引きずってのグレート交響曲でしたが、冒頭に書いたとおり。 目の覚める演奏でした。 これ1曲で良かった、と言えば失礼になると思いますれども、色々なことがすべてここに帰結したように強く感じた演奏会でした。

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posted by fronte360 at 08:02| Comment(1) | TrackBack(0) | 05〜12-演奏会にて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする