場所:すみだトリフォニーホール・大ホール
曲目:マーラー/さすらう若人の歌
(アンコール:マーラー/不思議な子供の角笛
〜「高き知性への讃歌」
マーラー/交響曲形式による音詩「巨人」(1893年ハンブルグ稿)
独唱:小松英典(Br)
指揮:山田和樹
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マーラーの交響曲第1番の原型といえる交響曲形式による音詩「巨人」(1893年ハンブルグ稿)の演奏会があるので、こちらに来て初めて、すみだトリフォニーホールに行ってきました。
オーケストラも指揮者も初めての、山田和樹指揮日本交響楽団。 素晴らしい集中力による演奏と熱気、特に「巨人」のフィナーレに感動しました。 新日本交響楽団、素晴らしい技量を持ったアマチュアオーケストラですね。 管楽器も素晴らしかったけど、中低音弦の充実ぶりに目を見張るものを感じました。

それだけに演奏にかける情熱は強いものがあったのだと想像しますが、演奏はクールかつ着実なものでした。 冒頭こそやや緊張気味に思える場面もありましたけれども、基本的な技術力は十二分、しかも各パートの団結力は強いことが印象に残りました。 そして指揮の山田和樹さんのリードにも忠実にそい、見事な見せ場を構築しつつも、けっして前のめりになったり、熱気を引きずることのない、見事な演奏を展開していました。
稿の違いによる聴き所・聴かせ所もありましたが(例えば、第1楽章冒頭の狩のテーマがクラリネットではなくホルンが吹き、バンダのトランペットがステージ上で吹くとか、終楽章のエンディングが4小節長くティムパニと太鼓の連打が長いとか)、それらを置いておいても、やはりオーケストラの健闘ぶりが強く印象に残った演奏会でした。
なお、これに先立って演奏された「さすらう若人の歌」、独唱の小松英典さんの余裕を感じさせる歌唱。 ただ、力が入ると少々声質が硬くなるのは気になりましたけれども、感情を込める声のコントロールが素晴らしかったですね。 オーケストラもまた、やわらかな管楽器、中低音弦が芯になった演奏で充実した響きを堪能しました。
素晴らしい演奏会をありがとうございました。

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