
場所:ザ・シンフォニーホール
曲目:ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
ベートーヴェン/交響曲第1番
ブラームス/交響曲第2番
指揮:ゲルハルト・ボッセ
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ブラームスの交響曲第2番フィナーレに感動しました。 ぐいぐいと力を増していっても、響きの奥行きが増してゆき、畳み掛けるようでいても、更に深い呼吸となってすべての音が渾然一体となって響いていました。
ゲルハルト・ボッセさん、黒の詰襟の服を着て、首を前に突き出し、腕をゆっくりと左右に振り、その振った腕の勢いで前に進むかのように指揮台へと歩んでゆきます。 しかし、枯れた音楽とは無縁。 オーソドックスでありながらも、どの曲も、若々しく瑞々しい音楽に心を揺さぶられました。
その若々しさをたっぷりと味あわせてくれたのが「オベロン」序曲。 清らかなヴァイオリンの響き、コントラバスは7本もありますが、なんと円やかなこと。 決して芯のない響きではありません。 どの楽器も響きの角を綺麗にとった清々しい響きで応えて、耳から鱗が落ちるようでした。
ベートーヴェンの交響曲第1番もまた、冒頭の和音が綺麗で、弾けるようでもいて、繰り返して力をこめてゆくところのなんと自然なこと。 弦楽奏者、ボッセさんの指揮はとくにヴァイオリン奏者の方への指示が中心のようですが、オケの方もボッセさんの指示が出ると、前屈みになってくらいついてゆくような場面も多くありました。 清々しい音楽に感動しました。
そしてメインのブラームスの交響曲第2番。 冒頭より、これまでの2曲とは重厚感がぐんと増していました。 そして、深い息遣いも感じられる演奏でしたが、自然な音楽の流れはまったくそのままでした。 素晴らしい。 動きの少ないボッセさんの指揮ですが、かえってはその少ない動きから、オーケストラが集中力を高めていたようですね。 常に前に進んでいった音楽が本当に素晴らしかった。 そして管楽器のソロも突出することなく、全体の響きの中で主張していたのもまた見事でした。
同行した奥さん、クラシック音楽は不案内ですし、このブラームスの交響曲第2番も聴いたことがあったかどうかも定かではありませんが、ブラームスが聴けて良かった、と言っていたことを付け加えておきます。
素晴らしい演奏会をありがとうございました。