
太い筆で描いたような堂々たる弦楽アンサンブル、いつもながらの滋味溢れた演奏でしたが、今年は堂々とした風格も感じました。 とくに前半プログラムのヘンデルの合奏協奏曲ニ短調op6-10と、モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジーク。 いずれも指揮者の木村さんがリズムをしっかりととってアンサンブルをリードしていたのが印象的でした。 安定感がありましたね。
そして後半、先にも述べた「バロック風日本の四季」が秀逸。 全体が溶け合って響いてきて、いつかどこかで全曲を演奏してくださらないかしら。 とにかくいい曲、いい演奏なのですから。
メイン・プログラムは、チャイコフスキーの弦楽セレナーデ。 弦楽アンサンブルの名曲中の名曲ですが、ここでも太い響きを基調にし、深いけれど重くなりすぎず、しみじみとさせるけれど暗くならず、そして熱くなっても流されることのない演奏には気合、というか、演奏に賭ける意気込みを感じた次第です。 確かに完全無欠の演奏ではなかったかもしれませんが、気持ちのよく伝わってきた演奏に大きな拍手を贈らせていただきました。
外は雨模様、蒸し暑い一日でしたが、清々しい気持ちになれた演奏会でした。