
思索的で熱く底光りのしたシューマンのピアノ協奏曲、スナップの効いたパワフルな打鍵はクリアで、心の中にびんびんと響くピアノに思わず涙が出そうになりました。 最初こそちょっとこじんまりとしているかな、と思いましたけれど次第に深みを増してぞくぞくっときた第1楽章、重厚でありながらも柔らかくて暖かさを感じた第2楽章、そしてスケール感のある圧倒的なフィナーレ。 ストレートに盛り上げるオーケストラと組み、圧倒的なピアニズムに酔い、感動しました。
奈良交響楽団第50回記念定期演奏会のメインとして演奏された幻想交響曲。 小崎さんの指揮のもと、若々しくも纏まりの良さ、端正でストレートに盛り上げた演奏でした。 個人的には終楽章の前で止まらないで欲しかったのですが、これも引き締まった演奏するための施策だったのかもしれません。 アッチェランドがかかってタイトで熱い響きがホールが満たされました。
またこれに先立って演奏されたイベールのバッカナール。 始めて聴く曲ですが、こちらも引き締まったリズムがノリノリで駆け抜けてゆきました。 どこかガーシュインのようなアメリカンミュージックっぽさも感じた演奏でしたね。
奈良交響楽団の第50回記念定期演奏会、オーケストラよりもピアニストに注目してしまいましたが、今回は奈良近郊のピアノ教室で熱心に練習されている子供たちも招待されたそうです。 地元に根付いたオーケストラとしてこれらの活動にも期待したいと思います。