
スポーツカーに乗ったような運命、軽快でぐいぐいと走ってゆく・・なんて勝手に想像していましたが、確かにそんな要素もありましたけれど、スポーツセダンじゃなかったでしょうか。 若者らしいストレートさはそのままに、奇をてらわず、堂々と真正面から立ち向かった演奏に好感を持ちました。 タイトに強奏するホルン、太い響きのクラリネットやファゴットに彩られ、深い響きのティムパニと締まった低弦ががっちりと曲の輪郭を描いていて、この曲に賭けた自信・信念、そんなものもこの演奏から感じました。 失礼ながら、このような素晴らしい演奏に出会えるとは思ってもみなかっただけに、全員一丸となってたっぷりと歌い上げたフィナーレ、爽やかで熱い感動が湧き上がってきました。
これに先立って演奏された、ロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」序曲、学生らしい引き締まって筋肉質の演奏でした。 大塚さん、要所をタイトにスピード感を持って決め、きびきびとした音楽としているのは、どの曲でも同じなのですが、少々オケの響きがストレートな感じだったかな。 練習量の差かもしれませんけれど。
ストレートな響きといえば、チャイコフスキーの弦楽セレナーデも同様。 分奏の良さ、真摯な演奏によって若々しくスッキリと歌い上げていましたので、余計にそう感じたように思います。 ま、当方のような草臥れた中年にとっては、人生の悲哀のようなちょっとドロっとした感情もこの曲の中に求めてしまうので・・・ね。 でも、この曲もまた真正面から立ち向かい、若者らしい自信を持って演奏されていて、音楽的な纏まりの良さは素晴らしいものがありました。
このところ仕事が佳境にさしかかっていて帰宅は24時前が定常化、今回もまた休日出勤してからの演奏会参戦でした。 正直、少々疲れが溜まっていましたけれど、若々しくもしっかりとした考えをもった演奏から元気を頂きました。 若いっていいですね。 ありがとうございました。