2007年12月24日

京都フィロムジカ管弦楽団 第22回定期演奏会にて

指揮者の清水史広さん、全曲を暗譜で振り通し、またオーケストラも共感溢れた演奏で応え、どの曲も大きく波打つような素晴らしい演奏会でした。

kyoto_pilom_22th.jpgまずは、1912年、山田耕筰がドイツ留学中でまだ20歳台半ばで作曲した交響曲へ長調。 この「日本人が最初に書いた交響曲」を聴きたくて長岡天神まで足を伸ばしたのですが、才気溢れる若者らしく溌剌としていて、また山田耕筰らしい馴染みやすい旋律、心の襞をそっとすくうような郷愁も感じさせた交響曲に魅せられました。 何より、オーケストラの各楽器が波を打つように響きあい、想いのよく乗った素晴らしい演奏でもあって、大いに満足しました。

なおパンフレットによると、楽譜代金で大いに苦労されたとのこと。 もっと知られて良いこのような曲が、著作権料のために阻まれていると思うと、著作権にも関わっている者として複雑な心境になりますが、それを乗り越えて今日ここで演奏されたこと、大きく評価されて良いと思ったことを付け加えておきます。

休憩を挟み、ハチャトゥリアンの組曲「仮面舞踏会」、重厚な響きがまたまろやかでもあって、妖艶でかつゴージャスな演奏に心躍らされました。 とても集中力が高かったのも印象的で、指揮者の清水史広さんのもと、音量のコントロールも見事。 全5曲、この組曲をこんなにも楽しく聴けたのは初めてではないかな。 とても素晴らしい演奏に大きな拍手を贈りました。

最後はシベリウスの交響曲第7番、厳かであり、時には暖かく悠然と響き、そしてまた時には熱くもなる、凝縮した響きで満たされた演奏。 パンフレットに書かれたガイドを頼りに聴き進めましたけれど、オケの響きが常に呼応しあい、よく纏まっていたのが印象的でした。 そして最後まで素晴らしい集中力で難解なこの曲をきちんと纏めあげた指揮者、それを演じたオケの勝利でしょう。 そしてフィナーレ、地の底から湧き上がってくるような響きに金管が入って雄大となったのをすっと切って落としたのも見事ならば、その後の静寂もまた素晴らしかった。

ちょっと疲れ気味、喉の奥にも痛みを感じて風邪をひきそうな感じですが、長岡京まで足を伸ばして正解。 いい演奏会で1年を締めくくることができました。
posted by fronte360 at 20:59| Comment(5) | TrackBack(1) | 05〜12-演奏会にて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする