
この公演では、アイゼンシュタイン役の金丸七郎さんの演技と歌、それにこうもり博士ファルケ役の近藤修平さんの演技と台詞回しが素晴らしいかったですね。
金丸七郎さん、細かな動作や表情までも、一つ一つがツボを得ていてさすが、巧いなぁ、と感心させながらも楽しませてもらいました。 そして近藤修平さん、歌舞伎役者ばりの堂々とした台詞回しが見事。 舞台をきりっと引き締めていました。 パンフレットによると近藤さんは音大出身ではなく法学部出身、大阪ガスセキュリティサービス勤務と書かれていましたけれど、まったくもって落ち着いた歌と演技にそんなこと忘れて見入っていました。
女声陣も奮闘していました。 ロザリンデ役の山田維久子さん、アデーレ役の蘆田まり子さん、ともに第1幕は少々硬さも感じられましたが、徐々に調子を乗せていったようです。 第3幕では伸び伸びとされていたのではないでしょうか。
そしてこの第3幕での楽しみは和田垣さん、看守フロッシュははまり役ですね。 今回もまた時事ネタをたっぷりと入れたスパイスの効いた台詞。 笑わせてもらいました。 それと刑務所長フランク役の澤一孝さんもサービス精神旺盛で、第2幕ともども金丸七郎さんとの絡みがハマっていました。 アルフレート役の角地正直さんもまた美声でしたけれど、第3幕のほうがのびのびとしていたように思いました。
この公演を支えた井村さん指揮によるエウフォニカ管弦楽団。 プロオケに言うのも失礼ですが、とてもよく纏まってた演奏が素晴らしく、中でもまろやかな金管の響きに魅了されました。 柔らかな打楽器とともに舞台に華やかさを添えていました。
なお副題に「2大オペレッタを同時に楽しめる」と書かれていたのは、第2幕の舞踏会で「メリー・ウィドウ」を出し物として挟み込んでいたからですね。 華やかな舞台をたっぷりと楽しませていただきました。