全員が演奏することが大事、そんな当たり前のことが判ったボレロの演奏に感動。 1年に1回、北海道から九州にいたる全国各地のメンバーが集まり、年に1回の演奏会に臨んでいる衣笠交響楽団の15回目の定期に熱い拍手を贈りました。
ボレロを指揮された首席客演指揮者の平松久司さんは、京響ソロ・トランペット奏者より音楽教諭へと転進、現在では吹奏楽連盟の理事長になられたとのこと。 衣笠交響楽団のルーツになる立命館大学交響楽団のトレーナーだったのでしょうか(想像ですが)、正確な指揮に皆が寄り添うような演奏でした。 各人がソリストになるこのボレロ、良い意味でそれぞれの個性が出ていましたけれど、最後のアンサンブルは一致団結して白熱。 確かに技量は巧いにこしたことはないけれど、技量だけでは味わえない素晴らしい演奏を味あわせていただき、感動しました。
そしてメイン・プログラムの幻想交響曲。 学生指揮者時代より衣響で毎回指揮されている伊藤和夫さんの引き締まった解釈、想いも充分に篭めて、オケの皆と演じあげた演奏もまた見事でした。 オケのソリストもこちらは余裕ありましたね。 終楽章のフィナーレの熱気もまた、キリッとした白熱した素晴らしい盛り上がり。 欲を言うならばもう少し高音弦のパワーも欲しかったところですが、十二分に感動的でした。
この伊藤さんの指揮による冒頭のドビュッシーの「海」、浮揚感を漂わせつつ奥行きが感じられる演奏。 短い練習期間のせいでしょうが、ややきっちりと慎重に纏めた感じに思えた演奏でしたが、こちらも全員の気持がひとつになっていました。 この曲、実はあまり得意ではないのですが、この気持によって最後まできちっと聴くことが出来たように思います。 演奏はやっぱり気持ちなのですよね。
会場にはお子さん連れが多く、また親御さんでしょうね、年配の方も多くいらっしゃいました。 関係者では全くないけれど、このような演奏会を15年も続けていらっしゃるとは脱帽です。
そうそうボレロの演奏では、第1ヴァイオリンに、未就学と思われるお子さん(椅子に座って足が床に着いてません)と、小学生(中学生)と思われる方も参加されていましたね。 どのように進化してゆくのか、これから先も楽しみ。 明るい気持で演奏会場を後にしました。