先に言っときますが、この奈良フィルは立派なプロオケです。
皆さんプロ・プレーヤだから巧いのは当然です・・・
なんて強調するほうがカッコ悪いか(すみません)

1999年9月15日の第5回定期演奏会より1回も欠かさずに春と秋の定期演奏会に通ってきましたが、これほどまでに引き締まった演奏を聴かなかったように思います。
齊藤一郎さんの指揮のもと、素晴らしいブルックナーのロマンティックを堪能しました。
いつもの12型のオケですから、すっきりと見通しの良いブルックナーになってしまうのですが、ところがどっこい、照りがのって迫力のある金管、凛として芯のある木管、そしてキリっとしてよく歌う弦楽器、そして田中さんらしい冷静で勘所を巧く捉えたティムパニ。
奈良フィルがこれほど鳴るとは・・・いやきちっと統制かけて鳴らした齊藤さんの手腕を称えるべきかもしれません。
齊藤さん、大柄で、けっこう大振りでなんですが、シャープで均整の取れた振りですね。 抑えるべきところは小さく振って細々と楽器に指示しません。
既に練習でやっているからでしょうか、決して無防備に吼えたりせず、オケが見事に反応していたのにポテンシャルの高さを垣間見ました。
前半プログラムは、北村聡さんという奈良出身の若い(1979年生)バンドネオン奏者との共演でピアソラのバンドネオン協奏曲。
冒頭こそオケの響きのなかでレロレロ鳴ってて??でしたけど次第に耳も馴染んできたようです。 第2楽章など、泣くようなコンミス林泉さんのソロ、チェロトップの野村朋亨さんとの絡みには哀愁が漂っていて綺麗な響きを楽しみました。
アンコールではピアソラ編曲の「ロカ ポエミヤ フリオ デ カロ」という小品を演奏されましたが、その響きのなんと多彩なこと。
このナイーブな響きをオケと対抗させるのは、ちょっと、といったのが直感でもありました。 音量という点だけでなく。 ま、これは曲の問題ですけどね。
演奏は素晴らしかったですよ。
ということで奈良フィル定期。
足掛け9年聞いてきたことになりますが、いったんここでお休みしようと思ってこの演奏会に行きましたが、これほどまでに素晴らしい演奏を聞かせてくれるなんて・・・嬉しかったな。
いい思い出になりました。
最近だんだん時間が取れなくなってきてますしね・・・
平日夜に演奏会をやっていた大阪シンフォニカーの会員を辞めましたが、今度は休日も怪しくなってきて、今回は休日出勤はしませんでしたが(体調不良で出来なかったのが正解ですが)六甲フィルとも葛藤しました。
これは巧い下手の問題ではなく気持ちの問題なんですけど、まぁちょっと間を置いてまた聴きたいと思っています。
奈良フィル、兎に角これからも頑張って今回のような素晴らしい演奏を続けてください。