
個人的にはシューベルトの未完成交響曲にいたく感動しました。 失礼ながらこのような素晴らしい未完成交響曲が聴けるなんて・・・思ってもみませんでした。
指揮者は常任の牧村邦彦さん
指揮する腕を肩よりほとんど挙げず、刺激的な響きを極力抑えているよう。 力を込めながらも、柔らかな響きを繋いでゆく上品さ、しなやかさ、奥行きの深さ、そして何より美しい歌がありました。
メンバーを絞り込んだオケから繰り出されてくる旋律が繰り返えされ、そしてまた主題の再現部と、何度も何度も訪れてくる美しい旋律に感激しっぱなし。 ほんと素晴らしい演奏でした。 参りました。
そしてメインは、ブラームスの交響曲第4番。 こちらもまたシューベルトと同じくしなやかで熱く美しい演奏でしたね。
ただし牧村さん、第1楽章ではシューベルトのときと違って、大きなアクションで盛り立てようとしていましたけど、ちょっとオケの反応鈍かったかな。 でもそれ以外ではオケも奮闘していましたよ。
とにかく各楽章の終結部、いずれも熱くタイトに決めたカッコ良い終わり方。 ティムパニの切れも良かったしね。 楽章毎に拍手が沸き起こったのも頷けました。
これに先立って演奏されたフンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲、丁寧で柔らかな開始だったのに、会場内がちょっと騒がしく、またカメラのフラッシュも光って残念でした。 でも演奏は落ち着きながらも次第に熱くなってゆき、でも常に円やかな響きを基調にした上品な演奏でした。
奈良女オケ、前回は伺えず残念でしたが、好調を持続していて嬉しかったし、また未完成交響曲という思わぬ素晴らしい演奏に巡り会えました。
こういった意外性もこのオケの魅力なんですね。 とてもいい演奏会でした。