2005年10月02日
三田市民オペラ第6回公演 「こうもり」にて
軽妙洒脱、限られた資源をうまく使った「こうもり」でした。
冒頭、井村さんのスピーチがあって、オペラではなくオペレッタ、気軽に見て欲しい、大きな声で無理して笑って欲しい・・・ とのこと。 大声では難しかったけれど、その意図は通じたのではなかったでしょうか。
大阪弁を交えて親近感を持たせ、また出演者に先のストーリーをそれとなく語らせることにより、初めての人でも話の展開を理解しやすくする工夫もありましたね。
もっとギャグが出てきてアヴァギャルドな吉本風かなと思いきや、基本にはかなり忠実。 「こうもり」を観たことがある人にも違和感はありませんでした。 けっこうオーソドックスにそつなく纏めた・・・というか、「こうもり」自身の完成度の高さも垣間見たように感じました。
声楽陣では、男声が充実していましたね。 終始軽妙な演技と張りのある声で歌ったアイゼンシュタイン(澤井宏仁)、朗々と歌ったアルフレート(神田裕史)、いかにも「こうもり」らしい雰囲気を漂わせたファルケ(嶋本晃)もよかったですね。 それに刑務所長のフランク(東平聞)が声・演技ともいい味を出していました。 アイゼンシュタインのとのアンサンブル、面白かったですよ。 女声陣は、演技と歌がどっちつかずになる傾向にあったようですけど、落ち着いて演じたロザリンデ(野村佳代)、狂言回しを見事に演じきったアデーレ(牛尾加奈)を筆頭に、イーダ(又吉優香)も落ちついた演技と歌を聞かせていました。
演奏は、ヴァイオリン2本、コントラバス1本、木管五重奏にピアノという編成。 これで、しっかりと「こうもり」の音楽が流れ出てくるから不思議です。 コンパクトながらも、実に聴かせ上手な演奏でステージも息づいていました。
以前、メノッティの「アマールと3人の王様」をコミュニティ・オペラで見たことがありますが、このときはピアノ、オーボエ、フルート、コントラバスというもっと小編成(指揮:三原剛)。 このときも大そう感じ入った公演でしたけど、今回もその時のことを思い出しながら観ていました。
金をかけて大ぶりに公演をするのではなく、無駄なもの・余計な物を削ぎ落とし、必要なもの残すようにして演ることで、より身近で、地に足のついた公演になるようにも思えます。 このような取り組みは是非とも続けていって欲しいものです。